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「透明性を高め、情報格差をなくす」メルカリ、鹿島アントラーズのDX推進舞台裏 #thebusinessday3

経営やコーポレート部門に携わるビジネスパーソンが知見を共有し合うコミュニティとして、メルカリが主催しているカンファレンス「THE BUSINESS DAY」。2016年からスタートした同カンファレンスは、今年で3回目を迎えました。

今回は、初のYouTubeライブ配信によるオンライン開催。昨今の新型コロナウイルス感染拡大により、IT企業を中心にリモートワークにシフトするなか、経営・組織戦略や企業の課題は今後どのように変化していくのか。withコロナ時代の成長戦略について、メルカリの各部門責任者が取り組んでいる施策が語られた「THE BUSINESS DAY #3」のレポート記事を、メルカンでは全3回に渡ってお届けします。

2つ目のセッションに登壇したのは、執行役員VP of Corporate横田淳と株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーの経営戦略チームマネージャーである金子有輔。メルカリ流、アントラーズ流の「DX(デジタル・トランスフォーメーション)のススメ方」と題された本セッション。メルカリと鹿島アントラーズは、どのようにDXを推進したのでしょうか?

この記事に登場する人


  • 横田淳(Jun Yokota)

    株式会社エヌ・ティ・ティ・データを経て、株式会社サイバーエージェントに入社。グループ全体のコーポレート業務に従事する傍ら、多数の新規事業やグループ会社の経営支援、特命案件業務に従事。経営本部長、執行役員を歴任。株式会社 AbemaTV取締役として動画事業の立ち上げ等に尽力。同社を退社後、2017年6月にメルカリ/ソウゾウに入社、執行役員に就任。また、2017年11月には、メルペイの取締役に就任。そして2019年4月からメルカリVP of Corporateに就任。趣味はマグロ釣り。

  • 金子有輔(Yusuke Kaneko)

    朝日アーサーアンダーセン(現PwCコンサルティング合同会社)、ITベンチャーの新規事業担当を経て2008年株式会社ミクシィ入社。内部監査室Mgr、社内システム部部長を歴任。ミクシィ退社後、2社教育ベンチャーの事業企画・経営企画室マネージャーを経て、2017年6月メルカリ入社。内部監査室、コーポレートプランニング等複数の部門を経験し、2019年9月株式会社鹿島アントラーズ ・エフ・シー経営戦略チーム マネージャーとして出向(メルカリSportsBusiness マネージャーを兼務)。東京都立大学大学院経営学研究科修了。CISA、CRISC。鹿嶋市出身、住友金属工業蹴球団からのアントラーズファン。


既存の仕組みと、新しい仕組みを繋ぎ合わせる

ーまず、セッションの冒頭で語られたのはメルカリと鹿島アントラーズ、それぞれのDXについて。メルカリは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年2月19日から全社時差勤務の推奨および、在宅勤務の一部導入。その後、緊急事態宣言が発令されてからは、原則オフィスを閉鎖する完全在宅勤務体制へと移行しています。

横田:メルカリでは完全在宅勤務体制に移行してから、定期的にリモートワークに関する社内アンケートを実施しています。仕事のパフォーマンスに何か変化があったのか、またパフォーマンスは発揮できているのか。そのほかWFH(Work from Home、在宅勤務)の利点、難点、改善施策を実行したのかといったメンバーたちの声を集めて、経営会議で議論し、メンバーにフィードバックする。約2ヶ月ほど、このサイクルを回し続けています。

ー実際、メルカリは在宅勤務体制に移行後、オンボーディングや入社レクリエーション、キャリブレーションなど人事関連の対応については完全オンライン化。そのほか、経営会議や定例会議など意思決定が必要なものに関しても、オンライン化しています。

横田:先日もコーポレート部門で“新しいこと”について考えるプロジェクト「ソウゾウ会議」を実施したのですが、すべてオンラインで完結できました。この2カ月ほど、リモートワークを経験してみて「会議はオンライン化ができるな」と手応えを感じています。

