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全員がCFO候補。メルカリファイナンスをリードする二人が貫くプロ根性

資金調達や財務戦略の立案など、企業をスケールするために必要不可欠な役割を担う「CFO(Chief Financial Officer)」。2015年、ゴールドマン・サックスからメルカリにジョインした長澤啓がその役割を務め、早くも4年。「メルカリファイナンスのヘッドと言えば長澤」というイメージが浸透しているメルカリですが、ともに働くマネージャーたちも一筋縄ではいかない熱い、クセ者ぞろい。

今回は、Finance & IRチームマネージャーの笹倉宙希と、Financial Planning & Analysis(以下、FP&A)チームマネージャーの大塚喜子にインタビューを実施。「財務数値を可視化し、経営の意思決定とアクションをドライブさせる」というミッションを掲げるファイナンスチームを二人はどう捉え、メルカリをどうスケールさせようと考えているのでしょうか。また、インタビュー終盤「自分たちをCFOだと思っている」と口にする二人。その言葉の裏側にある想いとは?

メルカリファイナンスの醍醐味は「スピード感」と「投資意思決定のサポート力」

ーメルカリのファイナンスチームは「Finance&IR」、そして「Financial Planning&Analysis」の2つのチームから構成されていますよね。まずは、共通するミッションについて教えていただけますか?

笹倉:一言で表すと、「財務数値を可視化し、経営の意思決定とアクションをドライブさせる」こと。つまり、経営や事業の進むべき方向性を定量的に示すことが、ファイナンスチームのミッションだと思っています。

大塚:そうですね。私たちは経営の意思決定を後押しするための機能であり、チームです。課題を数字で浮き彫りにし、何をどう判断すれば良いのか、きちんと経営に提示することが私たちの役割だと思っています。

笹倉:ファイナンスはサッカーで言えば「ボランチ」みたいな役割。自分は点数を取らないけど、経営や事業のゴールまで正しくサポートするようなイメージです。

笹倉宙希(Finance & IRチームマネージャー)

ーそのなかで「Finance&IR」と「FP&A」はどのような役割を担っているのでしょうか?

笹倉:Finance&IRは「メルカリグループ全社に関する財務数値の可視化」、FP&Aは「メルカリの日本事業に関する財務数値の可視化」です。Finance&IRの場合だと、メルカリ(JPとUS)やメルペイなど、グループ全体に関する財務数値を担当します。管理会計の向上や、事業計画と資金計画を融合させた企業全体の投資意思決定、それに相応しいIR活動など、事業ではなく企業として大切な財務に関するすべてを行うチームです。

大塚:それに対し「FP&A」はメルカリ事業に特化したチームです。事業に寄れば寄るほど資産運用や資金調達などから離れ、事業に関する費用の可視化、深掘りがメインになります。たとえば人件費などの一般管理費、広告宣伝費などの販売費がそれに当たります。ミッションそのものは一緒ですが、扱うべき数字は変わってきますね。

ーチームを2つに分けることで、業務はスムーズになりましたか?

大塚:最初は扱う数字が被ったりして、混乱していましたが、徐々にスムーズになりましたね。グループと事業、それぞれの戦略に集中しはじめると、健全なコミュニケーションが図れるようになりました。

ーファイナンスとIRが同じチームにいることは、一般的に珍しいことですよね?

大塚:どうでしょう。私は大企業しか知らないので、IRはIR、財務は財務、経営企画は経営企画という感じに縦割りでしたね。

大塚喜子(Financial Planning & Analysis チームマネージャー)

笹倉:企業規模が小さなベンチャーであれば集約してもおかしくはないかと思います。特にファイナンスとIRは密接に連携する役割なので、スピードをより上げながら仕事をすることができる。そういう意味では、同じチームであることが望ましいと思いますよ。

ーメルカリグループも多岐にわたり、企業、事業ともに成長しているなかで、ファイナンスチームの体制そのものも変化してきたわけですね。

大塚:そうですね。ただし、他の企業とやっている業務そのものは変わりません。つまり業務上、差別化できるポイントは、ほぼないんです。さらに言えば、私たちは一般的なことをしようとしていて……。そんなこと言うと、西丸さん(インタビュアー)は書きづらくなりますよね(笑)。でも本当にそうなんです。

ー書きづらいですが(笑)、正直に、ありのままを話してください。

笹倉:大塚さんの言う通り、私たちがやろうとしている業務は極めて一般的です。でもメルカリファイナンスの醍醐味はそこではありません。一つは「スピード感」。企業と事業の成長スピードが尋常じゃないほど早い。これは私も大塚さんも経験してこなかったレベルです。そしてもう一つは「投資意思決定のサポート力」。会社の文化として、積極的に投資をして事業を成長させようという想いが強いので、私たちも大胆なサポートができる。勝負すべき場面で、しっかりと戦略的に投資を行い、勝ちを掴むという想いが非常に強いんですよ。

