メルカリの寄付プロジェクト「Stay Home & Share Smiles」 その後は?寄付先9団体のレポート公開 #メルカリオンラインフェス

2020年8月22日、メルカリ初のオンライン型コミュニティイベント「メルカリオンラインフェス」を開催。お客さまとともにメルカリを楽しむイベント内容となっていましたが、その1つのセッションとして注目していただきたいのが「寄付プロジェクト『Stay Home & Share Smiles』の軌跡」です。

「Stay Home & Share Smiles」とは、コロナ禍におけるメルカリの寄付プロジェクト。自宅にある「使わなくなったけど、他の誰かが必要としているもの」をフリマアプリ「メルカリ」で出品し、出品数1個につき10円が新型コロナウイルス感染症に関わる支援活動に取り組む団体へ寄付金として届けられるプロジェクトです。

最終的に、55万人のお客さまに賛同いただき、集まった寄付金額の合計は4,690万円。その後、9つの団体へ寄付しました。本セッションでは、それぞれの団体が寄付金をどのように活用したのかを発表しました。

再出発を後押しする生活物品を(Homedoor)

ーまず最初に発表したのは、NPO法人・Homedoorの松本浩美さん。「ホームレス状態を生み出さない日本の社会構造をつくる」という理念を掲げ、ホームレス状態の方、もしくはホームレス状態になりそうな方に対するサポート活動をしています。具体的な情報や物資を届けたり、再出発に寄り添ったりと幅広くサポートしているHomedoorでは、どういった部分に寄付金を充てたのでしょうか。

松本:まずは再出発のサポートですね。家を借りられたり、仕事先と住む場所が決まった方に対して、「次の生活、頑張ってくださいね」という意味を込めてプレゼントしている生活物品に今回の寄付金を充てています。

ーHomedoorでは、新型コロナウイルスの影響で相談者が毎月100名ほどのペースで増加。「多くの方たちが生活困窮状態になっていることが明確になった」とも明かしました。

松本:相談者の増加を受け、私たちも2名の相談員を補充しました。新型コロナに感染しないように購入したアクリルパネルやマスク、アルコール除菌剤にも寄付金を充てています。

最後に、支援していただいたおかげでわかったことをご紹介させてください。私たちはアンドセンターという生活支援施設を運営しているのですが、新型コロナウイルスの影響で収入の目処が立たない時期は、相談者の方にお渡しする食品やトイレットペーパーなどの備品も切り詰めていました。今回の支援のおかげで余裕が生まれ、相談者の方からも「こんなにいただいていいんですか?」と言われるほどになりました。

こども食堂が抱える課題を、アイデアで解決(むすびえ)

ー次は、NPO法人・全国こども食堂支援センター・むすびえの三島理恵さん。「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる」というビジョンを掲げ、活動しているむすびえ。従来のこども食堂は、他世代の交流拠点。ところが新型コロナウイルスの影響で、三密が禁じられるように。そこで、全国の231のこども食堂にアンケート調査を実施。まずはそのアンケート結果から紹介しました。

三島:緊急事態宣言下でも、10%のこども食堂がオープンしていて、46%がフードパントリーとして活動していることが明らかになりました。同時に、感染拡大への不安も非常に大きく、特に高齢者のボランティアが活躍しているこども食堂では、人材の確保も難しい状況。切実な声が全国から寄せられました。

そこで、資金面だけでも支えるために、法人や個人からの寄付でこども食堂の助成を行う「こども食堂基金」を設立。今回のプロジェクトによるご支援も、こども食堂基金の原資として活用させていただいています。クラウドファンディングで調達した資金と合わせて、全国29の都道府県、113の団体へ助成することができました。

ーその結果、各こども食堂からの申告ベースでは合計14万人の子どもたちに食事を届けることができたそう。助成先のこども食堂のなかでは、三密を避けてバーベキュー形式を企画してくれたところや、キッチンカーの「移動こども食堂」を用意してくれたところ、フードパントリーでドライブスルー形式を取り入れてくれたところがあったそうです。「感染払拭の不安はありながらもアイデアを絞って活動してくれた」と三島さんは結びました。

