キャリアの軸は「テクノロジー」と「グローバルへの挑戦」——Meet Mercari’s Leaders Vol.5:永沢岳志(執行役員 CGO 兼 執行役員 CEO Fintech 兼 株式会社メルペイ代表取締役 CEO)

「ハイリスク・ハイリターンなテクノロジー業界が楽しい」。

そう語るのは、2024年1月より執行役員 CGO 兼 CEO Fintech 兼 株式会社メルペイ代表取締役CEOを務める永沢岳志(@Takeshi)。米国マサチューセッツ工科大学(MIT)でMBAを修了し、その後も「テクノロジー」と「グローバルへの挑戦」を軸にキャリアを築いてきた永沢が大切にしている仕事の哲学、そしてCEO Fintechとして実現したい未来について聞きました。

この記事に登場する人


  • 永沢岳志(Takeshi Nagasawa)

    2007年 一橋大学商学部卒業後、NTTコミュニケーションズにてマーケティング、事業開発を担当。その後、米国マサチューセッツ工科大学 経営学修士(MBA)修了を経て、2016年よりAmazon JapanにてAmazon Prime Videoのマーケティング部長を務める。2018年株式会社bitFlyerに入社し、2019年より執行役員事業戦略本部長として日本国内の事業を推進。2021年よりメルペイに入社し、2022年7月より執行役員 VP of Growth Fintechとして、「メルペイ」「メルコイン」のグロースを担当した後に、2023年4月より執行役員 COO Fintechに就任。2023年6月より執行役員 VP of Marketing Marketplaceを兼務。2024年1月より執行役員 CGO 兼 CEO Fintech 兼 株式会社メルペイ代表取締役CEOに就任。


お客さまのカスタマージャーニーは1つであるべき

——現在Takeshiさんが管掌されている領域を教えてください。

大きく2つの役割を担っています。1つ目が、Fintech CEOです。メルペイ・メルコインといったメルカリグループのFintechは、メルカリというMarketplaceが隣にあるからこそ実現できる体験を追求し、お客さまに選ばれてきたサービスだと思っています。そのため、MarketplaceとFintechの横軸での事業連携を引き続き研ぎ澄ませていきながら、より使いやすいFintechサービスをつくることをミッションに掲げています。

2つ目が、Japan Region(日本事業)全体のグロースの責任者です。グロースのドライバーには、マーケティング・プロダクト・UX改善・データ分析をはじめ、さまざまなファンクションがあります。私の役割は、それらのファンクションの方向性を一つに統合し、事業成長を実現することです。

我々は、メルカリ・メルペイ・メルコイン・メルカリShops・メルカリ ハロ(HR事業)※など複数の事業を展開していますが、アプリは1つで、それに対してお客さまも1人です。そのため、お客さまのカスタマージャーニーの設計も1つであるべきだと考えています。もちろん、それぞれの事業ごとに「この数字を伸ばしたい」「この機能を最適化したい」といった思いがありますが、ジャーニーは1つであるということを意識し、お客さま目線で魅力的なサービスをつくっていくことを大切にしていきたいと思っています。
※2024年初春サービス提供開始予定

ハイリスク・ハイリターンなテクノロジー業界が楽しい

——Takeshiさんのこれまでのキャリア変遷を教えてください。

新卒でNTTコミュニケーションズに入社しました。VPN、データセンター、IaaS/PaaS、決済PFのプロダクト企画、マーケティング、HRBPなど、さまざまな部署を経験させてもらうなか、次第に「この会社をグローバルで勝てる会社にしたい」という思いが強くなってきました。ちょうどそんなとき、社費で留学できる制度があることを知りました。当時はGoogleやFacebookが非常に伸びているときで、「こうした企業を日本から生み出したいので、自分をMBA留学させてほしい」と会社に訴え、受験をし、マサチューセッツ工科大学(MIT)に留学しました。大学ではテックや分析系を中心に学び、MBAを修了しました。

