KOKUYOとメルカリ双方の担当者に聞く、メルカリの新オフィス「Mercari Base Tokyo」はどのようにカタチづくられたのか?

2021年9月、働く場所やスタイルを従業員が自由に選択できる「YOUR CHOICE」を導入したメルカリ。以降、個人と組織のパフォーマンスおよびバリュー発揮がもっとも高まるワークスタイルを、自ら選択して決めることができるようになり、必然的にオフィスの「在り方」そのものにも変化が求められるようになってきました。

そんな中、2022年9月にアップデートされるメルカリ新オフィス「Mercari Base Tokyo」のコンセプトは、どのように形づくられたのでしょうか?コロナ以降のオフィスの「在り方」と働き方の変化も踏まえ、メルカリのオフィスアップデートをいかにして進めていったのか、プロジェクトを担当したメルカリの中戸川麻有(@mayun)と、設計を担当いただいたKOKUYOのlead designerである花田陽一さんにインタビュー。これからの時代、オフィスにおいてどのようなコミュニケーションや、セレンディピティが期待されるのでしょうか。

この記事に登場する人


  • 中戸川麻有(Mayu Nakatogawa、@mayun)

    早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。インテリア設計事務所においてオフィス設計・PMに携わり、JCBにてインハウスファシリティマネージャーに転向。カルチャーを体現するためのオフィスというCulture & Communication Team(現Workplace)のVisionに共感し2018年メルカリに入社。オフィスのオペレーションから構築までさまざまなプロジェクトを推進。


  • 花田陽一(Yoichi Hanada)

    KOKUYO lead designer。2009年京都工芸繊維大学大学院卒業後、コクヨ入社。オフィス、コワーキング、ショールーム、飲食、学習塾、保育園、その他多様な空間の企画・ディレクション・デザインを担当。2021年Good design award金賞、FRAME Award “Large Office of the Year”、2020年 日本空間デザイン賞、2019年 日本サインデザイン賞など、国内外で受賞多数。これまでにメルカリのオフィスも多く手がける。
    https://www.kokuyo-furniture.co.jp/solution/kokuyo_design_works/projects/members/cat17/

コンセプトは「新たな価値を生み出し、カルチャーを育む場所」

──まずはMayunさんに伺いたいのですが、メルカリにおいてこれまでどのようなことを大切に、オフィスづくりを行ってきたか簡単にその歴史を教えていただけないでしょうか?

中戸川:メルカリは2015年に、新六本木ビルから六本木ヒルズにオフィスを移転しています。新六本木ビル時代から一貫して大切にしてきたのが、人と人との繋がりやそこで生まれるカルチャーを大切にできるようなオフィスづくり。というのも、私たちは会社としてお客さまに対するサービスを提供していますが、サービスやビジネスを真似されたとしても最後に残る一番大切な資産をメルカリのメンバーがつくる「カルチャー」であると考えているからです。

1on1やオフサイト、All Hands(全社会議)は新六本木ビル時代からのカルチャーで、六本木ヒルズに移転してからもこうした会社の枠組みをつくるようなコミュニケーションの構造を大切し、人が集まりやすいスペース・動線や会話が発生しやすいしかけを重視した、オフィスづくりを行ってきました。

──今夏のオフィスアップデートにあたって、社内でどのようにコンセプトを定義していったのでしょうか?

中戸川:最初はメンバーや経営の要望をアンケート集計やインタビューでまとめ、外部要因から未来の働き方を導き出し、オフィスのコンセプトを決めていこうとしていました。これまでFace to Faceを大事に出社してコミュニケーションを取ってきたメルカリですが、一度目の緊急事態宣言以降「リモートワークで十分だよね」という雰囲気になったのは正直驚きました。

しかし段々と「やっぱり出社したい」という人もいて、オフィスの在り方を考える上でどちらかに寄せないといけないと悩んだこともありました。ですが、「どちらかに寄せるのが、メルカリのメンバーにマッチするコンセプトなのか?」という疑問が残って……。そういう意味では2021年9月に「YOUR CHOICE」が導入されて、私たちも「いろいろな働き方をする人たちをインクルーシブに受け止める場所としてのオフィス」を考えてよいという方向がクリアになりました。

