一度マネージャーを辞めたエンジニアが、メルカリで求める「楽しさ」の正体 #BoldChallenge

Read this article in English

メルカリにある3つのバリュー、Go Bold(大胆にやろう)、All for One(全ては成功のために)、Be a Pro(プロフェッショナルであれ)。なかでも、特にメルカリらしいと感じられるのが「Go Bold」です。このメルカン特集企画「Bold Challenge」では、変化するメルカリの現場で挑み続けるメンバーにフォーカス。その現在地から、挑戦の原動力を紐解いていきます。

前回前々回と続いてプロダクトマネージャーを取り上げてきましたが、第3回は、Architectチームのエンジニアリングマネージャー(以下、EM)高山征大が登場します。EMだけでなく、いちソフトウェアエンジニアや組織サポート、テックリードなど、多様な役割を担ってきた高山。役割を変化させながら、メルカリの開発現場に立ち続ける理由を聞きました。

今回の聞き手は、高山の採用担当だったOrganization & Talent Developmentチームの石黒卓弥です。インタビューは「実は、聞きたかったことがあるんです」と、石黒が気になっていた「あること」に関する質問からスタート。高山の穏やかな口調から飛び出したのは、仕事に求める一貫した考えでした。

真夜中にツイートした言葉の真意は?

石黒:今日、高山さんに聞きたいと思っていたのが、こちらのツイートについてなんです。

高山:ああ。

石黒:もう約3年前になりますが、ぼくは高山さんの採用担当でした。高山さんは2016年に入社後、iOS・Androidエンジニアからスタート。そしてAndroidチームをつくり、組織運営(テックリードの定義づくりやサポート)、再び機能開発を担うソフトウェアエンジニアを経て、現在はArchitectチームに所属しています。何と言うかもう、あらゆる経験をしてお腹いっぱいなんじゃないかと思えるのですが、それでも「楽しい」とツイートできるのはなぜなのか。それを今日、聞きたかったんです。

高山:たぶんこれ、酔った勢いで書いたツイートですね。

石黒:ですよね、何かの勢いでツイートしたものなんだろうと思っていました(笑)。でも、「楽しいし好きなんだ」って、勢いだけでは書けない気持ちだったりしますよね?

高山:ぼく、わりと直感的な人間なんです。エンジニアなんですけど。

高山征大(メルカリArchitectチーム、EM)

石黒:エンジニアだけど、直感的?

高山:はい。だから、これまで転職するきっかけがだいたい「楽しそうだから」なんですよね。ぼく自身、大きなビジョンを持っているわけでもないので。「じゃあ、なんで今ここにいるの?」と聞かれると、このツイートにも書いたとおり、「メルカリの仲間と一緒にいるのは楽しい」が理由の1つです。まぁ、いい仲間は旅立っていくことも多いので、増やす努力もしないといけないのですが。好きな仲間なので、次へ行くなら「頑張りや」と思います。でも、つらいことがあって辞めていくのであれば、そこは次の人のために何とかしたいですよね。

石黒:おっしゃるとおり。

高山:あと、なんだかんだ言ってフリマアプリ「メルカリ」が好きで、成功するといいなと思っています。メルカリはIT界隈だけでなく、道行くお客さまが使っている様子も時々見られるようなサービスです。これは、とてもいい。

石黒:同感です。地下鉄に乗っていて、すぐ隣に立っている人が自社サービスを使っているのを見るのは嬉しいですね。

「マネージャー、辞めます」からの心境の変化

石黒:高山さんは現在、ArchitectチームのEMなんですよね?

高山:うーん。先ほどお話ししてもらったように、メルカリではEMもテックリードも、いちソフトウェアエンジニアもすべて経験しているので……ちょっと時系列をまとめてみますね。(紙に書く)こんな感じです。

石黒:盛り盛りだ。

高山:ぼく、前職でも日本の会社がアメリカでスタートアップとして進出するフェーズに携わっていました。そのときの経験を活かせると思って、メルカリに入社を決めたんです。ちなみに、規模感的には転職するごとにどんどんダウンサイズしています。

石黒:では、これまでのキャリアのなかでメルカリが一番小さい会社?

高山:そうです。

石黒:前職でも、マネージャーなどしていたのですか?

高山:いえ、メルカリで初めてマネージャーをやりました。初めてマネジメントを任されたのは……確かあれは2016年8月。担当領域は特になく、クライアント側をまるっと担当していました。でも、そのときはまだ「EM」のようなものはなかったので、当時はどちらかと言うとプレイングマネージャーという感じで、プロジェクト管理をたまにお手伝いするようなスタイルでした。

石黒:では、プロダクトマネージャーみたいな感じだったんですね。

高山:それが2018年まで続きます。その間、一時はUS版メルカリが新しいアーキテクチャに移行するためのプロジェクトを担当したり、一方でエンジニアの海外採用を担当したり。同時に、Androidチームのマネジメントも担当することになりました。

石黒:さらに盛り盛り。

高山:もう、盛り盛りじゃない時期が存在しないくらいですね。採用を強化したことで、当初は3名くらいしかいなかったAndroidチームが5倍近くになり、均質だったものに変化が訪れました。言語が日本語・英語混じりになり、技術レベルもグラデーションがかかって、一気に大変になったんです。

石黒:大変だったというのは、どのあたりですか?