在学中は、現地のスタートアップでインターンシップも経験しました。アメリカでは、TVCMの広告効果測定を手がける企業やクラウド型Eメール配信を手がける企業で働き、その後チリのSaaS企業でも働きました。立ち上げ期からシリーズCくらいまでさまざまなフェーズの企業で働きましたが、国が違ってもビジネスの原理原則は一緒であること、また、相手とわかり合えるかどうかに国籍や言語、文化は関係ないんだと学べたのは大きな収穫でした。自分の場合、伝わりやすさの観点で言えば、当然のことながら対日本人の方がコミュニケーションしやすいですが、最終的に仲良くなれるかどうかに国籍や言語は関係ないんですよね。一番大切なのは、どんな考えを持っているのか、何を大切にしているのかなど、自分と相手の価値観が合致するかどうか。海外でさまざまなバックグラウンドの人とコミュニケーションを深めていくなかで、自分の中で大切な価値観が研ぎ澄まされていった感覚があり、とても良い経験ができたと思っています。

——帰国後のキャリアについても教えてください。

アメリカで実際に働いてみて、日本企業とグローバル企業ではスケールや社会システムが全く違うことを痛感させられました。また、グローバルで本気で戦っていくためには、自分自身ももっとスキルを身につけていく必要があると感じたため、転職を決意。Amazon Japanに入社し、「Amazon Prime Video」のマーケティング部長を務めました。

その後、日本発でグローバルで戦おうとしているbitFlyerに転職しました。次のキャリアにブロックチェーン/暗号資産業界を選んだのは、ここ10〜20年の間にインターネット上で起こったことが、これから再びブロックチェーン上で起きるだろうと考えていたからです。インターネットやスマートフォンの登場によって人々の生活が大きく様変わりしたように、それと同じことが再びブロックチェーン上で起きるはずだと感じ、そうした新しいインターネットの世界のど真ん中で経験を積みたいと思ったんです。

——Takeshiさんは本当にテクノロジーへの愛が強いんですね。

知的好奇心で生きているタイプなので、「なんでこうなっているんだろう」と突き詰めて考えていくことが好きなんです。それに加えて、テクノロジーの世界って、自分がいいアイデアを出したときに一番ハイリスク・ハイリターンな業界というか、アップサイドがあることも含めてブレ幅が大きい。それが飽きなくて楽しいなと感じています。この瞬間をどう生きるかで、明日どうなるかわからないみたいな状況の方が自分はワクワクしながら働けると思っています。

ユニークなアウトプットを出すために、自分の好きなことをやる

——そんなTakeshiさんがメルカリに入社した理由を教えてください。

仕事やプライベートの友人との会食などでメルカリのメンバーとコミュニケーションする機会があり、そのときに初めてメルカリという会社と接点を持ちました。当初は、自分はメルカリには絶対に入ることはないと思っていたんですよ(笑)。上場していて、すでにでき上がっているし、そんな会社に入ってもおもしろくないだろうと…。

ただ、メルカリのメンバーと話をするうちに、「スタートアップから革新的なサービスを創り出し、世の中を変えていきたい」というメンバーの思いが自分の価値観と一致しているなと気づいたんです。また、メルカリのバリューの一つである「All for One(全ては成功のために)」にも惹かれました。経営会議に参加すると、担当役員たちはそれぞれ自分が管轄している領域を守ることに関心が高くなってしまっているケースもあると思いますが、メルカリの経営会議は、ミッション達成に向けて一人ひとりが持っている力を結集していこうという雰囲気があります。社内事情に関係なく、常にお客さまやプロダクトに向き合っていこうとする姿がすごくいいなと思ったんです。これが入社のきっかけでもありますし、今自分がメルカリにいる理由でもあります。

——Takeshiさんが大切にしている仕事の哲学はありますか?

