「採用に強いメルカリ」から「育成にも強いメルカリ」へ。自らの成長とキャリア開発にオーナーシップを持つために必要なこと #メルカリのイシューを分解する

私たちメルカリグループは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに掲げています。このミッション達成に向けて奮闘するメンバーたちをメルカンではフォーカスしてきました。私たちは現在、スタートアップから「グローバルテックカンパニー」へと変化する挑戦の真っ只中にいます。そして、そこには当然さまざまな「イシュー(課題)」が遍在しています。このイシューは“向き合うべき”ものであり、同時に“解きがい”のあるものでもあります。

そこでメルカンでは、メルカリの現在地と今後の展望を示すべく、あえて「イシュー」にフォーカスした連載「メルカリのイシューを分解する」をスタートさせました!第3回のテーマは「キャリア開発」です。

複雑性・不確実性の高いビジネス環境でメルカリグループの非連続な成長を実現するには、個人の成長とパフォーマンスをいかに最大化させるかが、鍵となります。多様なメンバーが集まるメルカリにおいて、さまざまな学習機会を提供するLearning & Development Team(以下、L&D Team)は、そうしたイシューと真正面から向き合っているチームです。今回は同チームで研修企画・運営を担う織田江美(@Amy Oda)に、個々人のキャリア開発にオーナーシップを持つことの意味、そして新たな取り組みとして開催したイベント「Mercari Career Week」について聞いていきました。

この記事に登場する人


  • 織田江美(Emi Oda)

    人材エージェント、大学事務(経営企画・研修室秘書)を勤めた後、2年間米国のBay Areaに滞在。2017年MercariにJoin。New Grads採用、HRBPを経て現職。

自らの成長とキャリア開発にオーナーシップを持つために

──まずは本題に入る前に、L&D Teamの役割とミッションについて教えて下さい。

はい。L&D Teamは、メルカリの個人と組織(チーム)の成長を最大化することで、事業の非連続な成長に資することを役割としています。

私のチームは、“We learn, We grow! – Drive the business forward and maximize everyone’s professional growth through the creation of a learning culture based on our values. (メルカリのバリューに基づく学習文化の創造を通じて、ビジネスを前進させるとともに個々の成長を最大化する)”というミッションを掲げて活動しています。

具体的な活動内容について話すと、入社後のオンボーディングプロセスの設計・運用にはじまり、メンバー向け研修、チームマネジメントを担うマネージャー研修、その他には、カルチャーやエンゲージメント醸成のための研修などを通じて、メルカリの人材開発と組織開発に取り組んでいます。

──メルカリで働くメンバーをさまざまなタイミングで支援するチームなんですね。メルカリにおける「キャリア開発」というのはどのような考え方なのでしょうか?採用プロセスにおいては、「ミッションへの共感」「バリューの体現」「カルチャーフィット」の3点を重視していますよね。

そうですね。その結果として、ミッションを自分ごととして捉えるメンバーがメルカリに集まり、活躍しています。「採用に強いメルカリ」と言われますが、強さの真因は多様なバックグランドやスキルセットを持つ社員が、ミッション・バリューで一つになれることではないでしょうか。

ミッションとバリューを重視するのは採用に限ったことではなく、メルカリでの働き方や、チームのあり方を考える際にいつも立ち返る場所として位置付けしています。例えば、事業のスピードや変動性が高い組織では、Go Boldのバリュー体現にあるような、新たな挑戦を楽しむことや自己変革を受け入れるマインドが強みになります。また、Be a Proのバリュー体現にはオーナーシップと専門性の発揮・向上という要素がありますが、ビジネスの成長に貢献するべく、一人ひとりがさらなる能力開発に取り組むことが推奨されています。

キャリア開発についてはBe a Proのバリューとつながるのですが、「メルカリ社員は自らの成長とキャリア開発にオーナーシップを持つ」ことを前提としています。

この点を個人の動きに留めず、周囲との対話をセットにすることで、一人では意識が向かなかった成長機会を見つけたり、納得感を持って目の前の業務と中長期の成長に取り組むことができます。メルカリグループの非連続な成長のために、個人と組織がともにキャリア開発に取り組むことは必須だと考えています。

現代のキャリアのあり方は多様なので、答えは一つではないはずです。そういった意味でも、個人と組織の可能性を広げるために、キャリア対話や関連するTalent Development施策を丁寧に取り組みたい。いま、メルカリは“「採用に強いメルカリ」から「育成にも強いメルカリ」へ”を目指してるところです。

──なるほど、「育成にも強いメルカリ」というのは力強いキーワードですね!では、改めてキャリア開発に組織として取り組んでいくうえで、どのようなイシューが顕在化していたのしょうか?

