「なぜやるのか」を伝え続けた|プロダクトマネージャーらが振り返る、US版メルカリの大規模リブランディング

「アメリカでの新しい旅の1ページが始まりました」

US版メルカリのリブランディングについて、メルカリUSのCEOであるJohn Lagerlingは社内Slackでこのように話しました。

mercan.mercari.com

US版メルカリがローンチされたのは2014年9月。海外進出という挑戦の中で行われた“最も大きなアップデート”であるリブランディングで、プロダクトはもちろん、チームにはどういった変革があったのでしょうか。

今回のメルカンでは、US版メルカリのプロダクトマネージャー(以下PM)であるBrad Ellisと片岡慎也が登場。US版メルカリはアメリカと日本それぞれのオフィスでやりとりしながら開発が進められていますが、先日行われた大規模なリブランディングでは、国境や時差を超えてどういったやりとりをしていたのでしょうか。そして、2人のPMが徹底したこととは?

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Brad Ellis※写真左
ハーバード工学部を卒業、慶應義塾大学日本語研修課程を修了。その後ソフトウェア開発を中心にスタートアップをいくつか経て、2007年から Google Japanに入社し、プロダクトマネジメントを務める。その後、YouTube、Nuna Health を経て、2017年からメルカリUS に入社。


片岡慎也(Shinya Kataoka)※写真右
高専で建築を学び海外の大学を卒業後、コンサル、アスクル、GREE、フリークアウトを経て2014年にメルカリに参画。その後US版メルカリのプロダクトマネジメントやJPプロダクト責任者を経て、現在US版メルカリ東京オフィスのプロダクトチームのマネジメントを務める。

メルカリUSが打ち出す「Selling is fast and easy.」

片岡:今改めて振り返ってみると、US版メルカリのリブランディングは、BradやScott(Scott Levitan)が入社してからよりスピーディーに進んでいった印象があります。

Brad:私とScottが入社したのは、2017年10月。入社が決まってからは、Johnと「US版メルカリをリブランディングし、さらにフォーカスしてやっていくから!」と話してくれていたのを覚えています。確か、当時は「名前も変えるかも」と言っていたんですよね。結果的に「mercari」は残していますが(笑)。

片岡:そんな話もあったんですね(笑)。

こちらの記事でも話していますが、今回のリブランディングではロゴやカラー、フォントだけでなく、お客さまに対するメッセージングも含めて大きく変えています。まさに、サービスの性格まで変えるくらいの大規模なリブランディングでした。

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これまでは「売ることも買うこともできるマーケットプレイス」でした。日本ではその打ち出し方でうまく進んでいますが、「自分のものを売る」がまだ浸透していないアメリカでは、なかなか難しい。そこで「Selling is fast and easy.」と非常にわかりやすいメッセージにし、売ることが簡単であると伝えていく必要があるわけです。

Brad:「Selling is fast and easy.」。このコピーになってから、友人にUS版メルカリを紹介するときにはいつも使っています(笑)。「メルカリってなんですか?」といった問いに対して、非常にいいメッセージになっていますよね。

リブランディングで徹底した、メンバーへのフォロー

片岡:そういえば今回のリブランディングで「“売る”にフォーカスする」とメンバーへ伝えたとき、インパクトは大きいはずなのにあまり違和感がなかったですよね?

Brad:それは私も感じましたね。それに、私が入社したときから、経営陣だけでなく、メルカリUSのメンバー間でも「売る・買う、どちらにフォーカスすべきか」「そろそろはっきりさせましょう」と話すくらい話題になっていました。

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一方で、やはり悩んだのがメンバーへのフォローです。というのも、このリブランディングは5年に1度くらいしかできない大きなプロジェクトです。当然ですが、その間は短期的な成果を出すプロジェクトが犠牲になります。「それでもリブランディングをきちんとやるべき」と伝えることは、非常にパワーが必要でした。

