分析の現場で起こっていることは?メルカリAnalytics体制のリアルを聞いてみた

メルカリの分析チームが新しくなった──。

2019年10月、メルカリ分析チーム(Analyticsチーム)が新たな体制になりました。これまでBI(Business Intelligence)メンバーを中心に、あらゆる数字でプロダクトや経営を推し進めてきた歴史をベースに、下記3つの分野で分析業務を行える体制になったのです。

・ Product Analytics
・ Business Analytics
・ Growth Analytics

では、これによってAnalyticsチームの働き方はどう変わったのか?それぞれの領域を担当する森本智視(@morimoto)、野田知里(@chanchi)、柳沼慎哉(@yaginuuun)に改めてインタビューしました。聞き手は、同じくAnalyticsチームの中川智貴(@nakatomo)です。

※撮影時のみ、マスクを外しています。

この記事に登場する人


  • 森本智視(Tomomi Morimoto、@morimoto)

    大学卒業後、楽天株式会社に新卒入社。電子マネーサービスの新規会員獲得・事業開発等を担当。2020年4月にメルカリ入社。メルカリのGrowth領域の分析業務に従事。

  • 野田知里(Chisato Noda、@chanchi)

    前職では、マーケティング支援会社にてSEO(検索エンジン最適化)に従事。メルカリへの参画後はLister Growthチーム、Cross Functionalチーム、Growth Analyticsを担当。2020年4月より新設されたBusiness Analyticsに異動。

  • 柳沼慎哉(Shinya Yaginuma、@yaginuuun)

    大学卒業後、株式会社グロービスに新卒入社。e-learningサービスにおける分析基盤の整備や分析業務、推薦システムの開発等広く担当。2020年2月にメルカリ入社。JP版メルカリのデータアナリストとしてプロダクト改善のための分析に従事。

  • 中川智貴(Tomoki Nakagawa、@nakatomo)

    2018年より、メルカリJPにデータアナリストとして参画。入社後の担当領域は、購入促進・出品促進・オンボーディング強化・決済手段訴求など。前職はコンサルティング会社。


現場で何をしている?Analyticsチームのリアル

@nakatomo:今回は、それぞれの領域で分析を行うみなさんに、社内の体制・働き方がどう変わったのか、今取り組んでいることを話してもらいたいと思っています。さっそくですが、@chanchiさんからどうぞ!

@chanchi:私はBusiness Analyticsで分析業務をしています。今まではチームにアサインされて分析する動き方だったのですが、現在はBusiness Analytics担当として、特定のチームには属さず、プロダクト横断的に分析を行っています。おかげで、分析領域の制限がない、自由な動き方をさせてもらっていますね。会社の足元の数字の確認もしていますし、会社が半年〜1年後にどういう状態になっているかを分析し、議論したりもしています。

野田知里(@chanchi)

@nakatomo:@yaginuuunさんはProduct Analyticsを担当していますよね。どうですか?

@yaginuuun:メルカリは改善サイクルが速く、毎日A/Bテストも行われるなかで、リリースするかどうかを判断しています。その一方で、検証手法が人によって異なるため、A/Bテストによって得られた知見が溜まっていない課題もありました。Product Analyticsでは、その課題を解決するファーストステップとして、A/Bテストで事前に決めておくべきことをテンプレート化した「Experiment design doc」を社内に広めていく活動をしています。

@nakatomo:その活動も半年ほど経ったと思うのですが、社内で使われ始めている実感はありますか?

@yaginuuun:Experiment design docは広がってきたかなと思っています。最初は僕とマネージャー、そしてもう一人の分析メンバーだけが使っている状態でした。そこで、前クオーターではまずAnalyticsチーム内での浸透を進めてみたんです。結果として、社内の露出が増えたことによって認知拡大。今のクオーターからは、ありがたいことにAnalyticsチームからアクションをとらずとも、他チームから「ドキュメントを書いてみたんですけど見てください」とレビュー依頼が来るようになっています。

柳沼慎哉(@yaginuuun)

@nakatomo:確かに、Experiment design docを間接的に見る機会が増えた感覚があります。また、@chanchiさんのほうでは、分析業務の効率化だけでなく「分析の民主化」にも取り組み始めていますよね?

@chanchi:そうですね。私たちが定義している「分析の民主化」とは、分析基盤構築のほか、SQL講座や中間テーブルの活用講座をセットにして、分析組織以外のメンバーもどんどん分析業務へ乗り出せるような環境を整えること。

今までのメルカリでは、社内のデータはオープンに公開されているけれど、扱い方は独学に任せる状態になっていました。それを、Analyticsチーム主導でデータの集計方法などを教える新しい社内プログラムを作成。Analyticsチーム以外のメンバーでも活用できる土壌づくりをしています。一方で、もともと社内にデータを扱えるメンバーが多くBig Queryのリソースが枯渇することもありました。それを避けるためにガイドラインを展開し、みんなに効率よく使ってもらえる体制も整えているところです。

フリーランス的な動きから、横連携の強化へ

@nakatomo:Analytics体制になってから“働き方”も変わったと思っています。今まではフリーランスに近い動き方をしていて、いろいろなチームやプロジェクトにメンバーがアサインされていました。そのため、BI同士のつながりは弱いところがありました。でも、Analytics体制になってからは、横のつながりを今までよりも意識するようになっています。

@morimotoさんはいろんなプロジェクトに参加されていると思うのですが、今まではどんなものに関わってきましたか?

