メルカリ米国事業の強みは「お客さまへのフォーカス」「それを支える組織」グローバル展開の出発点〜現在地

メルカリの米国事業(以下、メルカリUS)は、2021年の6月決算において、リリース後初となる営業黒字を達成しました。

また2021年はUberとのパートナーシップにより非接触での同日集荷&配送サービスを全米展開、Zip社との提携により後払い決済サービス提供の開始など、着々とサービス体験を拡張させつつあります。

そんなメルカリUSの「現在地」について。VP of Product & Engineeringの@mokをはじめ、メルカリUSのProgram Managementチームのマネージャーを務める@tuttiq。メルカリUSを「日本から」支えるUS@Tokyoチームの@bradと@jonathanが語ります。

この記事に登場する人


  • Tutti Quintella(@tuttiq)

    メルカリUSのProgram Managementチームのマネージャー。今回のメンバーの中では一番最近に加入。


  • Brad Ellis(@brad)

    プロダクトマネジメントとエンジニアリングの両方を経験し、現在はメルカリUS@TokyoチームのVPを務める。


  • Jonathan Sosa(@jonathan)

    メルカリUSのエンジニアリング責任者として、東京を拠点にフロントエンド開発を指揮。


  • Mok Oh(@mok)

    メルカリUSのVP of Product & Engineering。2018年5月にメルカリUSへ参画。


メルカリUSの現在地について

ー今回は、メルカリUSとUS@Tokyoのメンバーに集まってもらいました。改めて、メルカリUSはどのような会社で、これまでどのような道のりを歩んできたんですか?そして、今はどのようなステージに立っているのか@mokさんから話してもらえますか。

@mok:私が加わった2018年当時、メルカリUSはPMF(プロダクトマーケットフィット)に力を入れていました。まだアメリカでの事業でどれだけの成功を収められるかが見えておらず、どうしたらうまくいくかを模索している状態でしたね。エンジニアとプロダクトマネージャーが少数チームでたくさんのテストをし、アプリを日々進化させていました。また、以前は日本と同じコードベースを使っていました。しかし、私が入社する少し前にUS版メルカリのコードベースをJP版とは完全に違う仕様にしたんです。同様にUXやUI、テキストなど多くの要素が刷新していました。

当時はそんな状況でしたが、2021年6月の決算ではついに黒字を達成。これは、メルカリUSの強みがPMFしたことを表しています。ところが、我々がアメリカでサービスを展開するなか、多くの難しい問題に直面しました。シームレスなAI/ML統合を実現するためのエンジニアリング、堅牢なiOS・Android・Webアプリ開発、見た目も美しい優れたUXなど、今でもさまざまなエリアで常にレベルアップさせていくこと。私達は日々、それらを進化させるために注力してきました。今振り返ると長い道のりでしたが、これから先どこまで成長できるかを考えると非常に楽しみです。

@mok

@brad:メルカリUSは、ユニークなプロダクトを提供してアメリカのお客さまに広く受け入れられるまでに成長しましたね。現地のお客さまをよく理解して、アメリカ各地にチームを大きく拡大した結果、特にコロナ禍以降は業績が大きく伸びています。

また、コロナ禍でも人と会わずに商品の売買ができるという点もメルカリの強みです。消費者が我々のサービスを必要としていること、メルカリがアメリカで重要なサービスを提供していることが業績に表れているのではないでしょうか。

ーちなみに、2021年初頭に初めて黒字化に至った背景や、日本のメルカリ事業との違いは何だと思いますか?

