一時的に「日本人ひとり」な状況も。メルカリ内で急速にグローバル化が進んだFrontendチームの変化 #TowardAGlobalMercari

メルカリは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもと、国内外で活躍するメンバーの採用に注力してきました。そして現在、メルカリ東京オフィスでは約40カ国から集まったメンバーが勤務。特にエンジニア組織については、この1年で海外から来たメンバーの比率が約15%から約40%に増えています。

つまり、この1年で一気に組織内のグローバル化が進んだわけですが…それによって社内では何が起きていたのでしょうか?今回のメルカン特集企画「#TowardAGlobalMercari」では、開発メンバーたちのインタビューを通じて「メルカリ社内のグローバル化」を現場目線でお伝えします。

第1回目では、メルカリのグループ会社であるメルペイの「グローバル化の今」をお伝えしました。第2回は、メルカリの開発組織のなかでも、海外から来たメンバーが多いFrontendチームのエンジニアリングマネジャー橋本晃樹と、台湾から来たエンジニア・Tang PAI-PO(Paipo)にインタビュー。海外から来たメンバーが少数しかいなかったころを知る2人は、社内のグローバル化をどう感じていたのか?開発を進めていくための取り組み、現在も抱え続けている課題を語りました。

仕事中は英語、しかしランチや飲み会では日本語だった

ーお2人が入社したころのメルカリは、今よりも海外から来たメンバーが少なかったと聞きました。どのような雰囲気だったのでしょうか?

橋本:僕がメルカリへ入社したのは2016年10月。JP版メルカリで3人目のFrontendエンジニアとして入社しました。このころはおもに日本人メンバーのみで、Frontendチームにも海外から来たメンバーはいませんでしたね。そこへ、海外から来たメンバーのおそらく第一号としてPramendra Guptaさん(メルカリFrontendエンジニア)が2017年に入社。彼と密に仕事をしていたわけではないので英語を使うこともなかったのですが、このときはっきりと「今後のために英語を学んでおかなければ」と感じた記憶があります。その後、GOT(Global Operations Team、翻訳や通訳などを担当するチーム)が行っていた英会話レッスンを受講し始めました。

橋本晃樹(メルカリFrontendチーム、エンジニアリングマネージャー)

ーでは、橋本さんが本格的に英語でやりとりするようになったのは…?

橋本:Frontendチームにロシアから来たIgor Ovsiannikov(メルカリFrontendエンジニア)が入社してからです。このタイミングで、初めて英語で仕事のやりとりをしました。

Paipo:僕が入社したのは2018年7月ですが、FrontendチームにはIgorさんを含め、すでに4〜5人の海外から来たメンバーがいました。Frontendチームでは、橋本さんが英語を話せたので、ちょっと幸運だなと思いましたね。

橋本:そうそう、僕はPaipoさんの入社時のメンターもやっていたのですが、当時は今より英語に自信がなくて…緊張していたんですよね。それまでに、Igorさんと一緒に仕事をしていたこともあり、日常会話レベルの英語はできるようになっていました。しかし、今だから言えるけど、あのときはまだ英語での会話に追いつけないもどかしさがあったんです。今でも、英語で開発における細かな指示や説明は難しくて…奮闘中です…。

Paipo:本当に?(笑)。これまで何度もやりとりしていましたが、橋本さんの英語はかなり上手ですよ!

Tang PAI-PO(メルカリFrontendチーム)

橋本:あ、ありがとう(笑)。

Paipo:僕は3年ほど日本で働いているのですが、前職までは英語でのやりとりが中心だったので、メルカリ入社当時は日本語をあまり話せなかったんです。メルカリは、仕事では英語のやりとりができるので問題なかったのですが、ランチや飲み会になるとやはり日本語中心になることも多かったですね。

ー疎外感があった…?

橋本:Paipoさんたちにとって、そう感じる場面はあったと思います。僕自身も、今思い返してみると、PaipoさんやIgorさんなどの海外から来たメンバーたちに気を遣われていたかもしれないです。Frontendチームはみんな思いやりのあるメンバーなので、1on1などを細かく行い、時間をかけてお互いを理解していきました。

Paipo:確かに、めちゃくちゃ話し合ってきた気がする(笑)。

「気がつくと日本人は自分ひとり」になったメルカリの取引画面開発

ーそして2018年後半から2019年初めにかけて、メルカリグループ全体で海外採用を強化したこともあり、日本人以外のメンバーが急速に増えていきました。特に、Frontendチームに海外から来たメンバーがぐっと増えたタイミングだったかと思うのですが?

橋本:Frontendチームにはすでに海外から来たメンバーも多かったので、日本人以外のメンバーが多くアサインされていました。なので、急激に増えたことに関してはそれほど大きな問題ではなかったです。ただ、当時Frontendチームがおもに担当していた取引画面開発で、気がつくと日本人メンバーが僕しかいない状況になったのは焦りましたけど(笑)。

ーえっ!