@morimoto:直近では、「新型コロナウイルスがメルカリに及ぼす影響の分析プロジェクト」「Big Queryのリソース不足を解消するプロジェクト」を担当していました。

「Big Queryのリソース不足を解消するプロジェクト」では、なぜリソースが足りなくなったのか、どうしたら健全に利用してもらえるのかを関係者とコミュニケーションをとりながらを進めていきました。その結果、今まで関わりのなかったAnalyticsチームのメンバーとのコミュニケーションが増えました。特に今のメルカリグループは在宅勤務(2020年11月17日現在)なので、こうしたプロジェクトがなければ、関わる機会はなかったかもしれません。

森本智視(@morimoto)

@nakatomo:新型コロナウイルスの分析とは、具体的にどういったものですか?

@morimoto:新型コロナウイルスの感染拡大がメルカリの経営にどんな影響を及ぼしているのかを分析し、経営層にインプットを行いました。

@chanchi:ですね。新型コロナウイルスによるメルカリサービスへの影響分析は、Analyticsチームから提案したものです。新型コロナの感染が拡大し始めてから、社内のいろいろなチームで分析が行われたのですが、Analyticsチームから公式レポートを出すことをマネージャーとメンバーで協議し、レポートを作成。たもさん(メルカリジャパンCEO、田面木宏尚)への報告のほか、全社のSlackで発信も行いました。

@nakatomo:ほかにも、全メンバーが日々使用している指標を再定義するようなプロジェクトもありますよね?例えば、GMV(流通取引総額)の再定義など。

中川智貴(@nakatomo)

@chanchi:GMVの再定義に関しては、運用方法が古くなっていたテーブルから更新方法を変更することになったんです。ただ新しいテーブルに移管すると事業数値の集計方法が変わるので、古いテーブルとのデータの差分をどう扱っていくかが問題になりました。今までの理解と整合性を保つため、いかに差分をなくすか、その要因を特定しどう扱うべきかかコミュニケーションを取りながら進めました。Analyticsチームはデータ分析もやりますが、その成果がきちんと使われて、会社がより良い方向に動くように調整したり、適切なコミュニケーションをとったりしていくことも同時に取り組んでいます。

他業界から、メルカリのアナリストを選んだ理由

@nakatomo:そういえば、ここにいるメンバーはみんな2020年入社ですよね。入社のきっかけは何だったのでしょうか?

@morimoto:僕がメルカリに入社した理由はいくつかありますが、まずはメルカンなどの記事を読んでいて、優秀なメンバーが多そうだと思ったのが大きな理由です。また、前職はWebディレクターだったので、アナリストとして働いた経験もありませんでした。そのため、入社後にそのスキルを鍛えられるとも思ったんですよね。

最後は、会社の雰囲気ですね。僕自身、モノを無駄に捨てるのがもったいないと思う派です。実際に面接時にいろいろ話をして、自分と近い考えを持っていらっしゃる方が多かった点にも魅力を感じました。

@chanchi:@morimotoと同じく、私もまったく畑違いのキャリアでした。前職ではSEO(検索エンジン最適化)の分析を担当。仕事をするなかで、分析する領域を広げていきたいと思うようになり、転職先は“データをたくさん保有している”ことを条件に探していました。その結果、メルカリに行き着き、最終的には会社のカルチャーが好きで入社を決めたんです。

@yaginuuun:僕も@chanchiさんと@morimotoさんに似ています。前職ではレコメンドエンジンの開発を担当していて、具体的にはCTR(クリック率)を上げることに取り組んでいました。ただ、働く過程でもっと大きなデータに触れたいと思うようになったんです。メルカリメンバーが主催していた勉強会にも参加していて、「メルカリには優秀なメンバーがたくさんいる」というイメージが強かったので、メルカリで働くことを選びました。

@nakatomo:ありがとうございます。少し自分のことも話すと、私の前職はコンサルティング会社でした。学生時代にはデータ分析系の研究をしていたり、分析の受託案件をこなしたりしてはいたものの、別業界からの転職でしたね。

入社後のギャップは「想像以上にオープンな会社」

@nakatomo:ちなみに、入社後のギャップは何かありましたか?

@yaginuuun:進太郎さん(メルカリ代表取締役CEO、山田進太郎)が「メルカリはカオスな環境」と話している記事を読んだことがありました。ですが、入社前は「カオスな環境と言ってもまぁ大丈夫でしょ」と思っていたのですが、実際に入ってみると…本当にカオスでした(笑)。

データ分析に関しては、ギャップがありました。前職では分析用の中間テーブルがあり、データアナリストはそこにアクセスして分析していくスタイル。でも、メルカリでは中間テーブルが整い切っておらず、ローデータ(Raw Data)を触る機会が多いと感じています。メルカリではデータ基盤が整っているイメージがあったので、個人的には驚きました。

@morimoto:同じく、想像していた以上にカオスな環境でした。特に情報がすごく溢れているので、必要な情報を探しにいくのが大変でした。

@chanchi:それに少し関連するのですが、メルカリはアナリスト以外のメンバーもデータに触れるので、時々、中途半端なものも転がっていたりします。その罠をかい潜らないといけないのが、入社後はちょっと大変でした。

@nakatomo:先ほど@morimotoさんも話していましたが、メルカリグループでは、2020年2月から、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために在宅勤務がスタートしています。リモート環境になってから入社し、オンボーディングされたメンバーもいると思うのですが、それについてはどうでしたか?

