「もっとアグレッシブにいけるんじゃない?」経営の強いコミットを反映させたサステナビリティレポートの舞台裏

メルカリでは、2021年8月12日に2回目となるサステナビリティレポートを公開しました。

今回のメルカンでは、サステナビリティレポート発行プロジェクトを推進したマネージャーの田原純香(@Tabaran)、山下真智子(@mattilda)、大山奈津美(@natsumi_o)の3人にインタビュー。「そもそもこのレポートって一体何?」という話から、これまであまり語られることのなかったチーム体制やレポート公開の裏側について聞きました。

この記事に登場する人


  • 田原純香(Sumika Tabara、@Tabaran)

    大学卒業後、Accenture、A.T. kerneyにて経営戦略コンサルタントとして勤めたのち、Interbrandにてブランド戦略コンサルタントとして従事。2018年10月にメルカリに入社。社長室にてリスク管理プロジェクトやESG立ち上げプロジェクトなどに従事した後、Brand management teamを立ち上げマネージャーを務める(現、JP/Branding team)。その後、Sustainability teamを立ち上げ、現在同チームのマネージャーを担当。


  • 山下真智子(Machiko Yamashita、@mattilda)

    2015年4月メルカリ入社。オフィス移転・InternalCommunication施策・持株会導入・mercibox策定など幅広いコーポレート業務に従事。その後育休を経て2018年よりCulture&Communicaions Teamのマネージャーを務めカルチャー浸透業務を担当。2回目の育休を経て2021年5月よりESGプロジェクトに参画。Sustainability teamのメンバーとして、日々勉強中。


  • 大山奈津美(Natsumi Ohyama、@natsumi_o)

    2017年10月メルカリにCSメンバーとして入社。入社半年後、CSの知見を活かす形でリーガル/政策企画チームにて権利者対応に従事。その後Community teamにてお客さまイベントの企画・運営を担当。2020年7月からは循環型社会実現に向けた小中高生向け教育施策や環境問題にまつわるプロジェクトに参加。現在はSustainability teamの一員としてYourChoice制度を活用しながら小笠原諸島父島よりリモートワーク中。


大事にしたい本質はそのままに、内容を充実させた2021年のサステナビリティレポート

ーメルカリでは2020年からサステナビリティレポートを出してましたよね?

@Tabaran:はい。メルカリグループでは2018年から当時の社長室直下のプロジェクトとしてESGの取り組みをスタートさせていました。そこでプロジェクト発足から2年が経過した2020年に、メルカリ初となるサステナビリティレポートを発行し、これまでのメルカリでの取り組みをまとめて紹介しました。さまざまなESGのガイドラインを参照しながらも、最初から情報を詰め込むのではなく、とにかくシンプルに書くことを心がけました。ちなみに当時はほぼ私一人で作成していました。今年は協力してくれるメンバーも増えて、本当に嬉しかったです。

@Tabaran:レポートを書くにあたって多くの企業の事例を調べたんですが、100ページを超えるものが多くて、どれも読むのに時間がかかったんですよね。もちろん、伝えるべき事項が多いためそのようになっていると理解しているのですが、一方でメルカリの場合はまだESGに取り組み始めて間もない状況だったので、初めて出すサステナビリティレポートとしては、網羅性よりもシンプルさ、伝わりやすさを重視したんです。

また、ESGは、投資活動に有利とされる外部評価を取得するためではなく、あくまでもメルカリが社会と共存しながらサステナブルにビジネスを継続させていくための取り組みです。この本質は外さないようにしたいと思った結果、昨年公表したようなシンプルなレポートになりました。

田原純香(@Tabaran)

ー昨年発表したレポートは15ページでしたが、今年は58ページありますよね?

@Tabaran:以前より投資家のみなさまからは企業価値を評価するにあたり「もっとこういう情報を開示した方がよい」というアドバイスもいただいていたんです。この1年、いろいろなステークホルダーの方とコミュニケーションしていく中で問われる質問を我々が理解したり、ステークホルダーのみなさまが知りたい内容への理解も進んできました。今回は1年間のコミュニケーションを踏まえた上でのレポート内容であり、公開する情報についても検討を重ねながら作成しました。そのため、今年のレポートでは、これまでの取り組み紹介だけではなく、各マテリアリティに対する基本方針や具体的なゴール、目標値についても初めて示した内容となります。

ー大事にしたい本質はそのままに、内容を充実させたということですね。実際にレポート作成に携わったのは3人ですか?

@mattilda:はい。@natsumi_oさんは、2020年7月からESG施策に携わっています。そして私は2021年5月に育休から復帰したタイミングで、チーム異動という形で参加しました。

@natsumi_o:今回のレポートについて経営陣とコミュニケーションを取り始めたのが、2021年4月末頃からです。5月に入りマテリアリティの見直しも実施しました。そこから毎週のように経営陣との議論を重ねて、8月のレポート公開に至りました。

メルカリらしさが詰まったレポート作成のプロセスとその3ヶ月間

ーレポート作成に携わったメンバーとして、何が一番大変でした?

