選手たちの活躍が「世界挑戦の象徴」になる。メルカリの障がい者アスリート雇用に懸ける想い

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「メルカリのスポーツ支援において、障がい者や健常者などを区別せずに考えるべきでは?」という取締役社長兼COO小泉のひと言をきっかけに始まった、メルカリの障がい者アスリート雇用。その扉を最初に開けたのは、車いすバスケットボール選手である土子大輔と篠田匡世(まさつぐ)でした。

メルカリの障がい者アスリート雇用がスタートし、間もなく2年。メルカリのアスリートとして活動する「メルカリアスリーツ」は土子と篠田を含めて10名に増え、「メルカリの世界挑戦の象徴として、日本代表を目指しながら世界選手権やパラリンピック・デフリンピックなどで活躍し、さらなるメルカリの“ファン”を創り出す」というミッションのもと、日々トレーニングを重ねています。

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実のところ、メルカリの障がい者アスリート雇用は、土子と篠田の協力なくして今の体制を築くことはできませんでした。それほど重要な存在でもある2人は、そもそもなぜメルカリを選んだのでしょうか。障がい者アスリート雇用を立ち上げたPeople Experienceチームの高橋寛行と横井良典を交え、これまでの経緯を4人で振り返りました。

メルカリ入社の決め手は「レスポンスの速さ」

高橋:メルカリの障がい者アスリート雇用は、僕と横井の2人で立ち上げたものでした。オフィスワーカーの障がい者雇用に関する知見は多少あるとはいえ、今回についてはすべてが手探り状態で……。それにしても、当時は「障がい者アスリート採用をします!」と社外に大々的な告知をしていたわけでもなかったのに、土子さんも篠田さんもよくエントリーしてくれましたね。しかも、まるで図ったかのようにほぼ同時でした(笑)。

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People Experience 高橋寛行

篠田:僕と土子さんは知り合いだったものの、お互いにメルカリを受けていたことは知りませんでした。土子さんのほうが先に決まって「どこへ行くんですか?」と聞いたら同じメルカリだと知り……僕らも驚きました(笑)。

土子:僕は当時、父が経営する会社で働いていました。練習環境や時間をより整えていきたいと思い、転職活動をしていたんです。でもまさか、篠田さんとほぼ同時期にメルカリに入社するとは。

高橋:車いすバスケットボールは、メインスポンサーにさまざまな大手企業が名を連ねています。正直、メルカリよりそちらを選ぶ選手のほうが多い気がするんですが。実績のある土子さんと篠田さんがメルカリを選んだ理由はなんだったのでしょうか?

篠田:大手企業のアスリート雇用には、待遇や条件面においてすでに完成された仕組みがあります。しかし、当然ながら競技によって動き方はまったく異なります。全競技に対して同じ仕組みが適用されていると、どうしても動きづらい部分が出てしまうんですよね。僕はもともとゼロから築き上げていく過程が好きなタイプでもありましたので、「どうせなら競技ごとに話し合って仕組みを決められる会社にいきたい」と思っていたところでもありました。

土子:僕は、高橋さんとのメールのやりとりで決めましたね!

(一同笑)

高橋:それはどういう?(笑)。

土子:高橋さんのメールのレスポンスが、とにかく速かったんです。そのスピードに力強さを感じて「ここにしよう」と決めたんです。僕はこういった細かな部分にこそ、会社のカルチャーが現れると思っているので。

競技活動に集中するための出社ルール

高橋:僕らにとって2人は、障がい者アスリート雇用の礎を一緒に築いてくれた存在です。そう言っていいほど、土子さんと篠田さんと話し合いながら決めたことが多いのです。例えば競技活動でかかる活動経費の出し方。これは土子さんと篠田さんに「都度かかった費用を会社に申請するか、毎月決まった金額をお渡しして、あとは個人の裁量でやりくりするか。どちらがやりやすいですか?」と相談しながら決めた記憶があります。

篠田:僕らはなるべく競技活動に集中したかったので、あらかじめアスリート手当としてもらった金額でやりくりする方法を希望しました。そうすれば、申請側も管理側も負担が少ないと思ったんですよね。また、競技活動は月によって費用がかからなかったり、サポートしてくださるほかの企業とゴチャゴチャになってしまったりする可能性もありましたし。

