「社会のインフラ」への進化を目指すメルペイが重視するキーワードとは? #MPC2019SEP

2019年9月18日に開催された「MERPAY CONFERENCE 2019_SEP.」。同年2月、スマホ決済サービス「メルペイ」の本格始動とともに行われた「MERPAY CONFERENCE 2019」に続き、2回目の開催となりました。今回のカンファレンスで語られたのは、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」というミッションの実現に向けた事業構想、戦略について。

トップバッターの青柳直樹(メルペイ代表取締役CEO)に続き、登壇したのはメルペイ執行役員CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)の伊豫健夫です。ここではメルペイが重視するキーワードを軸に、社会のインフラを担う決済サービスとしての進化が語られました。さっそく、そのレポート記事をお届けします。

公共領域においてもメルペイを使えるように

「OPENNESS」

壇上に上がり、力強くこう言い放った伊豫健夫。「OPENNESS」はメルペイが決済サービスとして、社会インフラの一端を担う存在として大切にしている姿勢です。

伊豫健夫(メルペイ執行役員CPO)

伊豫:自社サービス中心の経済圏をつくってお客さまを囲い込むのではなく、さまざまな企業とのオープンなパートナーシップを広げていく。それによって、お客さまと加盟店さまにとって価値のある決済インフラをつくりあげていけると考えています。

前回のカンファレンスでも、さまざまな企業とのOPENNESSなパートナーシップをお伝えしましたが、今回はメルペイのミッションである「信用を創造して、なめらかな社会を創る」の実現に向けて、メルペイをさらに進化させる取り組みを発表。その内容を読み解くにあたって大事なキーワードとなるのが、「キャッシュイン」「キャッシュアウト」という考え方です。

伊豫:メルペイがお客さまや加盟店さまにとって、価値のある決済インフラになるためには「キャッシュイン(入金・チャージする手段の拡大)」「キャッシュアウト(チャージしたお金が使える場所・用途の拡大)」が大切なポイントになります。

そう言って、伊豫はまず「キャッシュアウト」の取り組みについて語り始めます。現在、メルペイにチャージしたお金を使える場所として、フリマアプリ「メルカリ」での購入、そしてオンライン・オフラインの加盟店があります。それをさらに広げていくために取り組んでいたのが、加盟店とのアライアンスを推進でした。

伊豫:これまでに三井住友カード様と非接触決済「iD」に関する取り組み、KDDI様との営業連携、ジェーシービー様とのSmart Codeへの対応。またLINE Pay様と真に利便性の高いモバイル決済サービスの提供とキャッシュレス社会の早期実現を目的とした加盟店アライアンス「モバイルペイメントアライアンス(以下、MoPA)」を立ち上げ、NTTドコモ様にもアライアンスに参画していただきました。

カンファレンス当日、このMoPAに新たにKDDI株式会社が参画することが発表され、KDDI株式会社 ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の中井武志氏が登壇。au PAYとしてMoPAに参画する意味を語りました。そんな中井氏の登壇後、伊豫はこのように続けます。

伊豫:KDDI様、LINE Pay様、NTTドコモ様、そしてメルペイ。4社が共同で営業推進を行うことで、今後各社のキャッシュアウトの場は広がり、それぞれがお客さまにとってより使いやすい決済サービスとして成長してまいります。また、それだけにとどまらず、今後は加盟店様が各社のサービスを一括してお申込みいただける仕組みも構築する予定です。これにより、加盟店様が大変効率よくキャッシュレスを導入できるという、新たな価値の提供も可能になると思います。

加盟店のほか、公共領域においてもキャッシュアウト先を追加。11月以降、「ふるさとチョイス」を通じて、ふるさと納税にメルペイが利用できるようになったほか、今後、メルカリ上での出品・販売を通じて、自治体に寄付ができる機能提供も予定しています。

伊豫:今まで、サポートしたいという気持ちはありつつもなかなか行動にうつせなかった寄付を、メルカリ・メルペイらしい方法で、もっとみなさんの身近なものへと変えていきます。

