生き物のようにデータは動き続ける──「与信の成長」を促すべく、メルカードの“終わりのない改善”と向き合っていく

メルペイ設立から5年が経ち、フィンテック戦略が大きくアップデート。その新たな取り組みのコアとなるのが、2022年11月にローンチした「メルカード(mercard)」です。これまでのメルカリ・メルペイの利用実績などで還元率が決まることにはじまり、売っても、買っても、お店で支払っても還元率が上がるというのも本カードの大きな特徴だ。

メルカードはメルカリ・メルペイの利用実績に基づいて与信(ご利用限度枠)の更新を行うことも特徴の一つであり、これまでも「メルペイスマート払い」で機械学習による与信モデルをアセットとして持ってはいましたが、“クレジットカードとして”のあるべき体験を改めて考えていく必要がありました。メルカード全体としてどういう与信をつくっていくのか、そして「与信の成長」を促していくためにどのような体験をつくっていくべきなのか…この難しい問いと向き合ってきたメンバー3名に、Product Manager、データアナリスト、Machine Learningエンジニアのそれぞれ観点から、プロジェクトを振りかえってもらいました。

※本記事は、メルカリエンジニアリングブログとの連携による、『連載企画「メルカードの舞台裏』 として書かれたものです。

この記事に登場する人


  • 五十嵐学(Gaku Igarashi)

    国際決済・反マネロンなどの金融系エンジニア、テック/経営コンサル、クラウド会計事業者を経て、メルペイ入社。大手クレジットカード会社の大規模システム統合の推進経験を活かし、メルペイでは、与信事業のProduct Managerとして、過去の負債解消と新たな信用創造に取り組んでいる。


  • 山田伸也(Shinya Yamada)

    新卒でサイバーエージェントに入社し、ゲーム事業、エンタメ事業での分析を経験。2019年5月よりメルペイにData Analystとして入社。入社から一貫して信用領域をメインに担当し、メルペイの収益性改善やスマート払いのGrowthの分析に従事する。


  • 吉澤弘(Hiroshi Yoshizawa)

    金融機関のシステム開発や機械学習、データサイエンスのコンサルティングに従事した後、2021年にメルペイにMachine Learningエンジニアとして入社。現在はEngineering Managerとして与信モデル等の開発、運営に取り組んでいる。

メルカリの利用実績に基づいた信用評価をいかに活用するか

──まずは、プロジェクトにおけるそれぞれの役割から教えてください。一連の工程がある中で、どのように関わっていたのでしょうか。

@giga:私は与信と回収、督促とかも含めて、どのような体験をつくっていくのがいいのかを考え、それをプロジェクトとして推進していくところに対して責任を持っています。これまで「メルペイスマート払い」で提供していた与信の体験で果たして足りるのかというところに問いを発して、必要な要素を埋めていくことを中心にやっていました。

例えば、メルペイはメルカリ・メルペイの利用実績に基づいて与信(ご利用限度枠)の更新を行っているのですが、後払いのサービスだから、利用状況に応じて都度与信が変動することを許容いただけるお客さまはいるかもしれないですけど、一般的なクレジットカードとなったときに、頻繁に与信が変動する体験は果たして良いのか?など、多くの体験面でメルカードは既存のサービスと分けなくてならないなということを思い始めました。

五十嵐学(@giga)

@yamashin:私はメルカリに入社してから与信領域のデータアナリストとして業務していて、今回のメルカードの与信文脈でもデータアナリストとして参画しています。具体的な業務内容としては、おもにお客さまの利用実績を元にした与信モデルの設計や、与信額が利用に十分かなど、お客さまのUX上の改善のために過去のデータから導き出すことを担当しています。

今回のメルカードは、お客さまにとって今までのコード決済とは違う体験が起きるだろうという仮説のもと、今までと変えるべきところ、今までのまま行くべきところを判断をしていきました。

@hiro:私は2021年に入社して、機械学習のチームで与信モデルをつくっています。与信モデルというのは何かと言うと、ありていに言えばお客さまが利用できる与信額を決める機械学習モデルのことです。メルペイスマート払いの時代から、いわゆる指定信用情報機関のデータだけではなく、メルカリの利用実績に基づいて、与信をすることを私たちは行ってきて、そういった仕組みがあった中で、それをどうメルカードで活用して実現していくのかというところをやってきました。

──では、プロジェクトについて深掘りしていこうと思いますが、メルカードの「与信」プロジェクトがスタートした背景から教えてもらえますか?