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メルカリアスリーツ 篠田匡世

高橋:僕らはむしろ、土子さんや篠田さんが毎回費用を申請することで「また遠征費が発生してしまった、また会社にお願いしないといけない」というような心理的負担にならないかを心配していました。そのあたりの感覚も、やりとりしながら知ることができてよかったです。

横井:出社頻度も、話し合って決めたんですよね。今、メルカリアスリーツは週5日トレーニングし、大会で良い成績を残すことがミッションです。メルカリとしての支援ポリシーは、あくまでスポンサーではなく雇用関係にある社員であり、同僚であること。でも、週5日トレーニングとなれば、基本的に出社しないことになります。いかに一体感をなくさず、かつトレーニングに集中できる出社頻度になるかは、何度も話し合いました。

土子:最初は月1回の出社でしたよね。でも、日本代表として活動している身としては、そのペースでも出社はなかなか難しく。都度「今月は出社が厳しそうです」と相談しています。

横井:ほかの企業でも似たスタイルなんですか?

篠田:そうですね。代表候補になるような選手は月1回の出社、そのほかの選手はだいたい週5日フルタイムで働いていることが多いです。セカンドキャリアを考えて週3日くらいは仕事をしておきたい、という選手もいます。

メルカリのカルチャーにマッチしているかどうか、プロフェッショナルかどうか

土子:逆に僕らも聞きたいのですが、障がい者アスリートの選考基準はどういったところにあるんですか?

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メルカリアスリーツ 土子大輔

高橋:競技実績や成績における選考基準は特にないのですが、強いて挙げるとするならば通常の採用と同じく「メルカリのカルチャーにマッチしているかどうか」、とりわけアスリートは志向やスタンス面で「プロフェッショナルであるかどうか」ですね。

横井:メルカリアスリーツは月1回を目安に不定期な出社となっています。会社からのオフィス出社に関する制約が少ない分、思いっきり競技活動をできるわけですが、逆を言えばサボろうと思えばサボれる環境でもあるんです。そんな環境でもバリューに沿って行動し、成果を出し続けられるかどうかは採用基準の1つと言っていいかもしれません。

篠田:確かに、メルカリに雇用されていますが、競技に関するコーチングをしてもらえるわけではありません。練習環境もトレーニング計画も、常に自分でつくっていく必要があります。制約がない分、自分でどうコントロールしていくかは難しいところですね。

高橋:土子さんと篠田さんはお会いした当初からプロフェッショナル感が強く、僕らが圧倒された記憶があります。印象的だったのは面接時に「アスリートとしてダメだと思ったら、容赦なく雇用契約を終了してもらって大丈夫です」と言われていたことです。

篠田:言いましたね(笑)。アスリートとしての活動さえできれば、雇用形態にもあまりこだわりがないので。

土子:そうですね。おかげで今、競技活動に専念できているのはありがたいです。あと、メルカリには一体感があるんですよね。スポンサードだけだと、どうしても利害関係のみになりがちです。でも、ここでは「仲間」ということで、メルカリメンバーも僕らの活動を応援してくれています。アットホームですし、僕は今の雰囲気が好きですね。

横井:でも、会社としてのバックアップやフォローアップの部分は課題だと思っています。メルカリアスリーツとメルカリメンバーが交流できる場をつくるようにしていますが、お互いに切磋琢磨し合える環境にはまだまだほど遠いなと感じていますね。

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People Experience 横井良典

高橋:その課題感は僕にもあります。篠田さんがドイツリーグにチャレンジすると聞いて、すぐに日本のお米を送ろうと思ったのに実行できなかったことは心残りでした。そういったメルカリらしい支援といいますか、お金だけじゃない関係だからこそできることがあるはずだと思いながら、実際には手を動かせていないジレンマは常にありますね。

篠田:お米は送ってほしかったかも!(笑)。とはいえ、あまり干渉されすぎると、選手も動きづらくなるので。「長続きするカップルの秘訣」みたいな言い方になりますが、お互いあまり干渉せず、ただ大事なところではしっかり連携できればいいなと思いますね。

