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日本語話者も英語話者も歩みよる、インクルーシブなコミュニケーション実現のためのメルカリ独自の言語支援施策

「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッション達成のため、メルカリでは、世界中から集まる多様なメンバーが活躍できる組織を目指しています。

現在、メルカリのエンジニア組織の約4割が「海外から来たメンバー」。特にプロダクト開発におけるコミュニケーションでは、英語が必須です。そのため、英語習得が求められる日本人メンバーは、LET(Language Education Team)が提供する「言語学習プログラム」に日々取り組んでいます。

しかし、この学習プログラムの本質は、メルカリで働く全員が英語を流暢に話せるようになることだけではなく、国籍や言語に関わらず、全員が円滑にコミュニケーションを図ることができるようになること。今回は、社内向けに英語学習、日本語学習、そして「やさしいコミュニケーション」講座を行うことで、メルカリのコミュニケーションを支えるLETの取り組みについて紹介します。

話す言語に関わらず、メルカリのインクルーシブなコミュニケーション環境をつくるためにできたLET

ーまずは、LETのミッションについて教えてください。

マーク:LETのミッションは、「インクルーシブなコミュニケーション環境をつくること」です。メルカリで働く多種多様なメンバーが、円滑にコミュニケーションを取れるよう、個々のレベルに合わせた学習プログラムを提供しています。

マーク・アンダーソン(Marc.Anderson / LET マネージャー)
マーク・アンダーソン(Marc.Anderson / LET マネージャー)

Mark:LETで提供する言語学習プログラムはCEFR(セファール、外国語の運用能力を、言語の枠や国境を越えて同一の基準で測ることができる国際的な指標)を基準にしていて、これは日本語も英語も同様です。

CEFRに合わせたメルカリの定義する語学基準(社内資料より)
CEFRに合わせたメルカリの定義する語学基準(社内資料より)

マーク:日本人メンバーは英語学習を頑張って、日本人以外のメンバーは日本語学習を頑張る。それで学習成果を出すことも大事ですが、それだけが本質ではありません。重要なのは、国籍に関わらず、皆が円滑にコミュニケーションを取れるようになることです。

ー毎月ランダムにメンバーが選ばれ気軽に英語や日本語で会話できる「チャットランチ」もLETが運営していますよね?

マーク:チャットランチとは、毎月ランダムに4名のランチグループをつくり、月4回まで、そのメンバーでランチしてもらうというもの。「英語チャットランチ」なら英語で、「日本語チャットランチ」なら日本語で必ず会話してもらうのですが、同時に、メンバー同士の交流を促すという狙いも込められているんです。

ーメルカリ社内でも、この制度を活用しているメンバーは多いですよね。なにより、ランチ代は全額会社負担というのはGo Bold(大胆)です。

マーク:そもそもチャットランチは普段、せっかく習得した英語・日本語でアウトプットできる機会が少ないメンバーのために、2018年5月からスタートしました。英語および日本語レッスンの補助として、ランチでカジュアルに外国語を練習できる機会を提供し続けています。開始当時の参加人数は30人ほどでしたが、今では400人以上のメンバーが参加していますね。

異なる文化を理解して、道具としてのユニバーサル言語(英語)を使いこなす力を身につける

ー組織が急激に拡大し、海外からきたメンバーも急増しました。それによって、LETの求められることも変わりましたか?

マーク:英語に対するニーズは本当に変わりました!LETができたのは2018年10月で、当時の受講者は、日本語話者がほとんど。しかし、ここ1年半で国内版メルカリの開発者の約4割が日本人以外のメンバーとなり、開発組織では英語でのコミュニケーションが必須になりつつあります。それに伴い、英語習得が急務なメンバーも増えました。

ーどんな英語トレーニングを行っているんですか?

ライリー:EM(Engineering Manager)、エンジニア、PM(Product Manager)など、特にメルカリ社内で英語を使う業務が求められるメンバーを中心に、Foundation Course(基礎コース)、Communication Course(コミュニケーションコース)、Manager Course(マネージャーコース)、3つの英語学習コースを提供しています。

左:デイビッド・グレロ(David Guerrero / LET 英語トレーナー/コーチ & ビジネスコーチ)、右:ライリー・マスナガ(Riley Masunaga / LET コーチ & プログラムコーディネーター)左:デイビッド・グレロ(David Guerrero / LET 英語トレーナー/コーチ & ビジネスコーチ)、右:ライリー・マスナガ(Riley Masunaga / LET コーチ & プログラムコーディネーター)

デイビッド:マネージャーコースでは、翻訳サポートがなくても、英語でマネジメント業務ができるようになることが目標。そのため、上級レベルの英語力を身につけることが求められています。