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大塚:投資に対する意思決定をサポートすることが多いと、ファイナンスチームとしてやるべきことも自ずと明確になりますよね。スピード感については、あくまで体感ですが一般企業の3倍くらい。従業員数や収益など、目に見えるもの見えないもの、すべてに大きな変化を感じます。

笹倉:「財務数値を可視化し、経営の意思決定とアクションをドライブさせること」というファイナンスチームのミッションが、企業や事業の未来と直結している。だからこそGo Bold(大胆)に仕事ができているのだと思います。それこそメルカリファイナンスの醍醐味であり、強さではないでしょうか。

経営の意思決定に深く関わり、より筋肉質な組織へ

ーメルカリの入社前後で、ギャップは感じませんでしたか?

笹倉:入社する前までは、すでに完成されているイメージをもっていましたが、理想の状態までは遠く、課題も多いです。可視化されないといけない数値もまだ多いですし、予算や見込みの精度も上げていかなければならない。その一方で、経営陣と議論しながら意思決定を積み重ねている実感を得られています。その手応えは、やはりやりがいがありますね。

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大塚:私も同じ意見です。最近では、現在のメルカリの成長フェーズにフィットした、筋肉質な組織に生まれ変わるべく「Project Rizap」という取り組みをスタートさせました。

ーRizap! 結果にコミットするための強い組織づくり、ですね。具体的にはどのようなことを?

大塚:たとえば管理体系や意思決定のフロー、そのためのルールづくりなど、進化させるための見直し全般ですね。メルカリは6年という短い期間で、これだけの成長と変化を遂げている会社です。半年前までは最適だったルールであっても、現在、そして未来のメルカリにとってはフィットしない可能性も当然でてくる。

ーなるほど。

大塚:未来のメルカリを見据えた最適な数字の捉え方、経営意思の込め方ができるよう、今は組織として進化する大きな過渡期を迎えていると感じますね。

ー笹倉さんの言葉にも関連しますが、経営陣との柔軟な議論が根底にあるからこそ、変化に対応できるとも言えますよね。

大塚:そうですね。メルカリの良いところって、経営陣が経営のやり方を固定化していないところだと思っていて。ものすごいスピードで走りながら、無数の意思決定をしなければならない状況でも、ファイナンスチームが出すサジェスチョンに耳を傾け、経営の意思に反映してくれる。

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ー普通の企業であれば、「結果ありきのプロセス」になることが多いと?

大塚:そうです。いくらファイナンスチームが効果的な数字だと判断し、経営陣に提案したとしても、結論は先に決まっているケースがほとんどではないでしょうか。でも、それってかなりもったいないですよね。実は経営陣さえ十分に知らない新鮮な数字やデータをファイナンスチームは持っている。ファイナンスチームと経営の信頼関係がしっかりと構築されていて、対等に議論できるのもメルカリの魅力だと思います。

メルカリに入社して変化した「腹の決め方」

ーメルカリに入社して、ファイナンスへの捉え方や価値観は変わりましたか?

笹倉:何でしょうね。……「腹の決め方」でしょうか。

ー「腹の決め方」……それはどういう意味でしょうか?

笹倉:当然ですが、私たちの提案次第で会社の意思決定は大きく変わる。ベストケースとワーストケースの両方をイメージし、松竹梅のレベルに分けた選択肢を経営陣に提示するよう、心がけています。あまり詳しくは言えませんが、実際に大きな意思決定をドライブするようなことも少なくありません。「私たちの提案は、果たして正しかったのか?」と、迷うことも数多くありますが、腹を決めて取り組むことも大事だと痛感しています。

ー大胆な意思決定と言っても、大きなリスクを負う可能性は多分にありますからね。あらゆるケースを想定したうえで、提案することが重要ということですね。

笹倉:おっしゃる通りです。そこをきちんと定量的に示すことが、ファイナンスの能力であり役割なので。

ー2018年6月、メルカリはマザーズ上場を果たし、社会的に注目や期待をされている立場だと思います。そんな状況や立場だからこそ、メルカリでファイナンスを担ってみたいという方も多いのではないでしょうか。そこでズバリお聞きします。メルカリファイナンスチームにフィットする人物像ってどんな方でしょうか?

大塚:「メルカリの経営者目線に立ち、アクションを考えられる人」でしょうか。なぜなら、私たちは経営をサポートする人間だから。大胆に会社全体やチームを動かせる勇気のある人がベストですね。

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笹倉:月並みな表現ですが、やはりメルカリの3つのバリュー(Go Bold、All for One、Be Professional)を起点にファイナンスを考えられる人ですね。メルカリはまだまだベンチャーなので、どんなことが起きるかわかりません。いかなるときもバリューが意思決定のベースになる。なので、バリューへの共感こそ、もっとも大事な要素だと思いますね。

ースキルセットの面ではいかがでしょうか?

