世間のパーセプションが変わる? マクアケ&ソウゾウが考える、新興サービスにおけるPRの重要性 #メルカリPRセッション

先日1月13日(木)に「Mercari PR Session Vol.3 〜新たな市場を切り開く新興サービスの戦略と求められるPRとはなにか〜」を開催しました。

今回は2021年10月に本格提供を開始した「メルカリShops」を運営するソウゾウメンバーに加え、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を運営するマクアケからゲストをお招きしての開催となりました。

それでは、どのようなイベントだったのかをパネルごとに振り返っていきます!

<イベント概要>
「クラウドファンディング」というビジネスカテゴリに対して“応援購入”という新たなカテゴリを創出し新たなマーケットを切り開いたマクアケ。コロナ禍でEC市場が成長している中、スマホ1つで誰でも簡単にネットショップを解説できるEコマースプラットフォーム「メルカリShops」の提供を始めたソウゾウ。この2社の事例をもとに、後発ながら新たな市場を切り開いていく戦略やPRの重要性についてディスカッションを行います。

この記事に登場する人


  • 坊垣佳奈 氏

    株式会社マクアケ 共同創業者 取締役

  • 石川佑樹

    株式会社ソウゾウ 代表取締役CEO

  • 志和あかね

    株式会社ソウゾウ PRチームマネージャー


両社のサービス説明及びパーパス:株式会社マクアケ・坊垣佳奈氏より「Makuakeについて」

坊垣:Makuake(以下、マクアケ)は、「アタラシイものや体験の応援購入サービス」と定義付けて記載しています。元々は数あるクラウドファンディングサービスの一種だと認識されていたのですが、私たちの向かっていきたい方向性とのズレに気づき、2年前の上場時に「応援購入サービス」へと舵を切りました。

仕組みはクラウドファンディングそのものだという坊垣氏

坊垣:では、なぜ「応援購入サービス」なのか? 前提からお伝えすると、日本のクラウドファンディング業界の歴史は、2011年に発生した東日本大震災から生まれました。なので(復興支援を目的とした寄付型クラウドファンディングが広がったことから)、国内でクラウドファンディングと聞くと寄付サイトや活動支援サイトをイメージされる人が今でも多いのかなと思っています。

一方で、海外のクラウドファンディングサービスである「Kickstarter」や「indiegogo」は、新しいもの(新しいモノづくりや新しいコンテンツなど)への登竜門的な考え方、活用のされ方が主流です。「ファンディング」という言葉から「投資」とイメージされることも多く、そういう仕組みの一種だと誤解されているケースもあります。

Makuakeは「購入型クラウドファンディング」と呼ばれる、お金を出した人に対してモノやサービス、体験で返す仕組みとなっています。サイトにアクセスすると、新しい商品が並んでいて、それを買う感覚に近いと思います。

画像出典:Makuakeのトップページに並ぶプロジェクト一覧(2021年1月20日時点)

坊垣:Makuakeを正しく理解してもらうためには、一連の購入体験と「クラウドファンディング」の言葉が持つイメージとの乖離をなくさなければならない。なので、皆さんにご注目をいただけるタイミングで「応援購入サービス」というタグラインを用いるようにしました。

メディアの方々から取材を受ける際、誤解があったら訂正を入れています。メディア側のイメージが変われば、その先の消費者のイメージも変わります。最近ようやく努力が実ってきた感覚があります。

坊垣:ここまでお話を聞いてくださった方なら「応援購入」の意味は、言葉のまんまだとお気づきになっていると思います(笑)。

先にお金を出していただいて、後からモノが届くEコマースのようなもの…なんですが、Makuakeは作り手の人たちの顔、こだわり、製造方法などの背景を丁寧に説明するような仕組みになっています。また、世の中に流通していないモノだから、手にとることもできないし、食べてみること、飲んでみることもできません。

これは、応援の気持ちもあわせて購入する行為だなと。その購入体験をあらわす言葉が世の中になかったので、オリジナルな購入体験として、それを「応援購入」と呼ぶことにしました。

両社のサービス説明及びパーパス:株式会社ソウゾウ・石川佑樹より「メルカリShopsについて」

石川:メルカリShopsは、「誰でもかんたんに、ネットショップを開設できるEコマースプラットフォーム」として、2021年10月から本格提供をはじめました。これまで“フリマアプリ”として個人対個人のコマースを提供してきたメルカリとは違って、事業者向けサービスになっています。
 