@yaginuuun:リモート環境下だと、メンバー同士のつながりは広がりにくいかもしれませんね。僕の場合は、マネージャーとメンターが一緒だったこともあり、なおさらそう思ったのかもしれません。一般的には、チームランチや、アサインされたプロジェクトでのチームビルディングがあり、少しずつチームに溶け込むきっかけがいくつかあります。しかし、僕はリモート環境下ということもあり、溶け込むまでのスピードは遅かったですね。

@nakatomo:そのような環境において、どういう動き方をできる人が活躍できそうだと思いますか?

@yaginuuunいい意味で「気を遣わない人」「図々しくできる人」。オフラインの場合は会議室まで移動する時間がかかるなどミーティングを開催するハードルが高いのですが、オンラインの場合はミーティングのハードルが低い。気軽に1on1を実施できるので、そこでコミュニケーションをとっていくのがいいと思います。

@morimoto:たしかに、図々しさは大事ですよね。入社当初はなかなか図々しくできず、取るべきコミュニケーションも遠慮した面もあったので…。「気を遣わない人」「図々しくできる人」は同意です。

さまざまな課題から見えてきた「今後取り組むべき課題」

@nakatomo:メルカリには「データドリブンな文化がある」と言われることも多いですが、現在のAnalytics体制でどんな環境づくりを目指していきたいと思っていますか?個人的にも、Analyticsチームはまだまだ知見の蓄積が弱い部分もあるように思っていたりしますが…。

@morimoto:知見の蓄積は、課題だと感じています。それを解決するために、チーム内で毎週「何をしたか」を発表し、全員が良かったと思ったことに関してはドキュメントで整理、インデックス化しています。報告だけだと「できました」の連続になってしまうのですが、その下には山ほど失敗がある。できたことではなく、失敗の知見を発表しあう枠を設け、意図的に失敗を共有する文化をつくろうとしているところです。

@nakatomo:いいですね!@chanchiさんは?

@chanchi:今は各メンバーが独学でデータを使っていますが、注意してほしい落とし穴もあったりします。そのあたりは、Analyticsチーム主導のもと、全社員が適切にデータを使えるようになる状態を目指していきたいです。あとは、Googleなど外部から取得しているデータとメルカリ社内のデータを紐付けることも他のチームから期待されているので、さらに取り組みたいですね。

@yaginuuun:Analyticsチームでオフィシャルな仕組みをつくっていければと思っています。例えば、データベース参照は何に気をつけるべきかがまとまっているドキュメントをつくり、それをAnalyticsチーム発信で周知させていく。それにチャレンジしたいです。

@nakatomo:私も一つ付け加えるとすると、分析の限界が正しく理解されている環境づくりには挑戦していきたいです。データは、ときに万能だと解釈されますが、実際にはデータ分析でわからないこと・言い切れないことは多数あります。このような考え方をきちんと啓蒙することも、データ分析チームの1つの役割だと考えています。

@morimoto:データドリブンとはいえ、PMの方々が分析でディープダイブするには、いろいろな制約で難しい場合があります。だからこそ、PMの方々には定性で物事を考え、仮説を出していただき、Analyticsチームは数字で確認していく。そこを掛け合わせて納得感のある意思決定を行う。仮説のもっともらしさ・確からしさの精度を上げる体制をつくっていかなければいけないんです。

@chanchi:ですね。しかし、日本国内でここまでデータが多い企業はなかなかないと思っているので、そのなかで分析をできることは魅力的だと思っています。また、データ活用に関しては、特に先進的な環境でもあります。どこにも答えがないことに取り組んでいるところは、すごくエキサイティング。データに関わることであれば何でもできるので、意図しなくても自分の伸びしろが広がっていく感覚を楽しめる人はいい環境かもしれないですね。

@yaginuuun:メルカリは、きちんと分析して妥当な提案をすれば受け入れてくれる土壌がある。ここは、すごくいいところだと思っています。とはいえ、会社だけでなく、Analyticsチームも過渡期なので、これからどう分析業務をグロースさせていくかがとても大事。ちゃんと考えないと伸びないフェーズなので、メルカリの今の事業規模を維持しつつ、さらなる拡大を目指したい人とは相性が良さそうです。

@morimoto:自分の意見が通る環境がありますし、みんな優秀で周りからすごく刺激を得られる環境だと思います。

@nakatomo:僕はバックグラウンドが多様なメンバーが揃っているのも、メルカリで働くメリットのひとつだと思います。みなさん、ありがとうございました!

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