「ダブルな開発体制から1年経ちました」その手応えと“社内外”から新たにメルペイ・メルコインVPoEを募る意図

「日本ではVP of Engineeringの2人体制の話をあまり聞きませんが、その成果にぜひ期待してもらいたいです」

そうメルペイCTOの曾川景介が話したのは、今から1年ほど前のことでした。

メルペイは2020年7月から、“ダブル”VP of Engineering(VPoE)とCTOという開発体制へ移行。木村秀夫(@hidek)と野澤貴(@nozaq)がVPoEを務め、CTOの曾川景介(@sowawa)とともに開発組織を支えてきました。

2020年7月〜現在にかけてのメルペイと言えば、ソウゾウやメルコインの設立に協力していたほか、メルペイスマート払い(翌月払い)や定額払い、おくる・もらう機能のリリースもありました。1年前では予想できなかった出来事の数々を、どうやって乗り切ってきたのでしょうか。そして新たにメルペイ・メルコインのVPoEを社内外で募る意図は──?

※撮影時のみマスクを外しています

この記事に登場する人


  • 木村秀夫(Hideo Kimura、@hidek)

    メルペイ執行役員VP of Engineering。1996年 interQ 株式会社(現GMOインターネット株式会社)入社。独立起業、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズを経て、2009年 株式会社ディー・エヌ・エー入社。同社Japanリージョンゲーム事業本部プラットフォーム本部長執行役員、システム本部長執行役員などを歴任。2018年5月より現職。

  • 野澤 貴(Takashi Nozawa、@nozaq)

    メルペイ執行役員VP of Engineering。慶應義塾大学大学院在学中にIPAが主催する「未踏ソフトウェアプロジェクト」に採択された4名のメンバーが中心となり、2006年、モバイルアプリ開発基盤などを手掛けるネイキッドテクノロジーを創業。2011年、同社がミクシィの子会社になったことを受け、分析基盤作りなどに携わる。2012年より株式会社Origamiの創業に参画し、技術担当ディレクターを担う。2020年2月、同社のメルカリグループ参画により、株式会社メルペイへ入社。2020年7月より現職。

  • 曾川景介(Keisuke Sogawa、@sowawa)

    メルペイ取締役CTO。京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻修士課程を修了。2011年にIPA未踏ユース事業に採択。大学院修了後にシリコンバレーの FluxFlex社にてWebPayを立ち上げる。ウェブペイ株式会社の最高技術責任者(CTO)としてクレジットカード決済のサービス基盤の開発に従事、LINEグループに参画しLINE Pay事業を経験。2017年6月メルカリグループに参画。


新体制を1年間続けてみた結果…?

ーさて、メルペイの開発新体制を発表してから1年ほど経ちました!

@hidek:お、もう1年経ちましたか。

@nozaq:あっという間!!

野澤貴(@nozaq)

ーさっそくですが、この1年を振り返ってみてどうですか?

@hidek:当時から現在にかけて、メルペイの周りでは大きな動きが連続して起こっていました。例えば、ソウゾウやメルコインの設立。また、メルペイのなかでもメルペイスマート払いなどの新機能のリリースがありました。その影響で、僕ら3人ともやることが増えています。@nozaqさんはプロダクトそのものを見るようになっていますし、僕はメルコインのVPoEを兼任、@sowawaさんはセキュリティ領域を強化する目的でメルカリCISOに就任しています。

@sowawa:エンジニア組織とは言え、エンジニアリングだけできればいいわけじゃない。プロダクトマネジメントや人事も大切です。それらの要素を、開発を行うみんなに支えられながら僕ら3人で回し続けてきた1年でした。

@nozaqさんがプロダクトサイドへ範囲を広げてくれたおかげで、エンジニアリング以外も含めてまるっと責任を持ちつつ混ざり合うことができたし、メルペイとメルコインでの連携を@hidekさんが担ってくれているおかげで組織をうまく拡張できた。いろいろありすぎて「うまくいかないかもしれない」と思ったことも、結果的には達成できていたりすることが多かったです。

曾川景介(@sowawa)

@nozaq:ですね。混ざり合うとは、さまざまな部署にエンジニアリング観点が入るということ。メルペイにとっていい変化ができた1年だったと思っています。

間違いなかった「ボケ・ツッコミ・エモ」の役割分担

ー@hidekさんは1年前、「メルカリとの連携を強めつつ、人材流動性を高めたい」と話していました。その目標は達成できましたか?

