リリース前から135万か所獲得。メルペイのセールスチーム立ち上げ秘話

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スマホ決済サービス「メルペイ」は、多くの方々にご利用いただくことだけがゴールではありません。決済サービスを皮切りに「信用を創造し、なめらかな社会を創る」という世界観を実現することが本当のゴールです。そのため、リリース前からメルペイ利用拡大のための営業を行ってきました。

実は、これまでのメルカリグループのなかに「Business Development(BizDev)」はあれど、「セールス」という職種はありませんでした。そのため、セールスチームの立ち上げはメルカリグループ史上、メルペイが初めて。そんな彼らはリリース前にも関わらず、コンビニ、レストランなど、全国約135万か所(iD決済、及び展開予定のコード決済含む)のお店(オフライン)でメルペイを利用できる基盤を構築しました。

まさに、メルペイとお店側との架け橋を担うメルペイセールスチーム。セールスメンバーがまったくいない状況で、どのようなチームづくりが行われていたのでしょうか。また、手元にサービスがないなかでどのような営業活動が行われていたのでしょうか? 執行役員VP of Business Developmentの山本マーク(以下、@mark)と、マネージャーの杉水流(すぎずる)智之(以下、@zuru)に話を聞きました。

「メルカリグループ初のセールスチーム発足」へのワクワク感

ー@markさんも@zuruさんも、2018年4月にメルペイへジョインしていますよね。お2人は、もともと知り合いだったのですか?

@mark:そうです。僕と@zuruさんはグーグルのクラウド事業の立ち上げ営業として一緒に働いていました。僕がパートナーシップの開拓で、@zuruさんがダイレクトセールスという役割でしたね。その後、僕は決済サービスを提供するSquareやAppleなどで、日本事業の立ち上げを行い、現在に至ります。
f:id:mercarihr:20190304141854j:plain@mark(執行役員VP of Business Development)

@zuru:@markがグーグルを退職したあとも、何かとやりとりが続いていたんですよね(笑)。僕の場合、これまでずっとBtoBの営業をしていたので、@markのように決済事業での営業経験はありません。そのため、今回のメルペイが初めてだったんです。

ーなぜ、メルペイで決済事業での営業に挑もうと思ったのでしょうか?

@zuru:メルペイを含むフィンテック領域は、まだまだブルーオーシャンです。純粋にこの領域への挑戦は、おもしろそうだなと感じました。また、メルカリグループにとってセールスチーム発足も初めて。チームをゼロからつくり上げていくことも魅力的でしたね。何より「@markがいるから大丈夫だろう」と思っていました。
f:id:mercarihr:20190304141900j:plain@zuru(セールスチーム マネージャー)

@mark:そういえば、@zuruさんが入社してしばらくの間、決済事業に関する勉強会を毎朝していましたよね。

@zuru:してましたね! 決済手段の種類や定義なども、すべて@markがインストールしてくれました。

当初のメルペイに必要だったのは「新しいものを広げる営業」

ー@markさんは執行役員VP of Business Development、@zuruさんはセールスチームのマネージャーとして、入社後すぐにチームの立ち上げに取り掛かったと思うのですが、採用はどのように進めていったのですか?

@mark:採用するためにまず考えたのは、「メルペイならではのセールスチームをどう創造するか」でした。というのも、営業はターゲットや市場、事業内容、フェーズによって提案内容や方法も変化します。そのため、すべての条件を満たす「ドンピシャな人材」はいないことが多いんです。メルペイにとって理想のセールスチームから逆算するかたちで、採用のやり方を考えました。

ーメルペイならでは、ですか。

@mark:そうです。そこでたどり着いた答えが、メルペイセールスチームを創造するには「特定の事業に特化した営業」「新しいものを広げる営業」のそれぞれが必要だということ。例えば、僕は決済という「特定の事業に特化した営業」が得意、そして@zuruさんは「新しいものを広げる営業」が得意です。メルペイのセールスチームに求められるのは「決済のその先」の世界観を構築し、広げていくこと。そこでまずは、@zuruさんのようなタイプの人材を中心に採用をスタートさせたんです。

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@zuru:営業は、専門知識さえあればできるわけではありません。それに、経験がなくともキャッチアップを続ければ、知見を増やすこともできます。@markも話していますが、だからこそメルペイでは当初からゴリゴリの金融系営業マンではなく、僕らが描きたい世界観に強く共感し、広められるパワーがあるかどうかを重視することにしたんです。

ーそれぞれのタイプを、どのように判断していたのですか?

@zuru:採用に関しては、セールスチームのメンバーである私と@mark、時には直樹さん(メルペイ代表取締役)に入ってもらいながら進めてきました。そして、全員がOKじゃないとお断りするようにしていましたね。メルペイの世界観を広げていくには、地頭の良さやコミュニケーションスキルだけでなく、オーナーシップを持って組織内を泳げるスキルも必要。そのあたりを、チーム全員で判断していました。

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@mark:もちろん、それから徐々に決済事業での営業経験が豊富なメンバーも採用していきました。結果、決済事業での営業経験が豊富なメンバーと、新しい領域に踏み込むような営業ができるメンバーがいいバランスで集まっているチームになりましたね。最近では、決済事業での営業経験が豊富なメンバーが関連知識をシェアしてくれたり、もう一方のメンバーからは新しいものを広げるときのセールストレーニングがあったり。双方の知見を共有する流れも起こるようになりました。どのメンバーもメルペイのミッションに共感しているので、その融合は難しくありませんでした。