片岡:メッセージングを変えるということは、たとえ今までうまく進んでいた施策でも新ブランドにマッチしないのであればストップをかける必要があります。そういった意味では、東京サイドでもチーム内で「やらない」と決断しなければならないことがいくつかありました。

Bradだからこそ、リブランディングを「なぜやるのか」を浸透させ、メルカリUSとしての仕事も棚卸し・整理し直すことが大事です。そこで始めたのが、週1回行う「レビューミーティング」です。

そもそもUS版メルカリのチームは東京とアメリカそれぞれの拠点でやりとりしているため、距離も時差もあります。同じメルカリUSとして突き進んでいくには、内部が1つになるためのプロセスが必要だと思ったのです。

片岡:レビューミーティングではメルカリUSの経営陣も含めたコアメンバーが集まります。その中で、それぞれが「なぜその施策をやるのか」「仮説はなにか」などを3〜5分かけて話し、WhyとWhatを明確にしていく。そうすると、バラバラに見えていたメンバーたちの動きが、リブランディングのメッセージとともに統一されていくんですよね。

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どのような施策でも、Whyを明確にしないとPDCAは回りません。今回、仕事のやり方を見直したことでプロセスが安定し、さらに1施策1施策が学びの多いものになりました。それに、Bradはプロセスマネジメントがすごく得意です。これは、私にとっても学ぶところが多かったですね。

US版メルカリは「アメリカでの第一印象を作っていくフェーズ」

Brad:私はYouTubeでも一部サービスや機能のリブランディングを担当したことがありますが、これほどスピーディーに、そしてメンバーがオーナーシップを持って進められたのはすごいことです。メルカリのメンバーはみんなが思ったらすぐ行動するし、そして助け合う。

今回も、当初は私が「いつ・誰が・なにをする」といったものをスプレッドシートに5〜6つ程度書き込んでいたんです。そうすると、それを見たメンバーがどんどん追記してくれて、さらに各所でMTGなどの調整も進んでいきました。みんなが手を挙げ、行動してくれたことがとても印象的でしたね。

片岡:スタート当初は、本当にカオスな状態でしたからね(笑)。初めこそリードしていたのはBradですが、次第にいろいろな役割を持ったメンバーがオーナーシップを発揮し、結果として1つの大きなプロジェクトを決められたタイミングで問題なくローンチできました。これは、すごい現象だと思います。

Brad:メルカリは、アメリカではまだそれほど知られていません。むしろこれから「メルカリの第一印象」を伝えていく過程です。それによる変化は2〜5%ではなく、50〜100%と言ってもいいほど大きなインパクトが期待できると思っているんです。

片岡:US版メルカリは、JP版メルカリとはステージが違います。だからこそおもしろいし、これからどんどんエキサイティングになっていきます。今回のリブランディングは、ミッション達成のためにGo Boldに動いた結果です。今後もUS版メルカリにコミットするために、メルカリUSをさらに強化していきます。

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Brad:これはアメリカでも日本でも変わらないけれど、どんどんエキサイティングになっていきますよね。

リブランディング後、インパクトがあったおもしろい例としては、Webサイトのカテゴリ色を変えて「売る」ボタンを目立たせるようにしたこと。これによって誘導率が数十%上がっています。リスティングするユーザーがリブランディングだけでこれだけ動いているのは、すごいことです。

片岡:たしかに! ほかにもいくつか施策をスタートさせていますが、着実に効果が積み上がりつつあるのを感じますね。

今後はブランディングをキープすること、それに合わせて機能やデザインをブラッシュアップさせていく予定です。そういう意味では、新しいプロダクトを作り始めるくらいの経験はできると思いますね。

Brad:メルカリUSでは、Webサイトをアーキテクチャから作り直すプロジェクトもすでにスタートしていますし、配送サービスの強化など、ビジネスにとって非常に大事なプロジェクトが動いています。まさに「やりたいこと」が山積み状態ですよね。

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