メルカリは「シンプル」であるべき——新VP of Product Engineeringが目指す中長期的な開発体制

「メルカリへの入社は、僕のキャリアのなかでもかなり特異な体験をしている感覚がありました(笑)」

インタビュー冒頭、笑いながらそう切り出したのは、2020年7月にVP of Product Engineeringとなった若狭建でした。

VP of Product Engineeringの役割は「メルカリ開発組織をサスティナブルな体制にすること」。そのため、フリマアプリ「メルカリ」の開発ではデータドリブンなインフラをつくり、サービスに活かそうとしています。

実は若狭、これまで大手日本企業や海外企業、外資系企業を経てメルカリへ入社。国内外のさまざまな企業を渡り歩いてきた若狭に「かなり特異な体験」と言わせた理由はどこにあったのでしょうか?また、若狭自身がVP of Product Engineeringとして最初に取り掛かりたいことは何か。メルカリCTOの名村卓が話を聞きました。

この記事に登場する人


  • 若狭建 (Ken Wakasa)

    Sun Microsystems、Sonyでハードウェア(携帯電話・AV機器)関連のソフトウェア開発を担当。GoogleにてGoogle Mapsの開発に従事した後、2010年以降、Android OS開発チームでフレームワーク開発に携わった。Appleでのシステムソフトウェア開発、LINEでのLINEメッセンジャークライアント開発統括を経て、2019年8月、Director of Client Engineeringとしてメルカリに参画。2020年7月、VP of Product Engineeringに就任。

  • 名村卓(Suguru Namura)

    2004年株式会社サイバーエージェントに入社後、アメーバピグ、AWA、AbemaTVなどの新規サービスの立ち上げに従事。2016年7月、株式会社メルカリに参画。US版メルカリの開発を担当、2017年4月、執行役員CTOに就任。


社内外から聞いていた、メルカリの課題

名村:僕、若狭さんにメルカリを紹介するにあたって、ちゃんと現状をお伝えしなくちゃいけないと思っていて。だから、初めて2人で会ったときはできるかぎりドロドロとしたところを話して、期待値を下げようとした記憶があります。

若狭:当時のこと、僕も覚えています。何度か転職してきたのですが、今回が一番、それもかなり特異な体験をしている感覚がありましたね。こんなにも赤裸々に「課題があるんですけど」と誘われることって、普通はないですよ?(笑)。

若狭建(メルカリVP of Product Engineering)

名村:あはは(笑)。当時のメルカリ開発組織では、モバイルとWEBのリーダーシップを発揮するのに苦戦していて、アーキテクチャや技術的な議論が錯綜して組織内にコンフリクトが起こっていました。そこを、若狭さんに見てもらいたかったので、明確な課題感と現状を伝えたんです。

若狭:今だから告白するんですが、名村さん以外にも「メルカリで働いていた」というエンジニアから「メルカリは組織課題が多い」と聞いていました。一方で旧知だったジョン(取締役CBO兼US CEO、ジョン・ラーゲリン)やブラッド(US版メルカリのProduct Lead、ブラッド・エリス)のような人材も入社しているところを見て、「うまくやっているんだ」とも感じていて。そのギャップに、興味を持っていました。

名村:若狭さんは、日本の大手企業やシリコンバレーの大企業、そして外資系企業と…経歴が多彩ですよね。知り合いから「メルカリは大変」と聞いていても入社しようと思えたのは、なぜだったんですか?

名村卓(メルカリCTO)

若狭:僕はマネジメントが得意なタイプではないと思い、ずっと避けてきたところがあるキャリアでした。だから、ハンズオンで開発し続けてきました。でも、そろそろ「難しいと思ってきたこと」にチャレンジしたほうがいいと思ったんですよね。

メルカリには、組織面での課題が多い。しかし、多くの人がそこに課題を感じているということは、解決のために動き出してくれる仲間が多いということ。メルカリの組織課題を解決できるチャンスに、僕もかけたいと思ったんです。

何より、僕はもともとメルカリの「いちお客さま」。個人的にもよく使うサービスなので、継続し、よりよいものにしていきたい気持ちもありました。これも、入社の決め手になった要素の1つです。

良く言えば「用意周到」、悪く言えば「フットワークが重い」

名村:実際にメルカリへ入ってみて、どうでしたか?

若狭:事前に十分すぎるインプットをいただいたおかげで、特にサプライズはなかったんですけど(笑)。優秀なエンジニアがいるけれど、ジュニアな人もわりといる。まだらな感じの会社なんだなと感じました。

名村:開発に関しては?

