「技術がわかる」は強みになったのか?エンジニアからPdMへ転身したメンバーたちの所感

──エンジニアからプロダクトマネージャーへ転身するって、どうですか?

メルカリグループでは、入社後にキャリアチェンジしたメンバーが何名かいます。なかには、エンジニアからプロダクトマネージャー(PdM)になったメンバーもいるわけで…、CSツール開発を担当するメルカリProduct Management 5チームの桑古昌輝(@wako)もその1人。しかし、未経験の領域へ飛び込むのは不安だらけです。そんなときに@wakoが冒頭の質問を投げかけていたのが、同じくエンジニアからテクニカルプロダクトマネージャー(TPM)へ転身したTechnical Product Management 2チームの星野 将(@masartz)でした。

そこで今回は、ともにエンジニア→PdMとなった@wakoと@masartzが登場。2人は今、未経験の領域で何を思っているのでしょうか?振り返ってもらいました。

この記事に登場する人


  • 桑古昌輝(Masaki Kuwako、@wako)

    2018年12月に株式会社メルカリにBackendエンジニアとして入社。スクラムマスターやテックリードを経験したのち、2021年2月にプロダクトマネージャーへ転向。麻婆豆腐をこよなく愛している。

  • 星野 将(Masaru Hoshino、@masartz)

    2017年2月に株式会社メルカリに入社。 もともとBackendエンジニアでありながら、主に「開発のための開発」業務を担当してきた。SRE/Microservices Platformのエンジニアリングマネージャーを経て、現在はテクニカルプロダクトマネージャーを務め、Foundation Productを担当する。


キャリア相談でヒントになったのは「どこにフォーカスして考えるか」

@masartz:エンジニアのキャリアでは、スクラムマスターやテックリード(TL)、エンジニアリングマネージャー(EM)といった選択肢がいくつかありますよね。まず、なぜ@wakoさんが次のキャリアにPdMを選んだのかを聞きたいです。

星野 将(@masartz)

@wako:新卒で入ったベンチャー企業でエンジニアをしていたときから、ビジネスサイドから事業に関わってみたいと思っていたんです。その後、メルカリへ2018年12月に入社。そのときも「ビジネスサイドをやってみたい」という気持ちがありました。2021年年始にチームのPdMポジションが空き、マネージャーから「PdMをやってみませんか?」と打診いただいて今に至ります。

とはいえ、悩まなかったと言うとそうではないです。なので、キャリアに悩んでいたときにマネージャーを介して@masartzさんに「エンジニアからPdMになってみてどうですか?」と聞きにいきました。そのときに「どの問題を解決するかを考えるといい」とアドバイスしてもらったことが強く残っているんです。

エンジニアとして技術を用いて課題解決という軸で新しいチャレンジをしたければ、EMという役割もある。そうではなく、もっと「What」「Why」を突き詰めながら顧客に価値を提供していきたいならPdMという役割がある。つまり、どこにフォーカスして考えるかという話を@masartzさんがしていたんですが…覚えてます?(笑)。

桑古昌輝(@wako)

@masartz:いや…あまりよく覚えていなくて(笑)。会社員として雇用され続けるうえで大事なのは、その企業のニーズを探り続けることです。それが組織的なものなのか、プロダクト的なものなのか、あるいは技術的なものなのか…いろいろあります。だからこそ、自分がやりたいことを探したほうがいいという話をした気がしますね。合ってます?

@wako:合ってます!特に僕が気にしていたのは、PdMとして働くときのバリューの発揮の仕方についてでした。その疑問を@masartzさんにぶつけたら「基本的にPdMもエンジニアも問題解決をすることで価値が生まれるので、どちらもだいたい同じ」と返してもらいました。

PdMとして、中長期・短期的な目線をどう切り替えている?

@masartz:エンジニア時代と比べて「変わった」と感じるところはありますか?

@wako:「時間に対する意識」が変わったと感じています。TLをしていたころは、2週間から1ヶ月くらい先を意識しながら仕事をしていました。一方、PdMは中長期のロードマップや企画をを他チームと合意をとりながらつくったり、改善要望にある問題を抽象化し、根本的な原因から対応できるように整備したり、3ヶ月や半年単位で「何をやるか」と考えて仕事をしています。

あと、「もしかしたら(プロダクトに)何か起こる可能性がある」という不確実性がつきまとう事象を考える時間が増えましたね。正直に言うとこれが難しくて悩む日も多いのですが、未来のことを意識して「どうあるべきか」と考えながらマイルストーンを決めていくのは楽しいですね。

@masartz:PdMは中長期で物事を考えることも役割の1つですが、TLやエンジニアたちと「今日何をする?」と短期的な目線で話し合いながらプロジェクトを進めていくことも大事。けっこう真逆の性質を持つところですが、どうやって切り替えていますか?

@wako:うまく切り替えられているかどうか自信がないんですけれど(笑)。ただ、それぞれ話す相手が違うので、そのへんで切り替えができているのかもしれません。長期的に物事を考えるときはCSチームのメンバーやTPM、「今日何しようか?」はチームのメンバーと話していたりするので。

@masartz:CSメンバーやTPMのようにカウンターパートがいるのはいいですね。私がTPMへキャリアチェンジしたときは、そうやって話す相手がいなかったので、現場目線に引っ張られがちでした。

@wako:現場目線に引っ張られがち?