端的に言うと、現場での対応の限界です。キャリアに関する対話の実施は、現場に委任されており、その実施の質量にばらつきがありました。理由は大きくわけて2つあります。

1つ目は「キャリア対話」の意義についての理解浸透です。キャリア対話を習慣としていくには、対話そのものと、対話に基づく「自らの志向を元にJob Crafting(仕事への向き合い方や行動を主体的にすることで、仕事をやりがいあるものと捉えること)していく」ことの効果について、マネージャーとメンバー双方が認識している必要があります。

2つ目は組織的なサポート体制です。これまで、キャリア対話は「経験やスキルがある人がうまくやっていた」ので、属人的でした。チームマネジメントに係るマネージャートレーニングは少なく、組織的な成長支援には至っていませんでした。

そういった背景をもとに、2019年にマネジメントスキルの強化策が始動しました。組織としても「ムラ(村)からマチ(都市)」への成長を標榜していた時期で、マネジメントの支援は必要な施策だったと思います。当時の施策を引き継ぐ形で、L&D Teamが設立されています。

2021年5月には、チームにKanaeさん(L&D Team マネージャー)がJoinしたことで、より体系的で戦略的なマネージャートレーニングを企画していけるようになりました。

L&D Teamでは設立の当初から、個々のキャリア開発を支援していきたいという考えがありました。というのも、研修とキャリア開発は相性がいいんです。学習は目的がないと継続が難しいですよね。学習を継続するには、目的はなにか?どこに向かって成長していくのか?という目標設定や自発的なモチベーションが必要です。

私個人としても、「キャリア開発」には想いがありました。産業カウンセリングを学んだことから、個々の内にも複雑性・多様性があるゆえに「キャリア対話は簡単ではない」というのが持論です。自分の強みや仕事の目標を聞かせてくださいと言われて、すぐに意見がまとまるものではありません。丁寧なキャリア対話は個人の成長に有益であると信じていたので、時間を要する対話をどのように組織に定着できるかは、ひとつのチャレンジでした。

こうした課題を中長期で解決していくためのアプローチの一つとして「Mercari Career Week(以下、Career Week)」を6月6日から6月10日にかけて実施しました。

Career Weekは、キャリア開発をテーマに自分の価値観を改めて考えることや周囲との対話を促進する、社内向けのオンラインイベントです。仕事に関する思いやキャリア開発について考えてみたい方、ある程度の自己成長の目標を持っているけれど、より具体的に考え、実行していきたい方に向けて、複数のセッションを用意しました。

例えば、自分のキャリア目標を描く際に「どのようにキャリアをつくるのか?」「何のスキルを向上しようか?」という“How”から考えてしまいがちですが、その前に、自分が大切にする「仕事観」や「Will」といった価値観を言語化できると、次に「どこに向かいたいか」「そのために何が必要か」をイメージしやすいんです。 こういったキャリアの考え方について基礎知識をインプットできれば、取り組みやすいですよね。

──たしかに「キャリア」と言われると連続性で物事を考えてしまうところがありますが、それを「仕事観」と捉えると他者や自己とも対話しやすくなる。

そうですね。周囲と対話することで、考えるヒントを得て言語化が進む。丁寧に対話していくことで、より自己理解が深まります。イベントの企画段階では、キャリアカウンセリングや組織開発の専門家にも心理学の領域等についてヒアリングしながら、コンテンツを準備しました。

学び、実践、そして対話

──Career Weekは順調に開催までこぎつけたんですか?

いえ、「キャリア開発」についてはその前身の企画がありましたが、正直なところ全社での施策とすることができていませんでした。前身の企画は、セルフアセスメントのツール・MDP(My Development Plan)Sheet をベースに、
学び:キャリアの考え方(キャリア理論)をインストール
実践:自分の考えを理解し、シートに記入(言語化)する
対話:言語化した仕事観を、マネージャーや周囲と対話する
という3つのコンセプトのもと組み立てていきました。このコンセプトの骨子は実際に開催したCareer Weekでも変わっていません。

前身の企画を進めるにあたり、実施後のアクションを組織的に支援する体制や、施策の優先度の観点で、「いま」全社でやることの意味を問われ、社内のニーズや課題へのアプローチとして適した施策に整理しなおす必要がありました。

改めて多方面にヒアリングしたところ、全社の傾向として社員のキャリアの自律度は高いが、キャリアプランについて周囲と対話しているかや、組織内の成長や挑戦の機会を認識できるかは、改善の余地があることが見えてきました。

HRとしても、評価、成長支援、キャリアを考える制度や仕組みづくり、それらのメッセージングを強化しないといけない。Talent Managementの課題とCareer Weekの目的が一致したので、一時は頓挫しかけた企画がアップデートされて、日の目をみることができました。L&D Teamが責任を持って実施します、という姿勢を示したことで、Career Weekに対する機運が上がったと思います。

──先ほど、基本的なコンセプトは当初案から変わっていないとおっしゃっていましたが、実際にどのような内容で実施されたんですか?