背景から説明します。メルカリShopsをつくった一番の理由は、コロナ禍の影響でモノが売れなくなった人たちの課題を解決することでした。

2020年、コロナの感染拡大が騒がれていたとき、僕はメルペイにいました。当時、全国のメルペイ加盟店の皆様から「営業が難しくなったからモノをネットで売りたい」という声をたくさんいただきまして。事業者向けのサービスを持たない僕たちはそのとき、他社のEコマースサービスを紹介して、ネットショップの開設を勧めていたんです。

しかし、ネットショップを開設することへのハードルは想像以上に高く、開設したとしても、販売まで繋げられずに困ってしまう方がたくさんいらっしゃいました。そこでメルカリの強みを活かせば、困っている方の課題解決ができるんじゃないかと考えたんです。

石川:解決する課題は2つあります。1つ目については、メルカリを個人で使ったことがあれば、その延長線上で開設のハードルを下げられる。2つ目については、2000万人以上のお客さまがいるメルカリのマーケットプレイスなら、ネットショップ開設後に自分で集客をしなくてもいいことで解決する。

これまでメルカリは「売りたいお客さま」と「買いたいお客さま」にマッチングしてもらうための技術を研ぎ澄ましてきました。じゃあ同様に「売れる体験」も提供できるんじゃないかと。

メルカリShopsの一部画面

石川:メルカリShopsは、メルカリと似たUIで作っています。事業者さまにとって必要な在庫管理機能は、ショップの大切な部分になるのでしっかり見せられるようつくっています。引き続き、事業者さまにとってアディショナルにアドオンされた価値を提供できる施策をやっていく予定です。

石川:そんなソウゾウのミッションは、「できるを、つくる。」です。また、メルカリShopsのプロダクトビジョンはこちらです。

石川:メルカリShopsは、メルカリが「フリマ」と「ショップ」を併せたより広義のマーケットプレイスに進化する大きなチャレンジになると思っています。そのためプロダクトビジョンはプロダクト開発やサービス開発をするうえで、メンバーに目線を高く持って日々サービスづくりをしてほしいという思いを込めて、言葉を紡ぎました。

先述したようにEコマースも状況が変わってきたので、興味・関心がない方、得意じゃない方に対しても、僕らはしっかりとソリューションを提供したい。誰も置いていかないEコマースを作りたいと考えています。

そうやって、僕らならではの新しい体験を発明して、体験を作り替えることができるという意味で「Eコマースは新しくなれる。」としています。

Eコマースが新しくなれば、これまで様々な要因でマーケットプレイスに参加できなかった人やモノすべてに対し、テクノロジーを使って光を当てることができるはずです。

絶対的な価値だけではなくて、フリマで今まで実現してきた市場としての相対的な価値を、マッチングの技術によって創り出す。それを見越して「メルカリShopsで全ての人とモノに新たな価値を。」という言葉を添えました。

パネルディスカッション:後発サービスの差別化とPRの役割

坊垣:マクアケがとったのは、積み上げ型の足下戦略(ランチェスター戦略)です。マクアケ立ち上げ時は、すでに同様のサービスが存在していました。先述したように、クラウドファンディングのイメージは東北を中心に出来上がっていて。ただ私は「マクアケは何をしたいのか」が重要だと思っていたので、市場や競合との対比みたいな感覚をあまり強く持っていませんでした。

なので立ち上げ初期は、いろんなジャンルのいろんなプロジェクトをやってみました。そのなかでも、手応えのあった領域であり、かつ、私たちがやりたいことの合流点が「地方を中心としたモノづくり支援」でした。

当時、世の中のクラウドファンディングのイメージは「寄付」。私たちは、私たちがやっていきたい方向の成功事例を出し続け、それをPRしてマクアケが理想とするイメージを手繰り寄せていくようにしました。「応援購入」は、大きな戦略として入れ込んだというイメージで捉えていただければと思います(笑)。

志和:事業活動が誰を「enable(=できるようにすること)」できるんだろう?を考えて、何をすべきかを判断しているんですね。メルカリShopsもそこに集中すべきだと思いました。

