【組織拡大のウラ側】メルペイがスタートさせたEM新体制とは

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エンジニアリング組織の課題解決、そして組織成果最大化を役割とするエンジニアリングマネージャー(以下EM)。メルペイでは、2018年6月より本格的にEM体制をスタートさせました。

そこで今回のメルカンでは、新EMとなった日高正博(@mhidaka)と石川直樹(@jarinosuke)に、組織づくりに関わるHRの松尾彰大がじっくりとインタビュー。エモいけど、エモくて何が悪いーー彼らが目指す、実現させるべきメルペイの開発組織とは?

松尾彰大(Akihiro Matsuo)※写真左
エン・ジャパンに新卒入社後、「CAREER HACK」の立ち上げ/チーフエディターを経て、2016年3月にメルカリにHRメンバーとしてジョイン。2018年からはメルペイのHRとして採用やブランディングに従事。週末は競馬しかやっていないらしい。


日高正博(Masahiro Hidaka)※写真中央
2017年2月にメルカリに入社。ソウゾウにてアッテやメゾンズのソフトウェアエンジニアリングに携わり、2018年4月にメルペイへジョイン。現在はAndroidのエキスパート職、及びEMを務める。 日々の振り返り用として「EM日記」をつけているマメさの持ち主。


石川直樹(Naoki Ishikawa)※写真右
ヤフー株式会社、株式会社イグニスを経て、2016年5月にiOSソフトウェアエンジニアとしてメルカリに入社。メルカリJP/USアプリの開発に携わった後、2018年1月にメルペイへ。現在はiOSチームのEMを務める。趣味はスティーブン・キングの小説をメルカリで購入し、積読すること。

スタートしたEM体制。そこでまさかの…

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ーいきなりですが日高さん、メルペイの全社定例で「6ヶ月でEM辞めます」宣言しましたよね? 私は笑いながら拍手喝采した記憶があります。

日高:そうですね(笑)。自分はもともと、業務時間の半分を社外コミュニティへの貢献に当てるエキスパートチームの専任でした。割と自由に仕事をしていたこともあり、EMのオファーを受けた時に条件を出したんです。「今のAndroidエキスパート職を辞める気はない。二足のわらじとしてなら、EMをやります」と。

その分馬力が出づらくなるのはわかっていたのですが、それを言い訳にもしたくなかったため、6ヶ月と期限を決め最高のパフォーマンスを出していこうと決意しました。自分がエキスパートチームに戻った後もみんなが安心して仕事ができるように、まさに今EMとしてあがいているところです。

ーいきなりの展開でしたが、改めてお二人のEMとなった経緯を教えてください。メルペイはEM体制をスタートさせたばかりですよね。

石川:以前から仮想通貨などお金周りに興味があったこともあり、自分からCTOの曾川(景介)に話を持ちかけ、2018年1月にメルカリからメルペイにジョインしました。

当時マネジメントはBackend EMの新井啓太(@cocoiti)だったのですが、「マネージャーはやらなくてもいいから、技術評価だけ手伝ってほしい」と頼まれたことがきっかけとなり、EMになりました。

日高:実は、私も同じように頼まれました…。これはもしやフット・イン・ザ・ドア(相手から同意を得やすくする交渉術)なのでは(笑)。

人が増え続ける組織での、EMとしての役割とは

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ーEMとして四半期たった今、課題感はどうですか? 解決へのアプローチ方法も知りたいです。

石川:2018年1月の時点ではiOSエンジニアが3人しかいなかったのですが、今は8人にまで増えたんです。Androidも同じくらいですかね。人が急激に増えているので、環境をどう整えていくかが課題です。

事業のフェーズとしてもやることが常に変わる可能性があるので、エンジニア目線を忘れないよう心掛けています。仕様や目指すゴールなどを明確にし、複雑性を減らしていきたい。各個人がアウトプットを簡単に出せる仕組みを作れば、会社としてもうまくいくし、みんなのキャリアの可能性も広がるのかなと。

日高:意思決定を早くすることが課題ですね。メルペイは金融事業としては後発なので、追いつくためにはスピードを上げる必要があります。一方で、後発は後発としての利点があるので、それを上手く活かして加速していくことも可能だと思っています。

ーエンジニアリング組織を作る上で、マイクロサービス化に伴って生まれているテックリードという存在をどうお考えですか?

日高:まずマネージャーの話からすると、悪く言えばそのポジションに生産性はないと思っています。生産するのはエンジニアリングに関わる人で、あくまで個人のエンパワーメントが大事。そういった意味で、「テックリードになってやるぞ」というマインドの人が出てきやすい組織にしていきたいです。

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エンジニアリングに関わる人全員にとって働きやすい環境を作ることが、EMの役割。テックリードが増えることは事業拡大にも繋がりますし、そんな土壌ができたら、僕は胸を張ってEMの役割を終えられます!

拡大する組織において、やることはなくならない

ー声を上げやすい空気感ができ、EMが声を拾う。そうやって改善していけるのが理想ですよね。実際に要望などは出てきていますか?

