「企画の制限をつくらない」メルカリPのあたまのなか by 太田垣慶

メルカリJPのプロダクトオーナーである伊豫が、メルカリで働くプロデューサーに実際の企画とその結果、そして各々のバックグラウンドに迫る新企画。今回お話を伺ったのは、入社以来USアプリの企画に携わるプロダクトマネージャーの太田垣慶さんです。

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【プロフィール】

太田垣慶(Kei Otagaki) ※写真右
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、2006年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。ソーシャルゲーム事業の立ち上げプロジェクトリーダーなどを経て、11年よりサンフランシスコをはじめとした世界各地の拠点にて、プロデューサーとして活躍。13年よりスマートエデュケーション、15年よりPiccolo(現VIVITA)を経て、2017年4月株式会社メルカリに参画。US版メルカリのプロダクトマネージャーを務める。

【プロフィール】

伊豫健夫(Takeo Iyo) ※写真左
大学卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)、株式会社野村総合研究所を経て、2006年に株式会社リクルート入社。中長期戦略策定および次世代メディア開発等、大小問わず多数のプロジェクトを牽引したのち、2015年3月株式会社メルカリに参画。2016年8月より執行役員。US版メルカリのプロダクトマネジメントを担当後、2017年4月より国内版メルカリのプロダクト責任者を務める。

Suggest Price機能の背景とは?

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伊豫 : 早速ですが今回は「USアプリのSuggest Price機能」について伺いたいと思います。そもそもどういった課題感から、この機能の実装に至ったのですか?

太田垣 : 全社のOKRにUSのSell Through Rate(特定期間内での売却完了率)を上げたいという項目がありました。いきなりぶっちゃけると、今USのSTRってざっくり日本の半分くらいなんですよね。日本のメルカリって出品者にとってすぐ売れるというイメージを持っていただけていて、代替出来ない価値だと思うんですが、購入者の意思決定の要はやっぱり適正な価格なんです。なので、STRを向上するために価格サジェスト機能を実装するに至りました。

伊豫 : 価格提案の根拠となる値は?

太田垣 : 過去売れた相場をもとに、このレンジなら売れやすいよという価格をサジェストしています。具体的には機械学習を用いて、商品タイトル、カテゴリー、ブランド、コンディションといった情報をインプットさせています。

伊豫 : 金額はどういった幅で提案されるんですか?

太田垣 : 少し安くてもいいから早く売りたいか、待ってでも価格優位に売りたいか、などの幅を提示して出品者が選べるようにしています。

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伊豫 : 企画立案からリリースまでの期間はどれくらい?

太田垣 : 約1ヶ月半ですが、モデル構築にはもっと時間をかけています。

伊豫 : テストはどのように設計しました?

太田垣 : ユーザー全体の50%を対象にしました。Aパターン、Bパターン、対象外の3パターンです。比率はそれぞれ1/3ずつです。

伊豫 : 実装後はどういった結果が出ています?

太田垣 : 正直期待していた通りの数値は出なかったです。

伊豫 : なぜでしょう。

太田垣 : 15%くらいの出品はサジェスト機能により最初に入力した価格より下げてくれたのですが、一方で最終的な出品価格はSuggest Priceより高いまま出品されてしまうのがほとんどだったんですよね。「Suggest Priceより高い金額を入力された場合にオススメ金額を提示する」という順番がうまくワークしなかったんだと思います。

伊豫 : 実装後の改善は?

太田垣 : ユーザーインタビューしたところ、価格ってある程度出品する前から自分自身で決めていて、金額入力の後に金額提示されても、変更したくないという心理が芽生えることがわかりました。なので今は、価格入力前にサジェストするように変更しているところです。

伊豫 : メルカリではJP/US問わず、色んな所で機械学習を用いた取り組みをしてますよね。今回の企画についてはどうでしたか?

太田垣 : 企画開始時点での、モデルへの期待値の設定が非常に重要だと考えてます。特に価格の提案は出品者にとってとてもセンシティブなので、一度でも検討ちがいの提案すると、お客さまからの信頼を一気に落としかねない。今回はリリースを少し遅らせてでも、精度をよりあげるという意思決定をしました。ただこれは事前に期待値を機械学習エンジニアとすり合わせておけば防げていたと反省しています。

伊豫 : 機能の今後についてどう考えていますか?

太田垣 : 引き続きより精度を磨くこと、そして見せ方も工夫することですね。まだこの機能をあまり活用されていないお客さまに、この機能を使って売れる喜びを実感してほしいです。そのためには、愚直に実績を積み重ねるしかないです。価格以外にも写真の撮り方やハッシュタグなどいろんなサジェストを行い、売れる体験をメルカリが後押ししていることを伝えていきたいです。

太田垣さんのあたまのなか

伊豫 : ちょっと話は変わって、太田垣さんのメルカリ入社に至る経歴を伺わせてください。

太田垣 : 新卒でDeNAに入社し、在籍した7年間ひたすらサービスを作っていました。最後の2年間はサンフランシスコに赴任しましたが、子ども向けのアプリを作りたいという自分の思いがあって転職しました。その後事業転換などもあり、自分の強みが発揮出来ないと感じていた頃に代表の進太郎さんと再会しメルカリにJOINすることにしました。

伊豫 : メルカリではエンジニア経験のあるPMも多いなか、太田垣さんはエンジニア経験がないですよね。でも大きな機能をどんどん出している。エンジニアと一緒に働くうえで気をつけているポイントなどありますか?

太田垣 : これまでにいろんなアプリをだしてきたので、ざっくりの規模感や工数は肌感でわかるようになりましたし、逆にわからないことは割り切ってエンジニアに任せています。技術バックグラウンドがないメリットとしては、企画の制限を自分に作らなくていいこと。できない理由を勝手に作らない。箍(たが)をはめないというか。言葉で伝えられることは実現可能だと思っているので。

伊豫 : メルカリで働いていてみて面白いと思うポイントはありますか?

太田垣 : 世界を取りにいこうとしている本気度を感じます。それだけのリソースや環境が整っているのがメルカリだし、チャレンジしがいがありますよ。

PMとしてもっとも大事なこと

伊豫 : メルカリには色んなタイプのPM/プロデューサーがいると思います。太田垣さんにとってもっとも重要なPMの役割ってなんだと捉えてますか?

太田垣 : 限りなくベターなロードマップを更新し続けることかなと思います。プロダクトって結局は何をどういう順番で開発するかなんで。メルカリはまだできて4年ちょっとの会社ですが、なんども大胆な意思決定を続けてきてロードマップがどんどん進化していっている。その推進役こそ、PMなんじゃないかと。

伊豫 : 最後に、今後について教えてください。

太田垣 : 次の強いPMを育てていきたいと思っています。自分がこれまで培った経験も理解しているつもりなので、それを伝えたい。メルカリ自体も短期的な成長だけでなく、中長期の戦略を持っていますよね。そしてもちろんUSで成功したいです!

伊豫 : ありがとうございました!次回はメルカリチャンネルを担当する小山さんのあたまの中をのぞいてみます。