新規事業のCustomer Successを0→1で立ち上げる覚悟と醍醐味 #メルカリShops奮闘記

こんにちは、ソウゾウのCS Strategist / CS Managerの@xiangling(シャンリン)です。マーケティングのkeniさんからバトンを受け取りまして、連載:「メルカリShops奮闘記」の3本目を担当します。

3本目は、ソウゾウのCSがどのように「メルカリShops」のオペレーションをゼロから立ち上げ、これから何を目指していくか、プレオープン後1ヶ月間の熱狂と怒涛の日々をお届けします。

この記事を書いた人


  • @xiangling(シャンリン)

    2013年中国上海の復旦大学経済学部卒業後に来日。日系中小企業のマーケ、アクセンチュアの経営コンサルタント、AmazonのSeller Experience Benchmarkingを経て、2019年10月メルカリに入社し、Customer Service戦略企画を担当。2021年1月より、ソウゾウへ異動し、CS立ち上げやサービス・ポリシー設計を担当。


はじめに

 

突然ですが、皆さんは「CS」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますでしょうか。

Customer Support(カスタマーサポート)、Customer Service(カスタマーサービス)、Customer Satisfaction(顧客満足)、Customer Success(顧客の成功)、あるいはコールセンターやオペレーターなど、「CS」に対する解釈は人それぞれかなと思います。

ソウゾウ立ち上げの初期、私たちはCSを「Customer Success」と名付けました。サポートやオペレーションに留まらず、一人ひとりがUXを追求し、お客さまに成功体験を届けることで、事業の成長をエンパワーする組織を目指したい。「Customer Success」には、そのような想いが込められています。

この記事では、オペレーション組織立ち上げの「How」だけでなく、スピードが命であるスタートアップで「0→1」を創る心構えについてもお話したいと思います。

私がソウゾウにジョインした理由

 

私は「つくること」と「挑戦している感覚」が大好きです。海外の大学卒業後に来日→日系中小企業→コンサル→GAFA→メルカリ→ソウゾウへのキャリアを経て、2つのことを強く感じました。

1. 助手席に座って事業の成長を側方支援するだけでなく、自らハンドルを握って世に何かを創り出したい

2. どうせ創るなら、ゼロから自分で考えて仕組みやチームを創ることにチャレンジしたい

ソウゾウは設立当初から「Move Fast」という言葉をバリューとして掲げていますが、ここなら早い段階から事業に向き合い、トライし、失敗から多くのことを学べるかもしれない。ソウゾウの設立直後、立ち上げメンバーの社内公募を目にした私は、迷わず手をあげ、気づいたらソウゾウの1人目CSメンバーとして入社することになりました。「創る」ことへの憧れがあった私にとって挑戦しがいのある環境だと、半年以上経った今でも、素直に思います。

では、具体的に「挑戦しがいのある環境」とは何か。

コロナ禍になる前、母国である中国に帰国するたびに、日常生活に浸透しているテクノロジーの進化や、地方の農家さんもライブコマースを使いこなして農産物を売っている光景を見て、驚きを隠せませんでした。

メリカリShopsのプレスリリースの内容にもあるように、日本全体のEC化率は7%にも満たない。日本はものづくりの国とも言われていて、良いものづくりをする生産者が沢山いるのに、ネットショップは難しい、ショップを作っても売れない、売れるためのノウハウや知識がないなど、はじめの一歩で挫折するケースは多いにあります。実際に私たちも直接、事業者さんにヒアリングさせていただく機会がありましたが、やはり同じような課題を抱えている方が多かったのです。

こだわりを持ってものづくりをしている生産者さんやクリエーターさんの想いが生活者に届き、知られていない地域特産品に光が当てられ、何かを始めたい人がエンパワーされている世界。誰かの可能性を解き放ち、誰かの生活をより豊かにできる世界。自分たちが時間とエネルギーを注いたサービスならそれを実現できるのではないか、そこに挑戦の意味を感じました。

新規事業のCSをゼロイチでつくること

 

CS立ち上げは家づくりと同じです。いきなり家を立てるのではなく、その家での理想的な暮らしをイメージし、間取りや設計図に落とし、工事計画を立てて、着工・仕上げを経て最終的に建物が完成していきます。

CS立ち上げもお客さま体験を描くことから始まります。プロダクト早期からCSが関わるメリットは、プロダクト開発・BizDevなど他チームと目指すお客さま体験の目線を揃えることで、オペレーションの個別最適ではなく、サービス体験の全体最適を図れることです。全体最適の視座と目線をもって、お客さまにとって理想の体験とは何か、利用中に何につまづくかを考え抜いた上で、Grand Design(全体設計)、Process(業務プロセス)、Tool(業務ツール)、People(人員)、Knowledge(知識・育成)を通じてサービスを届けていきます。

