「若手の成長がメルカリを強くする」CTO名村が明かした新卒採用への想い

メルカリの新卒採用担当者が、新卒メンバーの入社当時から現在までを探っていく特集企画。ファーストキャリアとしてメルカリを選んだ新卒メンバーたちは、今何を思い、どのようなキャリアを手にしているのでしょうか?

連載第1回目は海外から来たメンバーに母国を離れてメルカリに挑戦した理由、第2回目にはエンジニアとして入社し、現在はプロダクトマネージャーを務めるメンバーにキャリアについてうかがいました。

第3回目である今回は少し趣向を変え、若手メンバーの採用や登用に積極的な姿勢を持つメルカリCTO(Chief Technology Officer)である名村卓にインタビューを実施。

2015年から新卒採用を本格的にスタートさせたメルカリですが、スタートアップであるにも関わらず、新卒採用に注力し始めたのはなぜでしょうか。名村へのインタビューを通じて見えてきたのは、メルカリが成長し続ける企業であるための欠かせない条件でした。話を聞いたのは、メルカリの新卒採用担当を務める奥田綾乃とHRBP(Human Resource Business Partner)のCheng Tsz Kiu(以下、Liz)。ともに新卒採用に取り組んできた3名が、改めて膝を突き合わせ「これからの新卒採用のあり方」について語り合います。

人の成長は、企業の成長に紐付いている

奥田:メルカリグループでは「通年採用」を掲げ、中途・新卒問わず実力のある人材を採用してきました。今日は名村さんに、メルカリが新卒採用にも力を入れている理由をうかがいたいと思っています。

名村:わかりました。さっそくですが、メルカリが新卒採用に力を入れている理由は2つあります。それは「サービス視点」「組織の視点」です。まず、サービスの視点からお話ししますね。フリマアプリ「メルカリ」というサービスをより良くしていくためには、「若い世代のアイデア」がとても重要です。というのも、IT業界はここ数年でかなり成熟しつつありますが、まだまだ成長率の高い状態。日々、さまざまな変化が起きています。

奥田:トレンドという意味でも、この業界自体がとても流動的ですし、メルカリ自体もめまぐるしいスピードで変化していますよね。

名村:そうですよね。しかし、組織がベテランメンバーだけで構成されていると、どうしても過去の経験をもとにしてつくられているサービスが中心になりがちです。そうすると、時代の波に乗り遅れ、最終的には衰退していきます。いかに若い世代の考え方や価値観を受け入れ、それをサービスづくりに反映できるか。それが今後のサービスの成長を考えていくうえでは非常に大事。だからこそ、中途採用だけでなく、新卒採用にも力を入れているのです。

名村卓(メルカリCTO)

Liz:もう1つの「組織の視点」とは?

名村:今、メルカリは「人が育つ企業」となるためのフェーズに進もうとしています。僕個人の考えとしても、若い人材が育たない企業は、基本的に企業としても成長できないと思っているんです。例えば、成長スピードが最も速いであろう20代が「5年間で働いたけど、何の変化も感じなかった」となる企業は、スケールするポテンシャルがないと言ってもいいのではないでしょうか。5年間でいろいろなことを学び、何かしらの技術が身につくような企業こそがいい企業であり、僕はメルカリをそんな企業にしなければいけないと思っているんです。

Liz:「人を成長させる」企業が、名村さんにとっていい企業の定義?

名村:はい。人の成長は、企業の成長に紐付いています。メルカリで働いているメンバーにとって「最も成長できる環境」であれば、企業としても成長できているということ。何より、仮に新卒メンバーがメルカリを辞めても、転職先で活躍できるくらいのパワーが備えられていれば、本人だけでなく、IT業界全体の成長にもつながります。これは、とても素晴らしいことですよね。だからこそ僕は、メルカリを「人が育つ企業」にしたいと思っています。そもそも、新卒採用では、入社したメンバーを育成しなければならないプレッシャーもあります。それがいい刺激になり、成長する企業になっていきます。そういった意味でも、新卒採用に注力しているのです。

成長するために必要なのは「意思決定の数」

奥田:名村さんから見て、今のメルカリは新卒メンバーを育成するための環境がどれくらい整備されていると感じていますか?