ライリー:マネージャーコースは自習が中心になるので、コーチングを重点的に行っています。毎週10時間くらいは勉強してもらわないといけないですからね!LETのメンバーがコーチとなって、学習スケジュールの作成、宿題の提供、学習相談、進捗管理、フィードバックなどを行い、英語学習を徹底的にサポートしています。1週間に何回か、Slackで「今日はどうですか?」と話しかけたり、書いたテキストを添削したり、英語でいつでも相談に乗るようにしています。

マネージャーコースの英語学習プログラム。例えばスキル強化アクティビティーの例として、「1-on-1を自信を持って行う」というものがある。メルカリでマネジメント業務を行うための実践的な内容となっている。
マネージャーコースの英語学習プログラム。例えばスキル強化アクティビティーの例として、「1-on-1を自信を持って行う」というものがある。メルカリでマネジメント業務を行うための実践的な内容となっている。

デイビッド:他のコースも、自習が中心ですね。このマネジャーコースの教材も、メルカリで使う用語やコミュニケーションに合わせて独自につくったものです。

教材の一例。実践プロジェクトは、マネージャーが組織内の実際の問題を解決することにフォーカスしています。
教材の一例。実践プロジェクトは、マネージャーが組織内の実際の問題を解決することにフォーカスしています。

ーLETの資料を少し見ただけでも、メルカリで働くために実践的な内容で、すごく学びが多そうです。これらの英語学習プログラムを提供して、メンバーの英語は上達したんですか?

マーク:英語学習プログラムを受けたメンバーの93%が上達。一般的な英語研修と比べて学習スピードが30〜50%早いという成果が出ました。

ーそれは素晴らしいですね!LETで提供しているプログラムは英語だけではなく、日本語もありますよね。メルカリで提供している日本語クラスはどういうものなのですか?

田中朝子:「MerClass」という日本語トレーニングを実施しています。メルカリで働く、海外からきたメンバーの日本語レベルはバラバラ。ビギナーからB1(自立して生活したりコミュニケーションできるようになるレベル)になるまでに、MerClassと同じペースで学習すると、一般的には2年半から3年かかると言われていますが、MerClassは平均すると約1年でB1レベルに到達します。私たちが独自に開発した日本語学習プログラムは、1週間に2時間の日本語グループレッスン、そして1日1.5時間の自習が基本となります。今60名くらいの海外からきたメンバーがMerClassを受けています。

左:田中朝子(Asako Tanaka / LET日本語トレーナー)左:田中朝子(Asako Tanaka / LET日本語トレーナー)

ーMerClassの特徴はどういったところにありますか?

田中朝子:メンバー同士でコミュニケーションとるために必要な日本語を学ぶことに重点をおいているので、英語のネイティブスピーカーが日本語を学ぶ平均から3倍以上のスピードで学んでいると思います。

ウィルソン雅代:例えば、インドから来日したメンバーは、来日する前に、インドの日本語学校で1日8時間、トータルで8週間くらい日本語を学んでいました。しかし、不自然な日本語のフレーズを丸覚えしたような感じで、簡単な挨拶しかできませんでした。MerClassを受けてもらうと、彼らの日本語力は明らかに変わりましたね。MerClassを1回受けたら「お疲れさま」と自然に言えるようになって、2〜3回受けたら、レストランの予約やオーダーができるようになりました。メンバーからも「今日電話でレストランの予約できた!」「トマトなしでお願いしますと言えた!」とか嬉しいフィードバックをもらっています。

英語話者も日本語話者も歩みよってコミュニケーションするために生まれた、メルカリ独自の「やさしいコミュニケーション」とは?

ーそして、メルカリには英語・日本語だけでなく、双方が寄り添ったコミュニケーションをできるようにする「やさしいコミュニケーション」を実施しています。他ではあまり聞かない施策だと思うのですが、どういったものでしょう?

ウィルソン雅代:「やさしい日本語」と「やさしい英語」を組み合わせた、「やさしいコミュニケーション」講座を独自に開発しました。社内のチーム単位で1時間半くらいの講座で、2019年7月から行っています。

左:ジョン・ヴァンソムレン (John VanSomeren / LET 英語トレーナー/コーチ & やさしい英語トレーナー) 、右:ウィルソン雅代(Masayo Willson / LET 日本語トレーナー & やさしい日本語トレーナー)左:ジョン・ヴァンソムレン (John VanSomeren / LET 英語トレーナー/コーチ & やさしい英語トレーナー) 、右:ウィルソン雅代(Masayo Willson / LET 日本語トレーナー & やさしい日本語トレーナー)

ー講座を開発するきっかけは、何だったのでしょうか?

