待ち望んだ法人開放。「攻めのCS」をいかにして創るかの奮闘記録 #メルカリShops奮闘記

こんにちは、ソウゾウのCS Strategistの@aguni(アグニ)こと松村です。以前「新規事業のCustomer Successを0→1で立ち上げる覚悟と醍醐味」という記事を書いたxiangling(シャンリン)さんと共にCustomer Success(以降「CS」と呼びます)を構築してきました。

今回はソウゾウのCSが取り扱いできる商材を拡げることで、マーケットの拡大にどのように関わっていくのかについて、「攻めのCS」というキーワードと共にお届けしたいと思います。

※撮影時のみマスクを外しています

この記事に登場する人


    • アグニ(@agunidiver)

      2005年に総合商社で繊維製品の事業開発に従事。その後、旅館経営コンサルを経て、2015年よりミセス向けセレクトショップを経営する有限会社フロムの代表取締役に就任。代表を務めながら、2018年に株式会社メルカリへ入社。事業者向けコンサルティングチームの立ち上げ、TnS領域での企画、警察対応チームのマネージメント職を経て、2021年2月よりソウゾウへ異動。CS立ち上げやサービス・ポリシー設計を担当。


はじめに

突然ですが「攻めのCS」って響き、良くないですか?

僕はこの言葉が好きで、日々自分の行動としてもしっかり体現していきたいと思っている言葉です。そもそもCSってお問い合わせや監視などオペレーション対応が主業務と考えられがちですし、「守り」のイメージが強いと思われるのではないでしょうか。(前提として「守り」は重要な役割です!)

そんな中で「攻めのCS」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?

この記事では「お客さまの要望をキャッチアップし、CSを起点として、マーケット拡大や、満足度向上に向けた仕掛けづくり」と定義したいと思います。

待望の法人開放。いざ、ソウゾウへ。

私は自分で小売ビジネスを経営していたこともあり、入社前から「メルカリ」というマーケットプレイスで事業者の出店を期待している一人でした。2018年のメルカリ入社以降、事業者の参画を唯一認めるメルカリチャンネルというサービスで事業者対応チームを立ち上げ、事業者の売上拡大に向けた提案やお手伝いをしてきました。

奇しくも2019年にサービスがクローズ。メルカリから事業者がいなくなってしまいましたが、またいつか事業者向けのマーケットをつくりたいという思いが残り続けていました。

そして2021年1月、ソウゾウが設立。事業者マーケットを構築する社内メンバーを公募するという社内発表があり、迷うことなく応募したことを覚えています。ソウゾウでは2人目CS(Customer Success)メンバーとして、業務をスタートさせました。

まだ何も無いところからCSの全てを作り出さなければいけないなか、私は特にTnS(Trust&Safety)と呼ばれる不正な商品や行為を取り締まり、安心・安全なマーケットの確立・維持をするための監視体制構築を急務として進めていきました。

ソウゾウCS定番ポーズで誕生日のお祝いに集まったメンバー

不正な商品や行為を取り締まる必要性

メルカリは2014年のサービスローンチ以降、急激にマーケットを拡大させ、いまや毎月約2,000万人もの方が使うサービスとなりました。メルカリなら他では出会えない商品と出会うことができたり、安く手に入れることができたりと利用者が求める価値は様々ですが、それらは「安心、安全」なマーケットプレイスが維持されているという信頼があってのこと。逆に言えば、その信頼を失ったら、マーケットプレイスとしては価値がなくなると言えるかもしれません。
記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんが、以前、メルカリ内で現金が出品され、社会的な問題になり、多くの方々にご迷惑をおかけしました。それによって、当時は「偽物が多い」「トラブルが怖い」など、負のイメージが強いアプリになってしまったと思います。あれから数年が経ち、監視体制構築をはじめ、さまざまな取組を通じて、安心・安全なマーケットプレイスへ一歩ずつ近づけていると思います。

過去の経験があるからこそ、メルカリShopsも立ち上げ初期から盤石な監視体制を構築することで、「安心、安全」なマーケットを実現させる必要があると強く思っていました。まだまだ監視体制の充実化に向けてやるべきことはたくさんありますが、リリース後も大きなトラブルなく現在を迎えられていることは個人的に非常に嬉しいことです。