@giga:メルペイは、元々2017年の6月から、「メルカリ月イチ払い」という形で後払いのサービスを始めていて、その後「メルペイあと払い」(後に「メルペイスマート払い」に改称)を作り、定額払いなどのサービス拡張を行ってきました。私たちとしては、後払いができることによって、今手元にお金がなかったりクレジットカードを持っていなくても、欲しいものが手に入る世界を実現したいという思いはあって、そこを与信によって支えることを元々やってきました。

一方で、「メルペイスマート払い(翌月払い / 定額払い)」は、QR決済や一部のインターネットの利用はできるのですが、飲食店や家電量販店などのオフラインでの利用には制限がありました。また、家賃の支払いとかもそうですけど、本人名義のクレジットカードの形態をとらないと決済できないシーンというのがどうしてもありました。

@yamashin:僕がこの中で古株で、QR決済とコード決済しかできないときから在籍しているんですけど、やっぱり世間一般的にQR決済とコード決済って、少額での利用だったりとか、手軽な利用というイメージがあると思います。対して、クレジットカードはいわゆる日常使いはもちろんあるんですけれども、それ以上に大きなお買い物するときに使うイメージがあると思うので、そういった面での決済機会の獲得はメルカードなしではなし得ないと思います。

山田伸也(@yamashin)

@hiro:それまで「メルペイスマート払い(翌月払い / 定額払い)」向けの与信の機械学習モデルというものを、私たちとしてはアセットとして持っていて、その中でメルカードはどういう形であるべきかを考えはじめていました。もちろん機械学習モデルだけで与信するわけではなく、機械学習は与信事業のいち機能なので、全体としてどういう与信をつくっていくのかという前提のもとです。

──今回のメルカードにおける与信というのは、何かいちばんの違いなのでしょうか?

@hiro:例えばクレジットカードを発行したいとなったときに、申込書の内容、あとは指定信用情報機関からのデータをもとに審査されます。私たちの場合はメルカリの利用実績も与信に使っています。つまり、メルカリを丁寧に使っていただけているかというデータをもとに信用評価をしています。それは指定信用情報機関にあるデータとは全然違う種類のもので、補完し合うような関係になっているため、従来のクレジットカードではあまり与信できなかったお客さまにも使っていただきやすいのはポイントだと思います。

あとは、メルカリをお使いいただいていれば、そのデータは日々蓄積され更新されていくので、丁寧に使っていただくということを継続すると、通常のクレジットカードより早く使える金額を上げていくことができます。クレジットカードだと、年収の変動も含めて年に1〜2回しか与信が変動することはないと思います。

吉澤弘(@hiro)

──これまでにものすごい量のデータがメルカリでは蓄積されていると思うんですけど、そのデータのなにが独自のものと捉えたらいいのでしょうか?

@yamashin:量というよりは質の問題だと思っています。もちろん社内のデータだけじゃなくて、一般的によく使われている指定信用情報機関の情報も取り入れていて、そのデータでは判別しきれないところを、メルカリにおける信用力を用いることで明確になるということがデータ上わかっています。それはメルカリだけの強みと言えます。

@giga:もう少し一般的な言い方をすると、メルカリはフリマアプリなので、その中で売ったり買ったり、あるいはメルペイを使って支払ったり、そういった一連の行動をする中で滞りなく支払っていただけている、約束の履行力のようなところを評価しています。一般的なクレジットカードにおける与信の算定の仕方は1パターンしかないんです。「包括支払可能見込額調査」という方式で、収入情報があって、そこから他社とかの借入分を差っ引いて、さらに生活費を引いて、あなたは幾ら支払えますかというものに掛ける0.9すると、それがその人に与信していいMAXの金額となります。でもそのやり方だと、基本的に全ての会社で同じ金額が算出されるんですよ。それだと、私たちが後発でクレジットカードを出す意味がないですよね。

僕らは支払い可能見込額の考え方は取り入れつつ、行動実績から評価した場合に、実際に支払ってくださる履行力があるのであれば、そこは正しく評価しましょうという考え方です。この方式での評価は、現時点で国内ではメルペイしか実現できていません。

