メルペイに「専任UXリサーチャー」がいる理由は?メンバー自らがチーム発足1年を振り返る

こんにちは、メルペイUXリサーチチームの草野です。

私がメルペイの専任UXリサーチャーとして2018年11月に入社し、ちょうど1年が経過しました。そもそも、IT業界ではUXリサーチをプロダクトマネージャー(以下、PM)などが兼務することも多く、専任として採用されるパターンはめずらしいほうだと言われています。そのため「UXリサーチャーって何をしているの?」と聞かれることも多いのです。

そこで今回は、メルペイのUXリサーチャーはこの1年間でどのように活動し、これからどのようなことを目指しているのかをご紹介します!

UXリサーチを「専任」で行う理由

もともとメルカリグループには、PMが中心となってカスタマーサポートに寄せられたお客さまのご意見を活かしたり、サービスの使いやすさを調べるユーザビリティテストをしたりと、お客さまのことを理解しようとする文化が根付いていました。

一方、急速にサービスや組織が成長していくなかで、誰かが兼任でリサーチ業務をすることは大きな負荷になりつつありました。特に、メルペイは決済サービスとして、さまざまな法律を理解した設計や、インフラとしての品質を高める開発が求められるため、PMは多くの視点で物事を考える必要があります。このような事情から、わりと早い段階からUXリサーチャーを採用することになりました。そして2018年6月頃から採用を開始し、11月に1人目として私が、翌年1月に2人目のリサーチャーとして松薗がジョイン。現在は2名体制となっています。

UXリサーチの専任がいることで、プロジェクトの状態に合わせて、多様なリサーチ手法を活用したり、高度な調査手法を実施したりできます。また、リソースや時間が限られているなかで、どこを削ってもいいのか、それによってどのようなデメリットがあるかといったことを考えながら調整していくことも重要です。私たちとしても、リサーチ結果が誤って受け止められたり、過大に解釈されたりしないように、十分に注意しています。

メルペイに「専任UXリサーチャー」がいるメリット

UXリサーチャーが専任でいることで、より効率的にリサーチ業務を企画、実行できるようになりました。例えば、毎週4人ずつお客さまをお呼びして、1人あたり90分ずつ調査をするウィークリーリサーチを継続して実施。インタビュー・コンセプト評価・ユーザビリティテストを行い、レポーティングしています。その結果、1年でおよそ200人のお客さまのデータが蓄積できています。ほかにも、PMやデザイナーからの調査の依頼を受けて、フィールド調査・デプスインタビュー(市場調査を行うための面談式インタビュー)・アンケート調査など幅広い調査を企画し、実施しています。

また、メルペイのUXリサーチチームには博士号を持ち、勉学的な会議などにも参加する学術に明るいリサーチャーと、4年以上現場で経験を積んできた実践に強いリサーチャーの両方がいます。さらに、メルペイにはデータアナリストやマーケティング・リサーチの専門家もいて、お互いに協力し合える文化があります。

これにより、より幅広い調査・分析手法の活用を検討できるとともに、実践においても効果的に調査ができることが大きな特徴です。メルペイは、メルカリらしさと決済サービスとしての信頼性のどちらも重要なサービスなので、リリースする前にUXリサーチを繰り返して改善し、お客さまによりよい体験をしてもらえるように努力しています。

UXリサーチャーのアウトプットは?

UXリサーチャーのアウトプットは、組織の外からは見えにくいですし、これといって決まったものがあるわけでもありません。そこで、メルペイのUXリサーチチームでは、コンテンツとサービスの2種類でアウトプットを考えるようにしています。

まず、コンテンツとしてのアウトプットは、調査と分析結果のレポートが代表的です。場合によっては、分析結果をもとにアイデアをシナリオにまとめたり、ワイヤーフレームに落とし込んだりすることもあります。データとしてしっかり残すことで依頼者が調査結果を理解しやすくなるし、過去の調査結果をいつでも・誰でも参照することもできます。

次に、サービスとしてのアウトプットは、リサーチデザインとリサーチプロセスのマネジメントなどがあります。調査の目的やかけられるコストなどを加味しながら、「何の手法をなぜ使うか」「いつ使うか」「何と組み合わせるか」「どのように共有するか」といった、総合的なリサーチデザインをします。さらに、調査結果を活用するためのワークショップをゼロからデザインして、そのファシリテーションをすることもあります。

このようにメルペイのUXリサーチチームは、単に調査をしてレポートするのではなく、調査結果を意思決定に活かしてもらうために幅広く活動するようにしています。しっかり調査や分析の結果を残せたり、その結果を活用するところまでを手厚くサポートできるのは、専任のUXリサーチャーがいるからこそかもしれません。

これからやりたい・やるべきことを実現するために

組織の誰しもがお客さま視点でものごとを考えやすくなるように、UXリサーチチームは活動してきました。そして、これからもっともっと活動を拡げていきたいと考えています。メルペイのUXリサーチャー採用ページにも書いていますが、私たちは「お客さまの豊かな体験を実現するために本質的な問いを立てられるUXリサーチャー」でありたいと考えています。そのためには、すでに立てられたOKRを達成するためのリサーチから、お客さま目線で戦略的にGo BoldなOKRを立てられるようなリサーチまで幅広くコミットしていきます。

同時に、検証から探索、ユーザビリティから戦略立案など、必要なリサーチを必要なところにタイムリーに届けられることも求められます。また、フィールドとしてもアプリだけでなく、お店やカスタマーサポートなどさまざまです。これらに対応できるチームになっていきたいと考えています。

信用を創造してなめらかな社会を実現するために、UXリサーチチームとしてやりたい・やるべきことがたくさんあるのですが、正直まだまだ手が足りていない状況です。そのため、このようなUXリサーチチームに共感してくれる方にぜひジョインしてほしいと考えていますので、ぜひよろしくお願いします!

草野孔希(メルペイUXリサーチャー)

草野孔希(Koki Kusano)

電気通信大学大学院修士課程修了後、通信事業会社の研究所に入社し、デザイン方法論の研究および研究知見を活用したコンサルティングに従事。同時に社会人博士として慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科にて博士後期課程を修了 博士(SDM学)。2018年11月にUXリサーチャーの1人目としてメルペイに入社し、UXリサーチを活用したサービスデザインに取り組む。

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