新卒1年目でテックリードに。メルカリで起きた、エンジニア一筋からの変化

メルカリの新卒採用担当者が、新卒メンバーの入社当時から現在までを探っていく特集企画。ファーストキャリアとしてメルカリを選んだ新卒メンバーたちは、今何を思い、どのようなキャリアを手にしているのでしょうか。

第1回目第2回目第3回目と続いてきた本特集。第4回目は、iOSエンジニアとして新卒入社し、現在はエンジニアリングの観点からプロジェクトを推進していくテックリード(以下、TL)を務める冨永健が登場します。インタビュアーは、新卒採用チームの奥田綾乃。

メルカリに入社する前は数々のハッカソンに出場。なかでも2018年に行われたMicrosoft主催のITコンテスト「Imagine Cup」では世界3位になるなど、エンジニアとしてのスキルを高めてきた冨永。現在はTLとして、iOSだけでなく、AndroidやFrontendの領域でもプロジェクトを推進していますが、それによって働き方や仕事観はどのように変化したのでしょうか? また、TLの役割を担うことで見えてきた個人のミッションとは? 「エンジニア一筋」だった彼の現在をインタビューしました。

OSS活動などを通じて「メルカリには強いエンジニアがいる」と確信

奥田:冨永さんはメルカリに入社する前から数々のハッカソンやインターンシップに参加していましたよね? そもそもなぜメルカリへ?

冨永:就職活動ではいろいろな企業を見ていましたが、一貫して考えていたのは、家族や友人が使っているサービスに関わる仕事がしたいということでした。当時のメルカリは企業として急速に成長しようとしていましたし、US版メルカリをすでに展開していて、グローバル進出にも積極的でした。また、エンジニア界隈でも「メルカリはエンジニアにとって働きやすい環境」「優秀なエンジニアと働ける」という話も聞いていたので。当時行われていた「GitHub採用(GitHubアカウントとメールアドレスのみを提出する選考方法)」経由で連絡をとったことをきっかけに採用選考を受け、2017年2月に内定をもらい、翌年4月に入社しました。

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冨永健(iOSエンジニア)

奥田:当時のメルカリは、新卒採用を本格的に始めたばかり。サービスは認知されつつありましたが、企業としての知名度はそれほど高くありませんでした。そんななかで「優秀なエンジニアと働ける」という情報はどこで耳にしたのですか?

冨永:僕は大学時代からカンファレンスに参加していました。そこで、メルカリエンジニアたちが登壇していたり、OSS活動(Open Source Software、ソースコードを無償で公開し、誰でも改良・再配布できるソフトウェアにすること)をしたりしている姿を見ていたんです。「メルカリには強いエンジニアがいるな」と感じていました。

奥田:実際に入社してみて、社内カルチャーなど、ギャップはありましたか?

冨永:情報のオープンさに驚きましたね。例えば、新卒研修の課題でも、サンプル情報ではなく、実際に現場でやりとりされている情報をもとにディスカッションしていました。もちろん社内メンバーだからこそ公開されているわけですけれど、「こんな情報まで見ていいの?」となりましたね。あとは……メルカリと言えば、成熟した企業というイメージがあったのですが、意外にそうでもなかったことでしょうか。

奥田:というと?

冨永:ある程度成長した企業は、端から見ていると成熟していて、もうやることがない印象に捉えられがちです。僕にとって、メルカリがそうでした。でも、入社してみるとエンジニアリングだけでなく、新メンバーの受け入れや育成を行うためのオンボーディングでも「メルカリでやれることはまだまだたくさんあるな」と感じたんです。それには驚きましたね。

「自分のコードでお客さまを幸せにすること」がモチベーション

奥田:冨永さんは入社後、どんな仕事を?