石川:僕らが社内で議論していることに近いです。まだ明言されていない市場を切り開こうとするのは、僕らも同じ。これからやろうとしていることを一回り先にやっていらっしゃるようで、非常に参考になります。

坊垣:「クラウドファンディング」の世界線のなかだと、一度定着したイメージをひっくり返さないといけないのですごく大変です。でも「応援購入」という新しい市場のなかだと、イメージがそもそもないんです。実はこっちの方が楽じゃん!って考え方というか(笑)。

ソウゾウ/メルカリShopsの差別化、市場での勝ち筋

志和:新たな市場を切り拓く上で大事な差別化。坊垣さんからは「自分たちのイメージに近づける」というお話をしていただきました。ソウゾウでは、メルカリShopsの差別化、市場での勝ち筋について、どう捉えていますか?

石川:サービスの説明でも触れましたが、メルカリShopsの市場規模は非常に大きなもので、事業者さまのニーズも多様化すると考えています。ニーズというと聞こえがいいんですけど、事業者さまからすると死活問題なので、ペインですね。なので、事業者さまの大きなペインに対して、ドンピシャでソリューションを提供するのがある種の勝ち筋だと思っています。

既存のEコマースで満たされていたニーズは、それはそれであるべきだし、数年かけてやってきたことを僕らが作れるわけないと割り切っています。

だから、僕らとしては「かんたんに売れる」を尖らせまくる。メルカリShopsは、BtoCのビジネスだけど、C(個人)の考え方でつくるというか。B(事業者)の考え方でつくると、多機能すぎて画面がごちゃついてしまう。

そこを誰でも触れるようにしていくなら、ある程度Cの考え方が必要です。これにはリファレンスがないので、発明が必要だと思っています。

PRの役割・PRに期待すること

坊垣:役割について、いくつかテーマを分けてご説明していきますね。まず、マクアケの広報は「プロジェクト広報」といって、PRと相性の良いプロジェクトを広報しています。プロジェクトの多くは“新しい”ものなので、メディアとの相性はめちゃくちゃ良いんです。

PRで大事にしてもらっているのは、記者さんやメディアとのコミュニケーション。社内のPRグループが社会の文脈や背景にどう沿うのかを考えてくれています。なかでもやっぱりテレビの露出は影響力があります。これまでWeb広告やタクシー広告をやったりしましたが、テレビ露出の効果は最も大きかったです。

私自身の話ですが、セルフブランディングもすごく考えています。今だと「女性活躍」のトピックが注目されていますよね。ですので「創業から女性が経営に入っている」ことにご注目していただくこともありまして。あとは、私や代表が出演するメディアを場面場面で考え、効果を最大化するための組み合わせなんかもよく考えていますね。

役員だけでなく、社員にも出てもらうと当人のモチベーションアップにも繋がります。親御さんが喜んでくださったりして(笑)。マクアケでは、社内に限らず、できるだけヒーローをたくさん生むようにしていますね。

坊垣:一言で「ブランディング」とまとめましたが、例えば「応援購入」というワードを定義してから、パーパスをいかにサービスとともに認知してもらえるかを意識しています。テレビでの報道で「応援購入サービス」としてマクアケをご紹介いただくため、担当の方とすごく会話をして、理解をしていただいた結果特集していただきました。

地道な努力を重ねていった結果、「クラウドファンディング」から「応援購入」へのブランドシフトがだんだんと形になってきたと感じています。

志和:多角的に活動されていますね!「PRによって世の中のパーセプションは変わる」ということは、マクアケさんを見てきて感じました。メルカリShopsは本格提供開始から半年ということもあって、マクアケさんほど幅は見せられていないのですが…。

メルカリShopsにおけるPRの役割は、認知を獲得していくことが今のフェーズでは大切なんですけど、特に我々が強みとしている「かんたんに売れる」を出店者さんからお話をいただく場を作っています。2021年11月29日の「いい肉の日キャンペーン」では、コロナ禍で営業ができない飲食店に卸す予定だった生産者さんを応援するために、5,000円のお肉を500円で買える施策を実施しました。

志和:そこで、出店者さんから「メルカリShopsで数百万の利益を上げられた」というリアルな声を伝えていただく。そういった体験をお客さまと一緒につくっていくことは、広告ではできないPRならではの役割かなと思って活動していたりするのですが…どうでしょう。弊社石川からもPRに期待することを聞きたいです。