石川:例えばiMac Proをクライアントサイドに導入したり、書籍サービス「Safari Books Online」を導入したりといったところですね。

iMac Proの導入については、メルカリUSで試しに1台導入してみたところ開発スピードが3倍速くなったという話を耳にして。もともと導入しやすい制度はグループ全体にあったので「じゃあ買っていいよね?」っていう。導入まではトントン拍子でした。

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日高:オフィス環境でいうと、「もう少し広い机がいい」といった意見も出てきていますね。人が増え続けるなか、スペース的な問題もあり難しいとわかっていますが、改善のアプローチを続けていきたいです。拡大する組織において、やることはなくならないと思っています。

ーメンバーのモチベーションってどうやってみているんですか?

石川:例えば、急な異動となると納得できない人も多いでしょうね。受け取り方には個人差が大いにあるので、全員としっかり話し合うなどフォローアップを徹底していきたいです。

日高:CPOやCTO、VPoEの情報発信の仕方も大事ですよね。受け取る情報の解釈は人それぞれなので、きちんとフォローすることがEMである我々の役目です。納得感のない決定をできる限り避けられる体制を生み出したいです。

エンジニアリングに関わる人々の声を大切にしたいんです。情報の透明性を保ち、非対称性を最小にしていくのもEMの役割だと思っています。

ーちなみにメルカリ時代、「EMがいることで物事が進みやすくなった」といった体験はありましたか?

石川:そうですね、なかでもはっきりと「成長できた」と感じたのは面接の場面です。当時面接官を増やしていたなかで、評価のズレが顕在化し始めていました。そこを標準化するために、当時のEM・多賀谷洋一(@yoichitgy)が同席し、各自に適切なフィードバックをしてくれたんです。その経験が今でも役立っています。

あとは、iOSエンジニアが対外的に目立つようになったことですかね。多賀谷がEMとして積極的に情報を出していくことで、組織の透明性が増していきました。

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ーだからこそ、その成功ストーリーを自らメルペイにも落とし込もうと…!

石川:そうか…がんばらないと。プレッシャーですね……そうか………。

キャリアとしても「レア」なEM

ーそろそろ本音タイムといきますか。EM、ぶっちゃけどうですか?

日高:先程も話に出ましたが、私は6ヶ月でEMを辞めるので、自分がまたエンジニアとして戻りやすい環境にしておきたいですね。自分が作った制度でおいしい思いをするために頑張る…というか。 

だから、やり切ればいいという意味ではモチベーションは高いのですが、他のマネージャーたちのモチベーションが気になりますよね。今まで培ってきた技術的なスキルがそのまま活きる役割ではないわけですし。

石川:マネージャーって、やはり技術的な業務が減ってくる分、スキルの切り売りになってくると思います。だからこそ「ずっと続けてはいけないよね」って意識はあります。

メルカリ/メルペイでは、マネジメントを昇進や昇格としてではなく1つの役割であると明確にしています。また、僕自身もあくまで「技術者」としてあり続けたい気持ちもあるので、「マネジメントと技術職を行ったり来たりするロールモデル」となって、もっと気軽にマネージャー業をやってみようと思える風土作りに貢献したいです。

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ただ、業界的にEMというポジションはレアだと認識していて、キャリア面からするとポジティブに働く点は大きいと思います。

その背景としてあるのが、エンジニアの間でよく話される「誰が私たちを評価するのか」という問題です。マネージャーがエンジニア出身ではないケースも多く、クライアントサイド/サーバーサイドだけでも技術軸が大きく変わってくるなか、果たして適切な評価が行えるのか…と。そういった意味で、EMは注目されているのかもしれません。

日本ではありえない体験にコミットできる

ー今後、メルペイはさらに大きくなっていきます。このタイミングでEMになれる魅力とは?

日高:危機感がある時こそ、パワーが一番出るんですよね。飢餓感とも言いますか、「これは危ないぞ」っていうのがトリガーなんです。メルカリグループにジョインして1年と少し経ちますけど、これまで平穏なことがない…! だけど会社が大きくなるなかで、平穏だったらそれこそ本当の危機かもしれません。

この会社のマネジメントのすごくいいところは、毎回違う体験ができることですよね。その分やるべきことや悩みも多くなりますが、ヤジを飛ばしあって、ビルドアップしていけるのが楽しいんです。

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石川:EMにしろエンジニアにしろ、全てを1から作り上げていくのがおもしろい。マイクロサービスやリアーキテクチャなどが同時多発的に社内で起きているなんて、日本ではありえないですよ。その中心にコミットできることは、本当に貴重だと思います。

日高:Androidアプリは通常4~5人で開発すれば大規模と感じますが、メルペイは100人で作っても破綻しないアーキテクチャを目指しています。すごくチャレンジングで、自分のスキルを100%発揮できる環境です。ただ、それが恐怖でもありますね…常に試されているというか。

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ーエモいですね! ありがとうございました。

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