@hidek:当時の課題でもあったプロダクトの融合や英語化はうまく進められました。特に、ソウゾウやメルコインへの社内異動を丁寧にコミュニケーションできたので目標達成です。

@nozaq:まだまだやりたいことがたくさんあるなかで「チャレンジしたいからソウゾウまたはメルコインへ異動したい」というメンバーを送り出せる体制ができていた。そういう意味では、「人材流動性を高めたい」の目的を明確に達成できていましたよね。

ーそして@nozaqさんは「Origamiでの経験を活かせるまたとないチャンス」と話していましたが?

@nozaq:そんなことを言ってたんですね、ぜんぜん覚えてない(笑)。でも、チャレンジはできたと思います。スタートアップ時代は、わりと広い領域を1人で見ないといけないことが多かったんです。1年前はプロダクトエンジニアリングからスタートし、今はプロダクトマネジメントも管轄内に入りました。スタートアップというわりとカオスな環境でがんばってきた経験をそのまま活かせたなと思います。

@hidek:僕は今の体制になってから、もちろん必要であればヘルプすることを前提に、@nozaqさんサイドのことは意図的に干渉しないようにしていました。同じように、エンジニアリングマネージャー(EM)陣に対してもあまり干渉しないようにしていたんです。それまでは、ファシリテートなどの調整役をしていましたが、この1年はそこまで手が回らなかったこともあります。その結果、EMたちが今まで以上に自立して動いてくれるようになりました。彼らのおかげで、これまでを振り返りながらプロセスをアップデートし、どんどんスムーズにリリースできるようになっています。感謝しきれないですね。

木村秀夫(@hidek)

@sowawa:同時に、メンバーの多様化も進みました。EM陣に関しては、以前より外国人比率も高まっています。これもいい変化です。

@hidek:改めて振り返ってみると、僕ら3人の役割はちょうどいい具合にバラけていました。僕が@nozaqさんのようにプロダクトを見られるかと言うと…ちょっと怪しい。でも、逆に@nozaqさんが人事を担当するかというと?(@nozaqさんをチラ見しながら)

@nozaq:ちょっと悩みますね(笑)。

@hidek:でしょ?(笑)。@sowawaさんが担当しているセキュリティ領域も同じくです。1年前の体制変更時に個人のFacebookで「僕がボケ担当で@nozaqさんがツッコミ担当、@sowawaさんをエモ担当」と例えましたが、それくらいバランスよく役割分担できていました。当時のイメージはあながち間違いじゃなかった!

就任時のインタビュー記事が公開されたとき、@hidekがFacebookに投稿した内容

上記のFacebook投稿のコメント欄。すでにコメントがボケ・ツッコミ・エモっぽい

@sowawa:エモ担当として、その要素はずっと大事にしていました。最近は@naokiさん(メルペイ代表取締役CEO、青柳直樹)とメルコインのミッションをずっと一緒に考えているんですが、これって「この仕事をやる意味」を考えることに等しい。メルコインはブロックチェーンのような技術を使って社会を変えていくことを目指すので、とてもワクワクするんですよね。そんな要素を仕事に落とし込めるのは、すごくいいなと感じています。

メンバーの挑戦をより応援できる体制に必要なこと

@hidek:今だから言うのですが、僕はこの体制に不安もあったんです。VPoE2人体制は、あまりないじゃないですか。役割分担によるサイロ化(業務プロセスや各種システムが孤立し、情報が連携できていない状態)を危惧していたんですが、いざやってみると逆に自分1人だけなら絶対に無理な状況になっていて(笑)。@nozaqさんと@sowawaさんがいてよかったです。

ー@nozaqさんも不安でしたか?

