大胆な攻め“だけじゃない”メルカリへーー上場後に挑むのは、成長を止めない仕組みづくり

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社内メンバーとも「本当に上場する日が来るとは思わなかった」と話していたんですーー。

2018年6月19日、株式会社メルカリは東証マザーズに新規上場しました。

創業以来、非上場だったメルカリはなぜこのタイミングで上場へ踏み切ったのでしょうか。また、その背景にあったものは? 上場準備のコアメンバーであるCFOの長澤啓さんと、Corporate Legalグループの岡本杏莉さんに話を聞きました。

長澤啓(Kei Nagasawa) ※写真右
三菱商事において金属資源分野における投資及び主にエネルギー、リテール、食品分野等の領域におけるM&Aを担当。2007年にシカゴ大学経営大学院を卒業後、ゴールドマン・サックス証券にジョインし、東京及びサンフランシスコにおいて主にテクノロジー領域におけるM&AやIPOを含む資金調達業務を担当。2015年6月にCFOとして株式会社メルカリに参画。


岡本杏莉(Anri Okamoto)※写真左
大学在学中に司法試験に合格。西村あさひ法律事務所に入所しCorporate/M&Aを担当する。その後、アメリカのStanfordロースクールに留学し、現地でニューヨーク州の司法試験に合格。帰国後、2015年に株式会社メルカリに入社。リーガルやファイナンスを担当する。

メルカリが上場へ大きく舵を切った瞬間

長澤:上場準備自体は、私が入社する前から…それこそコーポレートメンバーが10人程度しかいなかった4年前から始めていました。

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というのも、企業としてファイナンスの選択肢は多いほうがいいことは明らかです。メルカリとしても、上場できる準備を整えつつ、非上場企業として私募で資金調達を進めるといった2軸を常に持ち続けていました。

岡本:本当に長い上場準備期間でしたね。私は約3年半前に入社しましたが、当時からいるメンバーは「メルカリが上場する日がくるとは思わなかった」と話していたくらいですから(笑)。

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長澤:正直に言うと、僕も当初は、上場する日はいつ来るのだろうと本当に思っていましたね(笑)。

そんなメルカリが本格的に国内投資家だけでなくグローバルな投資家に販売するという方針の下で上場準備を始めたのは、2017年初めごろです。そこには、メルカリの企業としての世間的な認知が変わったという背景がありました。

そもそも非上場のメリットの1つに、決算発表などで情報を細かく開示する必要がないというものがあります。詳細な財務内容や戦略について外部に情報をあまり出さないことで大胆な経営判断ができ、事業づくりに全力投球できていました。

例えば過去に調達した資金を元に大々的な広告戦略を展開して参りましたが、これはまさに経営自由度の高い非上場だからできた判断だったのです。

しかし、今やメルカリは知名度も市場シェアも相当の規模になり、国内でもプレゼンスが上がったことで世間的にも注目されるようになりました。つまり、非上場で居続けるメリットがある一方で、社会的にも説明責任を果たしつつ透明性の高い経営をしなければならないステージになったのです。

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これまではベンチャーとして「今やるべきこと」「今やるべきではないこと」を決めながら、一貫して攻めの姿勢で突き進んできました。しかし、知名度も市場シェアも相当の規模になった段階では、それだけでは足りません。攻めと同時に今までより安全性・信頼性も高め、内部体制やリスク管理もしていく必要があります。

こういった流れを受けて、創業者である山田進太郎も「今後メルカリは社会的にも安全なサービスであると認識してもらう必要がある」と判断したのです。お客さまはもちろん、投資家を含めたより多くの人に情報を開示し、信頼性を高めるために上場へと大きく舵を切りました。そして、社内でも極めてクローズドに上場準備を始めるプロジェクトが立ち上がりました。

上場までを振り返って感じる、チームの成長

岡本:今回の上場でメルカリでは、日本では年間数件程度しかないグローバルオファリングを行いました。

これは東証に上場するのですが、日本だけではなくアメリカ、アジア、ヨーロッパといった海外投資家にも投資してもらうための手続きです。スタートアップ企業がこのような手続きを行う大規模なIPOをするのはかなりめずらしいということもあり、注目される案件になりました。メルカリの事業や魅力を理解してもらい、投資してもらえるように、上場承認後3週間以上にわたってさまざまな国の投資家の方々と100件以上ミーティングを行いました。

