メルカリはアプリだけに留まらない。オンラインとオフラインをつなぐ戦略を聞く

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フリマアプリ「メルカリ」での出品時、お客さまの手間を減らすためのアライアンスなどを進めてきたメルカリBusiness Development(以下、BizDev)。その大きな成果と言えるのが、メルカリにおける「配送」と「決済」でした。

そんなメルカリBizDevが今まさに挑もうとしているのが、オンラインとオフラインの融合「Online Merges with Offline(以下、OMO)」。首都圏5か所の郵便局に設置されたメルカリ梱包コーナー「つつメルすぽっと」のほか、メルカリで売買したことがないお客さま向けの「メルカリ教室」などをマーケティングチームとともに開催。また、「メルカリ教室」については開催パートナー募集も開始しています。

しかし、なぜメルカリがOMOを? そこでメルカンでは、執行役員 VP of Operationsの野辺一也と、メルカリBizDevメンバーとして入社し、現在はOffline UXのマネージャーである石川佑の対談を実施。2人のやりとりで浮き彫りになったのは、メルカリBizDev結成当時から変わらない「メルカリでのサービス体験(メルカリ体験)」に対するこだわりでした。

CtoCサービス初の「匿名配送」を実現したメルカリBizDevの歴史

野辺:僕が入社したのは2019年2月。それまでは、いわゆる提携先の1つとしてメルカリBizDevを見てきました。改めて、これまでのメルカリBizDevについて聞きたいです。

石川:僕は2017年10月に入社していますが、BizDevチームをつくりあげてきた小野直人さん(Business Development マネージャー)がすでに配送・決済部分でのアライアンス交渉などをスタートさせていましたね。そして、2015年4月に「らくらくメルカリ便」をリリース。これによってCtoCサービス初となる匿名配送を実現したことになります。その後は各コンビニと連携し、お客さまの出品物をすぐに発送できる拠点網を増やしていったんです。

石川佑(Offline UX、マネージャー)

野辺:なかなか筋肉質な歴史がありますね(笑)。

石川:はい(笑)。野辺さんはメルカリの提携先企業にいらっしゃいましたが、当時からメルカリをどう見ていたのですか?

野辺:当時、CtoCというビジネス自体が未知数でした。でも、メルカリが匿名配送を実現したことで「住所の情報をやりとりしなくても出品できる仕組みは実現できるのか!」とかなり衝撃を受けたことを覚えています。

野辺一也(執行役員 VP of Business Development)

石川:そうなんですよね。そもそもCtoCサービスは、お客さまから見て「相手に個人情報がバレてしまう」「構造がよくわからない」というイメージがつきものでした。外部の方々との交渉時も「CtoCにはこんなリスクがあるんでしょう?」「それはできないんじゃない?」と返答されることがほとんど。そのため、「こういったリスクを回避できます」「メルカリにはこのようなCS体制があるため、安心です」と、誤解を解きほぐす作業から始めていました。それもすべて、サービスや事業が成長していくにつれて「使ったことがない」「知らない」と言っていた方が「うちの奥さんが使っているんだけどさ」という反応へ明確に変わっていって……。

野辺:すごい変化だ!(笑)。

石川:そうなんです(笑)。改めて振り返ってみると、メルカリBizDevが一番成し得てきたのは、配送や決済手段などのインフラを拡充することで「最適なメルカリ体験」をお客さまに届けてきたと言えるかもしれません。

「つつメルすぽっと」は、メルカリのサービスがオフラインにしみ出した結果

野辺:そして今、メルカリは首都圏5か所の郵便局に梱包コーナーを設置した「つつメルすぽっと」、出品などのやり方を学べる「メルカリ教室」などの施策もスタートさせています。これは、メルカリでオンラインとオフラインの融合「Online Merges with Offline(OMO)」が始まったということ。とは言え、特に「OMOをやるぞ!」と決めてスタートさせたものではなく、あくまでも「最適なメルカリ体験」を届けてきた活動の延長線上なんですよね。

石川:メルカリはサービスの成長や拡大にともない、その影響範囲がアプリ内にとどまらなくなっていきました。お客さまにとって「メルカリをダウンロードして出品し、売れた」だけでなく「コンビニで発送した」までがメルカリ体験だと認識され始めたのです。

野辺:オンラインやオフラインという線引き自体、我々が勝手に意識しているところもありますよね。お客さまはというと、まったく意識していない。ところが、実際には出品時のやりとりや発送時の手順などをくわしく教えてくれる人はいなくて。

石川:個人的にも、お客さまのリテラシーレベルに依存するサービスはダメだと思っています。「つつメルすぽっと」「メルカリ教室」ともに、お客さまがメルカリを使うときのハードルになりがちな出品・発送の体験を良くするために実施したもの。どちらも、メルカリというサービス自体がオフラインにしみ出してきた結果なんです。

「つつメルすぽっと」で発送されている様子

野辺:お客さまにとって最高のメルカリ体験を提供するには、オンライン・オフライン関係なくシンプルなUXにすることが大事。僕が入社してからマーケティングに関してリサーチをかけてみたところ、ダウンロード数とMAU(月間アクティブユーザー)にギャップがあると気づきました。利用意向はあるけれど、使われていない。そう考えると、メルカリとしての認知度アップに投資するより、利用シーンを想起させるなど「使ってもらうきっかけ」をオフラインで増やすことにシフトしたほうがいい。この決断ができたのは、組織としても大きな転換点ですね。

