メルペイ第三章は“ダブル”VP of Engineering体制へ。2人だからできること、目指すこと

2020年7月、メルペイで始まったのは“ダブル”VP of Engineeringという新しい開発体制──。

メルペイがリリースされたのは、2019年2月。約1年半の間、サービスはもちろん、組織体制でもさまざまな意思決定をくり返してきました。そして発表されたのが、2人のVP of Engineering(VPoE)。

新体制では、VPoEは引き続き木村秀夫(@hidek)が担当。そこへ元OrigamiのCTOである野澤貴(@nozaq)が新たに加わります。なぜ、あえて“ダブル”にしたのか。メルペイCTOの曾川景介(@sowawa)も交えて、話を聞きました。

※本インタビューでは、撮影時のみマスクを外しています。

この記事に登場する人


  • 木村秀夫(Hideo Kimura、@hidek)

    1996年にinterQ株式会社(現GMOインターネット株式会社)入社。独立起業、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズを経て、2009年に株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。同社Japanリージョンゲーム事業本部プラットフォーム本部長執行役員、システム本部長執行役員などを歴任。2018年5月より現職。

  • 野澤貴(Takashi Nozawa、@nozaq)

    慶應義塾大学大学院在学中にIPAが主催する「未踏ソフトウェアプロジェクト」に採択された4名のメンバーが中心となり、2006年、モバイルアプリ開発基盤などを手掛けるネイキッドテクノロジーを創業。2011年、同社がミクシィの子会社になったことを受け、分析基盤作りなどに携わる。2012年より株式会社Origamiの創業に参画し、技術担当ディレクターを担う。2020年2月、同社のメルカリグループ参画により、株式会社メルペイへ入社。2020年7月より現職。

  • 曾川景介(Keisuke Sogawa、@sowawa)

    京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻修士課程を修了。2011年にIPA未踏ユース事業に採択。大学院修了後にシリコンバレーの FluxFlex社にてWebPayを立ち上げる。ウェブペイ株式会社の最高技術責任者(CTO)としてクレジットカード決済のサービス基盤の開発に従事、LINEグループに参画しLINE Pay事業を経験。2017年6月メルカリグループに参画。

「基盤構築」「プロダクト全般」で役割分担

ーまず、これまでの開発体制についておさらいさせてください。メルペイCTOは@sowawaさん、VPoEは@hidekさんという役割分担でしたよね?

@hidek:そうです。メルペイの開発は、@sowawaさんをはじめ、メルカリグループの子会社だったソウゾウのメンバーを中心にスタート。いわば、これがメルペイ第一章です。そして採用を強化し、50名ほどの規模になっていた2018年6月に、僕がVPoEとして入社しました。そこで、@sowawaさんはテクノロジー全般、僕がプロダクト・組織マネジメントをするかたちで役割分担したんです。これがメルペイ第二章。

@hidek(メルペイVP of Engineering)

ーでは、今回の新体制は「メルペイ第三章」?

@hidek:メルペイは2019年2月にリリースし、一年以上経っています。サービスのグロースに加えて、Origamiの買収、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務など、事業環境も大きく変わりました。特に僕が見ていたプロダクト・組織マネジメントの範囲が広がり、一人でカバーするのが難しくなっていきました。このままではスピードを落としかねないということで、@nozaqさんに入ってもらったんです。

@sowawa:あと、メルペイでは以前からエンジニアリング部門のバージョンアップを進めたいと考えていました。しかし、つくり上げるだけでも大変なのに、さらにバージョンアップとなると…さすがに無理がある。そのため、@hidekさんは基盤構築や品質・生産性向上、@nozaqさんにはプロダクト全般を見てもらうことにしました。

ー@nozaqさんはどうですか?

@nozaq:いやもう何と言いますか、恐縮です!メルペイへジョインする前から、直樹さん(メルペイ代表取締役CEO、青柳直樹)や@sowawaさんとは、僕自身がどうメルペイの力になれるかを相談させていただいてきました。それがまさか、こんなことになるとは(笑)。ただ、Origamiとメルペイは、決済事業という点では同じ。Origamiでの経験を活かせるまたとないチャレンジだと思っています。これから開発組織にガッツリと関わっていくのが楽しみです!

@nozaq(メルペイVP of Engineering)

“ダブル”VPoEにしたのは「一番動きやすい体制だから」

ー聞きたかったのは、VPoEの役割分担についてです。先ほど、@hidekさんが基盤構築や品質・生産性向上、@nozaqさんがプロダクト全般を見ると話していました。でも、これまでは@hidekさんがプロダクトも基盤構築も全般を見ていたんですよね?わざわざ役割を変えた理由は?