そのため、上場準備では国内向けのほかにも、海外版の書類を作成する必要がありました。海外版の書類作成は日本版よりさらに詳細な説明が必要になります。それもあり、上場準備ではファイナンス・IRチームだけでなく、経理やリーガル、株式事務を管理するチーム、広報などさまざまなメンバーが参加していました。

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上場準備に携わったメンバーたち

最初は私も含めてみんな不慣れな状態からのスタートだったのですが、最終的にはメンバー全員でチェックして書類を完成させるなどの協力プレーになっていましたね。

長澤:それでいうと、上場までの日々を振り返ってみて感じるのは、やはりチームの成長ですね。これまでの資金調達ではリーガルやファイナンス関係の仕事をしてきたメンバーが中心でしたが、一方で資金調達や上場準備といったものに関わるのが初めてというメンバーも多かったんです。しかし、非上場での資金調達の実行やIPOに関わる書類作成などのアップデートをくり返すたびに、チーム全体がどんどんレベルアップしていきました。

岡本:私も、もともとは法律事務所にいましたが、当事者として上場に関わるのは今回が初めてです。自分の会社が歴史的にもいろいろな人に注目されることをやるのは貴重な体験ですし、やりきりたい思いは強かったですね。それは、上場準備に関わったほかのメンバーも同じだったように感じています。

長澤:もう1つ印象的だったのは、投資家の方々の反応です。メルカリは非上場時の資金調達のときから、海外の大口機関投資家の方々とのコミュニケーションを重ねてきました。

上場が決まり、ロードショーというかたちで過去から会話を続けている投資家の方々にフィードバックを求めたところ、「数年前は日本のインフラとしてマスに定着するサービスなのか、ポッと出のサービスなのか、判断がつかなかった」「けれど、今では会社としてさまざまな課題を受け止め、乗り越えてきた実績がある。そして想像以上に伸びていることに驚いている」とポジティブなコメントをいただいたんです。それは本当にうれしかったですし、感慨深いものがありました。

岡本:「メルカリって?」といった反応がどんどんポジティブになり、今回の上場を受けて実際に株を買ってくださった方もいらっしゃいました。その過程は印象的でしたし、私もうれしかったですね。

成長スピードを止めない「メルカリらしい仕組みづくり」

長澤:メルカリはこの5年で企業としてもサービスとしても大きくなりました。けれど、やりきれていないところはまだたくさんあります。とくにコーポレート部門では、予算運営やIR、上場企業としてのガバナンス強化など、今後やるべきこと・やりたいことが数多くあります。

ありがたいことに、今のメルカリは多くの方々にいい評価をいただいています。しかし、信頼は崩れ始めると一瞬で失われるものでもあります。そうならないためにも、企業として成長できる仕組みをつくりつつ、上場企業としての信頼を構築できる体制づくりに取り組んでいく必要があるのです。

岡本:メルカリには「Go Bold」「Be Professional」「All for One」というバリューがあります。そしてこれまでは特に「Go Bold」に則って大胆な攻めの姿勢を貫いてきました。だからこそ、企業としてもここまで成長できたと思っています。

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しかし、先ほど長澤さんが言ったとおり、上場後はガバナンス面でも強化していくことが求められます。とはいえ、今後もメルカリのバリューである「Go Bold」の精神も続けなければならない。「どういったバランスをとっていくべきか」といった答えのないなかで、メルカリらしい仕組みをつくっていかなければいけないと思っています。

長澤:これは、既存の仕組みに乗っかるだけでは解決しません。例えば「メルカリなら予算管理をどうするか」と、一から考えていくことが上場後のメルカリでは求められていますね。

岡本:上場=組織として完成した、という印象が強いようですがそれは違います。上場して次の成長フェーズに入った今こそ、私たちがすべきことはたくさんあります。なにより、今回の上場で調達した資金を元に、メルカリはメルペイや海外事業を含めた事業のさらなる成長により注力することができます。そういった次の一手を支援する立場でいたいですね。

長澤:そのとおりですね。メルカリが組織として目指しているゴールはまだ先にあります。企業や事業としての成長スピートを止めず、さらに上場企業としてやるべき役割を果たしていく。そのための新たな仕組みづくりは、きっと今まで以上にエキサイティングだと思っています。

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