メルペイの「新しい信用のかたち」に答えがある。プロダクト責任者が持つ探究心の原点

「メルペイが挑む“新しい信用のかたち”に、メルカリNOWの答えがある気がしているんです」。

そう話したのは、決済サービス「メルペイ」の「メルペイあと払い」機能などの開発を行うCredit Designチームのプロダクト責任者・石川佑樹でした。

「Credit Design」とは、メルペイの「信用を創造し、なめらかな社会をつくる」というミッションをもとにつくり出す金融新規事業のこと。メルペイあと払いなどのサービス展開とともに、新しい信用のかたちの構築を目指しています。

実はCredit Design(以下、CD)チームをリードする石川は、以前までメルカリのグループ会社だったソウゾウで「フリマじゃない新機能」として誕生した即時買取サービス「メルカリNOW」のプロダクトオーナーを担当。そんな彼が冒頭のひと言に込めた想いとは?

メルカリの強みはメルペイの「武器」

ーまず、メルペイが掲げた「Credit Design」についてもう少しくわしく教えてください。

石川:CtoCサービスであるフリマアプリ「メルカリ」には、お客さま同士の売買によるさまざまな情報が集まっています。メルペイでは、そういった情報から信用基盤をつくり、サービス全体に活かすことを目指しているんです。その役割を担うのが、CDチームです。

ーお客さまがフリマアプリ上で売買する情報って、そんなにいろいろあるんですか?

石川:購買情報は、約束履行情報とも言えます。特にメルカリのようなCtoCサービスでは、お客さま同士でやりとりしています。つまり「商品情報に嘘を書かない」「約束の期限までに発送する」といった行動実績が残る。そういった情報が多く、さらに深いほど「この人は約束を守る=信用力がある」と定義できるようになるんです。

ーそう言われると、メルカリでやりとりしているとき、丁寧に発送するなど細かいところにもこだわろうとすることがあります。

石川:そうですよね。その情報をいい状態に蓄積できているのはメルカリの強みであり、メルペイの武器でもあります。この情報をもとに信用基盤をつくれば、お金などのブロッカーを取り除き「できないことをなくす」を実現できる。そして、お客さまの機会損失をなくすことにつながるんじゃないかと考えているんです。その第一歩として誕生したのが、2019年4月にリリースした「メルペイあと払い」でした。

石川佑樹(メルペイCDチーム、プロダクト責任者)

ーメルペイあと払いは、お客さまになめらかな決済体験を提供するだけでなく、メルペイが目指す世界観への第一歩?

石川:メルペイあと払いは、支払いを翌月にまとめて支払うことができる機能。この大きな特徴が、メルカリで得た売上金(=メルペイ残高※)から支払い可能であることです。また、ご利用状況に応じて信用度が変化し、あと払いできる限度額が変わる仕組みもあります。

※メルペイの「本人確認」が完了すると、売上金は「メルペイ残高」になります。

入社後すぐに迎えた「メルカリNOW」という転機

ー石川さんは以前「メルカリNOW(以下、NOW)」リリース時に、メルカンにも登場していますよね?

石川:懐かしいですね。僕がソウゾウへ入社したのは2016年。入社してすぐのころは、ソウゾウが開発していた地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」を担当していました。でも実は当時、自分でプログラミングしてアプリやサービスをつくることに夢中で。

ーどういうことです?

石川:自分でも何かつくってみたい気持ちが強くて、メルカリ アッテと並行してサービスづくりに挑んでいたんです。なので、朝8時に出社して17時に退社、夜は自分のサービスをつくる……みたいな日々でした。そこへNOW立ち上げの話があり、嬉しいことにプロダクトオーナーに推薦されました。これ、僕のなかでは「なぜ推薦されたんだ?」という謎として残り続けているんですけれど(笑)。結果的には、気づくとNOW立ち上げに夢中になっていて、自分のサービスづくりはだんだんとフェードアウトしていきました。

ーNOWは、石川さんにとって転機になったんですね。

石川:そうですね。また、NOWはメルカリグループにとってもチャレンジングなプロジェクトだったと思っています。なぜなら、それまではメルカリ・ソウゾウそれぞれで開発体制を分けていました。でも、NOWはメルカリ・ソウゾウの合同チームで初めて挑んだ会社横断のプロジェクトでもあったんです。その詳細は、以前にもメルカンで話したとおり。そして2017年11月にリリース、翌年8月にクローズしました。

ークローズ後はどうしていたんですか?

石川:クローズが決定してからは、NOWの機能や知見をメルカリに移管する意図もあり、チームごとメルカリへ異動しました。その後、Next Sellチームが誕生し、売り手となるお客さまに向けた施策や機能改善などを半年ほど担当。そのころは、メルペイの立ち上げ時だったこともあり「メルペイへ来ないか?」と声をかけてもらっていたのですが、NOWチームのメンバーを置いて僕だけがすぐに去るのはちょっとできなくて。メンバーたちが新しいチームに馴染み、かつ僕不在でプロジェクトを進めている姿を確認してから、2019年1月にメルペイへ異動しました。

ーメルペイへ異動しようと思った理由は?