@nozaq:僕は「やってみるか」という感じでした。当初は、まだメルペイへ入社して少ししか経っていなかったので、挙動に迷うこともありました。でも、難しい案件やディープダイブしなければならない状況が続いたことで、組織の雰囲気に慣れつつ自分の役割を見つけやすかった気がしています。深く入れるチャンスが多い分、悩まず動けたと言いますか。

ー「これをやっておけばよかった」と思うことはありますか?

@hidek:もう少しロングタームで育成プランを考えておけばよかった、と思っています。この1年でソウゾウやメルコインが立ち上がったとなると、当然ながらマネージャークラスが必要になるし、そこへの異動を希望するメンバーも出てくる。僕らとしては快く送り出すことはできていました。

一方でバックアッププランをしっかり用意できていなかったことにも気づきました。一時的に僕が兼任するなどで乗り越えましたが…。今後も同じ規模の動きが出てくる可能性もあると考えると、もう少ししっかりとしたバックアップができる育成プランをつくらなくちゃいけないと考えているんです。

@nozaq:後進がいないと、組織としてもチャレンジ枠を提供できないですからね。これまで以上の大きな動きを見越した組織運営、育成はさらに強化しないと…このスピードに耐えられない(笑)。

メルペイ・メルコイン同時にVPoEを“社内外”で募る意図

ーそして1年ほど経った今、メルコインでは新たなVPoEの募集を開始しました!

ーでも、実はメルペイでも新たなVPoEを募集しています(採用ページは作成中)。メルコインとあわせて、メルペイでもVPoEを募っているのはなぜですか?

@hidek:お話ししたとおり、僕らは今いろいろな役割を掛け持ちしています。なので、思考の切り替えが度々必要になる。切り替えるために時間をかけるより、いっそ専任になって100%の力を発揮した方がコスパがいい。

それに、メルペイとメルコインは事業の方向性が異なります。今は連携して動いていますが、ビジネススピードを加速させるためにもゆくゆくは独自の領域を追求していきます。特にメルコインは、セキュリティITやコーポレートITのような役割が非常に重要。その役割だけでけっこう人数が必要だと考えています。

@sowawa:メルコインに関しては、交換所とNFTの2事業があります。それぞれやることが違うので、同時に進めていくことでつい最近までのメルペイと同じようになるとすでに目に見えています。そうなると、@hidekさんが言うように専任できる人を増やしてカバー領域を広げたほうがいいんですよね。

ーメルペイ・メルコインのVPoEでは、どんなスキルが必要なんですか?

@nozaq:メルペイに限らず、経営の場はエンジニアリングの専門家が多いわけではありません。そのような場にエンジニア視点をどう浸透させるかは、人によってやり方がまったく違います。@hidekさんも@sowawaさんも僕も、全然違う!そういう意味では「あの人みたいにしなくちゃいけない」と思わないでほしいです。僕も初めは「@hidekさんみたいにしなきゃ」と思っていましたが、1ヶ月くらいでやめましたので!

@hidek:(笑)。

@sowawa:今回のインタビューで僕らが強調したいのは、メルペイ・メルコインの両方を同時にアップデートするのが大事だということ。そして、メルペイ・メルコインのVPoEを募集するにあたり「社内登用もしっかり行いたい」ということです。

幸運にも、僕らは仲間に恵まれています。だから普段のやりとりのなかで、「この人がVPoEになったら面白いんじゃないかな」と思ったりすることも多いんです。

@hidek:わかります。そして、実際に声もかけているんですよね。でも「ちょっと…」みたいに返されることも多くて。これも後悔の1つですが、この1年で数々の新機能リリース、ソウゾウ・メルコインの設立で忙しい感じを出しすぎました…もっと楽しく働く姿を見せればよかった!!

@nozaq:それは間違いない(笑)。

@sowawa:でもまぁ、バタバタする状況はしばらく続くので「忙しい」は事実ではあります(笑)。だからこそ、メルペイ・メルコインのVPoEをやりたいと思ってくれる人とわいわいできるのが一番いいですね。一緒にわいわいしましょう!そして笑いましょう(笑)。

@hidek:そう、そのわいわいも楽しみましょう!

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