テック企業の爆発的成長のためにはLegalチームの存在が不可欠──私がここで働く理由 (藤井豪)

はじめまして、藤井と申します。私は2019年10月にメルペイLegalとして参画し、現在はメルペイ・メルコインのLegalとGovernanceチームを兼任しています。趣味は写真で、旅先で出会った方の写真を撮ることが大好きです。

こうした記事を書くのは初めてなので、何を書いたらいいのか迷っているのですが、今回は私が入社以来一貫して携わってきたLegal業務の魅力についてご紹介したいと思います。思いつくまま書き綴ってみたので、まとまりがなくお見苦しいところもあるかと思いますが、どうぞ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

  

この記事に登場する人

  


  • 藤井豪(Go Fujii)

    Director of Fintech BizLegal & Governance。法律事務所勤務を経て、2019年10月にメルペイLegalに参画。2016年8月から2018年7月まで金融庁企画市場局市場課で勤務し、金融規制や暗号資産関連業務に従事。弁護士、ニューヨーク州弁護士。(駆け出し)フォトグラファー。

Fintechを通じて社会に貢献したい

サーキュラーエコノミー × Fintechという独自性に魅力を感じて

私はこれまで金融分野を中心に法律事務所で経験を重ねた後、金融庁で金融規制とFintech分野の企画立案に携わってきました。当時はまさにFintechのカンブリア紀。新たなサービスが次々と誕生するなか、消費者保護のための規制強化が検討されていた時期でもありました。「最先端のサービスと消費者保護の両立」や「金融サービスへの信頼を高め、国民の安定的な資産形成につなげる環境づくり」などの政策課題に向き合う日々…。そうしたなか、「Fintechを通じて社会に貢献したい」という思いが芽生えたのは必然だったように思います。サーキュラーエコノミー × Fintechという独自性に魅力を感じてメルペイへの参画を決心しました。

“競争”ではなく“協奏”による“共創”を目指すチーム

私が所属しているメルペイ・メルコインのLegalチームは、ビジネス環境や規制の変化が激しいFintech分野において、最速でビジネスを実現・推進することをミッションとしています。日々生まれるビジネスのアイデアを結実させることに全力を注ぐチームです。

業務内容としては、メルペイ・メルコインに関わる新規事業の法的検討、事業提携やM&A、契約作成・交渉支援、マーケティング施策の検討、紛争案件対応など多岐にわたります。また、2023年7月からはIPチームも合流し、特許関連の業務などにも対応しています。

Legalチームには、多彩なバックグラウンドを持つスペシャリストが集まっています。金融、決済、通信、ITなど過去の経験分野は様々ですが、各自が強みを生かして伸び伸びと活躍しています。

先ほどお伝えしたとおり、私は金融分野で実績のある法律事務所を経て、金融庁で金融やFintech分野の規制に関する企画立案に携わりました。現在、私はおもにメルペイ・メルコインの新規事業の立ち上げに関する業務を担当しており、法律事務所で培った事業者観点の法的知識と、金融庁で学んだ規制の背景や消費者保護視点を存分に生かすことができています(そのはずですきっと)。一方で、これまで金融分野での法務経験を重ねてきた私には、正直なところ、他業種の経験や非法務部門に関する知識が不足しています。しかし、ここに関しては他業種での経験が豊富なチームメンバーがサポートしてくれるので、力強くプロジェクト推進を実現することができており本当に感謝しています。非金融分野の知見が豊富な方、情報収集・分析に秀でた方、部門間の調整に長けた方、なぜか当社社長との距離が近く気軽に要望をDMできる特殊技能を持った方など、持ち味は実に様々で、全員が強みを損なうことなく補い合いながらチームとしての付加価値を生み出しています。まさに、“競争”ではなく“協奏”による“共創”を目指すチームです。

また、Legalチームの専門性はFintech分野に閉じません。メルペイ・メルコインが提供する機能はメルカリのマーケットプレイス事業と連動しています。メルカリのフリマで得た売上金をコンビニでの決済に利用するとき、メルカリで購入する際にメルカードを利用するとき、メルカリの取引でもらったポイントを暗号資産に交換するとき、その過程ではメルペイ・メルコインが不可欠な機能を提供しており、FintechのLegalチームも深く関わっています。このように私たちはFintechに所属しながらグループ内の様々な場面で専門性を生かすことができるチームです。

数多くの困難、そして得た学び

Origamiとの事業統合

2019年の入社以来、メルカリらしいGo Boldなプロジェクトを数多く経験させてもらいました。その中でも特に印象に残っているのが、キャッシュレス決済ビジネスの先駆者であったOrigamiとメルペイの事業統合です。当初の見込みでは、比較的短時間で契約調整を終わらせ、事業の承継に注力できるはずだったのですが、現実はそのように甘いものではありませんでした。

重要な海外パートナーとの調整が難航して、1カ月で終わるはずの交渉に10倍以上の時間がかかったり、外国政府の要求に従って戦々恐々としながら怪しげ(?)なフォーマットの書類に記入して提出したり…。悩みは尽きませんでした。ある法律の解釈についてどうしても確証を得られず、ひとり国会図書館に通い詰めた時期もありました。