奥田綾乃(新卒採用担当 マネージャー)

名村:他社に比べて新卒がものすごく成長できる環境を完璧に提供できているかどうかというと、はっきり言ってわかりません。ただ、成長できない環境ではないと思っています。

奥田:「ものすごく成長できる環境」とは、どのようなものをイメージされているのでしょうか?

名村:人が成長するために必要なのは、意思決定の数の多さです。自分がいいと思ったものに挑戦し、結果を得る。そのくり返しが、人を成長させていきます。そのために企業ができることは、中途・新卒関係なく裁量権を与え、何事もメンバー自身が決められる環境づくりです。

奥田:メンバー個人で意思決定できる環境?

名村:例えば、AとBの選択肢があったとき、相手が誰であろうと「Aをやりたい」と言えるかどうか。エンジニアで言うと「この機能がいいと思う。絶対にやるべきだ」と提案したものの、上司や先輩から「それは難しい」と断念させられてしまうパターンですね。その時点で、成長する機会を1つ失います。さらにそんな状態が続くと発言することに対して萎縮するようになり、自分が正しいのかどうかすらわからなくなってしまうんですよね。

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奥田:その状態は、怖いですね。

名村:もちろん、上司や先輩にも「難しい」と言わなければならない背景があるので一概に悪いと言い切れない場面もありますが……。だからと言って、企業が持つ価値観だけで、意思決定を否定してはいけない。メンバーそれぞれが意思決定し、挑戦することを企業として支援できるかどうか。新卒メンバーなどから提案があったときに「試してみればいい」と言える状態をつくれるかどうか。それが結果的に、人が育つ環境につながっていくのだと考えています。

Liz:意思決定を邪魔しない環境づくりに対して、メルカリはどれくらい達成できている状況でしょうか?

名村:はっきり言って、まだ整っていないですね。今まさに整えようと、いろいろなことにトライしているところです。

マイクロサービス化のゴールは「意思決定を邪魔しない環境設計」

Liz:先ほど、意思決定を邪魔しない環境を整えようとしているとお話しされていました。具体的には、どういったことが進められているのでしょうか?

名村:メルカリグループでは今、各エンジニアたちが意思決定ができる開発環境をつくるために、開発手法の1つであるマイクロサービスアーキテクチャの導入を2017年からスタートさせています。この最終ゴールは、意思決定を邪魔しないことにあります。マイクロサービスアーキテクチャを導入することで、それぞれのエンジニアが機能開発をしてもサービス全体が停止するようなことは起きにくくなるし、その機能がいい結果を出さなければリリースされない。そのため、サービス全体に悪い影響もありません。

Liz:意思決定の基準を主観ではなく、客観的なデータをもとにする。それによって、各開発チームだけでなく、メンバーにとっても裁量ある環境ができるということですか?

Liz(HRBP)

名村:この仕組みが上手くいけば、突飛な考えを持っていたり、他の人が理解できない感性を持っていたりしても、誰かの「それは良くないと思う」という主観で否定されません。そして、そのアイデアのなかから大きなヒットが生まれるかもしれない。仮に良くない機能を開発したとしても、データが悪ければリリースされない仕組みもあるため、デメリットもありませんよね。もちろん、企業が個人の力に依存していてはダメなんですけど、一般的な常識に縛られていてもダメ。いろんな考え方が社内に広がり、誰も予想がつかなかったものでもきちんと受け入れて、すごく良かったら採用する、ということをしないといけないのです。

奥田:新卒メンバーの意思決定を妨げない仕組みをつくることで、より新しいアイデアを受け入れられる体制を築く。これが名村さんの考える、理想的な組織でしょうか?

名村:そうですね。ダイバーシティを受け入れることで、みんなが知らなかった事実を知る。そうしてみんなが成長していく。自分とは似ても似つかない人たちの価値観を「企業のカルチャーに合わない」「その考え方はおかしい」と言って試す前に潰していると、いつまで経っても新しいものは生み出せません。そうすると成長もできない。いいものはいいと受け入れる仕組みづくりは現在、進めているところです。

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Liz:メルカリは、新卒・中途、そして国内外問わず「優秀な人材であれば採用する」という姿勢を一貫しています。入社後は年齢関係なくフラットな立場でやりとりすることになるため、新卒の採用選考でも、スキルチェックなどは中途採用に近いレベルで実施しているのです。そして年々、メルカリに入社する新卒メンバーは増えています。現場のエンジニアリングマネージャーによる新卒メンバーの受け入れや育成方法で、変化を感じますか?