報酬やインセンティブを直接メルペイで受け取れるように

続けて、キャッシュインの取り組みについて語る伊豫。まず口にしたのは、メルペイにおけるキャッシュインの現状でした。

伊豫:現在、キャッシュレス決済のキャッシュイン手段は、銀行からのチャージなどに限られています。月々の給与を、住宅や自動車などに関する費用、学費、そしてスマホ決済などへの利用とさまざまな目的に応じ、銀行を通して都度お客さま自身に使い分けていただいている状況です。その一方で、昨今、給与のデジタルマネーでの支払いについて、各方面で議論が進められています。私たちは、給与のデジタルマネーでの支払いが実現することで、よりスマホ決済が、給与でも短期的に、そして日常生活に使われる資金の受け皿になっていくと考えています。

例えば、給与のうち日常的な利用に使う一部の資金がデジタルマネーで支払われるようになれば、都度チャージが不要。さらに、資金管理や利用履歴の確認などが容易にスマホ決済できるようになります。銀行口座が、貯蓄やローン返済などの中長期的な利用のための給与の受け皿になり続ける。そして、給与のなかでも日常で利用する一部の少額な資金については、スマホ決済が受け皿になる。そうすることで利用者の利便性は向上していく。メルペイは、そんな未来を考えています。

伊豫:デジタルマネーでの給与支払いを実現すべく、引き続き、労使団体、関係省庁の議論を見守りながら、給与・報酬をお客さまが確実に受け取り、利用できる仕組みと体制の整備をしていきたいと思っています。ただし、キャッシュイン手段の拡充として、まずは給与以外の報酬やインセンティブを直接ご利用いただけるように対応いたします。

給与以外の報酬やインセンティブを直接利用できるようにする──。その方法として伊豫が発表したのは、クラウドワークス、ビザスク、ランサーズとの連携でした。これらのサービスは個人と企業をマッチングし、仕事の受発注が行えるというもの。利用者は、それぞれのサービスにおいて報酬やインセンティブを受け取ります。

伊豫:これまでは、各サービスで受け取った報酬やインセンティブをメルペイで利用するには、一度銀行に出金し、再度チャージする必要がありました。今回の対応により、それぞれのサービスで受け取った報酬やインセンティブを直接メルペイで受け取ることが可能。チャージの手間なく、ご利用いただけるようになります。

メルカリとの連携も強化。決済情報をもとに、ワンタップで出品可能に

メルペイCPOに就く前までは、メルカリのプロダクトオーナーを務めていた伊豫。メルカリとの連携を強化し、決済を中心としたエコシステムを構築していく考えも明かしました。

メルカリは現在、年間の流通総額が約5,000億円、月間のアクティブユーザー数は1,400万人ほどの規模に成長を遂げています。また、最近ではメルカリの登場によって、今や若い世代の間では「売ることを前提に商品を購入する」といった行動が当たり前になっており、メルカリは消費行動そのものに大きな影響を与える存在となりました。

伊豫:私たちメルペイは、今や二次流通市場のデファクトスタンダードとも言えるメルカリとの連携を強化することにより、決済という一次流通の領域だけでなく、一次流通と二次流通をなめらかに行き来できるような、そんな世界をつくりたいと考えています。

一次流通と二次流通をなめらかに行き来できる。そんな世界の実現を目指し、まずメルペイのネット決済機能を今年5月にリリース。今後はメルペイを使って購入した商品の決済情報をもとに、ワンタップで簡単にメルカリに出品できるような機能を開発していきます。

伊豫:お金で買ったものをなめらかに売ることで、自身のキャッシュインにする。モノとお金の流れが変わる、これが私たちのつくる新たなエコシステムの第一歩です。

この機能は2020年初頭のリリースを予定していますが、それに先駆け、50を超えるECサイトに新規でメルペイのネット決済の導入が決定したことも発表。カンファレンス当日はメルペイ・メルカリの出品連携構想にご賛同いただき、パートナーとなっていただくANAP、CROOZ SHOPLIST、ストライプデパートメントの3社が登壇し、ネット決済を導入する理由などを語りました。

伊豫:キャッシュインとキャッシュアウトをつなぎ、お金やモノの流れをなめらかにすることで、自分の好きなことや、やりたいことをさらに実現できる世界を、メルカリとメルペイで実現していきます。

伊豫健夫(Takeo Iyo)

大学卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)、株式会社野村総合研究所を経て、2006年に株式会社リクルート入社。中長期戦略策定および次世代メディア開発など、大小問わず多数のプロジェクトを牽引したのち、2015年3月株式会社メルカリに参画。2016年8月より執行役員。US版メルカリのプロダクトマネジメントを担当後、2017年4月より国内版メルカリのプロダクト責任者を務める。2019年7月より、メルペイCPOに就任。

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