具体的に形にしていくための方法としては、固定席を減らしてフリーアドレスを試してみるなど、単純にコストをかけない方法もありました。しかしそれで新しい働き方を実現できるわけではありません。Naokiさん(メルカリグループ日本事業責任者)からも「オフィスを使いたい人が戻って来てくれるかどうかわからないし、それだったらちゃんと新しいオフィスのあり方や働き方を提示してアップデートをしないと意味がないのでは?」という言葉をもらって。「YOUR CHOICE」を踏まえて、オフィスに来る人にとっても、フルリモートの人にとっても新しい働き方やみんなのオフィスに対するマインドセットを変えるには、オフィスのアップデートが必要だと思ったんです。

そこで、私たちのコアにあるCulture Docをもとにコンセプトを構造化していきました。その結果、導き出されたキーワードが「コミュニケーション」です。それは今までメルカリとして大切にしてきたものだったので、すごくプロジェクトメンバーも腹落ちしたテーマでしたね。

──オフィスアップデートのキーワードは「コミュニケーション」ということですが、もう少し詳しくコンセプトを教えてください。

mayun:今回「Mercari Base Tokyo」という名称の通り、働く場所というイメージの強い「オフィス」という名前を入れていません。どこでも働けるようになった今、私たちに必要な場とは何なのかと考えたときに、働く機能よりもカルチャー、そしてその源泉となるコミュニケーションが生まれる場であることが重要あり、それにより社会やお客様に対して新たな価値を生み出してことができると考えたからです。そのため、カルチャーのフレームに基づいて、メルカリが掲げるミッションやバリューを体現するためのコミュニケーションをサポートするオフィスをコンセプトにしました。

──KOKUYOさんにはどのタイミングで、メルカリのオフィスアップデートに参加していただいたのですか?

中戸川:2021年の10月ぐらいからです。コンセプトが決まったのが11月24日だったんですが、それまでコンセプトが定まらずモヤモヤしていたので、その辺も相談にのっていただきました。

花田:中戸川さんはモヤモヤとおっしゃいましたが、私たちはあまりそういう風には感じていなかったですけどね(笑)。というのも、メルカリさんはかなり明確に要望を言語化してくれる会社だと思うんですよ。だから、設計側としては要望がすごくわかりやすく、当初からスムーズにプロジェクトを進められた印象があります。メルカリの方たちは無意識的な上下関係がなく、対等に話をしてくれる印象がありました。設計を依頼されている私たちとしては、メルカリはお客さんでありながら、チームとしてプロジェクトを進められるパートナー的存在でしたね。

場の「機能」がひと目でわかるようにデザインする

──メルカリからの要望や考えを受け、KOKUYOさんがコンセプトを形にしていく際に心がけたことはありましたか?

花田:新しいオフィスを見ていただくとわかると思うのですが、重要視したのは場の「機能」を見た目でわかるようにしたということです。今回のメルカリオフィスは「そこで何をすればいいのか」が、すごくわかりやすいというのが特徴だと思います。中戸川さんもおっしゃっていた通り、人がたくさん集まれる場所でありながら、働ける場所と話をする場所はかなり明確に、デザイン的にも機能的にも分けています。

今の世の中は、ワークとライフの差がなくなってきています。オフィスをつくる上でも、いかに働くことと暮らすことを融合するか、という視点を大切にしました。

──mayunさんはオフィスのデザインを考える上で心がけたこと、こだわったことはありますか?