石川:フワッとしたことを言うと、ソウゾウのPRには遊びがあっていいと思っています。昨年10月に実施した「メルカリShops出店者の実店舗を再現した“3D店舗”」の施策では、ポスター上にQRコードがあって、読み込めば実際にモノを買えるようになっていました。

そうすることで、「メルカリShopsに出店する」ってことは「渋谷の一等地に出店できるくらいの感覚」と認識いただけるんじゃないかなと思っていまして。

実際に掲載した“3D店舗”の様子

石川:他にも、「CMの中に登場したショップをメルカリで検索すると実店舗がヒットする!」みたいなトライもしています。お客さまにも楽しんでいただきながら、サービスが広がっていければいいなと思っているんです。

もう少し真面目な話をすれば、売り手と買い手の両方へのPRが事業成功において重要だと思っています。

まず、売り手。こちらは、SMBと呼ばれているような小さな事業者さまにも注力しています。そこに人手をかけて営業をしていくよりも、PRの施策として良い体験を事業者さまにしていただいて、その事例をPRする、みたいな考え方で進めるのが定石かなと思っています。

次に買い手ですが、メルカリShopsの入口は「フリマアプリのメルカリ」なので、買い手側からすると期待値はフリマのままなんですよね。そこにメルカリShopsが出てきて、「なんじゃこれ!」ってなるのは避けられません。なので、お客さまのパーセプションをちょっとずつ変えていく必要があるわけです。こちらは、これからもっと仕掛けていくところですね。というので、志和には期待をしています(笑)。

志和:公にプレッシャーをかけられた感じになりました(笑)。逆に言えば、PRに期待する経営者の元だと、水を得た魚のように、やりたい事が自由にできると思っています。メルカリShopsとしては、まずは出店者さまに「自分でもできる」とポテンシャルを感じていただいて、いろんな出店者さまが入ってくると「こんな商品もメルカリで出会えるんだ」と聞きつけた新しい購入者さまが入ってこられて、良い循環が回るんじゃないかなと考えています。

今後の事業の方向性

坊垣:Visionに到達するまで足りないピースを順番に埋めていきます。私たちはMakuakeというサービスを主軸に、「生まれるべきものが生まれ」は形になってきたかなと。でも、「広がるべきものが広がり」は、まだできていない。Makuakeで生まれた可能性のあるモノをしっかり世の中に広めていく。それに伴って「残るべきものが残る」。これは技術が残る、会社が残る、地域の産業が残る、を意味しています。

それを実現するために、今は「生態系」を強化する時期だと思っています。グローバルへの展開であったり、Makuakeに並ぶ商品を仕入れたいバイヤーさん向けの「応援仕入れ機能」を始めるなどもその一環です。

サービスをもっと拡張していくことで、まだMakuakeを知らない地方の事業者さん、知っているけど買った事がないよという人とのつながり(=生態系)を強化していこうと思っています。

石川:昨年は困っている事業者さまに向けて、最速でサービスをご提供することを考えてやってきました。今年は事業者さまに提供するメルカリShopsならではの新しい施策、新規機能を続々と導入しながら、新しい価値を創るチャレンジをしていけたらと思います。同時に既存の機能の磨き込みも考えています。実は昨年末にも事業者さまとの座談会をおこなって、たくさんの改善要望を頂いています。今年の12月にはすべて改善できるよう頑張っていきたいですね。

そして毎度白熱しすぎ!でお馴染みのQ&Aタイムですが、今回は時間の関係で事前質問と2〜3の質問にしか回答できませんでした…! 短い時間でしたが、坊垣さんによる企業SNS運用のノウハウ、現代のフェーズごとのPR戦略論のご回答は実践的でとても勉強になりました。

次回は、Mercari PR Session Vol.4「メルカリのPR施策にみる事業会社の広報の在り方~プランニングから効果測定、社内連携の仕方まで大解剖」のレポートを公開予定です!

メルカリグループでは、事業の広報/PRを担い、拡大させていく仲間を募集中です。「気になる」「もっと話を聞いてみたい」と思った方は、ぜひ採用ページもチェックしてみてください!

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