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「異動」はスキル強化につながったのか?メルカリのコーポレート部門内を異動したメンバーと考えてみた

2019年4月、VP of Corporateに就任した横田淳が掲げたキーワードの1つに「韮型人材」がありました。

韮型人材とは、縦にも横にも強いスキルを持つ人材のこと。専門分野でのプロフェッショナルを深めるだけでなく、他分野での仕事を経験することが組織力の強化につながっていく、と考えているのです。そんな韮型人材を増やすべく、メルカリグループのコーポレート部門では今年から「人事ローテーション(部門内異動)」をスタートさせています。

しかし、メルカリグループのコーポレート部門では韮人材育成のための人事ローテーション開始以前から、部門内での異動が活発に行われてきました。そんな異動を経験し、すでに「韮人材」となりつつあるメンバーたちは、本当に手応えを感じているのでしょうか?メルペイ経理チームの鍵原季宏、メルカリ経営戦略室の長利一心、メルカリGovernanceチームの伊田愛久美に話を聞きました。

コーポレート部門の3人が異動を受け入れたワケ

ー「韮人材」と名前が付く前から、メルカリのコーポレート部門での異動は活発に行われていました。ここにいるみなさんは入社後に部門内異動を経験していますが、何がきっかけだったのでしょうか?

伊田:私は、前職も含めると5年ほど法務の仕事を経験していたので、そろそろ別の仕事にもチャレンジしてみたいと思っていました。それに加えて、現在担当している業務領域はIRや経理と関わることが多く、そこではなかなか担当チームが話している内容を深く理解するのは難しく…。「もっと積極的に提案できるようになるためには、担当チームのそばで仕事をして、彼らをきちんと理解したい」と思っていたときに、ちょうど再編中だったGovernanceチームから誘ってもらえたので異動しました。

伊田愛久美(メルカリGovernanceチーム)

長利:自分の場合は少し複雑で…。希望して異動したパターンと、組織が変わったパターンの2つがあるんですよね。

ー2つ?

長利:はい。もともと、自分はメルカリのFinanceチームのマネージャーとして採用されました。しかし、入社して数カ月経ったタイミングで、メルカリグループでリスク・コンプライアンス・ガバナンス機能を強化するフェーズに入ったんです。そこで、新たにチームを組成するため、人材の採用も含めて、リスク・コンプライアンス・ガバナンスチーム立ち上げのために異動することになりました。その後、人も増えて組織体制が整ってきたタイミングで、Governanceチームだけを切り分けることになり、その後は会長室所属へ異動。現在は名前が変わり、経営戦略室所属となっています。

鍵原:僕は完全に欠員補充での異動でしたね(笑)。メルカリに入社し、Accounting/Taxチームにジョインしてから1カ月経ったタイミングで、メルペイコネクトの経理担当が急遽必要になって。当時、僕のマネージャーだった小桐さんに突然呼び出され「コネクトの経理やらない?」と言われて、「はい」と答えたらメルペイコネクトの経理を兼務することになったんです。

鍵原季宏(メルペイ経理チーム)

ー突然の提案だったと思うのですが、鍵原さんは「OK」と即答したんですね?

鍵原:前職は大企業だったので、規模の小さい会社も担当してみたいと思っていました。なので、メルペイコネクトへの異動は、個人的には良い機会だったんです。そして、メルペイコネクトが吸収合併された後、そのままメルペイ経理チームに入り、今に至ります。メルペイ経理チームへは、「未整備な環境へ放り込まれるのはいい経験になりそう」が理由で異動したことになりますね。

ー鍵原さんもそうですが、長利さんにとって「Financeチーム→リスク・コンプライアンス・ガバナンスチーム」への異動も突然だったと思うのですが?

長利:「びっくりした」が正直な感想ですよね(笑)。それも、当時は人がいないなか、新しく部署をつくる必要があったので、「未経験だったけど引き受けるしかない」といった心境もありました。

ーなかなかの…。

長利:そうそう(笑)。ただ、Governanceチームから会長室への異動は、個人的な希望を叶えてもらった部分が強いです。このときは、「コーポレートで引き続き幅広く管掌するか」「会長室を強くするか」、2つの選択肢を提示されたんです。どちらも同じ業務量であれば、当時メルカリ会長だった進太郎さん(現メルカリ代表取締役CEO)になるべく近いポジションで仕事をしたい。そして、仕事に対する目線も変えたいと思っていたので、会長室を希望しました。

長利一心(メルカリ経営戦略室)

鍵原:その話を聞いて思い出したんですけど、僕はメルペイコネクトでの仕事が終わったら、メルカリに戻る予定でした。でも、メルペイコネクトがメルペイに吸収合併された後、メンバーから「本当にメルカリへ戻るの?」と聞かれて、「僕は、小さな組織でしたかったんだ」と、ハッとしたんです。であれば、メルカリよりメルペイのほうがいいと思って、ポジティブな気持ちで「メルペイへ異動したいです」と伝えました。

異動先での仕事のギャップをどう乗り越えたか?

