2ヶ月かけて新卒エンジニアのスキル向上を目指す、メルカリ技術研修「DevDojo」のすべて

こんにちは、メルカリ新卒エンジニアの育成サポートをしているEngineering Office Teamのyuki.tです。

メルカリでは、毎年4月と10月の年2回、新卒メンバーが入社します。10月に入社するメンバーは、海外の学校を卒業した外国籍メンバーが大半です。

入社時には毎回、入社する新卒メンバーのスキルやバックグラウンド、配属先チームからのニーズに合わせて研修をアレンジ。必要なスキルを研修によって補うことで、配属後いち早くチームで活躍できるようにサポートしています。なかでも、メルカリには新卒エンジニアたちそれぞれのスキルや経験に合わせた技術スキル向上と、配属先チームの受け入れ負荷を軽減することを目的とした技術研修「DevDojo」があります。

そこで今回のメルカンでは、2019年10月に入社した新卒エンジニアたちを対象に2ヶ月間かけて実施したDevDojoの全貌をご紹介します!

まずは新卒エンジニアのスキル・経験を整理し、研修を設計

今回の研修を設計するにあたり、まずは対象となる新卒エンジニアたちに共通するスキルや経験を整理しました。

(例)
・ 基礎的なコンピュータサイエンスの知識がある
・ 知識はあるが、プロジェクト開発などの実務経験は少ないメンバーが多い
・ ほとんどのメンバーが日本の会社で働くことが初めて

整理してみたところ、上記に加えて、「チーム・組織での開発経験が少ない」という共通課題がありました。そのため、今回は、下記のような構成でトレーニングを行うことにしたのです。

はじめにFundamental Training(基礎トレーニング)として、開発に必要なツール・アーキテクチャの知識に関する研修を講義とハンズオン形式で実施。研修後半はチームを組み、実際に開発してもらいます。

そして、研修期間中は、メンターによる定期的な1on1で新卒エンジニアたちをサポート。メンターには、Engineering Office Teamをはじめ、社内のエンジニアに協力してもらいました。1on1では、メンバー一人ひとりが目指す将来像に合わせて、どんなスキル(技術スキル・ソフトスキル)が必要なのか?どのようにスキルを高めるか?を、メンターも一緒に考えてアドバイスします。

また、各講義ごとにメンバーにサーベイを行い、研修に関する満足度と、理解度を確認しました。これにより講義の改善だけでなく、理解度に応じたフォローアップを考えることができます。

そして、2ヶ月間かけて実施するコンテンツが決定!

具体的な研修コンテンツは、コーディングブートキャンプを提供するCode Chrysalisによるご協力のもと、研修の全体設計から一緒に考えて運営しました。新卒エンジニアの「チーム・組織での開発経験が少ない」という課題に対して、チームコミュニケーションを重視した研修を実施できることが、Code Chrysalisにご協力いただいたおもな理由です。

そして、トレーニングはこちらのスケジュールで実施しました。

・ Week1-2:Fundamental training(by Code Chrysalis)
・ Week3-4:Mercari Tech training
・ Week5-6:Project Training(by Code Chrysalis)

各コンテンツの内容はこちらです。

Week1-2:Fundamental training(by Code Chrysalis)

エンジニアとして必要な知識と、コミュニケーションにフォーカスした研修です。後半のチーム開発で使用する言語を「Go」と決め、このタイミングで「Go」の基礎学習も行いました。

また、講義のあいだにLightning Talkやマシュマロ・タワーなどのアクティビティを行い、自信を持って発信することや、アジャイルによる改善サイクルを体感するなど、座学だけでなく実際に体感できる内容になっています。

・ Pair Programming
・ TDD (Go)
・ How to Give Code Reviews
・ REST
・ Databases
・ Giving Feedback Lecture
・ Securing Endpoints
・ Product Management for Engineers