それらの構成要素のポイントを一つずつ、解説していきたいと思います。

1.Grand Design(全体設計)

お客さまがサービスを利用するにあたって、すべての接点がオペレーションになります。UXリサーチの動画を全員でみて、顧客理解の解像度を上げる。創り出したい体験から逆算して、サポートを必要とする場面、プロダクトだけでは完結できないプロセスを棚卸しして、オペレーションの全体像を描きます。メルカリShopsのオペレーション(以下Ops)は審査、問合せ対応、違反商品・行為の監視、不正取引監視といった4つの大きなOps機能が存在しますが、グループ内のシナジーを最大限に活かす役割分担のもと、ソウゾウCSは出店審査と問合せ対応を担っています。

2.Process(業務プロセス)

 
業務一覧の洗い出しや対応方針を決めるにあたって、イベントストーミングというプロダクト開発方法を取り入れてみました。Seller/Buyerのイベントを細かく分解し、躓きそうなポイントや発生しそうなトラブルを洗い出し、FAQや業務一覧に落とし込みました。このように書き出すことで、プロセスの網羅性を担保しつつも、お客さま視点で自分たちのプロセスを客観視することができました。

3.Tool(業務ツール)

 
スタートアップや新規事業CSを立ち上げる際、もう一つの悩みは自社ツールをスクラッチでつくるか、外部ツールを導入するかです。ソウゾウでは、CSオペレーション基盤はゼロから創り(「0から作るメルカリShopsのCSオペレーション基盤」)、お問い合わせ対応は外部SaaSサービスを入れ、MVP(Minimum Viable Product=必要最小限の機能)を意識したツール設計にしました。ただし、複数ツールを跨ぐ操作が多ければ多いほど、スケーラビリティは下がるため、グループ全体でのツール最適化は引き続きチャレンジングなテーマの一つになります。

4.People(人員)

 
何名をどこで採用するか、内製か外注かもよく悩む問いの一つだと思います。人員試算については、まずベースシナリオを作ってから、パラメーターの確度を高めていくことを意識しました。また、人を取りすぎると手持ち無沙汰になり、人が足りないとサービスグロースのブロッカーになる懸念もあるでしょう。今のフェーズで最重要とするゴールとミッション(スピードか、機動性か、コストか)に沿って、採用人数や業務形態の判断軸を置きました。未来を100%精緻に予測するには限界があるため、上振れや下振れたときの対応方針を事前に用意し、あとはリリース後の反響から柔軟性と臨機応変さを持って対応していくことを意識しました。

5.Knowledge(知識・育成)

 
お客さま向けのFAQやガイド、対応メンバー向けのマニュアルやテンプレートはすべてがナレッジになります。初期にMVPや機動性を追求した先に、属人化や「秘伝のタレ化」が進み、オペレーションがスケールのボトルネックになるケースも多いにあります。リリースまではMVPを追求しつつ、リリース後はより大きなパフォーマンスを出すために、例えサービスレベルが一時的に低下しても、チームで意図的に現状を可視化する時間や業務をカタ化(定型化・標準化)する時間を持っています。

以上、Grand Design(全体設計)、Process(業務プロセス)、Tool(業務ツール)、People(人員)、Knowledge(知識・育成)のポイント解説でした。

「CSは家づくり」と冒頭に書かせていただきました。まさに「正解はないが、フレームワークはある」といった状況のなか、ソウゾウらしさ、メルカリShopsらしさを考え抜き、最終的に建物を完成させていきました。

0→1フェーズでCSを立ち上げる心構え

 

新規事業は意思決定の連続です。先が読めないなかでも、決めなければいけないし、予想から外れてピンチになっても、チームとプロダクト・サービスにコミットすることが問われます。「理想のお客さま体験xスピードx限られたリソース」のなかで、メンバーが明確な共通ゴールへ向けて自走できるよう、私がソウゾウCS立ち上げで意識している点についてお話させていただきます。

1つ目は、はじめも終わりもお客さま体験。お客さまにとって理想の体験とは何かを問いかけ、お客さま主語でゴールを描きます。審査を効率化するのではなく、お客さまが最小限の手間で、いち早くショップを開設できるようにする。オペレーションの個別最適ではなく、サービス全体として最適な体験を考えることを大切にしています。

