未来の僕に会いに行く。メルカリエンジニアが技術コミュニティをスポンサーする背景

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メルカリは、多くのオープンソース技術によって支えられていて、これらのコミュニティに支援することは重要な技術投資として考えています。そのため、メルカリの技術コミュニティやカンファレンスへのスポンサー実施基準は下記のように定められており、スポンサー費用も上限を設けていません。

<スポンサー実施基準>
・メルカリメンバーのなかで、そのカンファレンス、その技術に対して思い入れがあるメンバーがいて、支援したい、と強く思っている
・メルカリが普段利用している技術に多く関わりがあり、支援したいと強く思っている
・そのイベントが、適切なメンバーによって運営されており、支援したスポンサー費が適切にそのコミュニティ・イベントに還元される

今回は、2年前からメルカリがスポンサーしている「YANS(Young Researcher Association for NLP Studies)」という研究会を通じて入社した新卒エンジニアの珊瑚彩主紀(さんごみずき)が「未来の僕に会いに行く」べく、今年開催される同イベントのスポンサー担当に自ら名乗りを上げました。

昨年までは「いち学生」として参加していた珊瑚。そんな彼が、今度は「いちメルカリエンジニア」としてスポンサーを務めようと思った理由とは? 当時のイベントで出会い、採用面接で再会をはたした上田隼也とともに今の想いを語りました。

自然言語処理の若手研究者のコミュニティ「YANS」

ーまず初めに「YANS」とはどういう技術コミュニティなのかを教えてください。そして、メルカリはなぜスポンサーしてきたのでしょうか。

上田:YANSは、自然言語処理の若手研究者のコミュニティで、2006年にスタートしています。YANSのおもな活動のうちの1つに、毎年夏に開催されるシンポジウムがあり、これにメルカリはスポンサーしていました。YANSのシンポジウムはわりと特殊で。集まった100人弱の若手研究者とスポンサー企業が、2日間かけて夜まで濃く交流したりするんです。

珊瑚:そうそう、YANSのようなスタイルはめずらしいです。学部生、修士、博士に関わらず、自分自身が「若手」だと思っていれば誰でも参加してOK。そして、カジュアルに研究内容を議論し合います。いわゆる「学会」となると、予稿集(あらかじめ書かれた概要)が必要ですが、YANSはポスターセッション(※)という形式で研究内容を紹介することができるんです。

※ポスターセッションとは、学術的な研究成果を学会などの会議の場で発表する方法の1つ。ポスターセッションの会場で掲示用に個別の部屋やスペースが割り当てられ、研究者たちはそこに紙のポスターを貼り、訪れた人に研究の方法や成果を説明する。

上田:メルカリは、2017年からYANSにスポンサーをしています。当時は、ちょうどAIチームができたタイミングでもありました。僕らがYANSにスポンサーをし続けている理由としては、まずはフリマアプリの裏側でAIなどのコンピューターサイエンスが活用されていることを知ってもらいたいという想いがありました。YANSに参加する若手研究者に対するメルカリの技術ブランディングにもなります。深く濃いコミュニティなので継続してスポンサーしているのですが、おかげで「昨年もメルカリさん、来ていましたね」と言われるようになりました。

上田隼也(AI Engineering)

ー珊瑚さんも昨年開催されたYANSに参加していたんですよね。ちなみに珊瑚さんは当時、大学でどんな研究をしていたのですか?

珊瑚:述語項構造解析の分野適応ですね。述語項構造解析は、文章内の述語の項を当てにいくタスクです。例えば「(僕は) メールを たかし君に 送ったよ」では、「送ったよ」という表現が述語であり,「(僕)」 「メール」 「たかし君」がそれぞれ、この述語の項(主語,直接目的語,間接目的語)です。このように、文書中の項(要素)を述語との関係によって構造的に整理することで「誰が、何を、何に、どうした」といった文章理解に重要な情報を抽出することができます。

ー文章理解に必要な情報を抽出……。

珊瑚:そうです。日本語は、省略が起きる特徴的な言語で、口語だと上記の例文のように主語にあたる「(僕)」は省略されてしまいます。一方で、書籍といった文語だと省略されなかったりと、媒体によって変わることもよくあります。それを機械学習によって当てにいくという感じです。基礎研究よりのタスクですね。

上田:基礎的な研究ができるのは、大学で研究する際の魅力の一つですね。ちなみに先日発表されたブリストル大とのネットワーク解析を用いた不正取引検出の共同研究は、サービスに実装可能な研究として検討できるものなので、応用研究になりますね。

YANSで出会い、採用面接で再会

ーお2人は、昨年のYANSで出会ったとのことですが?

