「よりよい社会をつくる」に挑戦できる環境は整い始めている|メルカリCTO×メルペイ取締役対談

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「お久しぶりです!」

その声に振り返ってみると、そこに立っていたのはメルカリCTOの名村卓と、メルペイ取締役の曾川景介でした。

サンフランシスコに拠点をおいてメルカリUSの開発をリードする名村と、メルペイ立ち上げを突き進める曾川は、それぞれ開発組織を率いる立場。なかなか会って話す時間がない2人が、近況報告とともにこれからのメルカリやメルペイの開発体制などについて話し始めました。せっかくなので、今回のメルカンではそんな2人の会話の一部をお届けします。

名村卓(SuguruNamura)※写真右
2004年株式会社サイバーエージェントに入社後、アメーバピグ、AWA、AbemaTVなどの新規サービスの立ち上げに従事。2016年7月、株式会社メルカリに参画。US版メルカリの開発を担当、2017年4月、執行役員CTOに就任。


曾川景介(KeisukeSogawa)※写真左
大学院修了後にシリコンバレーの FluxFlex社にてWebPayを立ち上げる。ウェブペイ株式会社の最高技術責任者(CTO)としてクレジットカード決済のサービス基盤の開発に従事、LINEグループに参画しLINE Pay事業を経験。2017年11月、株式会社メルペイ取締役に就任。

「お金より便利なものができる」の可能性

名村:私はちょうど、メルペイをどんな感じで進められているのかを曾川さんに聞きたいと思っていました。

さっそくですが、メルペイって社会を変えようとしていますよね。いちエンジニアとして、そこに入ってなにかできることがあれば楽しいだろうなと思っているんです。

そもそもお金は人類史上最大の発明と言われることもあります。それがまさに今、インターネットとブロックチェーンの登場で「お金より便利なものができるんじゃない?」となってきています。メルペイがトライしようとしているのは、まさにその部分ですよね。

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ブロックチェーンは、ビットコインによってワークすることが証明されました。もちろん、実際にはまだ課題もたくさんあるんですが、少なくとも「価値の保有」という意味ではワークしています。新たな金融の世界をつくるところでの1つのキーテクノロジーだと思うんですよね。

曾川:そのとおりですね。ブロックチェーンはトラストレスなので、それそのものに信用はありません。だからこそ、信用できるかどうかの判断を可能にする必要があります。その部分を我々が担っていきたいと考えています。

メルカリは、これまでお客さま同士の取引を第3者として保証することで対価をいただいていました。

名村さんが言われているような世界観の中で安心して取引していくには、個人の信用情報を媒介・仲介する存在が必要です。もちろん、個人がトラストレスなファクトの積み上げを評価して取引を行うことができれば一番良いですが、それをすべての個人に適用することは難しいでしょう。今後、人が扱える情報量が増えて判断が可能になれば別ですが、今は多くの人に使ってもらうために媒介や仲介のレイヤーを設計する必要ではないかと考えています。

お金の流動性を高めて目指す、なめらかな社会

名村:メルペイに関しては「なめらか」という表現をしていますよね?

曾川:そうですね。メルペイのミッションは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」です。

メルカリは、モノの流動性を高めたサービスです。対してメルペイではお金の流動性を高め新しい価値を生み出したいと考えています。

社会にはすでにさまざまな断絶や境界が生み出されていて、私たちも無意識のうちに内か外を判断して生きています。これはスマートニュース代表でメルカリの社外取締役でもある鈴木健さんの著書『なめらかな社会とその敵』で書かれている世界観です。私たちが目指す「なめらかな社会」はメルカリの中に囲い込むものではなく、お客さまや多くのパートナーと一緒につくっていきたいと思っています。

信用を金銭的な概念に置き換えて消費を行うことができれば、実態としてのお金を伴わずに価値の交換ができるようになります。メルカリはすでにお客さまの消費行動に影響を与えています。今まで金銭的な価値を見出していなかったものを再評価し、信用を創造することで価値の交換をより円滑にする。これは「捨てるをなくす」から生まれたメルカリだから創造できる世界観とも言えますね。

メルカリとメルペイに共通する、チーム体制の課題

曾川:話は変わりますが、私も名村さんに聞きたいことがあります。

そもそも私が入社した当時から、メルカリのプラットフォーム化へつながる構想はありました。

mercan.mercari.com

また、メルカリではマイクロサービス化を進めています。直近でも、マイクロサービスをつくってプロダクト開発をしていますよね。これは、もともと名村さんがメルカリUSで進められていたものをベースにしています。メルペイでも、その流れを踏襲して進めています。

マイクロサービス化させてプロダクトをどんどんつくっていくと、リードエンジニアやリードアーキテクトなどの存在がプロジェクトごとに必要となります。一方で、つくりたいマイクロサービスがたくさんある中で、リードエンジニアやリードアーキテクトが足りない現実も感じているところです。

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メルペイには、マイクロサービス化を牽引できるメンバーもいます。しかし、新しく立ち上げたばかりのチームでスケールさせていくのは難しいところがあります。そのあたりの採用/育成/マネジメントは今後の課題だと感じているのですが…名村さんはどう考えていますか?