Week3-4:Mercari Tech training

メルカリで使われている技術スタックを理解し、さらにメンバー自身の技術領域を広げるため、メルカリ開発組織の各チームにそれぞれ研修コンテンツを作成・実施してもらいました。この研修は4月の新卒研修と同じ内容です。詳細はこちらのブログで紹介しています。

また、今回は全員で参加する研修だけでなく、研修期間中に自習できる仕組みも用意。それが「Ramp-up training」です。UdemyCourseraから、プラットフォーム毎の必要スキルが学べる講座を選定してリストをつくり、リストの中から各自のペースで講座を受けられるようにしました。もちろんリストにない講座も、メンバーが希望したものがあればできるようにもしています。

Week5-6:Project Training(by Code Chrysalis)

メルカリの開発プロセスや考え方を学び、配属後スムーズに業務を開始できることが目的の研修です。

まずメンバー同士でチームをつくり、プロジェクトのアイデアを考え、MVP(Minimum Viable Product)を作成。そしてMVP作成後、プロジェクトとチームを入れ替えて機能開発を引き継ぎます。これにより、メルカリの開発組織でも行われているような、リリース済みのプロダクト開発に途中からアサインされることを疑似体験できるようになっています。

研修を受けた新卒エンジニアの感想は?

そして最終日は、各チームがプロジェクトについて発表し、課題に対してどのように思考し、チャレンジしたかを伝えられる場を設けました。

研修後、新卒エンジニアからはこういった感想がありました。

The contents were good in the sense that they will be really helpful in my journey as an engineer. Pair programming was the best part. Most of the non-technical stuff like the “giving feedback” session, and standups (so as to improve stage courage and presence) were really appreciable. The product management session was also quite good.
(エンジニアとしてキャリアを積むうえで、とても役立つ研修内容でした。ペアプログラミングが特に良い内容でした。また 「フィードバックを与える」セッションや皆の前で発表をする力がつくスタンドアップのようなSoft Skillsの講義はとても勉強になりました。)
By Abhijeet Bhure
The group projects (Greenfield) helped us to implement a few techniques that we learned during the lectures. In this kind of training, lectures are never enough to learn about the technical stack, so working on a group project was a great idea.
(グループプロジェクトは、講義中に学んだ技術を実装するために役に立ちました。こういったトレーニングでは、講義だけでは技術スタックを学ぶことができないため、グループプロジェクトに取り組むことは素晴らしいアイデアだったと思います。)
By Sahil Khokhar

一方で、技術的な研修をより多く受けたかったという感想も多くありました。今回は新卒エンジニアのスキル・経験と配属先チームのニーズを参考に修を設計し実施しましたが、例えば技術的な研修の比率を増やすなど、より状況に合った研修をアレンジしていきたいと考えています。そのために、研修後も新卒エンジニアの配属先チームに対してヒアリングを行い、今後どのような研修コンテンツが必要であるかを相談していく予定です。

DevDojoを終えて、感じたこと

約2ヶ月の研修期間でしたが、新卒エンジニアたちは学ぶことへ対する強い意欲があり、高いモチベーションで研修に挑んでくれました。研修の内容をとても素直に吸収していた印象があります。

この素直さをもったまま伸び続けていき、将来メルカリを支える柱になってほしいと願っています。

For new-grads
Although it was a long training period of about 2 months, the new-grad members have a strong desire to learn and I think that they attended the training with high motivation.
I have the impression that the contents of the training were assimilated very well. I hope that our new-grads will continue to grow and become a pillar supporting Mercari in the future.

新卒研修は、現場エンジニアのほか、さまざまな方の協力により、実施しています。当然ながら、協力してくれたメンバーはみな忙しく、研修を行うことも簡単ではありませんでした。しかし、エンジニアが成長できる環境をつくることは、強い開発組織になるために必要だと思っています。そして開発組織が強くなることが、素晴らしいプロダクトを提供するための要素の一つだと信じて、これからも模索していきたいです。

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