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経産省職員がメルカリで得たものは? 約8ヶ月の研修期間を振り返る

「みなさん、本当にありがとうございました!」。多くのメルカリメンバーに見送られながらオフィスを去っていったのは、経済産業省大臣官房秘書課に所属する八木春香さん。

八木さんが経済産業省(以下、経産省)から「経営現場研修」としてメルカリにやってきたのは、2018年8月。それから約8ヶ月間、メルカリとメルペイの両方に所属しながら、業務にあたっていました。霞が関の省庁が「研修」と題し、ベンチャー企業に職員を派遣することは、今回が初の試みとのこと。

業務内容や働き方など、異なるイメージを持つ経産省とメルカリ。八木さんは、この2つの現場で何を感じ、学んだのでしょうか? さっそくインタビューしてみると、彼女は「経産省の変えたい部分」を見つけていただけでなく、上場企業とスタートアップ企業の間を行き来する「メルカリの揺れ」を感じていたことがわかりました。

日本を「稼げる国」にし、将来の社会を支えるのが経産省の役割

ーまず、八木さんが経産省からメルカリへ来るまでの経緯をうかがわせてください。

八木:もちろんです! と、言いたいところですが、その前に私からも質問させてください。私の所属元である経産省では、どのような仕事をしているイメージを持っていますか?

ーえっと……ベンチャー企業の支援や、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の通商条件を整えるなど、日本のGDPを上げるためにいろいろしているイメージがありますね。

八木:そのとおりです! 軽くまとめると、経産省とは日本を「稼げる国」にするためにあらゆる施策を講じ、将来の社会を支える組織です。私は子どものころから「未来の子どもたちが幸せに暮らせる社会をつくる仕事がしたい」と思っていました。当初は研究者志望でしたが、一つの分野にとらわれる必要はないと感じたことと、どちらかと言うと「サポート役」の方が自分に合っていると大学時代に気づいて。そして、将来の日本社会を支えることがミッションである経産省に入省したんです。

八木春香(経済産業省 大臣官房 秘書課 課長補佐)

ー入省してから、どのような仕事をしていたのですか?

八木:私は入省して9年目ですが、エコカー補助金、ベンチャー企業の振興、産学連携(教育機関や研究機関と民間企業が連携すること)の推進、ダイバーシティーや女性活躍推進など、さまざまな分野を担当していましたね。経産省では多種多様な産業政策に関わることで知見を増やすという考えがあり、各部署を1年から2年単位で異動してきました。

ー異動するサイクルが早いんですね。

八木:そうなんです。おかげで能力アップできて良いのですが、一方で専門知識が必要な人事などの業務に慣れたタイミングで異動になってしまうことも。経産省でも解決すべき課題の一つということで、今後は異動サイクルを長期化する方向で舵を切る予定なんです。

ー八木さんのお話をうかがっていると、経産省は働き方やプロジェクト進行などについて、内側から変えようとしているんですね。

八木:はい、変えたいと思っています。経産省は、日本の経済を支える機関。経産省が倒れれば、この国も倒れます。変化の激しい今の世の中で、経産省そのものをアップデートしていかないといけません。そこでベンチャー企業のスピード感ある経営現場を経験し、政策遂行力を高めるだけでなく、省内の働き方やプロジェクト進行を学ばせてもらうために立ち上がったのが、今回の「経営現場研修」でした。

ーそしてメルカリへ?

八木:「ベンチャー企業へ行く」とは決まっていたものの、どこへ行くかは直前までわかりませんでした(笑)。メルカリに決まってからは、人事担当の方と面接し、無事合格をもらってから出向しています。このときはちょうどメルペイがリリースに向けてスパートをかけていたこともあり、「今ならメルペイもおもしろいのでは?」ということで、メルカリとメルペイの両方に関われる政策企画チームと経営企画チームに配属となりました。

メルカリで学びたかったのは「意思決定のスピード」「組織内のフラットさ」

八木:このまま話を続けると、私がメルカリで学びたかったのは「意思決定の早さ」、そして「組織内のフラットさ」だったんです。

ーなぜその2つだったんですか?

八木:この2つは、私個人がベンチャー企業に感じていた、組織運営の特徴的な要素です。それと同時に、経産省内で最もアップデートを急がなければと感じていた部分でもあります。公的機関に限らず、いわゆる大企業でも陥りがちだと思うのですが、組織が大きくなると、意思決定に時間がかかりやすくなります。もちろん、各所の合意を得ることは必要な過程ですが、めまぐるしく変わる世の中についていくためには、スピードが求められる。メルカリは、わずか数年で急成長を遂げたスタートアップ企業です。その早いスピードは、どのように実現しているのだろうか……と期待と緊張が入り交じる気持ちで研修に臨みました。

ー所属先は政策企画チームと経営企画チームだったとのことですが、業務のなかで、八木さんが期待していた「意思決定の早さ」「組織内のフラットさ」を学べる場面はありましたか?