厳しい環境に置かれているひとを孤立させない(D×P)

ー次は、NPO法人・D×P(ディーピー)の今井紀明さん。D×Pでは、不登校など孤立する10代の子どもたちに、人とのつながりや進路・就職のサポートをしてきました。支援実績は、約5,000名。2年前からLINEを活用したオンライン相談(2020年6月にユキサキチャットに名称変更)を取り入れてきましたが、新型コロナウイルスによって登録者数は急増したそうです。

今井:2020年4〜6月末まで、「ユキサキチャット」には昨年と比較し10倍の登録があり、多くの切実な声が届きました。

例えば、高校生は飲食店でアルバイトしている子も多いじゃないですか。親に頼れない子どもは、3〜5月の収入面が閉ざされてしまうことになる。食事もままならない状況だったので進学や就職の相談に乗りながら、月1万円の現金給付や食糧支援などを実施するようになりました。

ー新型コロナによって、厳しい環境に置かれている人がより孤立化してしまう──そんな状況を肌で感じた今井さんは、個人レベルではなく組織として支援していくことを決断。そこに今回のプロジェクトの寄付を充てたそうです。さらに今井さんは、今後自分たちのようなNPOが直面するであろう現実について語りました。

今井:秋以降、企業の休業や倒産、親の失業が増加する傾向にあるかもしれない。だから、現金給付も食糧支援も継続的に行っていきたいと考えています。何らかの事情で行政の支援に届かないような子どもたちも出てくると思います。他のNPOとも連携し、ネットワークを活用しながら支援していきたいですね。

感染予防キットはコミュニケーションツールになる(世界の医療団)

ー続いては、NPO法人・世界の医療団でハウジングファースト東京プロジェクトのコーディネーターとして働く武石晶子さん。ハウジングファースト東京プロジェクトとは、ホームレス状態の方たちや複雑な事情によって従来の支援を受けられない方々が安心できる住まいを得て、その後住みたい地域で自分らしく暮らしていけるようにサポートしていく取り組み。現在は、住まいの提供や居場所の支援、クリニックや訪問介護ステーションを含めて7団体のコンソーシアムとして活動しています。そして、世界の医療団では、月2回パートナー団体が主催する炊き出しの場で医療相談会も実施。武石さんは、新型コロナの流行が報道されるようになった2月ごろからの現場の状況について紹介しました。

武石:まず私たちが直面したのは、情報の格差についてです。炊き出しの医療相談にいらっしゃる方からは「コロナって何?」という意見が聞かれました。そして、感染が疑われる場合の相談窓口を案内したら「自分たちはお金も保険証もないから、感染したら死ぬだけ」とも言っていました。

そこで私たちは格差を解消すべく、ボランティア医療者の協力のもと「新型コロナとは何なのか」「どうやったら感染するのか」、マスクの正しい使い方、保険証や電話がない場合の相談の方法などをまとめたチラシを作成。ストックしていたマスクや寄付でいただいたアルコール消毒液や液体石鹸を小分けのボトルに入れて、チラシと一緒に配布しました。今回のプロジェクトによる寄付で、マスクやアルコール消毒液、小分けにするボトルなどを購入でき、感染予防の啓発ができています。

ー8月時点で、感染予防キットは2週間に一度配布できており、年末までは安定して続けられるそう。さらに武石さんは「感染予防キットを渡す目的は、単にマスクやアルコール消毒液の配布だけではない」と話します。

武石:感染予防キットを渡す際に一人ひとりにお声がけすることで、その方が何に困っているのかお話を聞くことができる。自分から「助けてほしい」と言えない方もいるなかで、こうやってお声がけできる機会があるのは大変ありがたいですね。今後は私たちの活動区域である池袋だけではなく、新宿や隅田川の他団体にも感染予防キットを提供していきます。

住まいを失ったひとたちのシェルターを(つくろい東京ファンド)