「世界を目指す」仲間として考える、2020年以降の活動

高橋:そもそもメルカリがアスリート雇用を始めた理由の1つに「メルカリの象徴となってほしい」があります。メルカリは日本だけでなく、アメリカやイギリスでもサービス展開しています。まさにビジネスの世界で金メダルを目指しているのですが、それはアスリートがスポーツの世界で金メダルを目指すことと同じ位置づけです。スポーツで例えると、今のメルカリは代表候補選手に選ばれたかどうかくらいの感じですかね。

横井:そうですね。

高橋:そう考えると、今後は土子さんや篠田さんのようにすでに活躍しているアスリートだけでなく、まだ代表経験が浅いアスリートをメルカリ社員として採用し、競技活動を支援していきたい。そして、その選手が日本代表になり、世界を舞台に活躍してもらうことができたら、より象徴としての意味が強くなると思うんです。

篠田:実績が重視されがちな今の障がい者アスリート雇用は、まさに代表経験がない選手にとっては厳しい現実があります。高橋さんが話していることはおそらくほぼ事例のない試みになるだろうし、とても意義のあることだと思います。車いすバスケットボールだけでなく、ほかの競技にも若手のいい選手はたくさんいます。それは双方にとっていいですね。

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高橋:あと、僕個人としては2人に、メルカリアスリーツたちのハブになってほしいと思っています。

横井:僕も高橋さんも、前職などで障がい者雇用を担当していましたが、メルカリの障がい者アスリート雇用を通じてわかったことも多いです。「障がい」と言えど、その内容やレベルによって異なるということも、土子さんや篠田さんと一緒に仕事をして改めて知りました。

高橋:そうなんです。だからこそ2人がアスリートでの経験を活かし、将来セカンドキャリアの一つとしてメンタルケアやコーチングなどをしてくれれば、今後入社するであろうメルカリアスリーツたちの強みになります。もちろんこれは土子さんと篠田さんの引退後の話になりますし、現役で世界を目指す2人に今からその話をするのは失礼かもしれないのですが。

土子:その考えは、なくはないです。現実問題として、僕らには「2020年以降の活動をどうするか」があります。僕は引退した後でも「あの選手は楽しそうだった」と思ってもらえる選手活動を目指しています。今はとにかく競技活動を精一杯頑張ることはもちろん、今後メルカリがどんどん大きくなり、障がい者雇用が増えていく場合、何か役に立ちたいと思いますね。

篠田:100点満点の回答しすぎじゃないですか!(笑)。でも、土子さんの想いと一緒ですね。2020年の東京パラリンピックを盛り上げるだけでなく、障がい者アスリート雇用そのものを盛り上げられるといいですよね。

プロフィール


高橋寛行(Hiroyuki Takahashi)
大学卒業後、新卒で株式会社インテリジェンスに入社し、人材紹介業に携わる。株式会社ミクシィにて人事キャリアをスタートさせ、エンジニア中心の採用に従事。その後、株式会社コロプラの人事労務マネージャーとして新卒・中途採用のほか、制度企画・労務等の人事全般を経験し、2016年より現職。


篠田匡世(Masatsugu Shinoda)
18歳のときのバイク事故により両脚を切断。19歳から車いすバスケットボールを始め、1年でU23日本代表へ。2年目にはアジアパラに日本代表として参加し金メダルを獲得。2017年はドイツのプロリーグに参戦。現在は埼玉ライオンズで2020年の東京パラリンピックを目指す。


土子大輔(Daisuke Tsuchiko)
13歳でバスケットボールを始める。26歳でバイク事故に遭い右脚大腿部を切断。約1年間のリハビリを経て車いすバスケットボールを始め、1年で日本代表に選出される。2016年のリオデジャネイロパラリンピック出場9位。2020年の東京パラリンピックで金メダル獲得を目指す。


横井良典(Yoshinori Yokoi)
人材サービス、社労士事務所、アパレル企業で10年以上に渡り、人事労務業務を担当。10人以下の企業から数千人規模の企業までの各フェーズ、他業種における労務課題に向き合う。2016年6月、メルカリ入社。労務を担当。東京都社会保険労務士会・勤務社労士/産業カウンセラー協会・産業カウンセラー。

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