@hidek:役割分担は、僕と@nozaqさんの得手不得手を話し合うなかで決めました。プロダクトに関しては、@nozaqさんのほうが事業経験があります。だったら、@nozaqさんに見てもらうほうがいい。一方で、僕は@nozaqさんよりメルペイでの在籍も長いです。メルペイは今後、メルカリとの連携を強める意味でも、基盤づくりを一緒に進めていくことになります。そうすると、メルカリとある程度の関係性を築いている僕のほうがスムーズに進められそうだ、となったんです。

@nozaq:僕としては、今までメルペイをつくってきた2人がどういう想いでやってきたのかをちゃんと引き継ぐ必要があると思っています。とは言え、意思決定をスピーディーにするための役割分担ですが、それが原因で別々になることは望んでいない。そこは一枚岩でやっていきたいですね。

@nozaq:これまでOrigamiをやっていて感じたのは、決済事業はお客さまだけでなく、加盟店さま・パートナーさまなど関係する方々がとても多いです。いろいろなところへ向けてサービスをつくったり、システムをつないだりしなくちゃいけない。なので「やるべきこと」をシンプルにフォーカスしづらい難しさがあります。Origamiでもそうでしたが、メルペイでも共通のビジョンから逆算して業務を整理し、優先順位をつけながら開発できる体制が求められます。そこを、僕が担当していきたいですね。

@sowawa:これまでを振り返ってみて思うのは、@hidekさんのカバー力の高さ!何度も厳しい局面はありましたが、乗り越えられたのは@hidekさんが背中を守ってくれたからです。@hidekさんのこれまでの知見は、これからも頼りにしています。そして、@nozaqさんはOrigamiの技術統括を担当していたこともあり、FinTechのスペシャリストだと思っています。これからのメルペイ開発体制は、3人でお互いの背中を守り合うように戦っていきたい。そこで、あえて“ダブル”VPoEにしました。

@sowawa(メルペイCTO)

ー 一番動きやすい体制を選んだということですね。@sowawaさんはどんな役割になるんでしょうか?

@sowawa:僕は、開発組織全体を見ながら「メルペイを通じてどういう課題を解決するのか、メルカリやメルペイがどうなればより良い社会をつくることができるのか」を考えていきたいです。そして、メルカリとメルペイに新しい軸をつくっていく。そのためのアイデアを、どんどん出していきたい。あとは、技術的な課題解決ですね。決済サービスをやるうえで避けては通れないセキュリティとかシステムリスクに関しても、これまでどおり僕が担当します。

メルカリとの連携強化、多くトライできる開発体制づくり

@sowawa:メルペイは、たくさんのメンバーとともにつくってきました。新体制になったからと言って、僕らのミッションとやるべきことは大きく変わりません。これまでどおり、お金の問題を解決して多くのお客さまに使われるサービスを目指すだけです。だからこそ、まずメルカリのなかにある決済基盤としての役割をきちんと果たすことが大事。そこは、@hidekさんがメルカリとの連携でより強化していく部分です。

もう1つは、加盟店さまなどのパートナーと連携し、二次流通へつなげていくこと。つまり、よりオープンネスにサービスを広げていく。ここは、@nozaqさんがOrigamiでの経験を活かしながら進めていきます。

最後に「信用の創造」。そもそも、僕らはキャッシュレスによって世の中にある価値観を変えようとしています。今はまだわかりやすい「お金」や「信用」部分にとどまっていますが、引き続き「価値」とは何かを追いかけていきたいと思っています。これは僕の担当領域です。各々に役割がありますが、メルカリを中心に、もっと社会のいろいろなところでサービスを使えるようにする。そして、そのデータを、一次流通や二次流通で活用したり、新しい価値をつくっていきます。

@hidek:メルペイの地平線は、メルカリへ伸びています。僕はプラットフォームやアーキテクチャを見ていくことになりますが、メルカリとの連携を強めつつ、人材流動性も高めたい。そして、メルカリグループ内で長く働いているメンバーが大きなバリューを出せる環境をつくっていけると面白いんじゃないかと思っているんです。

@nozaq:僕はまず、メルペイ内でPDCAを多く回せる体制づくりを進めたいですね。メルペイの大きなゴールは「信用の創造」。それに対して、どれくらいトライをくり返せる体制にできるか。これが、開発体制としてのゴールだと思っています。同時に、ボールが落ちているところもキャッチアップしていく。そして今、経営と現場で話し合い、優先順位をつけているところです。やりたいことは、たくさんあるんですよね。

@sowawa:メルペイは、まだまだ未完成です。@nozaqさんに入ってもらっても、完成とは言えないくらいです。でも、1年前に比べて圧倒的に強い組織になっています。さらにもう一段レベルを上げるのが、僕らの役割。VPoEの2人体制は日本ではあまり聞きませんが、その成果にぜひ期待してもらいたいです。

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