@mok:まず挙げられるのは、「リユース」の概念に対する消費者の考え方がここ数年で大きく変化したことです。世代を超えた消費者、特に若い世代が中古品の売買に関心を持つようになっています。そのため、以前まであった抵抗感が薄れ、徐々にメインストリームになりつつあります。この考え方と消費行動のシフトは一時的なものではなく、これから先さらに多くの人がリユースアイテムの売買をするようになるでしょう。

他には、日本とアメリカのPMFの違いがあります。メルカリが約9年前に日本でサービスをローンチした当時、日本はPMFにおいてほぼ完璧な市場でした。そのポイントは3つあったと考えています。

(1)不正の発生率が非常に低い
(2)輸送インフラが全国どこでもしっかり整備されていて、安価で速く商品が届く
(3)日本の文化にはすでに「ミニマリスト」という概念が根付いていた

ーアメリカではどうだったのでしょう?

@mok:まずは(1)について。日本と比べてアメリカの決済関連のテック企業は決済技術だけでなく、規制やコンプライアンス、不正、リスク、カスタマーサービスなどのさまざまな側面を理解し、対応しなければなりません。これらの要因がアメリカでのビジネス展開をより難しいものにしたのではないかと思います。メルカリUSは、優れた技術、プロセス、ヒューマンリソースによってこれらの問題に対処し、今では我々の強みになりました。

(2)の輸送インフラについて。日本に比べてアメリカの輸送サービスは、国土や人口の問題もあり、遅れることが多く信用できません。メルカリはUberやFedExなどの大手企業と提携してこの問題を解決し、全米で「Mercari Local」を展開。これにより、地域の買い手と売り手をすばやくつなげることができるようになりました。

そして(3)の人々の考え方についてですが、アメリカでは「リユース」が以前より主流になりつつあり、この市場はさらに拡大していくと考えられます。2021年に我々が実施した調査では、アメリカにおける中古品への支出額は、2020年では1,396億ドルしたが、2030年には3,539億ドルにまで増加する予測結果が出ました。また、アメリカの世帯で使われずに眠っているアイテムをリユースすると約5,800億ドル(約66兆円)分にもなることがわかっており、今後さらに成長が見込まれる市場でもあるんです。

このように、メルカリのようなサービスをアメリカで展開するには難しい問題が多くありました。先程もお話ししたように、私が入社した3年半前はまだPMF→成長ステージへの転換期。その当時からここまで来れたことを本当に誇りに思います。メルカリUSの優秀で情熱にあふれたメンバーたちがいなければ決して達成できなかったと思っています。

メルカリUSの強みは「お客さま」へのフォーカスと、それを支える組織

ーアメリカには他にもメルカリと近しいサービスを展開している大手企業があります。メルカリはどのように差別化を図っていますか?

@mok:メルカリの強みは複数あります。なかでも一番の強みはお客さまに対して真摯に向き合っていること。「自分たちがサービスを提供しているお客さまが誰か」をしっかり把握できていることが鍵ですね。

@tuttiq:特にUXには力を入れていますよね。

@mok:メルカリは個人の売り手にフォーカスし、「どんなアイテムでも簡単に売買できるプラットフォームを提供する」というミッションを掲げてイノベーションを図っています。このミッションに全社一丸となって取り組んだことが、アメリカでビジネスを成功させるための一歩を踏み出す大きな要因になりました。

@brad:誰がどこにいても簡単にモノを売れて、安全に取引できる点がお客さまに受け入れられているということですね。

ー組織やカルチャーについての特徴は?

@mok:「優秀なチームがいること」「協力的な企業文化があること」「皆が同じバリューを共有していること」がメルカリを支えるベースです。メルカリは一緒に働くメンバーを大切にする会社なので、採用時も履歴書がどれだけ輝いているかではなく、他メンバーと上手くコミュニケーションをとって働ける人かどうかを重視しています。メルカリUSには素晴らしい仲間たちがいて、一緒に仕事ができていることが本当に嬉しいです。

ー@tuttiqさんは日本事業から新たにメルカリUSのエンジニアリングチームに加わっています。チームの印象やメルカリUSの違いをどう感じていますか?

