メルカリが「学びのフリマアプリ」をつくった理由は? teacha立ち上げメンバーが世に問う“個人のナレッジ”の価値

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2018年4月25日、メルカリのグループ会社であるソウゾウが学びのフリマアプリ「teacha(ティーチャ)」のiOS版とWeb版のサービス提供をスタートさせました。

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teachaは語学やプログラミングのほか、個人が趣味として楽しんでいるものまで、さまざまなレッスンをフリマアプリ感覚で受講できる「学び」のCtoCサービスです。立ち上げをリードしたのは、teachaのプロダクトオーナーである鶴田浩之さんと、プロデューサーの本間達也さん。さっそく2人に話を聞きました。

鶴田浩之(Hiroyuki Tsuruda)※写真右
2016年慶應義塾大学SFC卒。大学在学中、20歳のときに株式会社Labitを創業し、リクルートグループ、Gunosy、KADOKAWAグループなどにM&Aを経験。2016年には渋谷のコーヒースタンド併設の書店「BOOK LAB TOKYO」をプロデュース。2017年7月、Labit社のコアメンバーとともにメルカリ・ソウゾウに参画。


本間達也(Tatsuya Honma)※写真左
2014年より楽天株式会社に入社。大手広告代理店に向けてリサーチサービスの営業及び、定量・定性調査の企画、設計、分析を行う。その後、株式会社Labitへ入社。執行役員として、事業計画の策定、事業アライアンス推進、マーケティング業務に従事。2017年より株式会社ソウゾウにて「teacha」の立ち上げに参画。

「教えられる人」「学びたい人」をつなぐには?

ーteachaリリース、おめでとうございます!

鶴田:ありがとうございます! teachaは、僕がソウゾウにジョインする前から温め続けてきた事業アイデアです。なので、ようやくリリースできてうれしいですね。

ーなぜ「学び」に注目したのでしょうか?

鶴田:僕は子どものころの夢が教師で、人に教えることが好きでした。少し前にTechAcademy(テックアカデミー)というプログラミングスクールでWordPressやPHPなどを、これまで250名以上の生徒に教えていました。そのときに気付いたことが、たとえ「教師」ではなくても、自分は「教える」というライフワークを通じて、誰かの役に立つのがとてもうれしいということです。

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僕は渋谷にある「BOOK LAB TOKYO」などの書店の立ち上げ経験もあります。そのため、teachaの事業構想として最初はプログラミング教室を自分で立ち上げて運営しようかと考えたこともありました。

しかし、日本には教えられる先生が圧倒的にいない。一番いい先生はどこかと見渡してみたら、実際に活躍しているIT・Web企業の中の人たちなんじゃないかな、と。つまり、「教師」という職業以外の人たちにもいると気づきました。

世の中には「教えられる人」「学びたい人」がいる。この個人間をつなぐプラットフォームを作りたい。そこから今のteachaにつながる事業のブレストが始まりました。

ちなみに、teachaは「tea」と「cha(茶)」の英語と日本語の造語で、教える人と学ぶ人がお茶やコーヒーを飲みながら、テーブルを囲んで座っている場をイメージしています。

プロダクトの完成度を高める「お客さまの声」

ーteachaではどういった「学び」が集まっていく予定なのでしょうか?

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鶴田:teachaは学びのプラットフォームとして、語学のほか、近年需要が高まっているプログラミングなどのテック系に加えて、従来型の習い事や教室にあるようなものを対象としています。

そのため、「キャリア相談にのります」「資産運用のアドバイスをします」といったコンサルティング中心のものや、「名刺をデザインします」「占います」といったサービスを提供するものは掲載できません。あくまでも「学び」「体験」をセットにした教育の場がコンセプトになっています。

フリマアプリ「メルカリ」では、「売ることを意識して買う」という消費行動が生まれました。teachaでは「教えることを想定して勉強する」を習慣化し、自分の学びが「教える」として戻ってくるサイクルをつくりたいと思っています。

実のところ、現段階でのteachaはまだ完璧とは言えない状態です。僕たちがteachaで本当に提供したい価値は、まだまだ完成していないと考えています。

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本間:誤解がないようにお話しすると、プロダクトとしては何度もテストを重ね、お客さまに使っていただけるものをリリースしています。しかし、teachaのプロダクトの価値は「どんなレッスンがあり、どんなことが学べるか」です。もう少し作り込んだ後に出してもよかったのですが、4,000名規模のβ版運用を経て、予想以上にユニークなレッスンが投稿されるなど、お客さまに使っていただいて初めてわかることが圧倒的に多かったのです。

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鶴田:まだUI/UXなどを磨き上げる段階であることは認識しています。でも、まずは一人でも多くのお客さまに使っていただき、「学びのフリマ」というコンセプトが受け入れられるのかどうかを1日も早く検証したい。そのため、ひと足早いリリースに踏み切りました。

「個人のナレッジ」の価値を世に問いかける

ーお2人は、前職のLabit時代からさまざまな事業を立ち上げていますよね?

本間:そうですね。今回のteachaにつながる事業アイデアを鶴田から聞いたときも、すぐに意図やイメージを汲み取れました。

そもそも、鶴田のアイデアはいつも「コンセプトアウト」なんですよね。多くの事業アイデアがマーケットドリブンであることに対して、鶴田は自分自身が最初のユーザーとして使えるものを磨きながら大きくしていく。そしてプロダクトを作り、マーケットをつくっていく流れになっているんです。

鶴田:そうですね。「世の中で流行っているから」「波が来そうだから」といったマーケットドリブンではあまり考えていないです。もちろん事業をやると決める上では徹底的に市場の検証はしますが、考える順序は逆です。

teachaでは、チームメンバーに「市場のパイを奪い合うのではなくて、新たな市場を作れるかどうかが今回のプロジェクトの成否」と伝えています。

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teachaなど個人を対象とした教育プラットフォームをやる上で、タイミングよく時代も背中を押してくれています。政府はリカレント教育(学び直し)の推進のほか、働き方改革での個人のキャリア感の多様化、仕事効率化で今後「空いた時間で何かしたい」という人が多くなるなど、人々の意識が変わるときに新しいマーケットが顕在化します。

初めて事業アイデアをソウゾウ元代表の松本(龍祐)に話したときも「市場としては大丈夫だね、プロダクトづくりがんばって!」と、参入テーマに対する疑問は一切ありませんでした。「競合との差別化は?」などくわしく聞かれず、むしろ語学スクールへ通って挫折してしまったエピソードを話してくれました(笑)。

これまでは、塾も資格学校も習い事教室も「教師」という職業があり「セミプロが教える」といったパッケージ化されたものにお金を払うのが主流でした。これから「教える」ことをライフワークに活動できる個人がたくさん生まれる世界観を作りたい。teachaでは「個人のナレッジ」の価値を世に問いかけます。その結果がどうなるのか、もしかすると僕らが一番ワクワクしているかもしれません。

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