ぶち当たったのは「機械学習の限界」でも、その先に“信用のかたち”がある #メルペイCDのゆかいな仲間たち vol.4

メルペイがミッションに掲げている「信用を創造して、なめらかな社会を創る」で、重要な役割を担っているのがCredit Design(クレジットデザイン、以下CD)チームです。…と書くとカタ〜いイメージもありそうですが、そこにはキャリアもバックグラウンドもさまざまだけれど「信用をカタチづくるおもしろさ」に魅了された、なかなかゆかいなメンバーが揃っておりまして!

そんな彼らの個性豊かな人柄に触れつつ「あなたにとって信用とは?」と聞いちゃう本企画。今回はメルペイのML(Machine Learning)エンジニアである鳥越大輔(@tori)と@shuukが登場します。

CDチームが中心となって築く「信用のかたち」に、機械学習は必要不可欠。けれど、@toriと@shuukは「機械学習の限界にぶち当たった」と話します。一体どういうこと?聞き手は、CDチームのプロダクトマネージャーである鍛 哲史(@kj3104)です。

※撮影時のみマスクを外しています。また、@shuukは顔出しNGのため、別画像に差し替えてお届けしています

この記事に登場する人


  • 鳥越大輔(Daisuke Torigoe、@tori)

    メルペイMachine Learningチーム、エンジニアリングマネージャー兼テックリード。三菱UFJ信託銀行株式会社、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー株式会社を経て、金融数理技術の研究開発・コンサルティングや投資実務を経験。2018年9月よりメルペイへ入社。現在は、与信領域のMachine Learningチームのマネジメントに携わる。

  • @shuuk

    受託開発におけるWebエンジニア、AIコンサル企業におけるデータサイエンティストを経て、Data Analystとしてメルペイに入社。その後はMachine Learning エンジニアにジョブチェンジし、現在に至る。入社から一貫して信用領域の分析に従事する。

  • 鍛 哲史(Satoshi Kaji、@kj3104)

    大学在学中にWeb、ゲーム、VRの事業を立ち上げたのちブロックチェーン企業の創業に参画し日本事業のプロダクトの責任者として従事。海外の国立銀行でのプロジェクトや日本のKYC高度化プロジェクトなどを進行。2018年5月にミッションに共感しメルペイに入社し、メルペイスマート払いをはじめ、さまざまなプロジェクトに取り組む。


「難易度が高い」けどおもしろい、金融×機械学習

@kj3104:お2人は機械学習を使って、CDチームでどんな仕事をしているんですか?

@tori:大きく分けて3つあります。1つ目がCDチームで開発した機能やサービスの改善と運用、2つ目が新機能やサービスの開発、そして3つ目が新しい課題を見つけること。3つ目に関しては、新たな課題を見つけ、何か解決策はないかと探索するようなイメージです。

@kj3104:金融と機械学習技術の融合って、具体的にどんな感じなんですか?

@shuuk:やってみてわかったのは、法的な要件とアラインする時点でいろいろ制約があることですね。法的な要件を1つ守る・守らないの判断で、プロダクトの仕様も大きく変わります。ここは、けっこう神経を使うところですね。

そして、お客さまの大事なお金を扱うサービスなので、社会的責任が非常に大きいこと。サービス自体の精度はもちろん、そのほかの角度からも評価しなくちゃいけない。一般的な機械学習の観点とは異なるリスク感度が求められるのもなかなか難易度が高いです。

@shuuk

@tori:一般論としても、医療と金融、自動運転は社会的責任が大きい領域ですよね。だから、公的機関がしっかり管理していますし、お客さまからの期待も高い。制約を守りつつクオリティの高いものを出すのは、難しいけどワクワクしますね。

@kj3104:ちなみに、お2人はどのようなキャリアを辿ってきたのでしょうか?

@tori:僕は新卒以来、金融業界で仕事をしてきまして、直近ではクオンツという金融業界におけるデータ分析の仕事をしていました。さまざまな仕事を任せていただいたり、優秀な同僚と切磋琢磨できる環境もあり、クオンツとしての仕事は非常に楽しかったです。あるとき、金融Webサービス開発プロジェクトに参加したのですが、金融とWebサービスの相性の良さに強い可能性を感じたんです。

一方で、当時は部分的なコンサルティングしか関われませんでした。それ以来、深くWeb開発やビジネス全体に関わっていきたいという想いを強く持つようになったんです。そこで出会ったのがメルペイでした。もともとメルカリのヘビーユーザーでしたし、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」という会社のミッションも非常に共感できるものでした。そして、気づいたら会社の門を叩いていたんです。

鳥越大輔(@tori)

@shuuk:私は前職でAIコンサルティングをしていました。さまざまな案件があり非常に楽しかったのですが、3ヶ月〜半年のプロジェクトが多く、よりディープにビジネスに関わりたいという想いはありました。

メルペイの存在は、スカウトメールで知りました。興味を惹かれたのは、メルペイのミッションである「信用を創造して、なめらかな社会を創る」。その意味するところについて調べるうちに「金融包摂」という概念を知りました。これは、誰もが等しく金融サービスにアクセスでき、その恩恵を受けられるようにする考えです。昔、まったくお金がない時期に金融格差を感じたことがありましたので、これは刺さりました。また、メルカリというお金のやりとりが発生する市場のデータをもとに信用を創造するのは、非常に筋がいいなと思いました。そして、メルペイへデータアナリストとしてジョイン。その後はMLエンジニアとして働いています。