石川:僕のパフォーマンスがもっとも活かされる場面は、新規事業の立ち上げ時です。それに、メルペイには元ソウゾウメンバーも多かったので、相性がいいことはわかっていました。あと、個人的にはメルカリへ異動したとき、いちメンバーとしてインパクトを出せるような打ち手ができなかったことも悔しくて。「次こそ」という想いもありましたね。

「メルペイあと払い」開発で意識した、チームビルディング

ーCDチームに参加してからはバリバリと?

石川:CDチームは、メルペイ創業時はマイクロファイナンスチームとしてスタートしていました。すでにあるチームだったこともあり、異動したばかりのころは少し様子を見ようと思って「謙虚」をテーマになるべく静かにしていました。でも、当時のメルペイはリリースに向けて、組織も事業も垂直立ち上げ状態。あっという間にそんなことを言っていられなくなって。テーマを「必要なことを必要だと思っただけやる」に切り替えて、メルペイあと払いのスペックや開発進捗に関する優先順位の整理、各ステークホルダーとの調整などを一気に進めました。

ー決済サービスはステークホルダーも多いので、「一気に」というのは難しそうな印象もありますが?

石川:メルペイあと払いに関しては、お客さまになめらかな決済体験をしていただく一方で、使いすぎを防ぐなど、慎重になるべき場面も多いです。お客さまの大事なお金を扱うので、開発面は本当に試行錯誤しました。文言の一つひとつや、ボタン一つにしても、チーム内はもちろん、他のチームメンバーとも徹底的に議論してきました。おかげで、無事にメルカリあと払いをリリースできたので、やりきってよかったです。

メルペイあと払いに関わったメンバー全員での記念撮影

ー本当に「必要なことを必要だと思っただけやる」を実行していたんですね。

石川:これはCDチームに限らずですが、メルペイにいるみんなが全力で挑まないといけない状態でしたからね。なので、チームビルディングにも力を入れていました。メルペイあと払いは、おもに1月から3月で機能開発、そして4月にリリースしています。このスピード感で動き続けるには、チームの結束力が重要。そのため、僕が出席したMTGの議事録はほぼすべてチーム内で共有していましたし、必要であれば口頭で補足していました。業務以外の話もフランクにできるよう、シャッフルランチも細かく実施していましたね。

ー石川さんはCDチームのマネージャーですが、7月からはディレクターも担当しています。これは、どういった役割になるのでしょうか?

石川:正直、僕のなかでも「ディレクターとはなんぞや?」に対してはっきり定義できたわけではないのですが。でも、少なくとも「会社やチームに閉じないパフォーマンスを出す」が期待されている役割だと感じています。

ーメルペイで言うと、メルカリとのシナジーを生み出すような役割?

石川:ですね。グループをまたいだ連携を促すイメージです。メルペイでは、そういった役割を期待できる人がディレクターになっている気がします。

メルカリNOWの答えは、メルペイ「Credit Design」にある

石川:僕、メルペイが挑もうとしている新たな信用のかたちを導き出そうとしているCredit Design(金融新規事業)に、NOWで導き出せなかった答えがある気がしているんです。

ーNOWの答え?

石川:NOWのクローズに関しては、僕も話し合いに参加していましたし、しっかり腹落ちしたうえで決定しました。NOWチームでも話し合っていたので、メンバーの納得度もそれなりにあったんじゃないかと思っています。そして、ある意味、NOWでやろうとしていたことを、今度はもっと大きな規模であるメルペイで実現しようとしているので、僕にとってはむしろ継続中と言えるんです。

ー継続中?

石川:NOWをやってみてわかったことが2つあります。まずは、お客さまの資金需要はあるということ。ようするに、手元に資金はないけれど「欲しいものがある」「やりたいことがある」という人は多いんです。その解決方法として、NOWは一定のお客さまのニーズを満たすことができていました。そして2つ目は、資金需要を満たすサービスを単体でビジネスとして続けることはなかなか難しい。でも、メルペイが目指す世界観に含まれるサービス機能の1つとしてなら実現可能です。

ーメルペイならできる?

石川:そうです。メルペイで築こうとしている信用基盤があれば、(もしやろうと思うならば)NOWを再現できると思っています。それに、NOWとCredit Designは性質にも近しいものがあります。そのせいか、今やっていることの多くにNOW時代に経験したことが非常に活きていたりもするんです。あと、チームに関しても、当時のような動き方になりつつあります。

ーそうなんですか?

石川:メルペイで信用基盤を築くということは、メルカリとの連携が肝。NOW立ち上げ時も、メルカリ・ソウゾウでの合同チームでした。CDチームにおいても、今後同じような動きにしていけないかなと考えています。もちろん、メルペイはNOWに比べても事業規模が非常に大きいので、当時以上に頑張らなければならない場面も多いんですけれど。僕にとってCredit Designが、NOWでの答えを見つける場所になるんじゃないかと思っていたりするんです。

石川佑樹(Yuki Ishikawa)

東京大学仏文科卒業後、2012年に任天堂株式会社入社。パブリッシャーストラテジーGに従事。 在職時から開発していたサービスでのスタートアップ、そしてフリーランスを経て、2014年にモイ株式会社(ツイキャス)に初期社員エンジニアとして入社。 国内開発、海外マネージャー、アジア事業立ち上げを経て、2017年6月にメルカリのグループ会社だったソウゾウに入社。「メルカリ アッテ」を担当のち、「メルカリNOW」のプロダクトオーナーを務めた。その後、メルペイへ異動し、CDチームのプロダクト責任者を担当。

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