名村:その課題感は、まさにそのとおりですね。メルカリでは今、EM(Engineering Manager)体制とPM(Product Manager)体制に移行しようとしています。EM体制で肝になるのが、テックリードです。要するに、アーキテクトと開発スタイル、アウトプットに責任を持てるかどうかですね。

これまでのメルカリでは、SREがアーキテクト全体を見渡すようにしていて、現場のエンジニアたちはその部分にあまり触れていませんでした。そうなると「これからテックリードをやるぞ!」となっても、そもそもの経験者が少ない。今後マイクロサービス化してプロダクトをつくっていく上で、テックリードができる人材の育成は急務です。

今のところ、SREのメンバーもしくは他社でそういった経験をした人をチームに入れてテックリード候補を集める。そして、現場のエンジニアを含めてアーキテクチャレビューをする。そうやって周りのメンバーでフォローしながら、場数を踏ませるカタチで育成していくのがいいんじゃないかと考えているんです。

曾川:各プロダクトチームで判断できる体制をつくるということですね。おっしゃるとおりで、ノウハウがないまま「では、マイクロサービスでつくってください」と言っても、現場のメンバーは混乱するだけです。直近でも、マイクロサービスの基盤をつくるところで「誰がやるんだっけ?」という話は出ています。とはいえ、私はこのやりとりをとても重要なことだと考えています。このフェーズを抜ければもっとスケーラブルなプロダクト開発チームになっていくと思っています。

メルカリとメルペイが提供する、「よりよい社会をつくる」という経験

名村:曾川さんは、これからのメルペイの動きをどう見ているんですか?

曾川:私は、5年くらいは結果が出ないかもしれないと考えています。というのも、この事業そのものが難しく、かつ新規事業とは失敗することが常です。人の生活や習慣を変えることは簡単ではないので、失敗を繰り返しながらお客さまに使っていただけるプロダクトをつくれるといいなと思っています。

名村:失敗できるというのは、メルカリのいいところですよね。一般的なところだと、2〜3回失敗したら終わってしまうことがほとんどです。私は逆境が好きなので、そういった期間は耐えるというより楽しんでしまう方なんですよね。もちろん、ガンガンと伸びているサービスをやっている方がお客さまの反応も感じられて楽しいですが、地道に積み重ねていくものに対しても「伸ばしてやるぞ!」という感じになります。

曾川:「楽しい」「やりたい」という思いに突き動かされてやるのはいいですよね。エンジニアは、技術やプロダクト開発を通じて社会に影響を与えることができるのでやりがいのある仕事だと思っています。

エンジニアの中には「よりよい社会をつくりたい」「貢献したい」という思いがある人もいます。そういった意味では今、それを直接的にできる状況が訪れているように思います。この問題にいかに取り組むかは、とてもおもしろい。

名村:サッカー選手がヨーロッパリーグを目指すように、「世界を変えるものをつくる」を目指すエンジニアも、小さい領域にとどまっていてはなにも始まりません。それでいうとメルペイは、世界を変えたいと思っているエンジニアにとっておもしろいですよね。だって、通貨の概念を変えるかもしれないんですから。

曾川:名村さんも私も、それぞれ開発組織を率いる立場として、一緒に働くエンジニアに魅力的なキャリアを提供する必要があります。メルカリもメルペイも、世界規模のサービスとして発展し、エンジニアにとって世界初の取り組みに触れられる機会を用意できるかどうかが今後問われてきますよね。

メルペイに関して言うと、まだ何もプロダクトを出していないので現段階ではまだ「信じてください」としか言えないのですが(笑)。でも実は、プロダクト開発も進みつつあります。

「世界を変える」というと、すごく大きなことをやろうという話をしているように思えるかもしれませんが、身近な家族や友人のような自分の周りの人たちに影響を与えるようなプロダクトをつくるということです。簡単なことではありませんが、メルカリやメルペイはそういう機会をつくれるんじゃないかと思っています。

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