ー違うチームに異動してギャップを感じることはありましたか?何と言いますか、業務のキャッチアップも大変そうなイメージがありますけれど。

伊田:慣れるまでに一番時間がかかったのは、Service LegalからCorporate Legalへ異動したときです。Service Legalは、事業側のメンバーから話を聞き、法務的な視点から事業を成長させる戦略を考えるのが仕事。しかし、Corporate Legalは、証券会社の方と一緒に電話会議して資料作成したり、メルカリグループの経営メンバーの日程をおさえたり、東証の方と開示文面を調整したり。要するに、同じリーガルでも業務内容はまったく違う。最初こそ、どうやって経営メンバーと連絡をとればいいのか、そもそも私からDMしていいのかすらわかりませんでした。

長利:僕もギャップはありましたね。特に、メルカリFinanceチームから、リスク・コンプライアンス・ガバナンスチームに異動したタイミングのギャップが最も大きかったです。今までの仕事は、管理会計や経営企画など「攻め」と「数字」を意識するもの。そこからいきなり「守り」と「規律」を意識しなければいけない仕事に切り替わったわけです。ただ、僕が学んで考えて提案したものに対して、フィードバックをくれる人たちがいたので、個人的にはとても良い成長の機会にもなりました。リスク・コンプライアンス・ガバナンスチームで初めてリスク管理をし、Governanceチームで初めて権限規程をつくるなど、挑戦尽くしでした。でも、きちんと立ち上げられたのはよかったです。

ー鍵原さんはどうでしたか?

鍵原:前職では、決算的には最終工程である連結決算の仕事をしていたので、メルペイコネクトでの経理は「久しぶりに経理の仕事だ!」という思いでやっていました。予実管理をやったり、役員会議の資料をつくったり、フル回転でやらなければいけない仕事も多かったのですが、懐かしい部分が多くて。それを入社から2カ月目でいきなり裁量を持って取り組めたのは、大変でしたが面白かったです。

ーメルペイの経理チームに異動してからは?

鍵原:メルペイへ異動してからは、経理メンバー2〜3人とともに通常業務をしながら、他チームと連携して社内会計システムの開発に携わっています。全部自分たちで調べて、答えを見つけて、新しいサービスを始めることになったら要件定義して、エンジニアと一緒につくっていく。そういった仕事は今までやったことがなく、これまでやってきた業務とのギャップもあって大変でした。金融事業のこともわからなかったですし、マイクロサービス化された金融事業の上にある会計システムは世界初だと思っているので(笑)。

異動先の仕事に慣れたのは、だいたい半年後

ー実際に、異動後の業務に慣れてきたと感じるようになったのはいつ頃でしたか?

伊田:昨年4月にCorporate Legalチームへ異動しましたが、12月くらいまでは慣れなかったですね。コーポレート系は調整業務が多いのですが、当時は社内の関係者が全然わからなくて、本当に手探りで。

鍵原:僕は5カ月くらいかかりましたね。メルペイコネクトは1カ月くらいで慣れたのですが、メルペイはそれくらいの期間を経て、ようやく会計システムを自分1人で回せるようになりました。

ー慣れていないからこそ、特に意識していたことなどはあったんですか?

鍵原:意識していたのは仕様への理解、そして「誰に相談すべきか」ですね。仕事の進め方自体は経理業務と似ていたので、IT的な部分への理解をどうするかが肝でした。それさえわかれば、誰とでも会話できましたね。

伊田:私の場合は、プロジェクトベースで関わった人の把握です。例えば、メルペイの会社分割のとき、メルペイメンバーや経理に関係するメンバーを把握するほか、株主総会での株式事務を担当する方々とのコミュニケーションを強化したりしていました。

長利:自分の場合は…改めて異動の経緯を紐解いてみると、2018年8月半ばに小泉さん(現メルカリ会長)と長澤さん(メルカリ執行役員CFO)との2on1があり、異動が決定。そこから社内各所との案件対応や部署立ち上げに関わるMTGが続きました。9月上旬には1回目のリスク・コンプライアンス委員会が行われて、そこで1つのルーティンができあがった気がします。それ以降は人も増えて、9月中には個別案件の対応から少しずつルーティンの対応に寄せて…。結局、ルーティンワークの構築に本腰入れたのは10月半ばで、仕事がひと段落したのは年内。なので、3〜4カ月くらいはかかりました。

ーだいたい半年くらいはかかるものなんですね。

長利:ですね。自分はチーム立ち上げのための異動だったので、仕事の進め方も、オンボーディングされてから慣れる感じではなかったです。自分でその時々のタイミングで何をすべきか、何が必要か考えて提案して進めていく。そんな感覚が強かったですね。

「韮人材」は大事。でも、組織は韮人材に頼り過ぎてはいけない

ー実際、社内で異動が活発に起きることのメリットはどう感じていますか?