高山:コミュニケーションですね。当時からメルカリのAndroidチームはグローバル化していて、日本人エンジニアと海外から来たエンジニアの割合が半々くらいでした。人数が多くなってきたタイミングで、2チームに分けたんです。もちろん、あくまでも技術や能力などを基準に分けたつもりだったのですが……これが日本語チームと英語チームで分けたように受け取られてしまって。

石黒:「私たちを言語で分けるのか」「ダイバーシティとは何か」みたいな議論に?

高山:なりました、なりました。これは、最初にきちんと「チームを分けた背景」「意図」を伝えられなかったぼくの責任でもあります。あのころのメルカリは、人が増えてダイバーシティが増し、オンボーディングの必要性が急激に高まり、さらにメンバー間のレベルもバラバラ。どこから着手していいのかわからなくなり、正直、疲弊し始めていました。そこへ「マネージャーじゃないところのほうがスキルを発揮できるのでは?」と提案されたこともあり、一度マネージャーを辞めたんです。

石黒:それからは、いちソフトウェアエンジニアとして?

高山:ちょうどテックリードの役割を決めようとしていたころだったので、エンジニアリングカルチャーと開発体制の強化を踏まえて「テックリードは何をすべきか」のベースづくりに携わりました。その後、テックリードとして若手エンジニアの育成を3ヶ月ほど担当。そして2019年4月からの四半期では、いちソフトウェアエンジニアとしてメルカリのAndroid版アプリ開発し、7月からはArchitectチームのEMを担当しています。

石黒:マネージャーを辞め、いちソフトウェアエンジニアに戻ったときは正直ホッとしたりしましたか?

高山:しましたね。EMはチームや各メンバーの成長と成果に対する責任を負っているので、やはり大変です。ソフトウェアエンジニアに戻ったとき、気楽になった感覚は間違いなくありました。そして再びEMをやっているのですが「あ〜、EMっていろいろな業を背負うわ〜」って感じです。でも、チームが1つになって同じ方向を見る体制ができると嬉しいですし、みんなが楽しく仕事をしているのを見るとホッとします。

石黒:マジレス(笑)。一度目のEMのときと今とでは、感覚が違っていたりしますか?

高山:ありますね。それに、そもそも今EMを担っていること自体、前回大変だった経験を活かせると思い、引き受けたところもあります。

メルカリの「ぐちゃぐちゃ」でしか感じられない手応え

高山:ぼくは、昔から自分のことを「消防隊」と呼んでいて。炎のなかへ突っ込み、そこで何かするイメージで働いてきたところがあるんです。でも、メルカリではその炎が年々大きくなってきている気がしています。

石黒:消防隊、炎……。

高山:もちろん、その状態がいいというわけではないですよ。ただ、ぼくにとっては飽きない状況が続いているということです。

石黒:飽きが来ないのは、いいことですね。

高山:メルカリに関しては、JP版やUS版があったり、メルペイが登場したりして、プロダクト自体も変化しています。そこで働くメンバーの役割も常に変わっていて、もうぐちゃぐちゃ! でも、今のメルカリの規模だからこそ、そのぐちゃぐちゃに「おいしさ」がある。それに、ぼくには打算的なところもあり、転職の決め手は「楽しいかどうか」だけでなく、その時々で「一番おもしろいかどうか」「世の中を良くできそうかどうか」も見ています。メルカリ以外で働いていないということは、まだまだこの現場に「楽しい」「おもしろい」「世の中を良くできそう」と感じているからなんですよね。

石黒:打算的に考えているあたりが、高山さんらしいです。

高山:ははは(笑)。でも、本当に「楽しいかどうか」「おもしろいかどうか」は大事。それにぼく、どちらかと言うとゼロイチのほうが好きですし、得意です。それを封印したまま、かれこれ3年くらい経ちました。

石黒:よく3年も封印できましたね。

高山:そうなんですよ、それでも働き続けています。組織はぜんぜん整っていませんし、特にメルカリは、コミュニケーションにおいても日本語と英語が混ざっているから余計にぐちゃぐちゃ。でも、そのなかで事業も組織も成長している。その手応えは、すでにできあがった企業やスタートアップしたばかりの企業では感じられないものです。

石黒:「今のメルカリ」だからこそ、ぐちゃぐちゃするなかで働く意味があるということですか?

