メルカリに会社を売って、また新たな事業に挑戦する話

こんにちは。メルコインSecurityチームでマネージャをしている竹井悠人(@yuto)です。

2021年の夏からメルカリグループに参画したのですが、早いものであっという間に8ヶ月。社内のカルチャーにすっかり馴染み、一緒に働く仲間たちとの距離感をしっかり掴んで、あらゆる業務でバリバリ動けるようになってきました。

そんな中、なんとなんとメルコイン初代MVPに選んでいただいきました。自分の中では、嬉しい驚きとともに、まだまだ冒険は始まったばかり、という引き締まる思い。

受賞したのは昨年末のことですが、今日はスタートアップ業界でチャレンジしていた頃と、そしてメルコインで新たな事業の立ち上げに挑んでいる日々を紹介したいと思います。

この記事を書いた人


  • 竹井悠人(Yuto Takei、@yuto)

    東京大学理学部情報科学科卒、同大学院 コンピュータ科学専攻修了のソフトウェア エンジニア。Google等でのインターンや、経済産業省・IPAの行う未踏事業・未踏アドバンスト事業への採択、スタートアップ創業などを経験。暗号資産には2016年から関わり、国内最大の取引所でCISO・ブロックチェーン開発部長を歴任。その後、暗号資産ブロックチェーンをビッグデータ的に分析するアルゴリズムを開発するBassetを創業、コンプライアンスや資金洗浄対策に取り組む。2021年夏、メルカリによるBasset株式の取得によってメルコインに参画。現在は取引所の堅牢なセキュリティ体制の構築に日々取り組む。


暗号資産業界との出会い

私は中学生のころからプログラミングが大好きでした。当時たまたまJavaScriptでRSA 暗号を実装してみるというサイトを見つけて、自分でもC#に移植して試したり、高速化を試みたりしていました。これがきっかけで、暗号や離散数学といったものに興味を持ち始めたのですが、今思うと自分のキャリアの伏線だったのかもしれません。

大学卒業後は、社会のインフラ・プラットフォームになるようなシステムを作ってみたいという思いで、モバイルアプリ開発や、物流の配送アルゴリズム開発など、分野・業界を問わず複数のスタートアップを興しました。

その中には、電子証明書の事業者さんからの委託を受け、マイナンバーカードを使った本人確認システムを設計・開発するといった仕事もしました。これが実は今、メルペイで稼働している本人確認システムの裏側として動いています。

※メルカリに入ってから自身が数年前に設計したシステムと再会することになり、とても驚くとともに非常に嬉しく思いました

その後、2016年に国内最大手の暗号資産取引所にソフトウェアエンジニアとして入ったことをきっかけに、暗号通貨ビットコインと出会いました。その会社では、能力あふれる優秀な仲間たちとともに働くことができ、独自ブロックチェーン製品の設計開発や取引所としてのセキュリティ強化など様々な業務をこなしながら、暗号資産業界のことを深く知るようになっていきました。

Bassetというスタートアップでのチャレンジ

私が暗号通貨の業界に入ったのはまだ黎明期で、毎週のようにニュースに事欠かない、刺激的で「カオス」な日々でした。

しかし他方では、暗号通貨の価格バブルや相次ぐサイバー攻撃などによって、社会から広く注目を集めるようになっており、金融インフラとして信頼度の高い仕組み作りが求められる段階に移りつつある、とも感じるようになりました。

そこで注目したのが、コンプライアンス支援のためのブロックチェーン情報活用でした。2019 年夏、取引所にいた仲間たちとBassetというスタートアップを立ち上げ、暗号通貨取引の安全性をビッグデータ的に分析するシステムを開発しました。

Bassetが取り組んでいた「金融安全」が社会的注目度の高い分野であったことから、暗号資産業界をはじめ、他の金融分野や法曹業界、そしてエネルギーや物流など、幅広い業種のお客さまと巡り会うことができました。そのほか、公的機関と協力して暗号資産が絡む詐欺事件の調査にあたったり、取材や講演依頼を受けたりするなど、多くのお声がけをいただきました。

メルカリに会社を売却…!?