名村:これには、まだまだ課題も多いですね。というのも、新卒の受け入れに関してはキャパシティに余裕のないチームもあります。これまで中途で優秀な人材を採用することに注力していたので、育成に関してはチャレンジを始めたばかりです。

Liz:どのようなチャレンジを始められているのでしょうか?

名村:これまでのメルカリには新卒・中途問わず、受け入れや育成の仕組み(オンボーディング)が確立されておらず、本人の気概に任せているところがありました。とはいえ、新卒の場合は、そうはいきません。中途に比べて、オンボーディングをもう少し手厚くする必要があります。「オンボーディングを大事にしよう」と各チームやマネージャーが頑張っているところなので、少しずつ変わってくると思っています。

不満の多い人ほど、成長スピードが速い

奥田:これまでに採用してきた新卒メンバーを踏まえて、名村さんが考えている、メルカリの開発組織で成長する新卒メンバーの共通点は何ですか?

名村:基本的には、何事にもトライする人ですね。「今のままで大丈夫だ」と考えてしまう人はダメだと思います。メルカリに関して言うと、「メルカリは多くのお客さまに使われてるし、今のままでいいんじゃない?」と思ったら、そこで終わりなわけです。成長していく人は現状に満足せず、アプリのUIをひとつとっても常に課題感を抱えていて、改善したくて仕方ない。今の状態で満足せず、不満が多い人ほど成長する気がします。

奥田:「満足できない」「何とかしたい」が、次のトライにつながっているんですね。

名村:あのグーグルですら、組織やプロジェクトの進め方について、常によりいいものを求めて変化させています。コードレビューのシステムもそうです。彼らの規模になっても変わり続けている。成功している企業は、現状に満足しない。メルカリも「今のままでいいじゃないか」となってしまわないように注意しなければいけないですよね。

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Liz:ちなみに、名村さんは新卒メンバーの成長角度をどのように測っているのでしょうか?

名村:注目しているのは、質問の仕方です。「これはどうやって実現したらいいですか?」ではなく、「この課題をこう解決しようと考えている」「それについてどう思いますか?」と質問してくる人は成長確度が高いと感じます。自分の考えを持っていて、それがいいかどうかを検証したい。そういう人の方が成長スピードは速いですね。

Liz:最後に、新卒としてメルカリグループに飛び込むメリットについて教えてください。

名村:メルカリは、人の生活や価値観を変えているサービスです。以前までなら、ものを買う前に、「メルカリで売るといくらになるか?」と考えることはありませんでした。でも今は、多くのお客さまがそれを前提に買い物をしていますよね。考え方を変えるということは、今までなかったものを生み出しているということ。つまりメルカリには、世の中にない概念を今後もつくっていける可能性があります。そのためのサービスをつくる土壌はもちろん、カルチャーもそろっているので、新卒の方にもチャレンジしてほしいですね。

奥田:ありがとうございます。私たちも引き続き、採用活動を頑張ります。

名村卓(Suguru Namura)

2004年株式会社サイバーエージェントに入社後、アメーバピグ、AWA、AbemaTVなどの新規サービスの立ち上げに従事。2016年7月、株式会社メルカリに参画。US版メルカリの開発を担当、2017年4月、執行役員CTOに就任。

奥田綾乃(Ayano Okuda)

2009年株式会社サイバーエージェントに入社。社長室配属を経てソーシャルゲームのプロデューサーとして企画立案、運用、進行管理を経験した後、複数のゲームを束ねるユニット長として事業戦略、マネジメントを経験。2017年3月に株式会社メルカリに入社。新卒採用に従事。

Cheng Tsz Kiu

香港中文大学心理学部を卒業後、新卒として株式会社東芝へ入社。2016年4月に株式会社東レに転職し、留学生採用を担当。その後、2017年12月にメルカリに入社し、グローバル採用とDiversity & Inclusionプロジェクトを立ち上げる。2019年4月からはHRBPを担当している。

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