マネジメントに興味津々な若手エンジニアが現役EMにぶつけた質問は… #SouzohEngineeringCafe

ソウゾウに所属するエンジニアたちがインタビュアーを引き継ぎながら、ソウゾウにまつわるさまざまなことについてざっくばらんに話す連載「Souzoh Engineering Cafe」。第3回のインタビュアーを務めるのは、ソフトウェアエンジニアの@wakanapoさんです。

そしてゲストとして登場するのは、エンジニアリングマネージャー(EM)の@motokieeさん。マネジメントに興味津々の@wakanapoは、@motokieeさんに聞きたいことが山ほどあるよう。マネジメントをするうえでの心がけや苦労は?

この記事に登場する人


    • 野上和加奈(Wakana Nogami、@wakanapo)

      ソフトウェアエンジニア(Machine Learning)。2019年にメルカリへ新卒入社。MLOpsエンジニアとして、写真検索システムの運用、配送サイズ推定システムの開発を担当。2021年4月からソウゾウに移動し、機械学習チームの立ち上げを担当。また、サイドワークとしてD&I Women Community の leadも務め、Build@Mercariの運営などを行っている。好物は汁なし担々麺。Twitterはこちら。



    • 成田元輝(Motoki Narita、@motokiee)

      エンジニアリングマネージャー/ソフトウェアエンジニア2016年9月に旧ソウゾウへ入社。「メルカリ アッテ」の開発、「メルカリ カウル」の新規事業立ち上げにソフトウェアエンジニアとして参加。2018年4月からメルカリへ異動、テックリード経てエンジニアリングマネージャーに。メルペイ立ち上げ支援、Agile推進、NewBizチーム Engineering Headなどを経験。 2020年1月から新生ソウゾウへ異動。現在はソフトウェアエンジニア / エンジニアリングマネージャーとしてプロダクトとエンジニア組織をより良くしていくことに取り組んでいる。Twitterはこちら。


エンジニアリングマネージャーだからこその苦労とは?

@wakanapo:私、EMのカレンダーを閲覧するのが好きなんです。多くのEMが、朝から晩までびっちりスケジュールが埋まっているじゃないですか。あれを見て「うわ、やばいな!」って思うのが楽しくて(笑)。

@wakanapo

@motokiee:たまにご飯を食べる時間がないときがありますからね。すべて予定が埋まったら消えてしまったらいいのにと思うことも多々…(笑)。

@wakanapo:@motokieeさんは立ち上げ間もない2021年1月からソウゾウにいらっしゃいますよね。私が異動してきた4月にはいろんなことが進んでいるように感じたんですけど、1月の時点ではどんな感じだったんですか?

@motokiee:1月はプランニングの段階でしたね。初期メンバーで役割分担しながらいろんなことを決めていました。コードを書き始めたのは@wakanapoさんが異動してくる直前だったかな。

@wakanapo:私が異動したときにはすごくいろんなコードがあったんですけど、それは直前に書かれたものだったんですね。

@motokiee:僕を含め、ソウゾウのみんなで書いていましたね。最近はマネジメント業務が中心になっているので、僕が手を動かす機会も少なくなりましたけど。

@motokiee

@wakanapo:立ち上げの時期ならではの状況だったかもしれないですね。

@motokiee:ただ、現状もベストとは言えなくて。マネジメントする人数が10人を超えると、採用と1on1と各種ミーティングに参加するだけで1週間が終わってしまうので。できれば、EM1人あたり5人とか6人とかが理想なので、マネジメントができる人を増やしていくのが今後の課題かなと。

詳細な説明より、自分で手を動かして学べる環境を

@motokiee:@wakanapoさんは何かチャレンジしたいことはありますか?

@wakanapo:最近、採用の応募が少しずつ増えてきているじゃないですか。だから、オンボーディングの準備をそろそろしないといけないなと思っています。今まではいろんなことを私の好きなように進めてきたんですけど、それだと誰にも仕事を引き継げなくなってしまう。ソウゾウ全体のオンボーディング資料は@motokieeさんが準備したものを使っていますよね?