取り扱い可能商材の拡大とポリシーを見直す、揺るがない理由

TnSにおける主業務はやはり監視ではありますが、もう一つ重要な業務のなかに、禁止ポリシーの管理があります。禁止ポリシーとは監視ルールの根幹となるものですが、環境の変化に応じて見直す必要があります。例えば法律が改正された場合や、昨今のマスクの買い占めが社会的な問題に発展した場合など、その時の状況に応じて最適なポリシーである必要があります。

また、ポリシーは厳しくするだけでなく、「安心・安全」が守られているのであれば、緩和や解禁を検討することが妥当であり、このポリシー見直しこそが「攻めのCS」として取るべきアクションだと考えました。

メルカリShopsはメルカリのマーケットでの販売を前提としていたため、立ち上げ当初は禁止ポリシーもメルカリのルールに則ったものとしました。ですが、メルカリShopsを利用する事業者は個人ではありませんし、対象となる法律も異なります。特に事業者は販売に許可が必要なものが多く、販売のためにより厳格な製品管理が求められます。

裏を返すと、販売に必要な許可があり、厳格な製品管理を行っていても、メルカリShopsの禁止ポリシーにより販売できないものが多数あるというジレンマに陥ってしまう。私たちがメルカリShopsで実現させたいのは、より多くの事業者の方に「売れる」体験をお届けすることです。安全に商品を販売できるのであれば、やはり禁止ポリシーも事業者に合わせたものにする必要がありました。

冷蔵品解禁準備に奮闘した激動の8日間

実は7/28のメルカリShopsリリースのタイミングでは冷蔵品の取り扱いは禁止していました。食品取扱ショップが増えていくにつれ、冷蔵品の出品数も増えたのですが、解禁していない冷蔵品は削除せざるを得ません。

食品販売免許も持っていて、EC販売実績もあるショップなのに、メルカリShopsポリシーで「冷蔵品」が禁止という理由で商品削除せざるをえないことが非常に心苦しく辛かった。だから、最も優先度を高くして、冷蔵品解禁に向けた準備を進めていくことを決意しました。

メルカリにはポリシー策定や変更に伴う意思決定機関として「マーケットポリシー委員会」を設置しています。Legalやコンプライアンス、政策企画、ブランド、PR、監視オペレーションなど各領域のプロフェッショナルなメンバー達が一同に介し、あらゆる角度からリスク分析・評価を行い、ポリシー変更の可否を決定します。しかし、次回開催される委員会で「冷蔵品」販売解禁の承認を得るためには、8日間しか時間がありませんでした。

そもそも冷蔵品の取り扱いを許容できない理由(リスク)は、以下3つにまとめることができました。

●出品者が適切に生産や保存を行わないことによる食中毒発生の未然防止策がない
●食中毒が発生した場合の緊急避難(被害拡大防止)フローがない
●新たな監視業務の増加に耐えうるオペレーション体制の構築が必要

これらに対して、適切な対策を講じることができるかが解禁可否のポイントとなります。

1.食中毒の発生リスクをいかに防ぐか

食中毒が発生するのは生産時、配送時、配送後で起こります。配送後は購入者の管理によるものなので、メルカリShopsとしてできる打ち手はほとんどありません。つまり、生産時、配送時のリスク軽減に注力する必要があります。
そのため、適切な生産や販売管理を行うことが可能な事業者を判定するために、「冷蔵品販売の実績がある」=「生産に必要な許可や、店舗による営業許可をすでに持っている」事業者に限定し、出店審査時と、商品監視の段階で行う「適切な許可を保有していることを確認する運用フローとその基準」をコンプラチームやオペレーションチームと共に構築しました。

また、許可を有していても、常温配送してしまい商品が傷んでしまうこともあります。いままでメルカリShopsでは配送方法で「クール便」の選択ができなかったのですが、開発チームと連携し、商品登録時の「クール便」選択を可能とし、冷蔵品が出品されたときに「クール便」が選択されていることを監視することとしました。

2.ショップ商品による食中毒発生時の被害拡大防止フローの設計

食中毒が発生するときは一箇所に限らず、複数箇所で同時に発生します。つまり、食中毒の事実を認識した段階で、関係者への迅速な情報発信を行うことが不可欠です。行政のプロフェッショナルである政策企画チームやLegalチームに協力いただき、ソウゾウを起点とした出品者への商品販売停止の連絡、同じ商品を購入した方への注意喚起、保健所への報告などをいち早く行うことができる体制を整えました。