@mattilda:今回はマテリアリティに「気候変動への対応」という項目が追加され、自分たちの事業がもたらす環境へのインパクトをポジティブ・ネガティブ含めて定量評価しました。私と@natsumi_oさんの2人でメルカリが企業活動において排出するGHG(温室効果ガス)の算出に携わったのですが、とにかく社内からありとあらゆるデータを短期間で集めなければいけなかったことが大変でした。

@Tabaran:当初は3カ月もあれば定量評価できると考えていたのですが、そもそもデータがどこにあるのかを調べる時間、データを集めるために各チームに交渉する時間、集めたものを集計・分析する時間、それを検証する時間と、想像以上に大変な作業でした。ただ、やると決めたことをやりきるのは、ある意味メルカリらしいですよね(笑)。

@natsumi_o:たしかに、データを集計したり説明したりするのはとても時間のかかる作業でしたが、鹿島やメルカリ米国事業サイドのデータも収集した際、期末の一番忙しい時期に快く引き受けてくれて、All for Oneを感じました。

@mattilda:「なんでこのデータが必要なのか」を、データを提供してほしいチームすべてに説明することが結果的に「メルカリグループの気候変動への取り組み」を理解してもらうことにつながったと感じていて、副次的な社内浸透効果もあったと思いますね。

ーデータの算出はメルカリ内で行ったんですか?

@natsumi_o:算出に関しては外部の方にも入っていただき、専門的なアドバイスをもらいました。今回初めての算出だったので、自分たちの事業と排出量の関連性について迷う部分もありました。専門的なアドバイスをいただきつつ、最終的には環境省のガイドラインとGHGプロトコルに則って判断しました。

ーではレポートの作成は?

@Tabaran:レポート作成に関して、算出以外は基本的に骨子をつくるところから自分たちで行いました。メルカリらしさを大事にしていたので、デザインも含めて「どんなデザインがメルカリのサステナビリティっぽいかな」と議論を重ねて進めていきました。レポートは海外の投資家の方にも読まれるので、英訳した際に微妙にニュアンスが変わってしまわないように、翻訳まで含めて社内のチームに協力してもらい、これぞメルカリの強みだなと感じましたね。

@mattilda:今だから言える話ですが、公開日の午前中まで修正作業が発生しバタバタしていました。ギリギリまで作業ができたのも、社内リソースでやりきったからだと思います。

@natsumi_o:今思い出してみても…必死でしたね(笑)。本当に私たち3人だけではなく、各コンテンツを担当したメンバー、デザインや文言チェックをしてくれたメンバー、経営陣など多くの社内メンバーの協力があったできたレポートだったと思います。そして、今回の反省は来年に活かします!

写真左下から、山下真智子(@mattilda)、大山奈津美(@natsumi_o)

目標値とアクションプランには、並々ならぬ経営陣の強いコミットがある

ー今回、レポート作成やGHGの算出作業で印象に残っていることなどありますか?

@Tabaran:いろいろ大変なことは多かったのですが、個人的には算出した数値を踏まえて経営陣と目標値を決めていくプロセスがとても印象に残っています。

@natsumi_o:目標値だけでも3回見直しましたよね(笑)。

@mattilda:毎週のように経営会議に出ていたときもありましたよ。

@Tabaran:私たちが提出した目標値の素案に対して、進太郎さん(メルカリ代表取締役CEO、山田進太郎)をはじめ経営陣が「もっとアグレッシブにできるんじゃない?」「その制約内容は、我々では本当にできないことなのか?」という発言があったりして…。改めて循環型社会の実現、気候変動に対する経営の意思の強さ、コミットメントの強さをすごく感じました。

ーメンバーだけじゃなく、経営陣の想いも強く入っているんですね。

@mattilda:かなり入ってますね。経営のコミットがあったからこそ、「なんでこれやるんだっけ?」というような取り組みの重要性の説明や調整作業などは不要でした。Whyの共通認識は揃っているから、Howの議論に集中できたと思います。

@natsumi_o:米国事業や鹿島チームへのデータ算出依頼に関しても「困っていることがあれば、僕たちからも声かけるから言って」とJohn(メルカリUS CEO、John Lagerling)や小泉さん(鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役CEO、小泉文明)から直接言ってもらえて有り難かったですし、個人的にも毎週経営陣の話を聞けるのはモチベーションにもなっていました。

ーこういった経営陣の理解やマインドが、サステナビリティレポートには反映されているんですね。

@Tabaran:ESGの取り組み自体が中長期の事業成長に向けたアクションなので、短期で目に見えた成果が出るものではないんです。だからこそ経営陣のコミットメントはとても重要なんです。

レポートをもとにすべてのステークホルダーとコミュニケーションを。ここからが本当のスタート

ー公開後、周りの反響などはどうですか?

@natsumi_o:公開から約2ヶ月で72万PV(2021年10月14日現在)など多くの反響をいただいています。

@mattilda:私は主に社内メンバーへの周知を担当しているのですが、先日開催した社内OpenDoor(オープンな場を設定し、メンバーと直接コミュニケーションをとる時間)も200人が参加するなど、関心の高さを感じました。

@Tabaran:投資家面談などはこれから実施予定なのですが、前提となる情報は昨年よりも明らかにアップデートされているので、より深い議論や対話ができるのではないかと思っています。

ー最後に、今後やっていきたいことや抱負があれば教えてください。

@natsumi_o:今回のレポートに記載した具体的なアクションについては「絵に描いた餅」ではなく、一つずつきちんと実行に移していきたいですね。電力の再生エネルギーへの切り替えなどは、まさに現在は私が中心となって着手中のプロジェクトなので、推進していきたいです。

@mattilda:私は毎年続くGHG算出を仕組み化していきたいです。

@Tabaran:追加で挙げるとすると、気候変動への取り組みについて、機会とリスクの財務インパクトなど実際の経営の数字につなげるということができていないのでやっていきたいですね。それにもっとプロダクトやサービス設計からサステナビリティを体感できるような仕組みもつくってていきたいですね。

@mattilda:メルカリの強みは、まさにここにあると私も思います。コーポレートアクションだけではなく、プロダクトとの連携というのは今後より意識してやっていきたいです。

@natsumi_o:やりたいこと、やらないといけないことがたくさんあるので、きちんと1つずつ実行に移していけたらと思います。

ー楽しみですね。ありがとうございました!

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