若狭:適切に表現するのが難しいのですが…簡単なことを難しく解いているように思いました。メルカリは「マーケットプレイスを目指す」サービスとして、やろうとしていることはとてもシンプルです。そこに決済サービスであるメルペイが加わった今でも、事業としての方向性は変わっていません。ところが、蓋をあけてみると複雑につくられていたんだなと。

名村:僕も、若狭さんと同じ考えです。メルカリには、すでに多くのお客さまに使っていただいています。かつ、メルカリで働くメンバーも多い。そのなかで、本来はシンプルな物事を難しく考えてしまう事態が多く発生していました。良く言えば「用意周到」、悪く言えば「フットワークが重い」。

若狭:おっしゃるとおりです。ただ、僕が入社した当時に比べて、フットワークの重さは解消され始めているように思いますね。

メルカリは、より多くのお客さまに使われることで「社会の公器・インフラ」になろうとしています。プロダクトがインフラに近づいていくからこそ、エンジニアリング観点でも、やるべきことを正しくやるだけで、プラットフォームとして良いものになっていくはずなんですよね。メルカリの良さでもあるシンプルさをしっかり追求できるかどうかは、大事なポイントです。

サスティナブルな開発体制の中身は?

名村:そして2020年7月から、若狭さんは「メルカリVP of Product Engineering」に就任しています。

今までは、モバイルとWEB、流通領域は若狭さん、バックエンドとSRE領域をVP of Backendである田中さん(田中慎司)が担当していました。今後は、若狭さんがプロダクト領域、田中さんがプラットフォーム領域により注力していくことになります。就任して少し経ちますが、この役割をどう感じていますか?

若狭:メルカリは「競争力をつけようぜ!」というよりも、今あるものをどう広げていくかを考えるステージに来ています。そのため、中長期的にプロダクト開発ができるサスティナブルな体制をつくっていく必要がある。具体的には、フロントエンドやクライアントに完結せず、バックエンドやデータベースなども含めてプロダクト開発できる環境を目指したい。僕は、そのための組織づくりにコミットしていく役割だと理解しています。

若狭:そこで今ちょうど田中さんと話し合っているのが、マイクロサービスの管理です。メルカリでは以前から、複数の小さなサービスを連携させて管理・運営を行う開発手法であるマイクロサービスの導入を進めていました。理由は、開発組織が拡大しても、引き続きメンバーやチーム単位に裁量権が与えられ、自由に開発できるようにするため。それがほぼ完了したので、これからどうやって多くのマイクロサービスを管理していくかを考えているんです。

名村僕は、プロダクトとプラットフォームの2つをどういう方向性で開発していくかを考える役割です。同時に、メルカリで働くエンジニアたちが正しく評価され、モチベーション高く開発し続けられる環境を整える役割もあります。

エンジニアたちが楽しく働ける場をつくれれば、そんなに難しいことを考えなくていいはずなんですよね。若狭さんも指摘していたように、今はまだ物事を難しく考えるところが残っている。つまり、エンジニアたちにとってあまり楽しくない要素がある。それを、僕は「やばい、仕事が楽しくてしょうがない」に変えたいんです。

若狭:このテーマに関しては、会社の成り立ちや経緯からしっかり考えなくちゃいけないので、他社の成功事例を真似すればいいわけではありません。ぜひ一緒に考えていきたいですね。

データドリブンな仕組み、仮説検証のスピードUP

名村:メルカリVP of Product Engineeringとして、ここ半年くらいでやりたいことは?

若狭:データドリブンな状態にするためにも、まずはお客さまの購入データなどをリアルタイムでかき集め、それを開発に活かす仕組みづくりを急ピッチで進めていきたいですね。あとは、仮説検証のスピードも、もっと速くしていきたいです。名村さんがやりたいことは?

名村:先ほどお話しした、メルカリで働くエンジニアたちにとって「やばい、仕事が楽しくてしょうがない」と言われる場所づくりですね。メルカリは、多種多様なメンバーでワンプロダクトを開発している。そこで働くみんなが「楽しい」と思える場所をつくるのは簡単ではありません。だから、これは僕にとっても新しいチャレンジなんです。お互いに今までにないチャレンジ、楽しんでいきたいですね。

若狭:僕もそう思います。

メルカリに入って驚いたことの1つに「バリューの浸透率」があります。メルカリほど、メンバーみんながバリュー体現を目指す風土がある企業はなかなかありません。ですが、僕らのミッションは「新たな価値を生みだす、世界的なマーケットプレイスを創る」。バリューは、あくまでも手段です。そこをはき違えることがないよう、引き続きやっていきたいですね!

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