ー次に発表したのは、一般社団法人・つくろい東京ファンドの稲葉剛さん。つくろい東京ファンドは東京都内に80万戸以上あるという空き家と、住まいを失っている方たちをマッチングすることで問題解決を図るために設立した団体。2020年2月ごろまでは中野区や豊島区を中心に25部屋を借り上げ、世界の医療団とともにハウジングファーストの支援を進めてきていました。しかし、新型コロナによって状況は一変したそうです。

稲葉:経済状況が深刻化し、住まいを失ってしまう人が続出する事態になりました。さらに緊急事態宣言以降はネットカフェが休業し、仕事と住まいを失った方々が一気に路上に溢れ出るという状況。

私たちは緊急でメールフォームによる相談窓口を開設し、これまでに200名の方々に支援をしてきました。現在は、都内に56部屋の体制で住まいに困っている方々の受け入れを進めています。今回のプロジェクトによる寄付は、6部屋分のアパートの初期費用と家賃、そして着の身着のままの方が来てもいいように揃えた布団や家電製品の購入資金に充てています。

ー新型コロナによる経済的不況は長期化しつつあり、今後も貧困が拡大しかねない状況は続きます。このイベント当日も「このあと新たに仕事を失ってしまった方を、借り上げた物件に受け入れる予定」と語った稲葉さん。私たちの身の回りでリアルタイムに起きている問題だということを肌で感じられるお話でした。

支援した家庭のお母さんから届いた涙のメッセージ(フローレンス)

ーそして、認定NPO法人・フローレンスの橋本吉央さん。フローレンスは、保育や子育て、親子にまつわる問題の解決を事業とする団体。待機児童問題に対しては、定員が少なく開園しやすい小規模保育というスタイルをつくったり、障害児を専門的に預かる保育園をつくったり、最近では保育の分野にとどまらず、経済的に厳しいけれど社会にヘルプを出せない家庭に食品を届けて困りごとを聞く「こども宅食」などに取り組んでいます。橋本さんは寄付の使い方だけではなく、寄付を受けた家庭のお母さんからのメッセージも紹介しました。

橋本:おもに障害のあるお子さまを育てる家庭、経済的に厳しい家庭、そしてひとり親家庭の3つを支援してきました。具体的な内容としては、食料品やマスク、アルコール消毒液、さらには無料の保育など。そこで日用品や食品を届けたご家庭のお母さんからいただいたメッセージを紹介します。

「慢性呼吸器疾患があって、感染したら死ぬかもしれない。ワクチンができるまで仕事はできないかもしれないという不安と、世の中から忘れられた存在になったような心細さ。そのなかで届いた小さな手づくりの子ども用マスクや、なかなか重くて自分のものまで買えないでいたシャンプーなどを見て、涙が出ました。なにより、忘れられていないという気持ち、わたしたち親子にこんな親切な思いを届けてくださる方々がいるんだという実感をいただきました」

ー「今回は、新型コロナの感染予防の観点もあり、リアルに助けを求めることが難しかったのではないか」と話す橋本さんは、こう結びました。

橋本:今回の支援を通じて「あなたのことを思っているよ」「あなたのことを心配しているよ」というメッセージを伝えられたことは、とても大事だったと思います。

寄付というと街頭募金のイメージがある方もいるかもしれませんが、いろいろな方法がある。今回のようにメルカリで出品するというちょっとした行動が、困難を抱えているひとにつながっていく。そういう機会があることを覚えておいていただけると嬉しいですね。

機材だけではなく、親と子どもとの向き合い方もサポート(カタリバ)

ー続いては、認定NPO法人・カタリバの今村久美さん。カタリバは、どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPO。特に10代の子どもたちを中心に、学校と家庭以外の第3の居場所を提供してきました。しかし、今回の新型コロナによって子どもたちは家から出られなくなってしまうことに。「第3の居場所に行けない」という状況とどのように向き合ってきたのでしょうか。

今村:子どもたちが家庭にいることで起きるのが、生活リズムの乱れ。生活リズムが崩れると、学校が再開したときに学校不適応になりやすいんです。さらに、思春期の場合は親子の関係性だけで生活していくことにお互いが苦しくなり、家族の不和になることも。