@yamashin:今後メルカリのさらなる強みになるポイントとして、こういうことをすれば「信用力がある」というデータとなるかはわかっているので、「こういう行動をしてもらったら、さらにあなたの与信額が上がりますよ」という行動変容を促すことができる。そうした「与信の成長」を促すところは他社ではできないことだと思っています。まだこれからのトライにはなるんですけど、そういうところのUXを強めていきたいと思っています。

「与信の成長」を促していけることが独自性であり課題でもある

──では、プロジェクトを進めていくにあたって、ボトルネックとなった課題はどこにあったのでしょうか。

@giga:これは、yamashinさんからぜひ語ってもらいたい(笑)。

@yamashin:わかりました(笑)。このプロジェクトにおいて、基本的には今まで以上の与信を全てのお客さまに与えられたらベストというところが前提にあるんですけれども、その際にボトルネックになってくるのが、みんなに多額の与信枠を与えてしまうと収益上成り立たなくなってしまうことです。それを避けるために、裏側では予測延滞率に基づいてセグメントを分けて与信を付与します。今までの仕組みは、お客さまのセグメントはそこまで細かく分類していなくて、一応序列は付けてはいるものの、一部与信を抑えているお客さまの中でも蓋を開けてみたら実は信用力がある人、というケースも存在していました。メルカード発行にあたり、できる限りそういうケースを排除して、なるべく多くの人に大きめの与信枠をつけたいという思いがありました。そこで今回は、これまで以上に細かくセグメント分けしていくことにトライしました。それがかなり苦労したポイントでした。

──細かさで言うと、どれぐらいまで分類していったのでしょうか?

@yamashin:今までが10〜20の分類だったのに対して、今回は60段階ぐらいまでに分類しました。細かさでいうと、かなり進歩したかなと思いつつ、まだ課題感となって残っているのは、その60段階に分けた中で与信額を低めに設定しているお客さまにも、おそらく与信枠を広げられるであろう人はまだいると思うので、さらにそこをフォローしていくことは、今後やり続けていきたいところです。

──なるほど…進歩したからこそ、取り組むべき課題がよりはっきりしてきたということですね。では、gigaさんが担当されている領域ではどんな課題があったのでしょうか?

@giga:そうですね…もう無数にあるにあるんですけど(笑)。例えば、与信枠を引き上げるというところで言うと、私たちは裏側で債権流動化という仕組みをとっていて、例えばメルペイスマート払いは、毎月利用者ベースで多くの与信をしているんですけど、私たちはその与信額をメルカリShopsの方々だったり、メルカリ出品者や加盟店の方々に先に支払ったうえで、最終的にお客さまにお支払いいただくまで立て替えなくてはいけない状態になるんですね。そのキャッシュフローを自社だけで保つのが厳しいので、他の金融機関さまと提携して、その部分を担保債権として一時的に移すことによって資金を調達する仕組みをとってはいます。実はこの契約の一部を見直さないと与信枠を引き上げられないといったポイントはありましたね…。

@hiro:やっぱりクレジットカードに期待されることや機能があって、例えば光熱費を払うとか、毎月定期的に払っていくものとかがあるのに、与信枠が毎月すごく上下してしまったら、クレジットカードとして安心して使えないと思います。そういうクレジットカードに期待される“振る舞い”というか“要求”の部分をシステムとしてどう対応するのかは重い課題でした。既存のメルペイスマート払いで使っていた仕組みそのままでいいのか、いや、やっぱりそこはアップデートしなくてはならないのではないか、という議論になりました。そして「アップデートしなくては!」というマインドで仕組みを改めてつぶさに見ていくと、たくさん見直すべきことがあったと(笑)。

@giga:点検がむちゃくちゃ大変でしたよね…(笑)。メルカリアカウントを作ったばかりの状態でも、申し込みを行っていただくと「メルペイスマート払い(翌月払い / 定額払い)」って使えるんですよね。その他、アプリ内だけでなく実店舗でも使えたり、支払い方法として翌月払い / 定額払いもあったり、バーチャルカードだったりとか、とにかくいろいろと機能がある。また機能面だけでなく、支払いのタイミングだったり、与信枠の上限金額の設定だったり、いろんなところにペインが潜んでいるんですよ。メルカードの利用を想定したときに、そうしたペインになりそうな箇所を洗い出しまくって、その中から与信に関わる箇所をひたすら抽出して、「これだけは今やっておかなくては手遅れになる」というものを集中的に潰していきました。

@hiro:いや、gigaさんはそこにものすごい力を割かれてていて、一気に推進されていたなというのが私の思い出ですね(笑)。本当に功労者。

──思い出なんですね(笑)。ちなみに、hiroさんにうかがいたいのは、「機械学習における与信の難しさ」についてなんですが、これはどういうところに難しさがあるのでしょうか?

