ペイ業界横断の実証実験スタート。メルペイメンバーがその先に見るものは?

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2019年8月1日、1つのQRコードを提示するだけで、参画している各決済事業者のサービスを利用できる「統一QRコード(JPQR)」の実証実験が、岩手県と長野県、和歌山県、福岡県でスタートしました。

これは、関係団体や関係省庁が相互連携を図り、先行して4県の飲食店などでJPQRを活用したキャッシュレス決済を導入するプロジェクト。お店側は一つのQRコードを掲示すれば複数の決済事業者のアプリから読み取れるため、キャッシュレス決済の導入が進み、結果としてお客さまの利便性も高めることになります。

現在、この実証実験に参加しているのは、メルペイを含む8つの決済事業者。実証実験では関係省庁や他の決済事業者と足並みを揃えながら進めることになりますが、どういったやりとりがあったのでしょうか? 今回のメルカンでは、そんなJPQRの実証実験をリードしていたメルペイBusiness Development(BizDev)の岩佐嘉大、メルカリ政策企画の岡本洋平と布施健太郎にインタビュー。当時を振り返り、見えてきたものは?

実証実験スタートまでのマイルストーンは?

ー本日からJPQRの実証実験がスタートしました。今回のメルカンでは、このプロジェクトがどのように進められていたのかをみなさんに聞きたいと思っています。

岩佐:はい! さっそくですが、このプロジェクトは昨年秋ごろから協議が始まりました。当時のメルペイでは、セールスチームが立ち上がり「首都圏だけでなく、全国のお客さまにどうやってサービスをお届けするか」を検討していたところだったので、このプロジェクトに本腰を入れられる環境も整っていました。個人的には、とてもいいタイミングで参加できたと感じています。

岩佐嘉大(メルペイBusiness Development)

ー協議後は、どんなマイルストーンがあったんですか?

岡本:実証実験スタートまでのマイルストーンは、大きく分けて「1:規約や申し込みフォーマットの統一」「2:加盟店さま向けの説明会」「3:申し込み後の加盟店審査などのフロー構築」の3つ。申し込みフォーマットなどは、ほかの決済事業者とともにどういったものがいいのかを話し合いながら進めていましたね。

岡本洋平(メルカリ政策企画)

布施:この実証実験そのものが、国としても初めての試み。プロジェクトの中心を担っていた総務省も「決済事業者の方々と一緒に検討していきます」というスタイルでした。そのため、決済事業者が集まる会議を2週間に1度ほど行い、その都度「こういった課題がありますが、どうしますか?」「この案はどうでしょうか?」と話し合いを重ねながらプロジェクトが進められていたんです。最初のころは頻繁に集まり、濃密な時間の過ごし方をしていました。

岩佐:そうでしたね。こういったプロジェクトの特徴でもあるのですが、実証実験のスタート予定日が示されていて、そこから逆算しながら必要事項などを調整していく流れでした。我々だけでなく、総務省も他の決済事業者も、スタート予定日に向けて丁寧かつ慎重に集中しながらプロジェクトを進めていましたね。

岡本:「8月1日から実証実験スタート」となると、7月中旬までには加盟店さまの審査と結果通知を終わらせておかなければならない。ならば、遅くとも6月初めくらいから説明会を実施。さらに資料の印刷期間を考えると5月中旬までに加盟店さまの申し込みフォーマットを決める……などを考えながら動き続けていました。特に、今年のGWは10連休だったので「10連休が終わったらすぐ5月中旬。1日も無駄にできない!」となっていて。あの緊張感、今となっては懐かしいです(笑)。

布施:いやもう、本当に。

布施健太郎(メルカリ政策企画)

岩佐:メルペイ内でのチーム連携も非常に重要でした。プロダクト開発チームやカスタマサービス、リーガル、セールスなど、さまざまなメンバーの協力があってこそ実証実験スタートまでたどり着けたんです。

元自治体関係者がプロジェクトを通じて感じたギャップ

ーそもそも、みなさんはこういったプロジェクトの経験があったのでしょうか?

岩佐:いや、僕は初めてです。メルペイのBizDevチームにジョインするまではB向けサービスの営業・新規事業の立ち上げなどをしていました。お客さまの生活を変えるような事業づくりにゼロイチから関わってみたくて、メルペイにたどり着いたんです。なので、まったくの異業種での挑戦でした。

ー布施さんと岡本さんは?

布施:僕らも同じですね。僕の場合はもともと県議会議員をしていて、自治体関係で何か貢献できることはないかと思い、メルカリ政策企画チームにジョインしました。岡本さんは、省庁で働いていたんですよね?

岡本:そうですね。メルカリやメルペイのような、生活の根本に関わるサービスづくりに参加したいと思って入社しました。

ーでは、岡本さんも布施さんも役所事情を知っていることもあり、やりやすい面もあったり……?

岡本:うーん……。

ー「うーん」?