中戸川:働き方のDiversityがより広がってきており、オフィスに毎日出社したい人もいれば、遠方に住んでいてほとんど来ない人、もっといえば一度も出社していない人もいます。さらにメルカリは人種や言語、バックグラウンドも異なる多様な人が在籍しています。

そういったさまざまなメンバーにも自分の家のように身近に使いやすく感じてもらえるように、初めて来た人でもひと目で使い方やコンセプトがわかるデザインにすることを心がけました。

また、FoundationのひとつであるSustainabilityを体現する取り組みについてもこだわりました。インテリアにサステナブルブランドをを採用するだけでは、メンバーにその取り組みを本質的には理解してもらえません。そこで今回は2フロアの窓際で本棚として使われていたシェルフを、一人用ブースのパーテーションとして活用したり、植木鉢をつなげて天板を貼ってテーブルにしたりしてみました。今まであったものを、形を変え、違った視点で使えるようにしたのは、メルカリらしいし、昔からいるメンバーと新しく入社したメンバー双方にとって、オフィスの歴史も感じられるアイディアだったなと思っています。

花田:入居当初から使っているテーブルは、メルカリの創業期を象徴するアイテムだと思うので、それもうまく活用しましたね。

中戸川:そうですね。再生マテリアルを貼って印象を変えてラウンジエリアのテーブルに変えました。いつ誰が描いたかわからない進太郎さんの肖像画など、今回そのまま残しているものも多くて。それらが新しいものと組み合わさり、化学反応がおこって第3の場所としてのオフィスが生まれたのかなと思っています。新たに入ってきたメンバーも、メルカリのカルチャーを感じやすいオフィスにアップデートできたと思うので、ある意味コストの制限があったのがよかったのかもしれません(笑)。

予想もしなかったような使い方でオフィスを楽しんで欲しい

──今後メルカリの新オフィスをどう使ってもらいたいか、期待することがあれば教えてください。

中戸川:「こういう使い方をして欲しい」という思いで作ってはいるものの、メルカリのメンバーは私たちが予想もしなかったような使い方をしてくれるのではないかと楽しみにしています。いい意味でオフィスの固定概念がなく、遊んでくれるメンバーだと思うんです。だから、今この状態のオフィスが最終形やFIXしたものではなくて、メンバーからフィードバックをもらいながら、コラボレーションしてどんどん進化させていきたいと考えています。

花田:従来オフィスで過ごす場所は、固定席、オープンスペース、会議室という大きく3つの選択肢しかありませんでした。しかし、新しいメルカリのオフィスは部屋のサイズもバラバラだし、完全な個室もあればオープンな個室もあったり、1人で過ごす場所もあったり、「フォーカスゾーン」という作業に没頭できるブースもあります。オフィスを色々な使い方で楽しんでもらえると、設計者としては嬉しいですね。その結果としてメルカリの中で新しいビジネスの種が生まれれば、担当した甲斐があるなと思います。

──メルカリでは遠方に暮らしながら働いているメンバーも在籍しています。そういう人たちにとって新しいオフィスはどう捉えてもらいたいですか?

mayun:遠方にいる人だとオフィスは身近に感じにくいかもしれないですが、今回OpenDoor(カジュアルな意見交換)を開催したり、SlackのQAチャンネルでコミュニケーションしたり、オフィスをつくる過程に関しては、遠方にいる人とも丁寧なコミュニケーションを心がけました。働く場所も「YOUR CHOICE」だからこそ、場所によってヒエラルキーが生じるのは違うと思うんですよね。そのため、遠方にいる人も疎外感を覚えずオフィスを感じてもらいたいと思い、オフィスの中にいる人とスムーズにミーティングができるよう工夫してデザインしました。オフィスというのはカルチャーの中心地としてある場所で、そこのコミュニケーション格差はなくしていきたいと思っています。

──最後に、少し抽象的な問いですが、オフィスはこれからどのような「場」になっていくと思いますか?

中戸川:グローバルなチームが働くためのツールは年々進化していきますし、働くための機能は究極なくなっていくのではと思っています。オフィスという場所については、今後コミュニティやカルチャーを体感、共有する側面が凝縮したもしかしたら機能を超越した教会や茶室のような場になるかもしれないと感じています。

花田:オフィスがどうあるべきかは、多くの企業も今まさに課題感として持っている部分です。中戸川さんがおっしゃっていたように、会社にとっての聖地のような側面が、これからのオフィスのあるべき姿として問われていく気がしますね。

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