ーセールスチームは、Slackでのやりとりも活発です。特に@zuruさんがメンバーを褒め称え、鼓舞するようなメッセージをよく目にします。

@zuru:僕自身、メンバーにスポットライトを当てたい気持ちがあります。メンバーがどんどん前に出て、社内MVPを受賞しているのを見るのはとても嬉しいんです。セールスチームは外回りも多いので、ほかのチームからすると「何をしているのか」がわかりにくいところもあります。でも、マネージャーである僕が各メンバーの頑張りを伝えれば、同時にセールスチームが何をしているのかがわかる。メンバーそれぞれのストーリーを社内に広げ、頑張っていることだけでも伝えることができればと思ったんです。

営業成績を追求するのは、社内モチベーションのため

ーメルペイは、サービス開発時から営業を開始。コンビニ、レストランなど、全国約135万か所でメルペイを利用できる基盤を構築していました。しかし、手元にサービスがないなかでの営業は非常に難しかったのではないでしょうか?
f:id:mercarihr:20190304181726j:plain先日開催された「MERPAY CONFERENCE 2019」で発表された資料

@zuru:僕らとしてもお店側に具体的な機能をお話しできないので、正直、とてもハードルの高い営業ではありました。だからこそ最初に意識していたのは「ファンを増やす」ということ。例えば、メルペイがあることで決済や金融のあり方がどう変わっていくのか。これを時間をかけて丁寧にお話しした結果、お店側に共感していただけたんじゃないかと思っています。

ーサービスがつくられていく過程のなかでの営業は、開発チームとも密なやりとりが必要ですよね。よくイメージされるのは「営業と開発チームの対立」などありますが、その点はどうだったのでしょうか?

@mark:メルカリグループにとって、メルペイが初めての決済事業。そのため、開発チームにも、決済サービスでの経験を持つメンバーは多くなかったんです。そこで、決済事業経験のあるセールスメンバーが「決済機能にはこういうものがあって〜」と話すと、開発メンバーたちが「じゃあ、こうだね」とすぐに理解してくれる。その機能やUIが本当に素晴らしくて。何より、エンジニアではない僕らの話もちゃんと聞いてくれるのが嬉しかったですね。彼らなら、絶対にいいものをつくってくれるという揺るぎない信頼は、ずっとありました。

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@zuru:あと、プロダクトデザイナーが、自ら営業に同行してくれたこともありました。そして、営業先でプロトタイプを使ってもらい、その場で出た意見を聞き入れてくれたんです。そういったことがあるたびに、メルペイの財産はプロダクトチームであると改めて感じていました。営業は、契約件数などを増やすことだけがミッションではありません。彼らがつくったサービスを広げ、決済の世界を変えることがミッションです。この気持ちは、開発チームとやりとりしていくなかでどんどん醸成されていった気がしますね。

ープロダクトチーム側の、セールスチームに対する理解もあったのですね。

@mark:はい。また、醸成という意味ではもう1つ意識していたことがあります。先ほど、@zuruさんはセールスメンバーがちゃんと評価されるようにスポットライトを当てていると話していました。僕の場合は@zuruさんとは少し違った目的で、セールスチームの成果に光を当てたいと思っていて。

ー違う目的?

@mark:そうです。メルペイは決済サービスという性質上、開発でもより慎重になる必要があります。そのせいか、リリースが近づくにつれて焦りなどの感情が高まっていくようにも感じていました。そこでセールスチームが「案件とれました!」と積極的に伝えることで、一人ひとりに脚光を当てることはもちろん、メルペイが着実に、正しい方向に進んでいると感じてもらえるように意識しました。社内に「僕らのプロダクトは素晴らしい」とリリース前から伝えることで、組織に自信と安心感を強めていったんです。

@zuru:そうですね。リリースまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。頑張っているエンジニアやデザイナーのモチベーションにつながるなら、外回りもお安い御用ですね(笑)。

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メルペイセールスチームは第2章の幕開けへ

ーあらゆる道のりを経て、2019年2月、メルペイはローンチされました。今後は営業スタイルだけでなく組織も変わると思いますが、どんなマインドセットで挑んでいくのかを教えてください。

@zuru:これまでセールスチームは、メルペイの世界観に共感してくださるお店を増やすことがミッションでした。リリースされた今、メルペイのサービスはさまざまな方々に使われていきます。そうすると、提案だけでなく、アカウントマネジメントも必要になります。フェーズが変わるという意味では、今後のセールスチームはシフトチェンジします。まさに、第2章の幕開けです。

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@mark:そうですね。メルペイが広がれば、ほかの決済事業者も参入しやすくなるはず。そして、多くのみなさんとって便利な世界になる。メルペイが「オープンネス」を掲げているのは、そのためです。この勢いを失うことなく、次のステージに進んでいきたいですね。

@zuru:営業は、決して楽しいだけではありません。しかし、実直に挑み続けることで、サービスへの共感は広がっていきます。そうすれば、メルペイでの決済時に鳴るサウンドを、さまざまなお店で聞けるようになるんです。これは何にも代えがたい達成感です。メルペイを日本一使われる決済サービスにし、街なかで「メルカリ♪」のサウンドを広げていくために、僕らにできることはまだまありますね。

プロフィール

山本マーク(Masato Mark Yamamoto)

2004年 東京大学大学院 学際情報学府 修士課程修了。NTTドコモを経て、2008年よりGoogle JapanのEnterprise部門 Head of Partner Salesを務める。2014年にはSquare JapanにてHead of Business Development and Sales、2016年からはApple JapanにてApple Pay加盟店事業統括責任者を務める。2018年4月より現職。

杉水流智之(Tomoyuki Sugizuru)

元アドビシステムズOEMセールスマネージャーとしてPhotoshopやAcrobatのシェア拡大に務める。2007年からGoogleエンタープライズ部門営業本部長としてG Suiteの国内ローンチならびに営業活動に従事。法人向けにクラウドの普及と利用を促進。2018年4月、株式会社メルペイの営業責任者に就任。

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