珊瑚:そうです。当時僕は学生として参加しました。20枚くらいポスターセッションの1つにメルカリがあり、話を聞きに行ったのが最初のきっかけです。「メルカリでの自然言語処理のタスクはどんなものがあるのか」「自然言語処理を専門としている人にとって何が面白いのか」などを聞いた記憶があります。

上田:メルカリはCtoCのフリマアプリなので、商品情報は、個人のお客さまがそれぞれの自由に入力しています。画像ももちろんお客さま自身が撮影し、出品しています。そのため、多様かつ面白いデータが増え続けているんです。これは過言ではないのですが、世界でユニークで大規模なデータがメルカリにはあると思っています。機械学習エンジニアとして、生のデータを見て、分析したり仮説を立てたりする過程が本当に楽しいんですよね。

珊瑚:そうそう。データは嘘つきませんからね! そのときは、メルカリは機械学習に力を入れていて、サービスとしてアウトプットしようとしているところが印象に残りました。また、技術的な課題がたくさんありそうなところに興味を持ちました。基礎研究とは違って、たくさんのお客さまが現在進行系で利用している大規模なサービスならではの課題をどう解決するのかが面白そうだなと。

珊瑚彩主紀(AI Engineering)

ーその後、珊瑚さんはメルカリに応募したんですよね。

珊瑚:応募先は、真っ先にYANSにスポンサーしていた企業から検討しましたね。また、実はAIチームのディレクターである木村さんの紹介もあって応募しました。木村さんは、情報処理学会 自然言語処理研究会 (NL)の幹事をずっとやっていたというのもあって。面接に行ったら面接官が上田さんだったんです。そこで再会しました。

上田:特徴的な名字だったので、すぐにわかりました(笑)。

スポンサーとして参加する理由は「僕のような学生と出会うため」

ーそして、珊瑚さんがメルカリへ入社するきっかけにもなったYANSに、今年はスポンサーとして参加することになります。スポンサーしようと思ったのはなぜですか?

珊瑚:僕はYANSをきっかけにメルカリを受けました。だから僕のような学生もいるはずです。YANSはとても良い研究会だと思うので、ずっと持続してほしい気持ちもあるし、メルカリが自然言語処理をやっていることももっと周知していきたい。それもあって、スポンサーに名乗り出ました。

ー「未来の僕に会いに行く」ということですね。

珊瑚:そうですね(笑)

上田:珊瑚くんがスポンサーをやると手を挙げてくれたのは、嬉しかったです。バトンを渡して繋がるというのが、いやあ、本当に最高ですね。メルカリは、技術コミュニティに支援することに対して、取り組みやすい環境が整っています。技術コミュニティに貢献することは、会社としても、個人の技術者・研究者としても、重要だと思っていて。それを会社の支援のもとで活動できるのは、本当にいいことだと思います。

珊瑚:スポンサー申請をするフローも整っていて、手続きなどもかなりラクでした。申請フォーマットに沿って支援内容を記載し、申請用のslackチャンネルに投稿するだけですから。しかも数分で承認をもらえました。他のメンバーも、もっと積極的に活用してほしいなと思います。

上田隼也(Shunya Ueta)

2017年3月に筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻を修了後、フリーランスの機械学習エンジニアとして働き、その後2018年2月にメルカリ入社。AI Engineeringに所属。規約違反商品検知システムのLeadを担当。昨年のYANSスポンサーを担当。

珊瑚彩主紀(Mizuki Sango)

東京工業大学 情報理工学院修了後、2019年4月にメルカリ新卒入社。AI Engineeringに所属。違反検知システムや、自然言語処理を用いカスタマーサポートの業務改善を担当している。今年のYANSスポンサー担当。

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