@motokiee:そうですね。とはいえ、整えないといけないことがたくさんあるので、引き続き改善していきたいなと思っています。あとは採用面接やシステムデザインインタビューもみんなでできる体制にしたいので、そういった取り組みのトレーニングプログラムをトライアルで作っています。それが完成すれば、僕のカレンダーにも余裕が生まれるはず(笑)。

@wakanapo:オンボーディングの資料を作成するときに心がけていたことはありますか?受ける側の立場になったら説明が丁寧に書かれているものが望ましいと思う反面、資料を作成する側としては「これくらいのことはできるはず」と詳細な説明を省きたくなる気持ちがあるんじゃないかと思うんです。そのバランスって、すごく難しい気がして。

@motokiee:それでいうと、詳細な説明を記すよりも、わからないことがあったときにどこの何を参考にすればいいのかを重視して制作するといいかもしれないですよ。あとはハンズオンで学べるか。僕もそうなんですけど、解説だけ読んでもよくわからないというか、実際に手を動かしてはじめて理解できるタイプの人もいるはずなので、ある種の手探り感みたいなものは大切にしていますね。

@wakanapo:めちゃくちゃ参考になります!

@motokiee:あと、これはソウゾウ全体の課題でもあるのですが、オンボーディングがまだまだ手薄です。今後は入社して1〜2週間くらい人たちへのサポートをもう少し手厚くしたいので、そこは力を合わせて一緒にやっていきたいですね。

@wakanapo:そうですね。

@motokiee:ところで、@wakanapoさんは最近どんな仕事をしているんですか?

@wakanapo:メルカリShopsのホーム画面におすすめ商品をレコメンドで表示できるようにしたくて、それを機械学習を活用してできないかなと考えています。

@motokiee:お客さまにはどんな価値を提供できる予定なんですか?

@wakanapo:現状だと、ほしい商品があっても自分で検索しないと見つけることができないんです。しかも、検索後の商品の並び順もあまりよくない。辿り着くまでひたすらスクロールするしかなくて。

@motokiee:確かに。つい最近、僕もほしいものがあってメルカリShopsでけっこう頑張って探しました。でも、なんとなく回遊していくなかで見つかるようになったらすごくいいですよね。メルカリはそのあたりの設計がすごく上手なので、いつの間にか商品を買っていることがあります。

@wakanapo:ですよね。私自身、そこまで物欲がないので、いい感じのものをおすすめされるほうが嬉しかったりします。今、私が目指しているのは、頑張って探さなくてもなんとなくほしいものが見つかって、「これほしい!」となって購入にまで至るようになる画面です。段階を踏んでリリースしていく想定なのですが、第一段階では興味を持ってそうなカテゴリーを表示するところまでをやりたいなと思っています。

@motokiee:@wakanapoさんは機械学習もそうだけど、バックエンドとかフロントエンドとか、いわゆる専門領域以外のところも自分で実装していますよね?

@wakanapo:そうですね。でも、最初はバックエンドとかフロントエンドを専門にしているメンバーにお願いしようと思っていたんですよ。ただ、いろいろ進めているうちに自分で書いてみようと考えるようになって。さらに、私の所属するチームにはCTOの@suguruさん(ソウゾウCTO、名村卓)をはじめ優秀なシニアエンジニアが何人もいて、どんなに小さな質問でも丁寧に答えてくれるんです。だから、挑戦できました。

@motokiee:しかも@wakanapoさんの習得が早かったですよね。圧倒的に。年内にリリースするのは無理なんじゃないかなと思っていたんですけど、もうすぐ出せそうですよね。

@wakanapo:そうですね、うまくいけば。

@motokiee: すごい!

@wakanapo:同じようなことをしているコンポーネントがすでにあり、それを参考にできたのがよかったですね。手を動かすと理解できる度合いが違うから、新しく入ってきた人に対してもあんまり説明しすぎないで「まずは自分でひと通りやってみて」と言ってもいいのかなと思います。スパルタすぎるかもしれませんが(笑)。

@motokiee:確かにスパルタ(笑)。でも、さっきも言ったように実際に手を動かしてみたら、想定していたよりもハードルが高くないこともあります。そういうのも実感できるからいいと思います。

@wakanapo:用語だけ聞くと難しそうに感じるけど、手を動かしてみたら案外できることも多いんですよね。

@motokiee:ハードルを高くするというよりは、簡単にできるんだよと伝えて、新しく入ってくる人にもチャレンジできる幅を広げていけるといいですよね。

@wakanapo:そうですね。サポートを受けながら実践的に学べる環境にできたらベストかなと思います。

どんなに優秀な人材を集めても、多様性がないとダメな理由

@wakanapo:専門が異なるメンバーのマネジメントって怖くないですか?共通言語が少ないと相手の言っていることが理解できなかったり、逆に自分が頓珍漢なことを言ってしまったりしないか不安になることがありそうだなと思うんですけど。