鍵原:キャリアパスが広がると、社内の人材ハブになれる気がします。例えば、ホールディングスの人がメルペイの事業の細かい部分を知りたいときは直で聞こうとすると、ちょっと遠い。そこに1人ハブになれる人が入るとやりやすくなると思います。

長利:それはありますよね。あとは、文脈を読みやすくなるように感じています。まったく相手の部署のことを理解しないままでのコミュニケーションでは、やはり上っ面だけの理解になってしまう。しかし、違う部署を経験して文脈を理解したうえで話を聞くのと、やはりコミュニケーションの内容は大きく変わりますね。

伊田:Governanceチームは社内全体の情報をとりまとめて、取締役会に伝える役割があります。そうすると、他部署を経験したことで情報を集めやすかったり、関係者との距離が近かったりして深い質問ができる。個人的にも、会社的にも業務効率が上がると思います。

ーこういった環境は、どういう人が向いていると思いますか?

鍵原:飽き性な人ですかね。僕は飽き性で、すぐ別のものに手を出したくなるタイプで(笑)。経理は二分化していて、僕みたいなタイプか、ずっと同じルーティンでやりたいタイプの人がいると思うんです。その点において僕はコネクトにいったり、メルペイへ異動したりして、飽きなくて楽しいですね。逆に、キャリアを積むために、打算的に異動したいと思うと辛いかもしれない。

長利:あと、「これは前任者がすでに進めていたとおりにやろう」という連続性を大事にしすぎるタイプは、向いていないかもしれません。異動した先では、すべて自分でやれる自由度があります。そこで、前任者の下流工程だけやろうとすると、「すでに決まった話」で辛い思いをすることもあったりするんです。連続性だけを大事にしすぎると持たないので、ゼロから築きあげるのが得意な人はいいかもしれないですね。

鍵原:それで言うと僕、今までは経理の仕事に対して、資格を持っていなければいけないのではないか、と変なコンプレックスがあったんです。しかし、経理の実務を経験したら、もう何が来ても大丈夫だと思うようになりました。「会社の経理をまわして」と言われたら、「わかりました」と言える。メルペイコネクト、メルペイの仕事を経て、すごく自信がついた気がしています。

伊田:先ほどお話ししたように、異動によって関係者との距離が近くなりました。そういう意味では、私は異動を経験したことで仲間が増えました。仲間を自分で集めてプロジェクトを進めたり、法務以外のコーポレート業務の知見があったりする方ではないので、いろんな部署に行くと仲間を集めるのが得意な人とか、違う分野に強い人と仲良くなれる。個人的には有り難かったです。

─長利さんはどうですか?

長利:うーん、これを言うと元も子もないんですけど…。今、メルカリグループのコーポレート部門では、他分野での仕事を経験することが組織力の強化につなげる「韮人材」の育成に力を入れようとしていますよね?僕、その「韮人材」という言葉があまり好きではなくて(笑)。連携が必要だったりするところを整備しながら、目の前に全力投球できるようにする。それが組織の力を最大限発揮するために必要であり、その環境整備をするのが僕らマネジメントの仕事だし、経営陣の役割だと思っています。それを疎かにして、韮人材にすべて頼るような文脈で、この言葉を使うのはマネジメント、経営の怠慢だと思います。

ー「韮人材の育成も大事だけれど…?」ということですか?

長利:そうです。もちろん、異動によって他スキルとの掛け合わせができることは、個人としても組織としても、強みになることは間違いありません。だからこそ、韮人材を育成しながらも、それだけに頼らない組織体制やメカニズムも同時につくっていかなければならないと思っています。

長利一心(Kazushi Osari)

京都大学大学院航空宇宙工学専攻修了、戦略コンサルのベイン・アンド・カンパニー マネージャー、株式会社セガゲームス社長室長を経て、2018年3月メルカリ参画。ファイナンスIRグループ、リスク・コンプライアンスグループ、ガバナンスチームのコーポレート各所でメカニズム化やプロジェクトを推進したのち、2019年7月より経営戦略室(元会長室)ディレクター。

伊田愛久美(Megumi Ida)

同志社大学、神戸大学法科大学院卒業。司法修習修了後、2015年4月にサイボウズ株式会社法務統制部へ入社し、契約審査や個人情報保護対応、内部統制業務等に従事。2019年1月にメルカリLegalチームに入社。メルチャリの立ち上げやIPO、組織再編等を担当した後、現在はGovernanceチームに所属して株式報酬制度の設計・運用や適時開示業務などを担当。

鍵原季宏(Toshihiro Kagihara)

慶應義塾大学環境情報学部卒業、日鉄ソリューションズへ入社。事業部管理部門の後、財務部で単体/連結決算・開示・子会社の管理に従事。2019年2月にメルカリAccounting/Taxチームに参画。メルカリとメルペイコネクトの経理を経て、現在はメルペイに所属し、経理をしつつ会計システムや金融サービスの設計に従事している。趣味はクラヴマガ。

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