6月6日からの 1 週間、キャリア開発をテーマに毎日プログラムを提供しました。当初はオフラインも検討しましたが、今回はすべてオンラインでの実施です。

「学び:キャリア開発のTips」「実践:セルフアセスメント」「対話:キャリアを語るパネルトーク」という3つのコンセプトで、キャリア対話や自己開発に関する啓発と学習の機会についてプログラムを設計しました。インプット(座学)だけでなく参加者同士が対話をするインタラクティブさがあることに留意しました。

社内のリーダーシップを発揮されている方々のパネルトークの他、「みんなのWill聞いてみた」「あなたらしいキャリア開発と働きがいの秘訣」「ピアコーチングで深める・実践!セルフアセスメント」など、さまざまなコンテンツを用意したので、キャリア開発のあり方をアップデートしたい人にとってなにかしら興味を持ってもらえるものになったと思います。

パネルトークは、さまざまな部門から総勢15名に参加いただきました。「この人の話を聞いてみたい」という方々からの声を元にリストアップし、企画書とパッションを持ってアタックしました(笑)。

──登壇者からはどのようなフィードバックがありましたか?

オープニングトークセション『みんなのWILL 聞いてみた』に登壇いただいたOsariさん(メルカリジャパンCOO / メルペイ取締役)からは、「社内の人が何を考えているか共有しながらも、ときに真面目に考えてみるコンテンツで、スイートスポットをついた企画だ」というフィードバックをいただいています。「みんなのWill」では、それぞれがメルカリに入社したきっかけや思いに共感しながらも、普段の業務会話では聞くことのなかった話題にサプライズや気づきが多い内容になりました。

また、CHROのTatsuoさんからは、「(通常研修のような特定の対象者ではなく) 組織全体で学ぶ機会を作れたことがよかった。このように積極的に学び、知識や経験を周囲に共有していく、互いに学び合うLearning Cultureを醸成していきたい」というコメントをもらっていて、多くの人にポジティブに受け取っていただけたという実感はあります。

「キャリアを語る・パネルトーク」登壇者の声

キャリアを突き進む中で自分がこれまで大事にしてきた決断の「軸」を改めて言語化し振り返る貴重な機会をいただきました。登壇でご一緒したsuwenさん、naocchiさんと接点が持てたこともとても有意義でした。まだまだ私自身が今後の挑戦に向けて悩むこともある中で、対話を通じて「これでいいんだ」と背中を押された感覚が得られましたし、同じように試行錯誤している仲間がいることが再確認できました!
(@Mikako – JP HR Business Partner Mgmt)

自分のこれまでのキャリアとその転換点におけるWhyを言語化することができて良かった。ここで言語化したものを数年後に改めて振り返りたい。また、hidekさんやkeigowさんといった自分より長くEngineering Managerをしている方のキャリアや考え方など、あえてこのような場ではないと聞けない話ができたこともとても良く、今後のEMキャリアを考える参考になった。
(@deeeeeet- JP Development Engineering Mgmt)

メルカリのパッションと挑戦する姿勢を継承する機会をつくる

──では、今後Career Weekをどのようなものにしていきたいですか?

オンライン中心のコミュニケーションでお互いのパッションを伝播するのが難しくなっているなかで、互いの仕事観や達成したいことを対話する機会は貴重です。Career Weekは個々のキャリア開発の話をしながら「組織のありたい姿」を語り合う場にもなると考えていて、今後も半年に一回は開催したいです。

合わせて、キャリア対話の頻度を高めるべく、通年の研修でもキャリア対話やキャリアコーチングを取り扱っていきます。目標設定や1on1サイクルと連結するなど、組織としてのメカニズムを担保しつつ、個人のキャリアの主体性を発揮する機会を増やしていきたいです。

メルカリ初のキャリアについて考えるイベントを開催にこぎつけたことは、私にとってGo Boldなチャレンジでした。難しく感じた時は、これまでに在籍したチームを含め、数々のGo Boldなロールモデルを思い返していました。周囲の同僚が、パッションとオーナーシップを持って、メルカリのバリューを体現してきてくれたんですね。私が身近に見てきた、メルカリに根付くパッションと挑戦する姿勢を、これからも組織的に継承する機会をつくりたいです。

私自身のWillとして、「Techで世界を変える」「人の成長機会に関わる」「組織づくりに貢献する人材になる」の3つがあるのですが、それはコーチングを受けたり、さまざまな対話の中から時間をかけて言語化できたものです。私自身、対話の意義を実感しているので、同じようにもやもやを抱えている人の後押しをしていきたいですね。

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