@hiro:うーん…なんというかデフォルトで難しいですね(笑)。多分、機械学習が得意なのは全体をとらえたうえで、延滞しにくいケースをなるべくたくさん当てるとか、延滞しやすいケースをなるべくたくさん当てる、みたいなことは得意で、そこの精度はかなり高いんですけど、与信で機械学習を使っていくとなると、ただ延滞しやすいケースを当てればいいということではなく、短期間で大きな変動が起きないようにするなど配慮しないといけないことが沢山あります。

あとは、悪意を持った操作というか、ある種のハックみたいなことされていたずらに与信が動いてはいけないし、メルカリとかメルペイを丁寧に使っていただくことによって、「与信が成長する」ということをどう伝えるのかも難しさです。

@yamashin:こういう人だったらプラス5点、プラス10点みたいに、ルールベースで与信するのであれば、私たちが条件決めてしまえばそれができてしまうんですけど、そうではなくあらゆる行動を鑑みて総合点をつけるのが機械学習でできることなんです。逆に機械学習であるからこそ、条件や判定されたロジックは日々変わっていきます。ある程度は傾向があるにせよ、例えば与信が下がる時は、いろいろな条件によってそうなります。ある人は支払いが延滞したから、ある人は全くメルカリ・メルペイを利用していないから、みたいなこともある。信用力と一口に言っても、機械学習による条件の重みの変動や、どういう理由で与信が増減するのかというのが、実は見えづらい部分であり、機械学習の課題かなと思っています。

本当は与信があるけど見落としてる人がまだ存在しているのではないかと、さっき言ったのはこうした課題感からで、そこをなるべくなくすように精度を上げていくべきですし、さらに機械学習で追求していけることでもあります。

@giga:単に精度を上げるだけだったら、使える情報をもっと広げることはできるんですよ。例えば年齢や国籍、性別など、お客さま個人の属性に係る部分もあります。そういう情報を使うことはコンプライアンス面からもですが、AI上の倫理もありますから、それを与信に使うということはしていません。

あと難しいのは、機械学習モデルで与信して割賦販売のサービスを提供をしている会社が、日本ではメルカリ1社しかないんですよ。要するに前例が全然ない。「こういうやり方はOKなのか?」と法令解釈で迷ったときに、法務部門の担当や弁護士だけでなく経産省の方にも相談はするんですけど、明確に白黒つけてくれるケースばかりではないので、もうどこまでいっても正解がない世界なんですね。

──自分たちで前例をつくっていくしかない、本当に難しい領域ですね。そうしたボトルネックはありつつ、立ち返るべきは「お客さま体験」だと思うのですが、メルカードを世に出すにあたって何を重要視しましたか?

@giga:ビジネス的なキーワードでいうと「金融包摂」になりますね。社会的に信用力が低くなってしまった方であったとしても、その中で本当に約束履行能力が高い方たちに対しては適切に与信していくことですね。

@yamashin:どういう行動をすれば、与信枠を広げられるかというのイメージは私たちの中にありつつも、まだ確証を持って打ち出せていないので、確信を持って与信をつくれる動きをお客さまに訴求していき、それを実践してもらえるよう促していきたい。そういった一連の体験がつくれるようになってくれば、他の与信サービスにはできない価値が提供できると思います。

@hiro:yamashinさんの話に乗っからせていただくと、他社と比べた私たちの強みを考えると、やっぱり行動変革を促す訴求の窓口としてメルカリがあるんですよね。メルカリというマーケットプレイスがあることによって、お金の使い方や管理の仕方、メルカリ上での売り買い、そういった中で訴求していくことで、「こういう行動によって与信を増やせますよ」というような体験をつくりやすい土壌がある。メルカリとメルペイを丁寧に使っていただき、その結果として、与信枠が増えてより使いやすくなることは、お互いハッピーなことだと思うので、それを訴求できるようなサービスをつくることが最も重要なポイントなのかなと思います。

生き物のようにデータは動き続ける。「終わりのない改善」と向きあっていく覚悟

──ここまでプロジェクトをふり返ってきてどのようなことを感じたか、改めて言語化してもらえますか?