@masartz:先ほど、@wakoさんが話していた「時間に対する意識」でもそうです。エンジニアっぽいから、現場目線で「1案件1機能をリリースするためにどうマネジメントするのか」から話を始める。現場はそれでうまく回るんですが、一方でマネジメント/経営レイヤからは「もう少しハイレベル(=抽象度/視点が高い)なデザインを考えてほしい」「長期的なロードマップを考えてほしい」という要望をもらっているうちに「プロダクトマネジメントをするとはそういうことか!」と理解してきた感じがあります。

@wako:なるほど。僕の考えとしては、エンジニアリングで培ってきた判断力を活かせるところもけっこうあると思っているんです。「これはバグですか?」と相談されたときに即答できたり、ログを見て「これはまずいから早めに対応しますね」と話ができたり。仕様書をつくるときも、UIは僕がささっと書いて「ざっくりとこういう感じです」と共有しています。何かしらの要望を咀嚼し、エンジニアがわかりやすいようにまとめて依頼できることは、ほかのPdMにはない強みになる。

ただ、@masartzさんが話していたように、「エンジニアとしての現場目線に引っ張られがち」となる可能性も否定できないなと感じています。エンジニアリングがわかってしまうので、計画段階でどうやるかまでを僕1人で考えて進められる。そうすると、現場の開発メンバーがWhyから考えたり、CSのインサイトを深堀りできる機会を奪ってしまったりすることも起こりうる気がしています。ここはいいバランスを模索したいですね。

PdMに求められる、「こうしたい」と思うほうへ突き進むチカラ

@masartz:PdMって、企業やチームによって求められるものが異なっていたりします。そのなかで共通して求められているのは「オーナーシップの強さ」なんじゃないかと思っています。@wakoさん、このあたりはどうですか?

@wako:そうですね。僕が所属している内部向けのツールを提供するチームだと、どうバリューを発揮するか難しい場面も多いです。しかし、うちのチームには「エンジニアリングでお客さまの期待を越えるカスタマーサービスを提供する」というミッションステートメントがあります。僕の理解では、CSは守りっぽいけど、精度を高めていけば「CSがすごいからメルカリを使うよね」と言われる武器にもできると思っていて、そこをモチベーションに日頃の仕事を進めています。

@masartz:PdMとして働くうえで、KPIはどうやって設定しているんですか?

@wako:CSツール開発という特性上、定量的なものはあまりうまく設定できていないです。逆に定性的なものだと「メルカリはCSがすごいから使われている」みたいな印象がより世間に浸透すれば、間接的ではありますが会社に強く貢献できると考えています。

@masartz:すばらしい、そのマインドがあれば大丈夫ですね。

私の場合、「あるべき数値、あるいは目標」というものに対してモチベーションが高まるんです。顕在化してしまった課題に対するアプローチが得意というか。でも、潜在的なニーズへ向かってアプローチしていくことに対しては…気持ちを保つのが難しいことに気づきました。ここは、人によるところかもしれません。特にPdMは、数値以上に「きっとこうなる・こうしたいと思うものへ向かって突き進むチカラ」が大事な場面もあります。そういう意味では、@wakoさんは合っているかもしれないですね。

@wako:ありがとうございます!

@masartz:ちなみに、先ほど@wakoさんは「エンジニアリングがわかることは、PdMとしてのアドバンテージになっている」と話していました。そこは維持し続ける感じですか?それとも、ほかの強みも増やそうとしていますか?

@wako:技術力は維持できるように、チームで毎週開催している勉強会には顔を出すようにしていますし、技術的なドキュメントも目を通しています。そのほか、PdM関連の本を読んだりしますね。

そして、今は@hisshyさんという他チームでPdMをしているメンバーに隔週で1on1してもらっています。彼も元エンジニアなので「こういうとき、どうしています?」と聞いているんです。メルカリには気軽に1on1ができる風土があるので、「エンジニア→PdM」のロールモデルはまだいませんが気軽に相談できる相手が多くて助かっています。

PdMをひととおり経験したら、エンジニアに戻る?

@masartz:@wakoさんはPdMをひととおり経験した後、エンジニアに戻る?

@wako:短期では考えていませんが、中長期では選択肢の1つとしてありえると思っています。僕のマネージャーだった@naoprさんも1年ほどEMを経験してからエンジニアに戻っています。なので、完全にエンジニアをやめたつもりはないですね。

@masartz:いいですね。では今、自分の役割を名乗るならなんて言いますか?エンジニア?PdM?

@wako:うーん、まだPdM歴が浅いので「エンジニアです」と言っちゃうかもしれないですね。LinkedInなどのプロフィールもPdMにしてないので、気持ちはまだエンジニアかも(笑)。

@masartz:わかります。私もエンジニアと名乗っていますし(笑)。

@wako:では、@masartzさんも今後のキャリアで再びエンジニアに戻る可能性がある?

@masartz:そうですね。私の理想は、解決系の業務に関わり続けること。しかし、まだロールモデルがない領域が多いので、自分で実績をつくっていこうと思い、TPMへ転身しました。やることもたくさんありますし、事業の方針によっては前へ進みづらい事態も起こりうる。それでも「人生をかけてフォーカスしたいこと」をやり続けるために、軸足を移しながら進んでいくんでしょうね。

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