@tuttiq:エンジニアリングチームを一言で表すなら「誰もを受け入れる柔軟なチーム」ですね。入社当初、私は会社をもっと成長させるために対処が必要な問題を同僚とディスカッションをしていました。成長に向けてリソースを投入するにあたり、どうやったら持続可能な方法で実現できるか、ボトルネックは何かを一人ひとりに聞いて回ったんです。

印象的だったのが、メンバーみんながオープンで、一緒に解決策を考えてくれたこと。ディスカッションのアポイントメントをお願いしても断られることはなく、「何が知りたい?知っていることを全部シェアするよ」と温かく迎え入れてくれました。この協力的な文化がエンジニアリングチームの強みなんです。

柔軟性の面では、会社が成長ステージに移行するにあたってさまざまな組織改革やトップの交代がありました。それにたいして、メンバーは柔軟に対応していたと思います。会社のフォーカスに合わせて優先事項を変えるという認識が、チーム全体に共通してありました。

@tuttiq

ーそれはまさに”All for One”の精神ですね。全体としてのゴールがあって、一人ひとりがそれを達成するために全力を尽くそうという。

@tuttiq:まさにそうです。ミーティングへの出席も、自分から「そのミーティングに私も招待してくれない?あなたの考えが知りたいし、自分ができることは協力したいから」と言ってくれるメンバーもいます。また、別のチーム間の連帯感も強く、プロダクトマネージャーとエンジニアがお互いをサポートし合う雰囲気がありますね。こんなこと、普通はなかなかないでしょう?

US@Tokyo成長の道のり

ーではここから、メルカリUSをtokyoから支えるUS@tokyoチームの歴史を@bradに聞いていきたいです。そもそもどんな経緯でスタートしたのですか?

@brad:メルカリのサービスは日本で始まり、メルカリUSは日本拠点のチームによってスタートしました。日本で構築したものを英語に翻訳し、2014年にアメリカでローンチ。そこでの結果が良かったので、さらなる規模拡大へ舵を切りました。私が入社した2017年当時は東京オフィスのスタッフの8割がメルカリUSの開発に関わっているという大きな転換期を迎えていましたね。

私自身はメルカリUSのアメリカ現地オフィスで1年半勤務した後、日本に拠点を移してUS@Tokyoを率いることになりました。実は”US@Tokyo”の名付け親は私なんですよ(笑)。

@brad

ーアメリカ国内向けのサービス開発ですが、日本に拠点があり続ける理由は何ですか?

@brad:正直入社したばかりの時は、アメリカ現地でもっと人を採用した方がいいのではと思ったこともありました。アメリカのお客さまに向けたプロダクトですから。しかし、メルカリ日本オフィスに素晴らしいチームがいること、そして日本で働くことに興味があるアメリカのメンバーが多いことを知りました。日本に拠点があることは、倒産してしまう企業も少なくないスタートアップ業界を目指すアメリカの人たちにとって大きな求心力になるんです。それにアメリカにとどまらずグローバルに展開していくメルカリの展望にも沿っていますしね。

ー@jonathanはUS@Tokyoに加わって3年とのことですが、どんな印象がありますか?

@jonathan:そうですね、3年でチームとして余裕が出てきたと思っています。最初は組織の確立や技術的な問題に対処するのに忙しく、TokyoチームとUSチーム間で摩擦が起きたこともありました。しかし、新たなメンバーが加わりプロセスが改善されたことで、今ではもっと自由に「今後数年間で何ができるだろう?」と考えられるようになりましたね。

私のチームは主にフロントエンドエンジニアリングを担当しており、現在はアプリをゼロから書き直す大きなプロジェクトを進めています。今までは複数の違うプラットフォームで開発をしていたのですが、今後はReact Nativeに統一されるので、開発の効率化で確保した時間や人的リソースを実験的な取り組みに充てられると考えています。@mokによるリーダーシップのもと、プロダクトチームとエンジニアリングチームがお互いを支えながらサービスを提供していくことで、今後ビジネスをさらに成長させることができるはずです。

@jonathan

ーUS@tokyoチームの魅力はどんなところにあると思いますか?