石川:僕はもう、そこにはポテンシャルしかないと思っています。ありがたいことに、メルカリの認知はすでにあります。お客さまからすると「ダウンロードしたけれど、使っていない」という状態。要するに、使ってもらえるきっかけを僕らが増やしていくだけでサービスを拡大することができます。あと、個人的には、野辺さんが入社してからOMOの動きが一気に進んだように感じているんです。

野辺:そう言ってもらえるとありがたいですね(笑)。

メルカリのインフラ化とともに意識すべき「もう1人のお客さま」

石川:もう1つ、メルカリで意識しなければならないと考えていることがあります。それが、ステークホルダーへの影響です。このターニングポイントになったのは、野辺さんが発送ポイントを担うコンビニの加盟店さまと引き合わせてくれたときでした。

野辺:そうでしたね。僕はメルカリに入社する前、まさにメルカリの発送ポイントを担う現場からの声を聞いていました。メルカリの発送ポイントになることで、日に日に新しいお客さまが増えていきます。「すごい」と思う一方で、業務フローが増え、不安を感じる加盟店さまもいました。それを伝えたくて、入社してしばらく経ったころに現場の方々と食事の場をセッティングさせてもらったんです。

石川:食事の場で、すぐに手渡されたのが意見書でした(苦笑)。恥ずかしながら、その意見書を見るまでは、ステークホルダーとなる加盟店さまがメルカリに対する不安や不満を持っている現状を正しく把握できていなくて……。

野辺:良くも悪くも、そういった現場の声は一度ダイレクトに話を聞いたほうがいいです。そうしないと、加盟店さまがどういった立ち位置で、どのようにサービスを受け止めているのかがわかりませんので。

石川:おかげで、僕らのサービスがインフラ化しつつあり、同時に改善しなければならないポイントがたくさんあることに気づきました。今まで「お客さまのために」とサービスづくりや提携に向き合ってきましたが、それはすべてエンドユーザーに対するものだったと認識を改めました。インフラ化しているということは、加盟店さまなど、ステークホルダーの方々とも真摯に向き合わなければいけないんです。

野辺:ですね。これまでのメルカリは、スタートアップとして各ステークホルダーに協力してもらってきました。しかし、今のメルカリは上場企業でもあります。事業としても社会にインパクトを与える規模になったからこそ、エンドユーザーだけでなく、サービスと連携してくださる方々も僕らにとっての「お客さま」。そうすると、BizDevの場合、プロダクトと連携してくださるステークホルダーとの関係をつくっていくことがミッションですが、今後はよりUI/UXを意識しつつ、サービス体験をより良くするための交渉が求められます。

「こんなにも前例のない挑戦、他にできそうなところある?」

石川:オフラインからオンラインへ拡大するサービスはあれど、オンラインからオフラインにしみ出していくサービスは、日本ではあまりない気がしています。そのなかでメルカリが成功事例をつくると、よりおもしろい世界観をつくることができる気がしているのですが、野辺さんはどうですか?

野辺:メルカリではちょうど、オンラインとオフラインの融合であるOMOに挑戦できる土壌が整ってきたと感じています。BizDevは引き続き、水面下で動き回るわけですが(笑)。「こんなにも前例のない挑戦を他にできそうなところある?」って感じですね。

石川:OMOという言葉に当てはめられる動き方ですが、メルカリはそう言われる前からやっていた気がします。それに、ステークホルダーの方々にとっては、メルカリと連携することで、確実にお客さまの動線の1つになります。人々のトラフィックを動かせるところも、メルカリでBizDevをする醍醐味ですね。

野辺:すべてメルカリでBizDevが誕生した当時から一貫した考えから外れていないことも、僕個人としてはすごいことだと思っています。

石川:そうなんですよね。OMOであるがなんでろうが、引き続き僕らがやり続けていくのは、「メルカリ体験」を良くしていくことに変わりないはないんですよね。

※7月16日(火)22時にテレビ東京系列で放送される「日経スペシャル ガイアの夜明け」にて、メルカリのオフライン施策が取り上げられます。こちらもぜひ、ご覧ください。

プロフィール

野辺一也(Kazuya Nobe)

学生時代にIT系ベンチャー創業、事業売却後に外資系コンサルティング会社にて事業戦略・マーケティング等のプロジェクトを担当。2007年に株式会社リヴァンプ立上げに参画、支援先化粧品会社CEOとして事業再成長を実現。2013年から株式会社ローソン上級執行役員マーケティング本部長、オイシックス、ロイヤリティマーケティング(ポンタポイント運営会社)などの社外取締役も努める。2019年2月より、株式会社メルカリに入社。執行役員 VP of Operations。

石川佑(Yu Ishikawa)

大学卒業後、京セラ株式会社にて、スマートフォンの商品企画・提案営業を経験。その後、株式会社DeNAにてECコンサルタント業務、カテゴリ戦略立案業務を担い、2017年1月にはショッピングモール「Wowma!」の立ち上げ、編成ディレクター業務を担当する。2017年10月、株式会社メルカリ事業開発(ビジネスディベロップメント)に参画、現在はOffline UXのマネージャー。

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