このように必ずしも平坦な道のりではありませんでしたが、多くの方々のご支援のもと、1年半かけてOrigami事業の縮退・承継と会社清算を行いました。最後のお客さまにいたるまで責任を果たし、偉大な先駆者のスピリットをメルペイに継承させられたことは、私にとって貴重な体験となりました。メルペイ入社からの短い期間にOrigamiに深く関わったことで、決済ビジネスの事業構造を比較対照しながら理解できたこともうれしい副産物で、その知見はメルペイの事業拡大に大きく役立っています。

メルコインの立ち上げ

2021年4月にメルコインが誕生した際には、メルペイに加えてメルコインのLegal業務を担当する機会に恵まれ、暗号資産事業のサービス検討などを幅広く担当しました。この時期は、資金決済法や自主規制規則などの各種ルールに加えて、メルカリグループ特有の制約がある中でサービスをどう実現するのかに日々向き合っていました。

突破口は、プロダクトに関わるメンバーとの密なディスカッションでした。メルカリアプリ内でのシームレスな体験を追求したいという観点と、お客さまには暗号資産取引特有の事情を理解したうえで取引していただきたいという観点を両立する課題に直面していた時のことです。テキストベースのやり取りから離れ、制作中のデモを見ながら最適解を探ってみようと方向転換し、パズルを組み立てるように順序を入れ替えてみたところ、双方にとって納得できる内容で着地することができました。ビジネスとして実現したいことを正しく理解することで、当初とは別のアプローチでも同じ結果に辿り着けるとわかったあの瞬間の充実感は今でも忘れられません。

その後もメルコインでは大胆な機能の絞り込みを行い、どこよりもシンプルで使いやすいサービスができ上がっていきました。立ち上げ期序盤の苦しい時期を経た後には頼りになる新メンバーも加入し、メルコインのサービスがみるみる形になっていきました。2023年3月のサービスリリース以降、メルコインは多くのお客さまにご利用いただいております。この大きな成果にチームとして貢献できたことをとてもうれしく思っています。

Legalとしてより上流から関与したい

メルカリグループがプロダクトに注ぐ情熱は尋常ならざるものがあります。その熱い思いを目の当たりにしてからは、一層ビジネスを実現したいと感じるようになりました。また、Legalとしてより上流(ビジネスの構想段階)から関与したいという欲求が強くなり、新規ビジネスの社内コンペにメンバーとして関与することも増えました。でき上がったアイデアについて相談を受けることよりも、アイデアそのものを一緒に考えることに喜びを感じられるようになったことが私にとって最も大きな変化でした。

メルペイ・メルコインでは、決済・与信から暗号資産取引まで様々な金融関連のサービスを提供していますが、これらは相互に有機的に連動しており、様々な価値の循環に寄与しています。そして、グループ内で新しいサービスが生まれるたびに、既存サービスとの接点やビジネスアイデアが指数関数的に増加していきます。このような環境のなか、Fintechの視点からグループ内のあらゆるサービスに接点を持てること、最前線でビジネスが生まれる瞬間に立ち会えること、そしてそれを世に送り出して成長させる役割を担うこと、これが私たちのチームで働く醍醐味だと思います。

まだまだ課題も多い。強いLegal組織を目指して

メルペイ・メルコインのLegalチームでは、各自が広い裁量を持ち案件を担当します。裁量が広いという言葉はレトリックではなく、担当案件についてチームから全権を委ねられることを意味します。もっとも、全権があるということは担当者が独力で課題解決の責任を負うことを意味しません。課題に対してどうアプローチするかを任せるということであって、判断に悩むことがあればどのような些細なことでもチームで議論することとしています。小所帯ですが、チームとして成果を最大化するために一丸となれることが私たちの強みです。

一方で、チームには課題も多くあります。メルペイ・メルコインでは常に新しい領域にチャレンジしています。その領域の広さは既にFintechの枠を大きくはみ出しています。このペースでビジネスが拡大していけば、リソースと専門性の両方の意味で対応が難しくなると予想しています。このような将来の難局を見据え、私たちはFintechを軸としつつも、それ以外の多様な分野のスペシャリストを育成することをチームの重要な課題と位置付けています。また、スピードを重視する環境では情報の整理が後回しにされたまま散逸しがちで、結果的に属人化が生じやすい傾向にあります。情報の非対称性による優位性を排除するチーム作り、言い換えれば、新しいメンバーほどキャッチアップしやすい環境づくりも目指したいと考えています。

私は、テック企業の爆発的成長のためにはLegalチームの存在が不可欠だと信じています。なぜなら最先端のビジネスは総じて明確なルールがない領域に存在しているため、将来の社会・ルールの変化を推測しながら、その時々で最善の判断を行う必要があるからです。新しい領域に挑戦し続ける経営と是々非々の議論を交わしながら羅針盤となって道を示す。これからも、そんな強いLegal組織のあり方を模索していきたいと考えています。

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