@giga:私は2つ感じたことがあります。1つはこの「終わりのない改善」をちゃんとやっていく覚悟ができたということ。結局、どういったお客さまが利用するのかによって、改善の性質は変わってきてしまうんですよね。例えば、メルペイスマート払いを毎月使ってくれる人が、メルカードの影響によって2倍になりました…となったら、増えた半分の人たちの行動履歴は元々利用されていた人たちとは全く違う行動をするかもしれないわけです。そうすると、今までの与信モデルの妥当性もおそらく変わってくるんですよ。それによって、予測延滞率のような支払能力を測る指標自体が変わってしまう可能性があるから、エンドレスで改善してチューニングをしていかなくてはいけない。

もう1つは、認定包括信用購入あっせん業を取得しているのが私たちしかないというのがありますけど、この仕組みそのものをホワイトレーベル展開していけるぐらい、私たちの与信が世の中のスタンダードになるような可能性を秘めていると思っています。与信というものの新しい概念をプロダクトとして創っていければ、おそらく日本の社会も変わっていく。なるべく良いものを、なるべく大きいスケールでできるような考え方でやっていかなくては、というミッション性をひしひしと感じています。

@hiro:今の「終わりのない改善」というのがかっこいいので、これで締めませんか?…というふうにちょっと思ったんですけど(笑)。そうですね、「終わりのない改善」を少し言い換えて考えると、メルカードをローンチすることで、お客さまの行動や支払い傾向が変わってくることで、機械学習モデルも影響を受け続けることになります。急に機械学習屋っぽいことを言うと、まさに「終わりのない改善」なんですけれども、それはある時「ぱっと」切り替わるというより、徐々に徐々に、じりじりじりじり、データも変わっていく。生き物のようにデータが動き続ける中で、与信モデルをうまく機能させて、お客さまの体験的にも、私たちのビジネス的にも成り立つものであり続けないといけない。そこがチャレンジだし、至上命題の一つなんじゃないかな。

@yamashin:僕はあえてジレンマに感じたことを言おうと思います。メルカードというものの成功を考えると、なるべく与信を大きめにして、自由にいっぱい使えるようにするのがベストでしょう、という考えに陥りがちなんです。けれど、私たちが過剰に与信してしまったがために貸し倒れになってしまい、信用情報的にめちゃくちゃ悪い情報がついてしまったとしたら、今後クレジットカードを作れなくなるような悪い体験に繋がるので、与信をすること自体が必ずしも良い体験にはならないなとも思っています。そういうバッドUXを生み出さないためにも、「適切な与信」をしていくことが大切というのが今回改めて感じたことです。

──最後に、このプロジェクトはご自身のキャリアにどのような影響があったと感じますか?

@hiro:私は単純に楽しかったです!これまでずっとtoBのビジネスをやってきて、個人金融に直接的に関わる仕事をやりたいなと思ったのがメルペイに来たモチベーションの一つなので、なんというか、それが結実したことがすごい嬉しいですね。

@yamashin:機械学習もそうだと思うんですけど、データアナリストはデータを扱うというところの軸はずらさず、いろんな事業に関係してくる職種なので、どういう領域で分析するのかはその時々で違いますし、クレジットカードはこれまで経験のない領域でした。そういった新しい領域で、分析できることはキャリアとしてはかなりプラスにつながっているなと思います。

@giga:私個人の話になるのですが、今回のメルペイで金融に対するキャリアをいったん終わらせようと思っています。これからの世の中の金融は、次の世代が作っていくのであって、僕らの世代ではもうないだろう、と。ただ、今までカード会社でシステム統合案件全体を推進したり、モバイルアプリの入出金系のアプリ構築に携わっていたので、そういった経験や知見を、いったん全部吐き出すつもりで取り組んできました。一方で、なかなか簡単には終われないなという思いも生まれ始めています。というのは、かなり難しいパズルを解いているというか、与信のあり方にはやっぱり正解がないんですよね。それこそyamashinさんとhiroさんがおっしゃっていた、「与信の成長」みたいな概念を、一般の方にどれだけ認識いただけるかによって、世の中の与信というゲームの在り方がかなり変わってくるんじゃないかと感じています。そういったゲームチェンジができた時、「やりきった!」となれるんじゃないかなと思ってます。やっぱり「終わりのない改善」なんですね(笑)。

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