高山:メルカリでの「ぐちゃぐちゃ」には、組織だけでなくメンバーにとっての「ストレッチ」があります。乗り越えなくちゃいけないものをクリアしたとき、必ず成長がある。それって、本当に「今のメルカリ」にしかないんです。

今のメルカリに、どれくらい「おもしろそうなこと」が残っているのか?

石黒:これも聞いてみたかったことなんですが、他社から「高山さん、うちに来てください!」みたいな声はかからないんですか?

高山:ちょいちょいありますね。月に20件弱とか。

石黒:けっこうありますね。それを断り続けている?

高山:断り続けているというより、答える時間がない。それくらい忙しいし、「そんな時間があったら、家族と一緒に過ごす時間にまわすわ!」という感じです。ぼくにとってプライベートが本業で、メルカリでの仕事が副業みたいなものなので。

石黒:土日に全力を尽くして、月曜日は少し疲れきって出勤するような感じですね。高山さんは2016年からメルカリにいますが、今の変化をどう感じているんですか?

高山:どの時期も大変でした。でも、昔と比べたい気持ちはないですね。当時を反省しつつ、今を良くしていかないと意味がないので。それに、今担当しているArchitectチームは、ようやくよちよちと歩きながら前へ進み始めたところです。アーキテクチャは、事業だけでなく、組織を変えるほどの影響力を持つ部分。そういった役割を担うチームにいること自体、自分にできることがどんどん拡大している手応えにつながっています。ぼくはこのチームを発展させたいし、できればEMの後任も見つけたい。

石黒:EMの後任を見つけたい理由は?

高山:だって、新しいチャレンジができるじゃないですか。

石黒:なるほど。

高山:新しいチャレンジにならなくても、できれば今後、いろいろな領域をカバーできるスキルがほしいんです。嬉しいことに、メルカリは課題がたくさんあって大変な会社なので、いろいろなことを早く学べます(笑)。そして、時の流れが異常に早い。これは、他の会社にはなかなかない要素だと思いますね。

石黒:ぐちゃぐちゃしている現場ならではの要素だ。

高山:そうそう。メルカリは、今後より一層ぐちゃぐちゃになっていくと思うんですよ。それって、おもしろそうな気がするんです。ぼく自身が「楽しいかどうか」でキャリアを選んでいることもあり、その場にどれだけおもしろそうなことが残っているかは重要です。今関わっているアーキテクチャは、ぐちゃぐちゃななかで何かしらの方向性を見出し、全体的に良くしていくための役割があります。そういう意味では、ぼくが目の前に対峙していることは、しばらく飽きない気がするんですよね。

聞き手を担当した石黒卓弥(Organization & Talent Developmentチーム)と高山征大

高山征大(Motohiro Takayama)

大学卒業後、東芝に入社。Cell REGZAに用いられた並列プログラミング言語「Molatomium」とそのVMを開発。その傍ら、iOSアプリ開発を趣味で行い、モバイル業界に関心を持つ。2010年にディー・エヌ・エーに転職。ゲームエンジン「ngCore」の開発で約3年間USへ赴任。帰国後はR&DプロジェクトやiOSアプリ開発に従事し、16年にメルカリへ転職。Androidアプリエンジニア、育休取得などを経て現在はエンジニアチームとプロジェクトのマネジメントを中心に行う。現在はArchitectチームのエンジニアリングマネージャーを務める。

石黒卓弥(Takaya Ishiguro)

NTTドコモに新卒入社し、営業、採用育成、人事制度を担当。一方で、事業会社の立ち上げや新規事業プロデュースなども手掛ける。2015年1月、株式会社メルカリに入社。現在はOrganization & Talent Developmentチーム・マネージャー。

関連記事 この記事もおすすめ!✨

メルカリCEO山田、CTO名村、メルペイCTO曾川が振り返る意思決定の裏側【1.5万字インタビュー・前編】 #BoldChallenge

メルカリCEO山田、CTO名村、メルペイCTO曾川が思い描く挑戦的な未来【1.5万字インタビュー・後編】 #BoldChallenge

プロダクトの打率を上げる「肌感覚」の養い方 メルカリ・BASE社長対談(前編)

フリマアプリ勝敗を分けた要因は「遊びと早さ」 メルカリ・BASE社長対談(後編)

メルペイ開発は初めてづくし。エンジニアリングマネージャーらが語る舞台裏

メルカリAIチーム発足メンバーの新天地はUS版アプリ。その理由は? #BoldChallenge

「欲しいけど、名前がわからない」を解決。メルカリ写真検索機能の誕生秘話

困ってる人がいたら助けたい。書き起こしプロジェクトに込められた、ピュアな動機

メルカン情報は、こちらでも