岡本:実証実験を取り仕切る総務省や事務局から「こうしてほしい」と言われることも、事業者側から見てみると、なかなか一筋縄ではいかないことが多々ありましたね。省庁や事務局側の想いもわかるだけに、板挟みの日々でした。

岩佐:僕は役所出身ではないですが、その気持ち、わかります。今回のプロジェクトは多くのステークホルダーの意見を一気に集約して調整しなければならないところがありました。慎重かつ丁寧にやり切ることを日々強く求められるため、関係各所と常に密なやりとりをしていたんです。この密度は高まれば高まるほど、省庁や事務局側の気持ちがわかるようになるので。これは、僕にとって今までにない経験でしたね。

ー布施さんも自治体など公的機関にいらっしゃいましたが、岡本さんと似たギャップを感じましたか?

布施:ありましたね。あと、個人的にはメルペイメンバーの仕事に対する情熱や取り組み方がとてもBe a Pro(「プロフェッショナルであれ」というメルカリのバリュー)だなと。それは、プロジェクトを進めている間、ひしひしと感じ続けていました。メルペイは組織として誕生してから、まだ日が浅いです。手探りなことも多く、プロとプロが話し合い、時には「僕はこう思います」とぶつかり合いながら物事を決めていくプロセスを改めて目のあたりにしました。

ー鶴の一声がない、という感じですか?

布施:ですね。みんなで意見を出し合い、より良いものをつくりあげていくのはメルペイならではのカルチャーなんだなと思いましたね。

各社の意向を調整し、実証実験を遂行する難易度

岡本:先ほど布施さんが話していたように、JPQRプロジェクトは、国・決済事業者双方にとって初めての試みです。1つのQRコードで複数の決済サービスを使えるJPQRの利点を活かすため、異なる決済事業者への申し込みを一度でできるようにするなどしていました。あらゆる場面が手探りだったので難しいとわかりつつも、今思えば、申し込みプロセスをもっとシンプルにできた部分もあるんじゃないかと自問自答することもあります。

岩佐:ですね。初めてだからこそ、当然ながらやってみないとわからない部分もあります。QRコードを統合した際に起こるイレギュラーをすべて潰しきるのは至難の業ですが、「申し込みプロセスをもっとシンプルにしたい」という一貫性を持ち、コミュニケーションすることが大事。

布施:申し込みプロセスをシンプルにすることは、決済事業者によっては「この絶対条件は諦めてください」と働きかけることにもなるので、プロジェクトの難易度はグッと上がります。とは言え、例えば運用面でのカバーを増やすことは可能なので、それはできた気がしますね。

ー運用面のカバーは、すでに実践されていたりするのでしょうか?

布施:申し込みプロセスとは少し違いますが、実証実験を行う各地域での説明会の回数を増やしたり、その後のフォローアップを強化したりすることは、今まさに取り組んでいるところです。

岩佐:そうですね。一部運用面に関しても、こちらから改善案を伝え、大きく改善された部分も出てきています。そう言う意味では、プロジェクトを良くしていこうという動きは活発になってきていると思います。僕らが行うフォローアップが、申し込みを検討されている加盟店さまに対していい働きかけになっていればいいのですが。

「実証実験は、あくまでもきっかけの1つ」

ーJPQRの実証実験は、まだスタートしたばかりです。今後、メルペイとしてはどのような展開を期待していることは?

完成したJPQR

岩佐:メルペイをはじめ、各決済事業者によるキャッシュレス化を全国に広めていく意味では、いいスタートができたと思っています。しかし、今回の実証実験は僕らにとってあくまでもきっかけの1つに過ぎません。

岡本:そうですね。この実証実験で多くの加盟店さまに使っていただくことだけが、我々にとってのゴールではありません。これを足がかりに、全国各地でさらに多くの加盟店さまに使っていただく流れをいかにつくれるかが、今後は特に重要だと思っています。

岩佐:それ、僕が言おうとしていたのに!

一同:(笑)。

布施:JPQRによって、決済事業者ごとに異なっていたコード決済の技術仕様や業務プロセスがほぼ一様になり、加盟店さまにとってのコード決済導入の負担が軽減されました。実証実験への参加は8つの決済事業者ですが、今後JPQRを採用する企業はさらに増える可能性もあります。そうなったとき、この実証実験の知見を活かして、オープンネスな立場でコード決済サービスの普及拡大に貢献できるといいですね。

岩佐嘉大(Yoshihiro Iwasa)

前職ではBtoB営業、新規事業立上げや組織のマネジメント、副業にてサロン経営にも従事。身近な人の役に立つサービスをゼロから創り上げることを目的にメルペイにジョイン。現在は国の施策に基づくプロジェクトをメインに取り組む。

岡本洋平(Yohei Okamoto)

学生時代は強化学習やアンテナの研究に従事。省庁に勤務していたときにはIT、東日本大震災からの復興、産業技術、エネルギー政策などの企画・立案・実行などを担当していた。現在は民間企業の側から便利で豊かな社会づくりに取り組む。温泉が好き。

布施健太郎(Kentaro Fuse)

政策企画で、本件を中心に政府のキャッシュレス推進施策の担当として関わる。地方議員のほか、医療法人で病院の開発や不動産関係の仕事もしていたので、メルカリの事業でも何か役立てないかを日々考えているところ。読書とお酒を飲むのが趣味。

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