ーまた、リーガルチームを中心に電子署名による契約締結、請求書のオンライン化を推進。監査法人と連携し、“出勤ほぼゼロ”での決算作業も実現しています。

横田:契約書、捺印の電子化については新型コロナウイルスの感染拡大を機に、社会全体で盛り上がってきています。しかし、導入の意思決定をしてから、実際に社内のプロセスに組み込むまでの作業は大変でしたね。これに関しては、リーガルチームだけで進めるのではなく、事業部門、IT部門などと連携して社内ガイドラインを変えたり、プロセスを改善したりしていかなければいけない。そこをきちんとやって、既存の契約書の審査と電子署名ツールを使うプロセスを繋ぎ合わせないと、結局誰も使わない仕組みになってしまうので。振り返ってみて、そういった対応を進めていくのが想像以上に大変でしたね。

透明性を極限まで高め、情報格差をなくす

ー鹿島アントラーズは来年、創立から30年を迎える“伝統と歴史”のある組織ですが、2019年9月ごろからDXを推進。具体的にはG SuiteとSlackの全社導入、Google Siteの全社活用、SansanとSmartHRの導入など。そのほか、現在は会計システム、経費精算システムのクラウド化、電子契約の導入にも取り組んでいます。

ーメルカリとは会社の歴史、組織の規模も大きく異なる鹿島アントラーズですが、どのようにDXを推進していったのでしょうか?金子はDX推進のキーワードとして、「情報の透明性を極限まで高める」ことを挙げました。

金子:ITツールを導入しただけでは、意味がありません。DXにあたって、最も重要視したのが「情報の透明性を極限まで高めること」です。これは小泉(取締役President、鹿島アントラーズ代表取締役社長)がメルカリの社長を担っていたときにくり返し言っていた言葉ですが、情報の透明性を高めることでメンバー間の情報格差はなくなり、メンバーは必要な情報を自ら取捨選択し、意思決定できるようになります。

ー実際、鹿島アントラーズは、フロー情報はSlack、ストック情報はG Suite製品群をフル活用して整理し、紙や口頭で行われていた情報のやりとりを電子化。Google Siteでつくったポータルサイトにすべての情報を集約するようにしています。

金子:そのほかにも、全メンバーの経営意識を高めるためにKPIを可視化。各チームの経営情報、財務情報を書くように徹底することで、各チームの月次での数字の進捗が一目でわかるようになっています。これまで各チームの数字については不透明な部分が多かったのですが、ITツールを使って情報を可視化することで、全員が数字を追っていける。

また、会社全体で50個ほどあるプロジェクトを一覧化し、全メンバーが閲覧できるように公開。各プロジェクトをどのチームの誰が、いつやっているのかを可視化しています。それにより、隣の人が何をやっているのか、別のチームが何をやっているのか、全体に共有することでわざわざ聞かなくとも能動的に追えるようにしています。

ーもともと、鹿島アントラーズは大きな企業の傘下にあり、社内システム部門は既存のシステム運用保守がメイン業務で少人数でした。そんななか、どうやって新しいシステムを定着させたのでしょうか?

金子:DXを推進するにあたって、お金をかける必要はなく、「エンジニアがいない」というのは言いわけでしかありません。実際、鹿島アントラーズも人数は少ないですし、情報システム部門は2人(正確には専属は1名)だけ。ただ少人数でも情報を整理し、優先順位を決めればDXは推進できる

金子:今回のDXの目的は、全社でスピーディーな意思決定をできるようにすることです。そのため、まずは情報格差をなくすことに注力し、システムの選定、導入を行いました。情報格差をなくすことで自ら情報が取得できるようになっていけば、わざわざ報告をするための会議は必要なくなります。DXを推進することで、鹿島アントラーズのミーティングを「報告の場」ではなく「議論の場」へ変革。現在、進捗の報告は極力プロジェクト一覧で行っていただき、ミーティングでは議論するようにしています。

DXを目的にするのではなく、「何を変革したいか」という目的があり、「その手段がDX」だと考えています。また、ITツールは、導入する側の判断だけではなく、あくまでエンドユーザーの利便性を最優先に取り組んでいく。新しいシステムを入れても使ってもらわないと意味がありませんから。伝統のある企業、組織規模の大きな企業、エンジニアのいない企業でも多少の時間はかかるかもしれませんが、必ずDXは成功できます。