2つ目は、最初から完璧を目指すより、早く出して、高速で改善する。ソウゾウCS立ち上げ期は、「MVP×スピード」を重視し、最初からオペレーションの効率化とスケーラビリティを追求しないことに決めました。多くの0→1フェーズは、スピードが命です。完璧な意思決定に時間をかけて議論するより、必要最小限の要件を抑え、スタートできる状態を創ってから、コスパの良い改善を高速で回していくことがより大事です。本当に必要な業務か、やらない場合何のリスクが起きうるか、リスクが取れるものかなど、「必要最小限」を見極め、リソースを最も注ぐべきところに集中します。とはいえ、やり直しが効かないもの、「負の遺産」となり改修コストが明らかに高いものは、スピードが遅れるとしても、慎重に議論を重ねてあるべき論に持っていくべきです。ソウゾウCSではこの物事を決める軸を全員が魂でsyncして立ち上げ業務に取り組みました。

3つ目は、意思をもって自分から決めていく。物事を前進させる。新しく何かをつくることは、意思決定の連続です。事業全体を見渡すと何の価値をお客さまに提供し、どうやってグロースを果たすかであり、CS観点だと審査ポリシーや監視レギュレーションはどうあるべきか、何の業務をどのツールで対応し、何人をどこで採用するか、設計から立ち上がるまですべてが意思決定です。今すぐ実現が難しい業務は、今あるリソースやツールの制約でどこまでならできるか、何をやればできるかに発想を切り替え、物事を前進させる道筋を立てます。チームが決めるのを怖がってしまう理由として「失敗を許さない」雰囲気があるのかもしれません。でも、必要なのは失敗を許せる環境です。不確実性が高いなかで、「自分で最終意思決定をして成功/失敗した」経験こそ、成長の原体験になっていきます。

プレオープン後の熱狂と怒涛の1ヶ月

 

7月28日のプレオープン直後、ありがたいことに予想以上のお申し込みやお問い合わせをいただき、いかに我々のサービスがお客さまに求められていたかを実感しました。一方で、予想の数倍を超える反響に、オペレーションの現場は一時的に審査が追いつかない、問い合わせ対応のサービスレベルもブレークするなど、嬉しい悲鳴を上げていました。

メルカリグループによるAll For Oneな協力によって審査体制の一時的増強ができ、審査効率向上のツール改修を爆速でリリースし、問い合わせから検知した不具合も爆速で解消される、プロダクト開発と一心同体に動いた怒涛の1ヶ月でした。

CSのメンバーは、お客さまの嬉しい声や成功体験が原動力になります。自分たちが審査承認したEC初挑戦のトマト農家さんが、審査通過後に頑張って出品し、購入者から嬉しい評価がつくと、なによりも嬉しい気持ちになります。

「攻め」と「守り」を両立させ、グループシナジーを高める、これからのCS

 

0→1の立ち上げフェーズを経て、これからは1→10へとプロダクトを広げる・成功させるフェーズでCS観点では大きく3つのチャレンジがあります。

1つ目は、メルカリShopsならではのカスタマーサクセスを定義することです。カスタマーサクセスの言葉を聞くと、toB向けSaaSのイメージが強く、LTVや継続率、オンボーディングやハイタッチなどを思い浮かべる方が多いと思います。そもそも、カスタマーサクセスって何でしょう? 私はお客さまに成功体験を届けることだと思います。ショップにとってのサクセスは「売れる」ことで、購入者にとってのサクセスが「使いやすく安心してお買い物できる」体験だと思います。何が売れないブロッカーになっているか、より売れるために何が必要かの解像度をあげながら、プロダクト・サポート・レギュレーションなど最適な解決策を模索していきます。

2つ目は、プロダクトを伸ばすパートナーであること。利用ショップ数を増やすために、取り扱い可能な商材を解禁し、「攻め」の姿勢で門戸を広げました。離脱を減らすために、あんしん・あんぜんな取引環境を提供し、事業者ならではの不正を自主的に監視していく「守り」の体制をつくること。CSは事業をエンパワーする役割を担うことを目指します。

3つ目は、グループ全体でのオペレーション最適化。フリマアプリ「メルカリ」、決済サービス「メルペイ」、そしてオフラインの「メルカリステーション」など様々なサービスがありますが、すべてにCSが存在します。各カンパニーのアセットと強みを活かし、メルカリグループのお客さまに最適な体験を最適なコストで提供するために、グループ間の業務分掌、ツールや業務プロセスのあり方の再定義にチャレンジしていきます。

最後に一言……!

 

気づいたら6,000字以上書いていました……

ここまで、私の文章にお付き合いいただきありがとうございました。
最後は、好きな言葉で本記事を締めたいと思います。

早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。

もしこの記事を読んで「このチームならCSの固定概念を超えて思い切りチャレンジできるかも」と感じたら、ぜひ一緒にメルカリShopsを成長させる仲間になりましょう。心からお待ちしています。

次回は「ソウゾウリーガルが感じていること(仮)」というテーマで、Legalチームのmaiさんが登場予定です。お楽しみに!

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