ウィルソン雅代:先ほどお話ししたようように、メルカリでは日本語・英語それぞれ学習プログラムを提供して語学力向上に努めていますが、語学を習得している間も、双方のコミュニケーションは発生します。学習者だけにコミュニケーションの負担をかけずに、母語話者や上級話者も学習者に歩み寄れば、完璧に話せなくても、コミュニケーションがぐっとしやすくなるはず。そういう想いから「やさしいコミュニケーション」を開発しました。

ジョン:この講座のゴールは「チーム内コミュニケーションのベストプラクティスを見つけること」。僕は英語で、雅代は日本語で、できるだけ「やさしい」言葉を使って講座を行っています。

ー例えば「やさしくない日本語」「やさしくない英語」って、どういった例があるんですか?

「やさしいコミュニケーション」の社内資料
「やさしいコミュニケーション」の社内資料より。うっかり使っている言い回し、ありますよね…。

ウィルソン雅代:例えば社内ミーティングで実際に出てきたものなのですが、「ほとんどの日本語学習者はこの例を聞くと「何が言いたいのかよくわからない」と答えます。この例の問題点は、「一文が長い」「あいまいな言い方をしている」「不必要な敬語が多い」「リクエストなのかどうかがわかりにくい」などです。あとは「雨がざーざー降る」「ぱぱっとやっておいて」といったオノマトペ(擬音語・擬態語)や、「なるはや」「わかりみが深い」といった特有の言い回しは難易度が高いですね。

「やさしいコミュニケーション」の社内資料より。たしかにこういう風に英語で話されたらわかりづらそうですね。
「やさしいコミュニケーション」の社内資料より。たしかにこういう風に英語で話されたらわかりづらそうですね。

ーこの「やさしいコミュニケーション」を受けたチームからはどんな感想がありましたか?

ウィルソン雅代:日本語話者からは、「英語を話すことに躊躇(ちゅうちょ)しなくなった」という感想をもらいました。英語を間違えても、「相手からジャッジされない」という安心感が生まれて、英語での発話量が増えたそうです。また、海外から来た新卒エンジニアからは「今週は相手から聞き直されなかった」といったコメントももらいました。

ー英語・日本語の語学力向上のためのプログラムだけではなく「やさしいコミュニケーション」、さらにチャットランチも提供することで、多種多様なメンバーに対して、あらゆるレイヤーからコミュニケーション支援施策を提供していることが良くわかりました!ありがとうございました。

メルカリ LETメンバー

マーク・アンダーソン(Marc Anderson)

LET マネージャー。スコットランド出身。株式会社ディー・エヌ・エーでビジネス英語トレーナーとして勤務、青山学院大学と香川大学で国際交流の分野にも従事。2018年2月にGOTメンバーとして入社し、同年LETマネージャーに就任。

デイビッド・ ゲレロ(David Guerrero)

LET 英語トレーナー/コーチ & ビジネスコーチ。コロンビア出身。3ヶ国語(スペイン語・英語・日本語)のトレーナー兼ビジネスコーチ。日本で5年間、英語トレーナーとして従事し、メルカリではLET 英語トレーナー/コーチ & ビジネスコーチとして、英語のマネージャーコースの開発もリードする。国際言語コーチング協会(ILCA)の設立メンバーでもある。

ライリー・ 桝永 (Riley Masunaga)

LET コーチ & プログラムコーディネーター。アメリカ合衆国 ハワイ出身。2012年からアメリカと日本のスタートアップで、マーケター及びストラテジストとして勤務。現在はメルカリで、LET コーチ & プログラムコーディネーターとして、プログラムデータの分析とチームのプロセス改善を務める。

田中朝子 (Asako Tanaka)

LET 日本語トレーナー。株式会社リクルートでの営業職等を経て、日本語トレーナーの道に入る。留学生、ビジネスパーソン、大使館員やその家族への日本語トレーニングを担当。メルカリでは、日本語プログラムとスピーキングテストの開発と実践を担当。

ジョン・ヴァンソムレン (John VanSomeren)

LET 英語トレーナー/コーチ & やさしい英語トレーナー。2010年から、インハウスのビジネス英語トレーナーとして従事。(旧)ジンガジャパン株式会社、株式会社ディー・エヌ・エーで勤務。2018年5月にメルカリに入社。英語のコーチの業務に加え、「やさしいコミュニケーション」を主導する。

ウィルソン雅代(Masayo Willson)

LET 日本語トレーナー & やさしい日本語トレーナー。外資系国際物流会社を経て、2013年より日本語トレーナーとして活動。留学生やビジネスパーソン、看護師・介護士候補者への日本語教育を担当。2018年7月よりメルカリ日本語トレーナー。日本語プログラムとスピーキングテストを開発・実践。また、やさしい日本語トレーナーとして「やさしいコミュニケーション」の社内トレーニングを主導。

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