今回は、寄付を使ってオンライン上に「カタリバオンライン」という場所をつくりました。世界各国のボランティアの方に提供していただく何らかのプログラムに参加して、夕食の時間に「今日こんなひとと会ったよ!」と会話ができるようになる場所です。本当に世界各国の方に協力していただき、不登校の子どもたちもたくさん参加してくれました。

ーしかし、「危惧したこともあった」と話す今村さん。それは、経済的にパソコンを購入できなかったり、Wi-Fiを子どものために使用できなかったりする家庭への支援です。一体、どのようにサポートしていったのでしょうか。

今村:パソコンとWi-Fiを無償で提供するだけではなく、親と子、それぞれにペアレントメンターとキッズメンターをつけて、親が子どもたちとどう向き合い、子どもの成長をどうサポートしていくかを考えるチームをつくり伴走してきました。

今回の寄付によって400件を超えるご家庭にパソコンとWi-Fiを提供し、今も継続的に支援しています。ご家庭からは「兄弟それぞれにパソコンがあって、それぞれの世界を楽しみながら学んで、家庭の食卓に帰ってくることが家族のあり方において必要」といった声が寄せられています。

2月27日、途方に暮れたあの夜を忘れない(放課後NPOアフタースクール)

ー最後は、NPO法人・放課後NPOアフタースクールの平岩国泰さん。放課後NPOアフタースクールの活動は、小学生の放課後を支えること。学校で毎日開催し、児童は全員受け入れ、地域の市民が先生になってもらう活動です。しかし、2020年2月27日、状況は一変します。その夜、日本中の学校に、一斉休校が要請されました。

平岩:あの日のことは忘れもしません。途方に暮れてしまいましたから。なぜ途方に暮れるかというと、学校がなくなるということは、子どもたちの居場所を確保する必要があるということ。そのため、私たちは翌朝から活動をスタートします。2月27日が木曜日だったので、日曜日まで準備して、月曜日に備えました。

今回の寄付は、大きく2つに活用しています。1つ目は、朝から活動をするための費用です。結果的に5,000名弱の子どもたちを支援することができました。2つ目は、カタリバと近しいんですが、オンラインでのアフタースクールです。日本全国の子どもたちへのコンテンツ配信を続けて、約100ヶ所、トータルで約800名の子どもたちを支援できました。そのうち、子ども同士でやりとりするようになっていましたね。オンラインで一緒に遊んだり、友だちになったりした子どもたちもいたようです。

ーまた、違う切り口でのメルカリの関わり方についても紹介しました。

平岩:実は、メルカリの方にも先生になってもらいました。「使わなくなったものが誰かの役に立つ」というメッセージをオンラインで届けるというプロジェクトが生まれ、今後も続けていくことになっています。ピンチはありましたが、支援のおかげでチャンスも生まれ、子どもたちの未来も開けました。

ー以上で9つの団体の代表者による発表は終了。

左上から:NPO法人放課後NPOアフタースクール代表理事 平岩国泰さん、NPO法人 世界の医療団 コーディネーター 武石晶子さん、株式会社メルカリ Brandingチームマネージャー田原純香(モデレーター)、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事 稲葉剛さん、NPO法人Homedoor事務局長 松本浩美さん、認定NPO法人カタリバ代表理事 今村久美さん、認定NPO法人フローレンス 橋本吉央さん、NPO法人 全国こども食堂支援センターむすびえプロジェクトリーダー 三島理恵さん、NPO法人D×P理事長 今井紀明さん

新型コロナによって取り巻く環境は大きく変化しましたが、活動の軸はぶれないようにしながらも、さまざまな工夫をしながら全力で社会課題に向き合っていることがよくわかるお話でした。

また、みなさん口を揃えて、メルカリを通じていただいた方への感謝の言葉を述べていました。メルカリへの出品から生まれた支援のバトンは、いまもどこかでつながっている。出品いただいたみなさま、改めてありがとうございました。

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