議論には「共通の敵」を。メルカリ開発組織の改善に挑むメンバーの最強アジェンダ術

こんにちは、メルカリPM Officeでプログラムマネージャー(PgM)をやっている、masudakこと、増田謙一です。日々、メルカリの開発組織を良くすることに情熱を注いでいます。

さて、みなさんはMTGで「アジェンダ」を活用できていますか?

「当日話したいこと・話したことをサマリーできていればOKだよね?」と侮るなかれ。アジェンダを笑うものは、アジェンダに泣きます。なぜこんなことを言い出したかというと、僕自身がアジェンダ作りに失敗して、何度も泣いたことがあるからです!!

今回のメルカンでは、複数のチームを横断しながら組織改善に2年ほど取り組んできた僕が「最強のアジェンダ」を作るために注目したポイントをまとめてみました。

多数の多忙な関係者とともに、議論を前へ進めるには?

まず、なぜ僕がアジェンダの作り込みにこだわるようになったのか。

僕はここ2年ほど、メルカリの開発組織にある課題解決に取り組んできました。マイクロサービスへの移行、開発プロセス改善など…(もちろん、今もなお、課題は山積みです)。こうした課題解決は、当然ながら1チームだけで進められません。全社横断しながら、プロジェクトを進める必要がありました。

さらに言うと、組織の課題解決には経営メンバーのアサインも重要です。そのため、プロジェクトマネジメントを進めるなかで常にぶち当たっていた壁がこちらでした。

・ 関係者が多い、かつ多忙
・ 議論したい話題が多すぎる

多くの関係者それぞれが持つタスクの期日を決め、課題解決に向けて着実に議論を進めていくにはどうすればいいのか。その糸口をつかめなかった間は、終わらないMTGをしてしまったり、課題が見えないままMTGを進めてしまったりなどの失敗をくり返していました。そんななか、僕がたどり着いたのが、原点回帰とも言える「アジェンダの見直し」だったのです。

注目したのは「背景・課題」「たたき台」「議事録」

ではさっそく、アジェンダ作りで意識してもらいたいフォーマットです。

・ 日付
・ 参加者
・ ネクストアクション(XXXXX ★masudak 11/22)
・ 背景・課題
・ たたき台
・ 議事録

ここで注目してもらいたいのが、「背景・課題」「たたき台」「議事録」の3つ。

1つ目の「背景・課題」について。話し合いたいことの背景、解決したい課題を書きます。ここで大事なのが、「共通の敵」を設けることです。ラグビーでイメージしてもらうとわかりやすいと思うのですが、課題解決には一緒に肩を組んで挑むような空気感の醸成が必要。つまり、大前提として、MTGの参加者全員が、同じ方向をむいていなければならない。進行役は、その場の空気をコントロールすることが求められます。その手段の1つとして、「背景・課題」のなかで、共通の敵を明確にしておきましょう。

次に「たたき台」。この箇所については、当日どのような話し合いになるのかわからないため、書かない人も多いかと思います。かくいう僕もそうでした。しかし、MTGの目的はあくまでも「ネクストアクションを決めること」。たたき台がないと、当日のMTGで意見が発散されすぎて「こうしたらいいのではないか?」というアイデアだけで終わってしまうことがよく起きます。「何を」「どのように」「いつまでにするのか」をMTG中に決めるためにも、話し合いの軸を決める意味で「たたき台」はあらかじめ書いておいたほうがいいです。

最後に「議事録」。…と書くと「会議中のメモをとればいいんでしょう?」となりそうですが、それは違います。先ほども説明しましたが、MTGでの議論は「あーでもない、こーでもない」と発散しがち。そういった発言を、議事録を書く人がすべて受け止めていると表明し、本筋の議論に戻す。これは「パーキングロット(※)」というテクニックなのですが、この方法を用いると結果的に論点がブレずに進められます。その結果、関係者の納得感を得つつ、MTG時間の短縮させる効果があります。つまり、議論をドライブさせる大事な役割と言えるのです。
※今すぐに議論しなくていいものを一時的に退避させ、議事録上に蓄積しておくテクニック

「決まったように感じる罠」に陥らないために

ここまで、おすすめの「アジェンダの作り方」をご紹介しました。しかし、ちゃぶ台をひっくり返すようですが、アジェンダを作り込んでもすべてを台無しにする落とし穴があります。それが「この課題を解決したい」というwillを持っていないこと。

強いwillがあれば、より周りを巻き込みやすい空気感になり、課題と向き合いやすい状況をつくることができます。しかしながら、willがないと「課題を解決したい」という想いを共有できず、参加者同士で敵対してしまいます。そのため、漠然とした課題を前に議論がぶれ、「決まったように感じる」罠に陥るのです。

課題解決に向けてプロジェクトを進めていくためのMTG。だからこそ、アジェンダは、作り込み次第で、業務はもちろん、事業や組織を大きく動かすことができると思っています。このメルカン記事がどなたかの参考になれば幸いですし、僕自身ももっとファシリテート力を磨くためにアジェンダをブラッシュアップしていくつもりです!

増田謙一(Kennichi Masuda)

株式会社サイバーエージェントにてインフラエンジニアを経験。2016年4月株式会社メルカリに入社し、 SET(Software Engineer in Test)として開発生産性の向上に従事。現在はPgMとしてAgile開発の推進等、組織課題の解決を担当。

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