八木:経営企画チームでは予算などを作成・管理する業務を担当しており、各チームそれぞれの業務の費用内訳をヒアリングすることからスタートしました。そのなかで「組織のフラットさ」を感じましたね。例えば、メルペイのSRE(Site Reliability Engineering)チームにサーバ代の内訳をヒアリングしたのですが、みなさんとても親切にわかりやすく教えてくれたんです。また、基本的に社内の情報がオープンなので、Slackなどで他チームの情報をキャッチできるのもよかったですね。役職など関係なく「わからないから教えてください」と質問できるフラットさは心地良かったです。でも、一番衝撃的だったのは1on1だったかもしれません。

ーマネージャーとの1on1ですか?

八木:はい。これは、経産省にはまったくない仕組みでした。それもあり、当初は1on1に対して「私ごときの話を聞くためだけに時間をとらせてしまっている」と申しわけない気持ちでいっぱいでした。

ー「私ごとき」って(笑)。

八木:だって、マネージャーの貴重な時間を毎週30分いただいているわけですよ? それも、私は2チームに所属していたので、メルカリグループのマネージャー2人の時間をそれぞれ30分ずつ消費させることになります。畏れ多いじゃないですか(笑)。でも、1、2ヶ月ほど経つと、話し続けることでお互いの人となりがわかり、一体感が強まっていきました。そして、コミュニケーションがグッと潤滑になっていたんです。この変化には、驚きました。

ーじわじわと、1on1の効果を実感されたんですね。

八木:そうですね。経産省では「部下がメインで話す場」自体がまだ少ない状態です。しかし、人となりを知ることは良いマネジメントにつながります。そのことを改めて体感できました。なので、経産省に戻ったら、さっそく取り入れていく予定です。

現場だからこそ感じられた「メルカリグループは揺れている」

ー八木さんがジョインしたころは、メルカリが上場した直後。企業として大きな転換期でもありました。その様子を社内から見て、ギャップなど感じるところはありましたか?

八木:正直「もうスタートアップ感はないのかな?」と思っていたんですが、いざ社内に入り込んでみるとそんなことはなくて安心していました(笑)。あと、誤解を恐れずに言ってしまうと、メルカリグループは揺れているんだな、と。

ー揺れている?

八木:そうです。メルカリは上場し、「社会の公器」になりつつあります。でも、スタートアップ企業でもあるんです。投資家などから手堅さを求められつつ、スタートアップ企業としては大胆なイノベーションを起こすための種まきも必要です。あらゆるスタートアップ企業が成長していくなかで必ず通る道なんだろうな、とも感じましたね。

ースタートアップ企業とはいえ、メルペイは決済サービスです。当然、社会からの目は厳しいものがあるのも事実ですからね。

八木:そうですね、リスク管理や内部監査などを担うメンバーが増えたこともあり、金融機関としてどんどん重厚になっていくようにも感じていました。もちろん、スタートアップ要素を残しながら。そういった意味では、メルカリもメルペイもいわゆる「大企業病」に陥らないように気をつけつつ「スタートアップ企業であり続けるぞ!」という強い想いを持ちながら、さらに前へ進もうとしていくのだろうと思いますね。

ーそう感じていたんですね。この8ヶ月を振り返ってみて、何か経産省へ持ち帰れそうなものはありましたか?

八木:やはり1on1ですね。1on1を持ち帰ることで、省内の情報流通を上げるだけでなく、私が感じた「とことん話し合うこと」の効果を広めたい。加えて、Slackでの全メンバーへの情報共有のあり方を含め、さらに流動性の高い組織になれるようにいろいろ仕掛けていきたいと思っています。

ーすべては「日本の未来」をより良くするため?

八木:そうです。これが日本の未来、そして子どもたちの未来につながるのであればと思ってます。ちょうど今、私は新卒・中途採用を担当しているのですが、それについてもメルカリのみなさんにいろいろアドバイスをいただいています。経産省に戻ってからも良い関係を続けられていることは、とてもありがたいですね。メルカリで教えてもらったことを省内で爆発させたいと思います!

ー爆発!

八木:はい(笑)。改めて振り返ってみると、私を受け入れてくれたメルカリ・メルペイのみなさんは変な特別扱いをせず「いちメンバー」と接してくれていて、やはり嬉しかったです。おかげで、リアルな現場を体感し、予想以上に多くの学びを持ち帰ることができました。心の底から感謝しています。本当にありがとうございました!

プロフィール

八木春香(Haruka Yagi)

経済産業省 大臣官房 秘書課 課長補佐(採用担当)。2011年、経済産業省入省、製造産業局自動車課に配属。その後、原子力規制庁、製造産業局紙業服飾品課を経て、2015年より、産業技術政策局総務課にてイノベーション政策の推進等を担当。2017年より、経済産業政策局経済社会政策室にて、ダイバーシティ・女性活躍の推進に係る政策立案業務に携わった後、2018年8月から2019年3月まで「経営現場研修」としてメルカリ・メルペイに所属。2019年4月から現職にて、新卒・中途採用と経産省内の働き方改革を担当。経済産業省のインターンシップ情報はこちらをクリック。

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