橋本:いやもう、本当に。

Paipo:一時的に、そんなこともありましたね。今は各チームにバランスよくいろいろな国籍のメンバーが集まるチームになっていますけれど。さまざまな国籍のメンバーが多いということは、視点も考え方も多いということ。なので、同じ問題に向き合っていても、常に異なるアプローチが話し合っているんです。

橋本:僕らとしても、意図的にそういったメンバーを集めていたわけではないですが、結果的に多角的な視点や考え方を学べる環境になりました。

ー同時に、意見が衝突しやすい気もします。

Paipo:それはありますね。だからこそ、会議などでも話し合いに時間がかかりやすい。それに、感情的になりすぎた発言をされたときは、正直に「今の言い方はよくない」と伝えるようにもしています。オープンな姿勢で話し合えているので、意見は対立していても、みんなの仲は良いですね。

ーそこではやはり、英語でのやりとりが中心になっているのでしょうか?

橋本:GitHubは完全に英語のみです。会話は、Paipoさんが入社したときは一部のみ日本語でやりとりしていましたが、今はすべて英語になっていますね。

外国人比率が高いチーム、だからこそ見えてきた課題

橋本:Frontendチームでは、基本的なやりとりが英語なので、日本語しか話せないメンバーが入社したときのハードルが高い問題もあります。あと、以前のメルカリでは四半期ごとにメンバーを入れ替えながら開発を行っていました。そのため、チームとしての成長が難しい環境でもあったんです。今はメンバーがほぼ固定されるようになったので、コミュニケーションも仕事もスムーズになってきました。

ー確かに、Frontendチーム内でコミュニケーションできていたとしても、他のチームも同じようにできるかというと、そうではなかったです。

橋本:そうです。以前、Web版メルカリのSMS認証開発を担当していたとき、Paipoさんと他チームのメンバー間ですれ違いがありました。…Paipoさん、覚えてる?

Paipo:覚えてます。当時はGitHubでも日本語のやりとりがあったのですが、僕が誤って解釈し、一部の開発を進めてしまったのです。それを見た他チームのエンジニアから、強めにフィードバックされました。もちろん、そのエンジニアが指摘したかったことは今だとわかります。けれど、当時のやりとりは、日本人以外のメンバーと働く企業としてよくない事故ですよね。

橋本:今はもう、先ほど話したようにGitHub上では基本的に英語でのやりとりに切り替わったので問題ないと思います。でも、つい最近Paipoさんが担当した自動車カテゴリーのプロジェクトも、おもに日本語でのコミュニケーションでしたよね?

Paipo:ところどころでGOTメンバーに助けてもらっていました。でも、周りのメンバーが英語のドキュメントを事前に用意してくれたり、あらかじめGOTに翻訳や通訳を依頼してくれるようになったりして、どんどん環境がよくなっていきました。

橋本:それは僕も感じていました。最終的には、PaipoさんがLET(Language Education Team)のサポートで日本語の勉強をスタート。それを活かして、日本語でのコミュニケーションに挑戦し始めたこともあり、双方でやりとりができるようになったんです。

Paipo:そうそう。おかげで、GOTの協力は、今はもうそれほど必要ないかなと思っています。

メルカリ内のグローバル化をさらに進めるなら…?

ーGitHubの完全英語化など、社内のグローバル化が進められているところです。だからこそお2人が今のメルカリに必要だと感じていることはありますか?

橋本:正直に感じていることを話すと、「英語を話せるメンバーがいないから」を理由に、希望のチームにアサインできない状況をなんとかできないかと考えているんです。とは言え、業務上どうしても日本語話者じゃないと対応できないところもあるので、すべてに適応するのは難しいかもしれないのですが。でも、僕はできるかぎり、国籍関係なくみんなが希望するチームへアサインされ、受け入れられる環境をつくる必要があると思っています。

Paipo:グローバルを目指すなら、採用時に英語スキルを必須にするなどの手段がありますよね。僕らのチームでは英語必須。なので、英語でのスキルテストも実施しています。もちろん「英語を話せなければ雇えない」と決めてしまうのは少し違うんですけれど。

橋本:どちらかと言うと、Frontendチームでは「英語で話す」よりも「英語の読み書きで意思疎通できるかどうか」が重要だと思っています。英語を完璧にできないとダメというわけではないです。メルカリには英語学習サポートがあるので、入社後に学ぶことも可能。僕の場合は、英語を話さないと他のメンバーとやりとりできなかったので、強制的に学んだところもありましたけど(笑)。

Paipo:僕の前職では、日本人メンバーには特定のTOEICスコアが必須で、僕らは日本語を話さなければならないシーンはほとんどなかったですね。メルカリでは日本語と英語両方の言語サポートがありますが、これ、けっこういいなと思っているんです。さまざまな国籍を持つメンバーが意見を出し合うとき、両言語で話し合えたほうが、お互いの真ん中にあるアイデアをうまく引き出せる気がしています。このやりとりを、できるだけ続けていきたいですね。

橋本晃樹(Koki Hashimoto)

2013年よりIIJでAndroidエンジニア、Frontendエンジニアを経験後、2016年10月にメルカリへ入社。入社後はカスタマーサポートチームが使う管理画面やWeb版メルカリ、取引画面など、Frontend領域を幅広く担当。2019年4月よりエンジニアリングマネージャーを担当。

Tang PAI-PO

台湾出身。メルカリのFrontendエンジニア。関数型プログラミング、コンパイラ型言語、ブラウザなどに関心が高い。現在はFrontendエンジニアとして、フリマアプリ「メルカリ」の出品取引ページのりアーキテクチャに取り組んでいる。

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海外からの移住するメンバー向けのサポートプログラム「Employee Support Program」を公開(現在は英語のみ)。メルカリグループはこれからも、多種多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境づくりに注力します!

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