メルカリのQAでTPI NEXT®をちょっと導入してみた話

こんにちは。メルカリQAチームの米山です。
今日はQAチームで現在進めている活動の一つ、「TPI NEXT®」に沿ったプロセス改善の話をしてみたいと思います。

メルカリのQAチーム

どんなことをやっているのか

QAチームのメンバーは現在9名。検証対象は日本版のアプリは勿論、US版アプリ、WEB版、CSツールなど様々です。メルカリでは、アプリの機能ごとに開発チームが別れており、QAメンバーがそれぞれのチームに所属し、各々の案件を担当しています。

メルカリのQAチームについては、こちらの記事でも紹介していますので、ぜひご参照ください。

mercan.mercari.com

TPI NEXT®とは?

TPIはTest Process Improvementの略で、オランダのSogeti社で開発されたプロセス改善の手法です。主に欧米の企業で数多く活用された実績があるそうです。昨年日本語訳された書籍が出版され、JaSST等のイベントも通じて日本国内でも広まりつつあります。

TPI NEXT? ビジネス主導のテストプロセス改善

TPI NEXT? ビジネス主導のテストプロセス改善

具体的にはテストプロセスを16のキーエリアに分けて、プロセスの成熟度を判定します。
このキーエリアとレベルは標準的なものがTPI NEXT®には用意されていますが、現場によって適宜入れ替えたりすることも可能です。
メルカリに当てはめた場合でも必要なプロセス、不要なプロセスがあるので、そこは内容を理解した上で取捨選択しながら進めています。

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なぜメルカリのQAチームで試してみたのか

メルカリのQAチームは、発足してからの約2年の間に1名(2年前)⇒6名(昨年)⇒9名(現在)と急激にチームが拡大しています。

その一方、QAに関するプロセスはほぼ2年前のままという部分が多く、途中からチームに参画した各メンバーも、「このやり方は適さないのではないか」という想いを様々な部分で持ちつつもまずはスピード優先で今までのやり方を踏襲してきました。

具体的にブレークダウンしてプロセスを変える事はとても労力が必要ですし、目の前のタスクが山積みの中で、そこまで手を回せなかったんですね。

そんな中、JaSST’16 Tokyoというイベントで、「”自己評価”と”自己改善”で始めるテストプロセス改善」というセッションを拝聴し、TPI NEXT®に興味を持ちました。(講師は「TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善」の書籍を、昨年日本語に翻訳した方々です)

そこでチュートリアルとして、TPI NEXT®のクラスタセット(≒優先度)Aのチェックポイント(16個)を各現場で達成できているか判定をしたところ、メルカリはまだまだだなと痛感。是非メルカリにもプロセス改善として取り入れたいと考えました。

そして丁度その頃来期のチーム目標を掲げるタイミングがあり、提案⇒やってみようという経緯になります。

メルカリで試してみて

導入時のポイント

  • 想いを先行させすぎず、導入効果を考えてみよう

まずこういったプロセス改善系の話は、

「それやったところで良くなるの?」
「またタスク増えるんでしょ?」
「そもそも誰がやるの?」

といった意見が出がちで、導入する前に話が終わるケースが多いと思います。

そこで、具体的な話を展開する前に、導入したいという想いだけ先走らないよう、導入によってどこが改善されるかという点を熟考しました。
(変化に対し批判で終わらない、改善の必要性を感じているメンバーが揃っていることにも助けられ、比較的スムーズに導入できたと思います。)

  • メンバー主導で実務に沿ったプロセス改善

プロセス改善を進める場合、一般的には専属の担当が置かれたり、マネージャクラスの管理者主導で進めるケースが多いと思いますが、メルカリではメンバーが主導で、業務と平行しながら進めています。メンバー主導で進めることにより、実際の業務に沿った形での改善を進めらるメリットがありました。

  • 全てをやろうとしない

改善すべき部分を全てやろうとするのではなく、今の業務の進め方に必要だと思われる部分のみを採択し、現状での必要最低限な選択を意識することで、少ない工数の中での改善活動を続けられています。

導入後の効果

  • 課題が浮き彫りに

導入にあたり、メルカリQAチームで現在出来ている部分/出来ていない部分が洗い出せたことが、単純に良かったと思います。

  • 適用具体例:情報のナレッジ化

TPI NEXT®のクラスタセットの中には、「欠陥管理」という項目があります。

メルカリでは、本リリース前に検知したBug(欠陥)やリリース後に検知されたBug(障害)の振り返りが不足していると感じてました。

その点を解消すべく、Bug情報や煩雑な検証手順、過去のテストケースも含めてWikiにまとめ、有益な知識・経験・事例・ノウハウを蓄積するという方法を採択しました。これを実現させることにより「テストウェア管理」(≒テストケースの管理)も同時に改善でき、今後更に情報を充実させれば、属人化の抑制にも繋がると考えています。

一番大事なポイントとこれから

本プロセス改善活動は、まだまだ全ての面で改善途中であり、まだまだやることだらけです。都度チューニングすべきポイントはあると思いますが、一番大事なのは各メンバーが、この活動によって「これまでより改善したね」ということを実感できる事だと思っています。

また、メルカリと同様にTPI NEXT®を導入しようと試みているQAエンジニアは他社さんにもいますので、そういった方々とも情報交換しながら進めています。うまくいった点も反省すべき点も、今後のQAイベントやmercan(メルカン)で振り返り結果を発表できたらと思っています。 

QAチームはまだまだ大募集中!

今回取り上げたTPI NEXT®の導入しかり「こうしたら良くなるのでは」、「こんなこともやってみたい」という想いを実現したい方、チャレンジできる環境がメルカリにはあります。

メルカリの今後の展開に対し、まだまだQAエンジニアの数は追いついていません。UKでの展開も控え、USでも絶賛プロダクト開発中(QAも海外赴任&出張しています!)のこの環境で、様々なチャレンジをしたい方、是非力を貸してください!

QA/Test Engineer

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