3.新たな監視業務増加に耐えうるオペレーション体制の構築

さらに、想定しないリスクの発生にも備え、解禁直後は冷蔵品の検知を広く行うための要件定義を行い、監視機能拡充の開発を行いました。検知数が多くなった分の監視数増加により、オペレーター稼働の追加捻出が必要となります。本来であれば、稼働効率を向上させるような開発などにより、人員費用を抑えることが望ましいです。しかし、メルカリShopsはスタートアップだからこそ、一日でも早い解禁が最優先であることをオペレーションチームにもしっかりと理解してもらうことで、メンバー稼働を増員させた監視体制構築を関係者一丸となって実現することができました。もちろん、監視効率を向上させる開発は今後計画していきます。

結果、8日間という限られた時間でマーケットポリシー委員会で承認を得ることができ、8/11から冷蔵品の販売が解禁されました(※この段階では、一部の事業者さまへの開放となります)。この「攻めの解禁」は「なぜ冷蔵品の解禁が必要か」ということに対して熱意を持って取り組み、関係者の理解を得ることで実現できたものだと強く感じています。

無事解禁された冷蔵品が並ぶメルカリShops画面

ソウゾウCSとして今後目指すこと

今後もCSとしての固定観念に縛られることなく、「攻めのCS」と「守りのCS」どちらも爆速で突き進みたいです。具体的に3つの柱を軸にアクションを企画し、CSが主体者として実行に向けた取り組みをしていきたいと考えています。

1.事業者サクセス実現に向けた体制の構築

事業者のサクセスとは「売れる」につきます。現在CSとしてどうしたら出品できるかといったオンボーディングは行っておりますが、より売れる体験をつくるためのアクションはプロダクトに頼る部分が大きくなっています。サクセスの実現のために事業者の声を活用したテックタッチを基本としながらも、将来的には事業者ごとのハイタッチな提案も行っていきたいと考えており、そのためのサクセスチーム立ち上げが必要と考えています。

2.VOCを活用した戦略立案、開発連携、ポリシー変更による取扱い可能商材の拡大

CSはお客さまや事業者の声が集まる場所です。プロダクトファーストだけでなく、お客さまファーストな提案はCSだからこそできるのではないでしょうか。取り扱い商材についてもまだまだ解禁したい品目は山積みです。(予約商品や、医薬品、自動車などもどんどん扱っていきたいと思っています。)

3.オペレーションコストの最適化

圧倒的なスピード感で進化を遂げるためには、柔軟かつ機動性のあるオペレーションの存在は不可欠です。稼働にかかる人件費もそうですが、メンバーのスキル向上や意識醸成など、相当なマネジメントコストもかかります。コストを最適化するためには、対応スピードの向上や最適な配置などのオペレーションの効率化に限らず、開発による自動化やアウトソースの活用なども挙げられます。

最後に……!

以上、冷蔵品解禁までの奮闘の記録をお届けしましたが、かなりエキサイティングなミッションと環境下でCSの業務に携わることができています。

自分の役割を全うすることは最低限必要ではありますが、ソウゾウメンバーは事業者の成功のために何ができるのか、役割を超えて動ける人しかいません。そのような環境で仕事ができることはソウゾウの醍醐味と言えますし、毎日楽しく過ごせている要因と言えるかもしれません。

そんなソウゾウでは現在、CSのメンバーを募集中です。少しでもこの記事に共感してくださり、且つソウゾウでチャレンジしてみたいと思ってくれた方がいたら嬉しいです。

特に、「ソウゾウCSとして今後目指すこと」の各項目にフィットしたスキルは以下になります。

●組織の立ち上げ経験は歓迎要件ではありますが、長期的な理想像を描くことができ、限られたリソースの配分を適切に評価するなど、今このタイミングで本当に必要なものを取捨選択できる人が活躍できると思います!

●大きな成果を生み出すには関係者を巻き込む力がより重要だと考えています。事業者のために何ができるかを強く考え、事業者目線で企画や実行を行える人はすぐにパフォーマンスを出せると思っています!

●オペレーションのマネジメント経験に加え、キャパシティプランニングにも広く視野が行き届く資質が求められます。また、プロダクト開発チームや外部パートナーとの契約交渉などのコミュニケーションスキルも歓迎要件です!

ぜひ「攻めのCS」を一緒に実現させましょう!


ソウゾウCSメンバー一同、お会いできることを楽しみにしています!!

次回はソウゾウが誇るデータアナリストの@takebockleさんが登場予定です。お楽しみに!

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