※メルカリに会社を出品することはできません

スタートアップとして嬉しい悲鳴を上げながら多忙な日々を過ごしていた折、メルカリグループで暗号資産事業を立ち上げるという噂が飛び込んで来ました。幸運なことに、Bassetのシステムが使えるかもしれない、という話も。Bassetのサービスを売却すべきか、それとも会社そのものにしようか…。もしメルカリという巨大なプラットフォームの上で自分たちの技術が活かされるなら、これ以上に面白い話はないと思いました。

メルコインの経営陣と話し始めてからは、暗号資産への考えや技術的な発展性、そして安全な取引環境整備によるユーザー層拡大という期待などが合致し、トントン拍子で話が進みました。Bassetというスタートアップを立ち上げた頃、私自身が思い描いていた「技術によって取引の健全性を保ち、暗号資産による経済圏を広げたい」というビジョンが、メルカリグループに参画することによってより近づくかもしれない、と思ったのです。

そしてBassetの社員みんなで相談し、結論を出しました。会社を売ろうと。

※実際の株式交換は2021年7月2日に完了しました

メルカリグループへ参画してみて

M&Aによって会社のカルチャーや環境は大きく変わりますので、メルカリグループに参画することに不安がなかったわけではないです。またスタートアップでは、自身の経営によって会社が明日なくなる可能性すらあるというプレッシャーに引き換え、自分の責任でいかなる新事業にもチャレンジできるという自由さがあります。それにまさる刺激をメルカリグループで追求できるのか…?

結果的にはそれは杞憂となりました。

メルカリグループには、買収により参画することになった人がBassetに限らず他にもたくさんいます。現メルペイCTOの野澤さん(@nozaq)もその一人。OrigamiのM&Aによって入社した方です。私がメルコインの仕事を始めるにあたって@nozaqさんがメンターとなり、すぐさまチームに馴染めるよう非常に良くケアしてくれました。

またメルカリの3つのバリューにも支えられました。

・ Go Bold(大胆にやろう)
・ All for One(全ては成功のために)
・ Be a Pro(プロフェッショナルであれ)

一緒に仕事をするメンバーみんながこれらの基準に沿って行動することを意識していて、自身がそれぞれのジョブの専門家であるという自覚を胸に、チームプレーで助け合いながら、社会にインパクトを与えようとチャレンジしている。そんな仕事への向き合い方を目の当たりにしました。私自身がメルカリに入ってすぐ納得できるほど非常に明確で、そして社内においても一貫して大事にされている規範があることに、とても感銘を受けました。

さぁ、新たな挑戦へ!

今回、私がメルコインでMVPを受賞したのは、他の方々の姿を見ながら自身でもバリューに沿って仕事できるようになったからかもしれません。しかしそれ以上に、一緒に働いている方々のプロフェッショナルな動きに支えてもらい、それらの方々が手を貸してくれたおかげで、メルカリグループにおいて暗号資産事業を立ち上げるという大胆な目標に向かって進んでいる状況に恵まれたと言えるでしょう。

メルコインのメンバーと!

メルコインという新しい舞台に入ってからの毎日は、私がBassetにいた時と同様、変わらず刺激的で忙しいです。各専門分野のプロ集団から知見を寄せ集め、真剣に新規事業の立ち上げに臨める場であることは、スタートアップと何ら変わりません。そればかりか、メルカリグループの基盤に支えられ、普通には挑めそうもない大きなチャレンジですら手が届きそうです。メルカリでの売上金と暗号資産との交換や、ブロックチェーン技術を用いた商品管理技術の研究開発、新たなNFT商品やサービスの考案など、例が尽きません。

メルコインのミッションである「多様な価値がめぐる新しい経済をつくる」。これを胸にしながら今日も新しいことに挑戦していきたいと思います。

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