@motokiee:恐怖心がないと言えば、嘘になります。ただ、そういうものだと受け止めている節もありますね。ソウゾウへ異動する以前、メルカリでマネージャーオブマネージャーの立場だったときは、自分が専門じゃない領域に携わっている人たちも当たり前のようにマネジメントしないといけなかったんですね。

@wakanapo:なるほど。

@motokiee:@wakanapoさんの質問に回答するとしたら、大事なのは今までさまざまなプロジェクトに携わっていくなかで培った勘どころを発揮することだと思います。危ないプロジェクトは何かしらヤバい匂いがするんですよね。そういうときは細かくチェックするようにしています。このあたりのことは、『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド』という本に書かれているので、ぜひ読んでみてください。僕もEMになりたての頃に読んで参考にしたので。

@wakanapo:ありがとうございます!実は私、自分が専門としている機械学習の領域でも画像処理や画像検索しか取り組んだことがなかったので、面接で知らないことを聞かれたらどうしようと怖かったんです。

@motokiee:実際に面接で聞かれたことはあるんですか?

@wakanapo:あります。何かしらのアルゴリズムを使いたいと言われて困りました。そのときは一緒に面接を担当していた人がカバーしてくれたから乗り切れたんですけど、今でも恐怖心はありますね。

@motokiee:知らないことを知らないと言える環境って、けっこう大事な気がします。ソウゾウには、みんながチャレンジできるカルチャーがあります。知らないことはどんどん聞いてしまっていいと思います。逆に質問しにくい状況になってしまうと、それはそれでよくないから。

@wakanapo:それは確かに。

@motokiee:今、『多様性の化学』という本を読んでいるんですよね。そのなかで面白かったのが、一人ひとりは優秀でも、場を支配するリーダーが現れると、何も言い出せなくなって集団としては無知になってしまうと。

@wakanapo:へえ!

@motokiee:例えば1970年に起きたある飛行機の事故では、機長の権威が強くて、サブパイロットが何も意見を言えなかったことが最悪の結果を招いたと書かれていました。それって、つまり心理的安全性だなと思って。上司がミスを犯していても、それを指摘できる環境が形成されていないと人は行動することができないってことだから。メルカリはフラットな関係を構築しやすいけど、気を抜いたら無知の集団になってしまう可能性もある。だから、D&Iは大切だなと思います。

@wakanapo:私、就活のときはD&Iに取り組める会社かどうかで受けていたんですね。面接で「こういうD&Iのプロジェクトに挑戦したいのですが、できる環境ですか?」と聞いて。そのなかでメルカリが実現できる可能性が一番高そうだったから入社を決めたんです。これ、私がさっき言っていた回答に困る質問だったかもしれませんが(笑)。

@motokiee:でも、@wakanapoさんのような人が声をあげるからこそ、会社としてもD&Iを推進しやすい環境になるだろうし、すごくいいと思います。個人的にもどんな活動をしているのか気になるし、定期的に話を聞きたいですね。

人をマネジメントするうえで大切な心構えは?

@wakanapo:私、将来はマネージャーになりたいんですけど、@motokieeさんはマネジメントするうえで心がけていることありますか?極意みたいなものがあれば、教えてほしいです。

@motokiee:@wakanapoさんはどうしてマネージャーになりたいんですか?

@wakanapo:自分の技術をいくら磨いても一人分にしかならないじゃないですか。でも、人を育てることができたらどんどん影響や可能性が広がっていくから、それがすごいなと思って。

@motokiee:なるほど。僕は人を育てている感覚はまったくないんですよね。どちらかというと、やりたいことを後押しする存在なのかなと思っています。コーチに近いかもしれない。もちろん、育てることもできると思うんですけど、それだと自分の得意領域しか教えられない気がして。

@wakanapo:なるほど!育てるのではなく、育っていくのサポートするのがマネージャの仕事ということですかね?

@motokiee:成長する機会を与えること以外は何もできないなと思っているんです。こちらがこういうふうに成長してほしいと思っていても、人には得意不得意があるから、絶対に思い通りにはならないので。例えば、話すのが苦手な人に頑張って話術を伸ばそうとしてもらっても、本人は楽しくないし、あまり伸びないだろうなって思うんですよね。逆にこういうことが得意なのかなとわかったら、どんどん機会を与えて伸ばしていく必要もありますが。

@wakanapo:すごく勉強になりました。ありがとうございます!そんなところで今回も終わりの時間がきてしまったので終わりたいと思います。次回は@motokieeさんがインタビュアーです。引き続きよろしくお願いします!

@motokiee:頑張ります。今日はありがとうございました!

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