笹倉:私たちにないスキルを持っている人!

大塚:同じ意見です(笑)。

笹倉:今のファイナンスチームのメンバーは、事業会社や投資銀行、コンサルティングなど、異なるフィールドから集まっています。もちろんスキルが被っているからチームにフィットしないというわけではありませんが、「自分は誰よりも〇〇ができます!」と胸を張って言える方がいいですね。あとはガッツ!

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ーマインドセットに戻りましたね(笑)。

大塚:ガッツ……(笑)。たしかに「やり切る覚悟」は大切ですよね。結局、自分たちのミッションが会社の根幹を支えていると思っているので、覚悟を持たないまま会社に毎日来ることは、逆にストレスです。経営者目線もそうなんですけど、どれだけ自分の会社だと思っているかどうかだと思います。そもそも、やらされてやるような仕事ではないので。

笹倉:『ジョジョの奇妙な冒険(集英社)』の第5部に登場するブローノ・ブチャラティが残した、「覚悟はいいか? オレはできてる」という言葉があるのですが、まさに彼と同じ想いですね。僕の尊敬する人間の一人です。

ーなるほど。大変よく理解できました(笑)。

メルカリファイナンスチームは全員がCFO

ーでは、最後に今後のチームや個人の目標についてお聞きしていきたいと思います。大塚さん、いかがですか?

大塚:繰り返しになりますが、より精度の高い財務数値の可視化ですね。すべてを可視化することは難しいので、ターゲット絞り、重要なところから可視化していければなと思っています。

笹倉:今、会社で何が起こっているのかについて、数字を介して誰もがわかる状態にし、勇気を持って経営の意思決定ができるスキームをつくることが目標ですね。進むべき方向性を定量的に示し、それを高いレベルで実現したい。これに尽きますね。

ースキームをつくった先には、どんなゴールがあるのでしょう?

笹倉:基本的には利益を出す。または資金調達を行い、戦略的に投資をする。そのサイクルをよりよく回していくことでしょうか。収益事業は収益事業で集中し、利益を出しながら資金調達などでキャッシュインする。その分、戦略的に投資するというサイクルを回していきたい。メルカリが資本市場からもそのように認知されている状態を目指したいですね。

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大塚:見事な回答……「その通り!」って感じです(笑)。私も笹倉さんも、自らをCFOだと思って仕事しているので、メルカリのミッションである「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」がゴールですよね。

笹倉:たしかに(笑)。

大塚:私がメルカリに入社した理由でもあるのですが、いずれは自分で意思決定をする側になりたいと思っています。それを実現するためのスキルを獲得したくて、メルカリを選びました。事業の意思決定をするためには、仕組みをゼロからつくる経験が必要不可欠。スクラップアンドビルドじゃないですが、私は「叩いて、壊して、つくり上げること」、すべて自分の手でできるようになりたい。そうじゃなきゃ、これからの事業経営は絶対にできないと思っています。まずはメルカリでその経験をしてみたいですね。

笹倉:先ほど大塚さんから「自らをCFOだと思って仕事をしている」という話がありましたが、本当にそういう気持ちで仕事しています。実際、私は常にCFOの座を狙っていますしね(笑)。なので、今のチームメンバーもそうですし、これからメルカリのファイナンスチームで挑戦してみたいと思っている方は、言うまでもなく「未来のCFO候補」。そういうビジョンと覚悟を持った方と一緒にメルカリをつくっていきたいですね。

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笹倉宙希(Yuki Sasakura)

Finance & IRチームマネージャー。上智大学卒。半導体メーカー営業等を経て30歳でキャリアチェンジし、インターネット業界へ。2009年、「出前館」を運営する夢の街創造委員会(株)で経営企画・IRを担当。その後、2011年に株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。管理会計を軸としながら事業管理部長、経営管理部長、経理部長、コンプライアンス・リスク管理部長を経験。2018年、子会社のSHOWROOM(株)に出向し取締役として管理部門を管掌。2018年9月、メルカリにジョイン。

大塚喜子(Yoshiko Otsuka)

FP&A(Financial Planning & Analysis)チームマネージャー。2010年、新卒で三井住友銀行へ入行。国際部門で、海外大手企業やプロジェクトファイナンス等の審査、及びグループ全体の与信ポートフォリオを企画/管理。2016年、ファーストリテイリングへ入社。財務・経営企画チームで大型設備資金調達、グループ予算策定、グループ中期計画策定等企画業務全般に広く従事。並行して新規国立上げPMとして、新規国の法人設立・新店舗立上げをリード。 2018年7月、メルカリに参画。

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