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奥田綾乃(新卒採用担当 マネージャー)

冨永:入社後はCRE(Customer Reliability Engineering)という、お客さまの安心・安全をエンジニアリングで担保するチームに配属されました。そこで主に担当していたのが、お客さまがお問い合わせ時に画像を添付できる機能です。これはカスタマーサービスなどチームを横断するプロジェクトだったのですが、当時のメンターが事前に「プロダクトマネージャーはこの人」「デザイナーはこの人」と関係するメンバーを紹介してくれていたので助かりましたね。お問い合わせ画像添付機能をリリースした後は、出品画面のリアーキテクチャプロジェクトが始まると聞いて参加しました。

奥田:リアーキテクチャとは、サービスが拡大しても安定稼働できるよう、コードを新しいものに書き換えるプロジェクトですよね。参加を希望した理由は何だったのでしょうか?

冨永:ちょうどCREでのプロジェクトがひと段落したので「新しい仕組みで書き換えるのはおもしろそう」と思い、マネージャーに直接相談しました。そうすると、すぐに参加できるように交渉してくれたんです。リアーキテクチャでは、ログの実装をまとめたり、既存コードで改善できる部分を見つけ出したり、さまざまなアクションをしていました。それが楽しくて楽しくて。当時のプロジェクトメンバーいわく「僕の書いた最強のコードを、早くレビューしてください!」と言っていたらしいです(笑)。さらにそのときの実績が認められて、社内MVP賞の1つである「Go Bold賞」までもらえました。

奥田:あの受賞は嬉しかったですね! 驚きましたか?

冨永:実は、その前日に当時のマネージャーだった多賀谷さん(Engineering Office Director)から「明日、全社定例に出られそうですか?」と聞かれていて。正直に言うと、何かあるのかなという期待はありました(笑)。ちょうどMicrosoft主催のITコンテスト「Imagine Cup」で世界3位になったタイミングでもあったので、てっきりそれに対する言及かと思っていましたが、まさかGo Bold賞とは。

奥田:それは余計に嬉しいですね。リアーキテクチャプロジェクト終了後は、再びCREへ?

冨永:リアーキテクチャプロジェクトが終わってからは、NPS(Net Promoter Score)チームに参加し、お客さまの負担を減らすためにお問い合わせ導線を改修するのプロジェクトを行っていました。

奥田:CREに出品画面のリアーキテクチャ、そしてNPS。冨永さんはお客さまに関係する機能開発を担当することが多いんですね?

冨永:そうかもしれません。というのも、僕のモチベーションは自分の書いたコードでお客さまを幸せにすること。なので、どのプロジェクトでも「これはお客さまにとっていいのかどうか」についてプロダクトマネージャーを交えて率直に議論し続けてきました。特に思い出深いのは、CREではお客さま対応を行うカスタマーサービスのメンバーから「お問い合わせ対応で画像を見ることができるようになってすごく助かる!」と言ってもらえたこと。あのフィードバックは、本当に嬉しかったです。

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エンジニアからテックリードになり、視座が変わった

奥田:そして今年1月から、冨永さんはTLを務めていますよね。TLという役割は、冨永さんのキャリアにとってどうですか?

冨永:僕自身、マネジメント観点のエンジニアリングマネージャーではなく、技術的観点に近いTLのほうがキャリアに合っていると感じていました。そして、マネージャーにもその考えを伝えていたんです。なので、TLにアサインされたときは、年齢に関係なく、純粋にこれまでやってきたことを会社に評価され、責任ある役割を任せてもらえたと感じましたね。

奥田:私にとって冨永さんは「Imagine Cup」に参加するなど、エンジニアとしてのスキルを高めることにも積極的な印象があります。TLになるとコードを書く時間が減ってしまうと思うのですが?

冨永:TLの役割は、エンジニアリングの観点からプロジェクトを推進していくこと。何かしら技術的な問題が起こればすぐに対応するだけでなく、リスクを事前になくすことも大事です。そのため、意識的にコードを書く時間を減らしました。メルカリグループ全体のTLが顔を合わせるミーティングでも他のメンバーが「コードを書く時間が減るのは仕方がないが、その分、大きな意思決定ができるようになる」と話されていたので、思っていたほどギャップはなかったですね。

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奥田:働き方は変わったのでしょうか?

