「メルカリCS立ち上げ人」が振り返るキャリア観と、ソウゾウ異動への決心

メルカリが創業当初から最重視する「お客さま体験ファースト」、その歴史を支え続けてきたメンバーの1人が山田和弘(@yama)です。

@yamaがメルカリへ入社したのは、2014年のこと。入社してすぐに仙台、続けて福岡とCS拠点を立ち上げ、さらに不正検知を行うチーム発足も担ってきました。そんな彼が次に選んだのはソウゾウCS組織立ち上げ──。

一見、メルカリでのCS組織づくりを何周もさせているように思える@yamaですが、このタイミングでソウゾウを選んだ経緯は何だったのでしょうか?メルカリ・ソウゾウCSそれぞれに感じる違いは?彼のキャリアから改めて紐解いてみると、見えてきたのは「事業におけるCSのあり方」でした。

※撮影時のみ、マスクを外しています

この記事に登場する人


  • 山田和弘(Kazuhiro Yamada、@yama)

    株式会社ミクシィのカスタマーサポート部門の責任者として約7年間従事。ソーシャルゲーム業界団体の立ち上げ、青少年保護に関わるサービス健全化施策を実施。2014年4月に株式会社メルカリに参画。カスタマーサービス部門のマネージャーに就任し、仙台拠点やカスタマーサービス・トラストアンドセーフティー(Trust and Safety、不正検知)の立ち上げ、メンバーの採用・育成を担う。2021年より株式会社メルコインで暗号資産事業立ち上げ、NFTサービスのCS体制構築に従事したのち、2022年1月からソウゾウCSを担当する。


「映画作りがしたかった」でネット文化、そしてISPでCSキャリアをスタート

ーメルカリCS立ち上げ人でもある@yamaさんは「CS一筋」なイメージがあります。キャリアをスタートしたきっかけは何だったんですか?

最初から「CSをやるぞ!」と思っていたわけじゃないんです。というのも、もともとは映画作りがしたかったんですよね。新卒内定を辞退して、映画を作りながら花屋でバイトもしていました。

ーちょっと意外な流れ…。

そうなんですよ(笑)。映画の宣伝や情報収集で必要だったインターネットを触っているうちに、独特なカルチャーに引き込まれていきました。そのうち、インターネットに関わる仕事をしたいと思うようになっていたんです。当時ブロードバンドが世の中に広がっていたタイミングでもあり、その流れでISP企業に入社し、配属されたのがコールセンターでした。

山田和弘(@yama)

CSとして働いていくうちに、企業の最前線でお客さまと接しながら事業を広めたり魅力を伝えたりするところが、映画作りでも実現したかった「自分が作ったもので人に良い影響を与えたい・誰かの役に立ちたい」という考えにドンピシャでハマりました。

その会社には「世の中にインターネットを広めていく」という壮大なミッションがあり、全社員が一丸となってミッションに向かっていました。「自分のため」よりも「ミッションを実現するため」に仕事をする意識が芽生えたのもこのタイミングです。それは、今にも繋がっています。また、2,000人くらいの大きなCS組織に所属したことで、大規模な組織を運営するメカニズムを学べたことも大きかったです。

ー大規模なCS組織を運営するメカニズム?

大規模なCS組織では、まずは「全体最適」を定めて業務を標準化。そして応対品質や業務効率を安定化させ、顧客満足度やコストなどKPIを改善していきます。

しかし、業務を標準化しても、各CSメンバーには「お客さまのためにもっとこう対応したい」という“Will”や“Idea”もある。そうすると、どうしても属人的になっていく業務が発生してしまいます。そこで業務を標準化しながらも「みんなはどうしたい?」と現場の声を聞き、それを業務に落とし込んでいく必要があります。つまり、業務を標準化し、それがまた属人的になって…をくり返していく。そうすると、階段を上がるように業務の品質が上がっていくことになるんです。こうしたサイクルを仕組みにしていくのは今の業務とも通じているところがあって面白いですね。

ミクシィでの経験を通じて意識が変わった「事業としてのCS」

ーそしてミクシィへ転職しています。きっかけは?