@jonathan:US@Tokyoの文化は魅力の1つです。主要メンバーは外国人なので、新しい国でその土地の暮らしに溶け込もうとしている者同士、仲間意識が生まれる。おすすめのレストランを教え合ったり、最近だとワクチン接種の情報を共有したりね。ただの同僚以上の関係性で付き合えるし、メルカリを離れた後でも連絡を取り続けている人が多くいます。それが他の職場にはない魅力ですね。

@brad:毎週金曜日はTGIF(華金パーティー)もあるしね。前は直接みんなで集まっていたけど、今はオンラインで一緒にビールを飲みながら、出身国のことなどお互いについて話しています。アメリカ、デンマーク、スペイン、ブラジル、台湾…インターナショナルで楽しい仲間たちです。

メルカリUSの成長に必要なのは、国境を超えて協力し合えるチーム

ーUS事業を支える現地USチームとtokyoチーム、それぞれに必要なものは何だと思いますか?

@brad:今後さらに成長していくためにも、国境を超えて協力し合えるチームを構築する必要があります。US@Tokyoではコロナの影響もあり、今では日本各地にメンバーがいます。同じチームにいながらもリモートで仕事をすることが普通になりつつもあります。それでも国内外問わず良いコミュニケーションが取れています。引き続き、このやり方を強固なものにしていきたい。

それに、好きな場所で仕事ができるのはとても良いこと。日本はすごく住みやすいし、US@Tokyoでメルカリのグローバリゼーションの最先端に立って働くのは刺激的ですしね。

メルカリUSのエンジニア組織としても、2018年に@mokが加わりエンジニアリングチームを率いるようになってから、「その時々の問題に都度対処していく」が「より長期的に物事を考え、開発プロセスの一環としてエンジニアの発言権を大切にしよう」というアプローチへ変わりました。その結果、@jonathanのような頼れるリーダーをはじめ、他のエンジニアリングマネージャーやディレクター、そしてプログラムマネジメントを率いる@tuttiqのおかげでエンジニアリングチームが強化されました。

ー事業の将来を見据えた、長期的な視点がエンジニアリング組織に加わってきているんですね。

@tuttiq:私がチームメンバー候補を面接する時にいつも言うのは、「メルカリUSはスタートアップのようなオペレーションから確立された組織への転換期にある」です。もちろん大変なことやチャレンジもありますが、だからこそ適切なプロセスを構築して変化に対応し、ビジネスを拡大していく必要がある。自分自身のアイデアを持っていて、今のやり方で本当にいいかを問いながら新しいことに挑戦できる人をチームに迎え、一緒に会社の未来を築いていきたいですね。

@mok:テクノロジー、チームメンバー、プロセスのあらゆる面でメルカリUSは成長のための筋力をつけ、どんどん強くなっています。我々が提供するサービスが人々から必要とされていることが証明できた今、次のステップはビジネスを拡大しつつ、組織の体制を整えて成長を目指すことです。その他に重要なのは、情熱を持って懸命に働く優秀な人材が評価されることですね。私の役割は、皆がしっかり仕事ができる環境を作って会社の成長につなげていくことです。今後、メルカリUSにとって非常に楽しみなステージが始まります。

メルカリUSには我々にしかない強みがあります。日本では誰もが知っているメルカリ。アメリカでのビジネスは、それに追いつき追い越そうという熱量で成長を続けています。メルカリUSで働くことに興味のあるエンジニアの方は、ぜひ応募してください。まだまだ伝えきれない魅力や仕事の内容について詳しくお話しします。

関連記事 サクッと読める!✨

5社合同!エンジニア就活を考える「Career Reflection #2 in Tokyo」を開催

メルペイのエンジニアリングを知る!「Merpay Tech Fest 2022」を3日間にわたって開催。今年はオンラインの体験型ワークショップも実施 #メルカリな日々

メルカリのAI関連の取り組みを紹介するサイトができたよ! #メルカリな日々

関連記事 読み応えアリ✨