冨永:時間の使い方は大きく変わりましたね。それまでは業務時間のほとんどをコードを書くことに費やしていたので(笑)。TLになってからはプロジェクト全体の仕様決定や進捗管理、グループ内での技術に関する意思決定について話すミーティングがぐっと増え、作業時間だけでなく、自分がメンターを務めるメンバーとのコミュニケーションが一時的に減ってしまうこともありました。今はカレンダー上で予定が入らないようにブロックしたりして、自席にいる時間を意図的につくる工夫をしています。

奥田:コードを書く時間が減った分、新たに身についたと感じるスキルなどはありましたか?

冨永:TLとしてエンジニアリングマネージャーたちとやりとりするようになり、視座が上がった気がしています。というのも、これまでは僕自身がコードを書くことに集中していましたから。中長期的にプロジェクトを動かしてくためにどんな技術が必要なのか、どのようなチーム体制であるべきなのかを考えるようになり、自分のなかで新しい見方ができました。また、メンバーのモチベーション維持も、TLの大事な仕事の1つ。僕の場合、チームをまとめて動かしていくことは、まだうまくできていません。ここは、引き続き課題ですね。

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奥田:私も新卒採用チームのマネージャーになったからこそわかるのですが、組織が大きくなっていくときに、情報のキャッチアップが難しくなると感じています。冨永さんはどう感じていますか?

冨永:ありますね。今のメルカリは、情報の透明性はまだ高いほうだとは思います。しかし、それを維持できるかどうかは今後の僕ら次第。そのためにはチーム間はもちろん、プロジェクト間のことも考えていかなきゃいけないと思っています。

メルカリ入社後の変化は「人に任せられるようになった」

奥田:メルカリ入社前後で、自分自身に感じる変化はありますか?

冨永:エンジニアリングに対してより慎重になったことと、人に任せられるようになったことでしょうか。入社前からスタートアップでインターンをしていましたが、当時はどちらかというと「プロジェクトを推進していくこと」がバリューでした。もちろんメルカリでもその観点は大事。しかし、メルカリは現在、非常に多くのお客さまにサービスを使っていただいています。お客さまに使い続けていただくために、大胆な施策に挑みながら、エンジニアリングではテストを書くなど安心安全の観点は常に意識していますね。

奥田:「人に任せられるようになった」というのは?

冨永:これまでは「自分でできるからやる」と考えるところがありました。しかし、メンターやTLをやるようになった今、タスクを他のメンバーに任せてサポートに徹したほうが、結果的にプロジェクトが早く進むようになったんです。それに、このやり方のほうが属人性がなくなり、サービスもスケールしやすい。とはいえ、今でも自分でやりたくなっちゃうときはあるんですけれど。

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奥田:今後、やってみたいことはありますか?

冨永:僕はiOSが専門領域ですが、TLになったこともあり、今後はAndroidやFrontendのほか、Backendやセキュリティに関する知識をもっと強化していきたいですね。また、今はメルカリに注力していますが、メルペイやメルカリUSにも挑戦してみたい。そしてゆくゆくは起業したいと思っているので、メルカリで培った経験を活かして、最強のコードで最強のプロダクトを生みだせるようになれればと思っています。

冨永健(Ken Tominaga)

大学入学後、iOSアプリケーション開発を開始し、インターンシップやハッカソンを多数経験。主な実績はImagine Cup 2018 世界第3位。2018年4月 株式会社メルカリに新卒入社。入社後はCRE、NPSチームを経験した後、現在は自動車プロジェクトのテックリードを担当。

奥田綾乃(Ayano Okuda)

2009年 株式会社サイバーエージェントに入社。社長室配属を経てソーシャルゲームのプロデューサーとして企画立案、運用、進行管理を経験した後、複数のゲームを束ねるユニット長として事業戦略、マネジメントを経験。2017年3月に株式会社メルカリに入社。新卒採用に従事。

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