ISP時代の自分は、大規模な組織の中で定められた役割を忠実に全うすることに終始してきました(笑)。学ぶことも多くありましたが、自分なりに「もっといろいろなことができるんじゃないか」とも思い始めました。“これまでとは違う形の新しいCS組織づくり”にチャレンジしたくなったんです。

それに加えて、インターネットがインフラとして世の中に広まり、さまざまなwebサービスが誕生していました。そのなかで盛り上がりつつあったSNSに興味を持つようになっていたんです。その頃のミクシィはIPOを控え、CS体制を強化していたフェーズ。大規模な組織ではなく、むしろ「自分が組織を大規模にしていく役割」にチャレンジできるかもしれないと思いました。

ー大手企業のCSからスタートアップとなると、ギャップもありそうです。

当初は経営陣との距離感の近さに毎日緊張していましたね(笑)。ミクシィでは、戦略や方針をつくる側になる機会をいただき、CS拠点や業界団体立ち上げにも関わりました。それまでは「CSとしてお客さまへの対応や組織運営を考える」ことが中心でしたが、次第に「事業の価値をお客さまに伝え、ともに事業を成長させていくためには、CSをどうしていくべきか」を考えるようになり、視座が高くなったように思います。

また、新しいサービスがまるでジェットコースターのように猛スピードで成長していく様子や、事業が世の中を変えていく瞬間に立ち会えたのはとても大きな経験でした。

ーその後、2014年にメルカリへ入社しています!

ミクシィで7年間いろいろな経験をさせていただき、次のチャレンジを考えました。ミクシィの「人と人をつなげる事業」が楽しくて、自分に合っていたので、物の売買だけでなく、人のつながりをつくるCtoCサービスにも興味を持ちました。当時、オールインワンのCtoCアプリを提供している会社は唯一メルカリくらいだったので「こういうサービスが物やお金の流通や価値を変化させていくかもしれない」と惹かれたんです。さらに言うと、メルカリ代表の進太郎さんをはじめ、経営陣の魅力が決め手になって入社しました。

メルカリで「ミッションに理解のあるCS組織づくり」へ

ーメルカリでは、入社説明もそこそこにすぐ仙台CS拠点の立ち上げを進めていたと聞きましたが?

僕がメルカリに入社する当時、経営陣の中で「お客さまの“安心安全”を担保していかないことには、メルカリは成長できない」という話し合いが行われていました。そして、その解決策の一つとして「CSの体制を拡充すること、それには拡張性のあるCS拠点を持つことが必要だ」という方針が定められていました。そのため、僕は入社日に社内の誰とも会う機会がないまま、仙台CS拠点のオフィス作りにとりかかっていたのです(笑)。

ー(笑)。その後、どんな業務を担当していたんですか?

CtoCサービスが世の中に広がることを見据えたときに、お客さまが安心してサービスを使えるような体験設計や、サポート体制をつくらなければいけないと感じていました。そこで、お問い合わせ対応だけをするCS組織ではなく、出品される商品を監視するチームや不正利用の対策をするチーム(Trust and Safety、TnS)も発足しました。

さらにお客さまの声をプロダクトにフィードバックできる体制にしたかったんです。なぜなら、CSはお客さまに最も近い位置にいる。通常のお問い合わせに加えて「この機能のここに困っている」「もう少しこういう使い方ができたらうれしい」などの要望も寄せられます。メルカリにとって、これほどまでに貴重なフィードバックはない。

プロダクト開発やマーケティングに関わるメンバーが「どんな問い合わせがあったか」といったCSの情報にいつでも触れられるようにしました。CS側からも何かあったときにはすぐにフィードバックし、心理的に距離も近くなるようにができやすい体制にこだわりましたね。

ー「お問い合わせ対応」の枠を越えた領域を前提に動いていたんですね。

当時スタートアップのCS組織ではめずらしいほうだったと思います。メルカリはメンバー全員でミッションの実現に向き合っています。そこにはCSも含まれます。CSメンバーには、とにかくミッションやバリューの浸透、プロダクト開発チームやBizDevを含めた事業をつくるチームやリーガルやコーポレート各チームとの協働を徹底。各チームと同じ目線で事業を推進するために「CSはお客さまに寄り添うだけではなく、カスタマーエクスペリエンス全体を深く考える」という意識を持ってもらうようにしていました。

組織を立ち上げた段階からそうした土壌をつくれたことで、メンバーから「CSやサービスにもっとこういう機能が必要だ」という議論が出てきたり、のちにCSと連携するCRE(顧客信頼性エンジニアリング)がつくられたりと、良い動きにつながっていきました。改めて振り返ってみると、メルカリでCSを起点にサービスを改善、スケールさせていく基盤の部分に関われたのが面白かったですね。

ソウゾウCSは出店者さま目線でカスタマーサクセスを叶える

ーそして2022年1月からソウゾウCSへ異動していますよね?