ちなみに今取り組んでいるのは、定額払いの与信精度の向上です。お金がなかった時期、定額払いのような与信サービスには勉強の費用の捻出などにおいてかなり助けられました。だから、定額払いはきちんと使えばいいサービスだと信じています。

同時に、使い方を誤る怖さもあることを実感しています。なので、使い方をお客さまに委ね過ぎてしまうのも無責任と考えているんです。今後の支払いのシミュレーションの提示や適切なメッセージングをプロダクト側で行うと同時に、MLエンジニアとしてはお客さま本人に無理が生じない範囲で与信することで、安心してサービスを使える土壌をつくっていきたいですね。

メルペイで痛感した、機械学習の限界と“その先”

@kj3104:CDチームは、どうでしょう?

@tori:CDチームのいいところは、常に「信用を創造し、なめらかな社会を実現する」というミッションに立ち返って、「これは良くないんじゃない?」みたいな議論が職種を問わず、自然と出てくるところですね。

@shuuk:組織という意味では、ベンチャーならではのやんちゃさと金融機関ならではのカタさがちょうどいい感じでブレンドされていますよね。だいたいの企画は無邪気に始まる(笑)。でも、完成までの過程で必ずリーガルチェックやリスクチェックなどが丁寧に入り、スピード感を持ちつつも金融機関としてあるべきかたちで進められていくんです。この両立はメルペイならではの動き方だなと日々感じていますね。

さらにメルペイ“ならでは”を挙げるとするなら、メルカリにあるお金とモノのやりとりにより生じたデータを分析でき、そこから信用創造へつなげられるところ。あとは、不要品を売って得た売上金で支払いができるのも、ほかの信用サービスとは大きく違います。

@tori:ほぼ同意見ですね。そういう意味では、メルカリでの売買する行動から信用をつくり出せること自体におもしろさがあります。「メルカリ内で信用に繋がる行動はなにか?」と検証していたとき、メルカリ上で丁寧に売買している行動と相関が高いことがわかりました。そして、今の「メルペイスマート払い(翌月払い)」「メルペイスマート払い(定額払い)」は、お客さまのそういった行動から信用を創ることにしたのです。

一方で、メルペイで「信用のかたち」を追求するなかで、機械学習の限界も感じているんです。

@kj3104:機械学習の限界?

鍛 哲史(@kj3104)

@tori:機械学習は、扱うデータのなかに閉じた静的な世界みたいなところがあるんです。だから、扱えるデータ以上のことはできないし、データ化されていない領域に弱い。

@shuuk:ですね。過去のデータしか扱えないという意味で、機械学習とメルペイが目指す「信用を創造する」は少しギャップがありますね。

@kj3104:では、CDチームの機械学習エンジニアは「限界」に挑むことになる?

@tori:むしろ僕は、機械学習の限界に挑みたいです。そこでちょっと考えているのが、将来データが変化する可能性に介入すること、換言するとお客さま自身の信用積み上げのきっかけをつくっていくこと。

@kj3104:「こうすると信用につながるのか」とお客さま自身が学習していけるようなニュアンスですよね?

@tori:そうです。例えば、私たちがサービス内でのコミュニケーションを工夫することによって、お客さまの信用がより自然に積み上げる、結果としてデータが変化し、閉じた静的な世界が変わっていく。もちろん、僕ら側の哲学が含まれすぎないように制御しながらつくっていくことになりますが…このアイデアはアリなんじゃないかと思っているんです。どうですか、kajiさん!

@kj3104:ちょっと検討させてください!!

約束を守ってくれるのか・何を成してくれるのかが「信用」

@kj3104:最後にお決まりのこの質問を。お2人にとって「信用」とは?

@tori:え、なんだろう…?僕はメルペイで与信をつくるとき、過去のデータを見るだけではなく、その先にあるお客さまの行動も把握しなければならない点から機械学習の限界を痛感しているわけですけれど…いやこれは答えになっていないな?

@kj3104:(笑)。

@tori:有り体なコメントかもしれませんが、僕にとって信用とは「約束を守ってくれるかどうか」ですかね。過去のデータから、ある程度の行動パターンは出せるんです。でも、僕らはその一段上へいこうとしています。具体的には、過去データだけでなく、何かしらの働きかけから起こった行動も、メルペイにおける「信用のかたち」に含めようとしている。その中心にあるのは「約束を守る」なんじゃないかなと思うんですよ。

@shuuk:その方が約束を守ってくれるのか、何を成してくれるのかは「信用」と呼べる気がします。

これは『サピエンス全史』の受け売りなんですけど、資本主義の発明の一つに「未来は信じていい」という理念があるそうです。資本主義の重要な構成要素の一つが信用であることを考えると、「その人の未来を信じられるかどうか」が信用の原始的なかたちと言ってもいい。機械学習が苦手とする「未来」をどうやって取り込んでいくかは、私たちの挑戦でもありますね。

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