現場で働くメンバーのケアには気を配る

ーメルカリと鹿島アントラーズ、それぞれのDXについてのプレゼンテーションが終わった後、横田と金子によるディスカッションが行われました。

横田:DXという言葉を聞くと、すごいシステムを導入するイメージを持たれがちですけど、まずはできることからやっていく。いきなり100点をとらない姿勢がすごく大事なんだな、と鹿島アントラーズの取り組みを聞いていて、改めて感じました。

写真右上から横田淳(メルカリVP of Corporate)、金子有輔(株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー、経営戦略チームマネージャー)

金子:自分がメルカリから鹿島アントラーズへ出向することが決まったとき、企業文化の違いをすごく意識しました。長い歴史と伝統のある会社ですし、オフィスを拝見して書類や台帳がたくさんあったので、正直「DXって大丈夫かな?」という不安の方が大きかったんです。

そうしたなか、DXを進めていくにあたって、メンバーのみなさんが何に苦労し、課題を抱えているのかをヒアリングして回ったんです。思い返すと、これが非常に大事だったなと思います。ITツールや新しいシステムを導入する際、そのメリットを感じてもらえないと現場で使ってもらえない。だからこそ、導入するメリットを懇切丁寧に共有する。そこは外せないですね。

メルカリの場合は、新しいシステムの導入に慣れているメンバーが多くいるので、そこに対して大きなハレーションが起きることは少ない。でも、一般的な企業でDXを進めるうえで、実際に利用する方と密にコミュニケーションをとる必要があると思います。

横田:私もときどき、鹿島アントラーズのミーティングに参加するのですが、全メンバーがG Suite製品群やSlackを使いこなしていて、本当にすごいなと思います。「インターネット企業、ベンチャー企業でないとDXはできないのではないか」という声もよく聞きますが、意外とそうでもない。1年くらいの時間をかければ、どの会社でもDXは推進していけます。

金子:振り返ってみて、鹿島アントラーズは驚くほどスピーディーに対応いただけた会社だと思います。スポーツチームだからかもしれませんが、想像していたよりも新しいものに対する抵抗感がなかったな、と思います。DXはまだ始まったばかりですが、組織の意思決定スピードは格段に上がってきていると感じています。

横田:メルカリのDXについては、以前から「メカニズム」という仕組み化の推進をやっていて。メルカリが今後大きくなっていくときに属人的な仕事をなくし、仕組み化やツールの導入で効率化していくことに取り組んでいたんです。それが偶然、新型コロナウイルスのタイミングが重なり、よりいっそう環境の変化にも耐えられる仕組みづくりをやっていかなければいけないな、と思いました。今後、どの業種、業界でも会社があらゆる環境下でも成長していくための仕組み、多様な働き方は、経営力の武器として必ず求められると思います。そこが会社の差になり、生き残りを分けるんじゃないのかな、と。

新型コロナをDX推進のきっかけに

金子:実際、メルカリでDXを推進していくにあたって、何か苦労した事例はあったんでしょうか?

横田DXの旗を振ってから、実際に成果が出るまでタイムラグがある。その間に熱量が下がると、中途半端な状態で放置される仕組みがたくさんできあがってしまいます。そのため、完成させて実行し、成果を出させて改善するまで、熱量を維持するのが大変だと思いました。きっと、それはどの会社も苦労していると思います。

旗を振った人と現場の人が一緒になって、一定期間やり続ける。短期間ではなく、中長期でつくり込んでいくことができれば、継続的な成果も出せるんじゃないかと思います。

そのためには、熱量を維持し続けるように経営陣・各部署が協力し、全社的にやらないといけません。特定の部署が頑張っているだけではうまくいかない。また、DXは想像以上に地味な作業も多いので、きちんと取り組んでいる人にも光を当てて評価する。人事制度の整備にも取り組む必要があるな、と思います。

例えば、契約書の電子化や社内の効率化は、話を聞いた人は「やった方がいい」と100%答えるのですが、DXはタイミングと熱量など、いろんな要素が重ならないと大きな波にならない。そういう意味で、新型コロナウイルスをきっかけに、今大きな波が来ていると思うので、社会全体でDXを推進していけたらいいのではないか、と思います。

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