「オーセンティック」であること、つまりどんな状況であっても、自分の価値観に正直であることを大切にしています。無理をしたり、自分を偽ったりせず、興味があることやテンションが上がること、自分の内から湧き上がってくる本心を大切にして、それを放出していく。最近の話でいうと、生成AIなんかもそうです。「このテクノロジーなんかおもしろい」「この技術が自分たちがやっている事業に実装されると、体験が圧倒的に変わって、世界のパラダイムが変わりうるんじゃないか」みたいなことには、ものすごくテンションが上がります。仕事には自分の興味の湧かないものもあります。当然、それもやらなければならないんですが、自分がおもしろいと思えることにより多くの時間を割いた方がレバレッジが効くし、人生が楽しくなると思うんですよね。

個人的には、価値あるユニークなものは「理由のない好き」からしか生まれないと思っています。「世の中の多くの人はこれが好きだから、こんなサービスが受けるんじゃないか」といったように、論理的に思考していく手法もあると思いますが、それだけだと、どうしても最適化されてしまうんですよね。マーケットを見て論理的に考えられたものは多くの人から支持を受けるかもしれませんが、それだけを優先していると、結局みんなと同じ答えにしか辿り着けません。そうではなくて、自分が好きなものや、いいなと信じているものを突き詰めていけば、おもしろいアイデアを思いついたり、ユニークなサービスが生まれたりすると思うんです。だから、オーセンティックであることは、これからも大切にし続けていきたいと思っています。

——最後に、CEO Fintechとして描いているビジョンを教えてください。

私が先日メンバーにお伝えしたことは4つあります。

1つ目は、「メルカリに組み込まれたユニークなプロダクトでお客さまから選ばれる」。メルペイ、メルコインがこれまでお客さまに選ばれてきたのは、メルカリとうまくエンベッドされてきたからだと思っています。そのため、ここは引き続き大切にしながら、メルカリの価値循環が促進されるようなFintechサービスを創り出します。

2つ目は、「Bold(大胆)な目標を掲げてAll for Oneに圧倒的なグロースを達成する」。役職や役割によって一人ひとり事情は異なると思いますが、お客さまにとってはそんなのどうでもいいこと。お客さまにとって価値あるサービスを創るために、大胆な目標を掲げ、それぞれ持っている専門性を最大限に発揮しながら、圧倒的な成果を創出していくことに全力を注ぎます。

3つ目は、「暗号資産・デジタルマーケットプレイス領域の最前線で次のメルカリグループ全体のグロースを創る」。既存のファイナンシャルサービスという意味でいうと、さまざまな規制がありますし、例えば1年で数千億円の売上を生み出すことはなかなか難しいのではないかと思います。しかし、暗号資産やデジタルマーケットプレイス領域にはその可能性が十分にあると信じているので、大きな勝負を仕掛け、領域の最先端を走るものとして次のメルカリグループのグロースを創ります。

4つ目は、「お客さまに選ばれ続けるための安心・安全なサービス提供」。メルペイは設立から6年、メルコインは2年が経ち、これまで成長する中で、組織や体制、進め方もさまざまな変化をしてきました。ガバナンス・リスク管理・コンプライアンスについてもマインドシェアを割いて、お客さまが安心して使えるサービスとなるためには何が必要なのかを自ら考える組織となっていきたいと考えています。

番外編:私のメルカリ活用術!

本の売買は基本的にほぼ全てメルカリで行っています。あとは、ゲームもよく売っています。ゲームが好きで、面白いゲームがあるとずっとゲームをしちゃうのが悩みの種なんですが、最近家族からも注意されるようになっていて…。なので、売ることによってゲームを強制的にやめる環境をつくっています(笑)。

また、最近は服の購入にもトライしています。これまでは店舗で買うことが多かったのですが、わりと着たいものの傾向が決まっていることもあり、サイズや素材などの情報がきちんと得られればお得に購入できるので、これからはメルカリでも買ってみようと思っています。

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