初期段階から、メルカリCSからソウゾウCSに異動したメンバーと定期的にブレストしたり、壁打ちの相手になったりすることはありました。その後、ソウゾウのサービスがローンチされて事業が好調に伸びていくなかで、CSにぐっと負担がかかったタイミングがあって。僕の培ってきたCSの経験を生かして「なにかサポートしたいな」と思っていたんです。その気持ちをソウゾウCSのメンバーと話しているうちに、いつのまにか異動することになっていました(笑)。

ーメルカリCSとソウゾウCSの違いは?

メルカリCSを見習う部分はたくさんあるので、参考にしているところはすごく多いです。ただ、CtoCのメルカリとソウゾウの運営するBtoCのメルカリShopsとでは機能差もお客さまの期待値も違いがあるので、新たに取り組む課題も多くあります。

メルカリで個人対個人の取引を長く見てきたからこそ感じるのは、BtoCのメルカリShopsは出店者さまの責任感の強さ。その分、メルカリShopsへの期待値も高い。問い合わせを見ていても、出店者さまの「購入者の方にもっと良いサービス・商品を提供したい」「スムーズにやり取りしたい」という熱量を感じます。

メルカリShopsでは、そのような出店者さまのサポートをいかに拡充していくかが今後の大事なテーマですね。うまくいけば、CtoCのメルカリとは異なる商品も出品されるようになり、商品を購入するお客さまにもさらに良い体験を届けられると思っています。

ー重要な役割ですね。

メルカリShopsが急成長・急拡大する中でまずやるべきことは、事業の成長とお客さまを支えるCSの組織基盤をつくること。そして、個人的にはソウゾウならではチャレンジもしていきたい。メルカリグループの中ではソウゾウが唯一「カスタマーサクセス」の組織を設けています。お客さまにとって「何がサクセスとなるのか」を定義し、お客さまの成功に向かってオペレーションやサービスの改善を進めていきたいですね。

また、今後は、メルカリの初期でも安心安全を重視したように、ソウゾウCSのなかにもTnS組織を誕生させる予定です。単に悪い商品を取り締まるだけではなく、出店者さまに出品に関するアドバイスができるようにしたいと思っています。

ーそのために、必要なことを着々と積み上げていく?

先ほど話ししたとおり、CS組織は「標準化」「属人化」の間を行き来しながら成長していくもの。それはソウゾウCS組織も同じ。一度つくった仕組みを維持し続けるだけだったら、どうしたって品質は上がらない。これまでメルカリでつくってきた仕組みをさらによくしていくことを前提に、ソウゾウの事業に最適なCS組織をつくっていきたいです。

メルカリグループは「社会や世界を変える可能性」を感じる会社

ー@yamaさんはメルカリ在籍年数が8年目になりますよね。他社でCS組織立ち上げに関わるチャンスもあったと思うのですが、メルカリグループを選び続けている理由はなんですか?

僕は幸いなことに、時代の先端にいる企業の中でインターネットやSNS、CtoCを世の中に広げるなど、社会や世界が変わっていく瞬間に立ち会うキャリアを歩んできました。これが、仕事のモチベーションになっているなと感じています。世の中に大きな変化を起こすチャンスを持てる会社はそんなにない。でも、メルカリにはその可能性が今後も多くあると感じています。

何より、単純に働いているメンバーやカルチャーが良い!目先の事業や利益の追求よりも、お客さまの体験を優先して話すメンバーが多いんです。会社も創業期からずっとお客さま体験を重視し成長している。これが、僕の感じるメルカリグループの良さです。

そんなメルカリグループのCSとして働く面白さは、事業の中核に入り、多様なメンバーと一緒に事業のコアバリューをつくっていけるところ。「お客さまの声を聞く社風」があり、かつ優秀なメンバーに囲まれながらチャレンジできるのは、非常に恵まれている。

そのなかで、ソウゾウはフリマアプリ「メルカリ」をBtoCも内包するマーケットプレイス「メルカリ」にするために新たなチャレンジしようとしている。このチームなら世の中に大きな変化を起こせるかもしれないと思っています。

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