ボツ案も公開!メルカリ決算資料“新”デザインを、担当メンバー3名と読み返してみる

「メルカリグループの決算資料が新しくなっているぞ!」
「見やすくなってる!」

そんな反応をちらほら受け、ふふふっと微笑んでいたのは決算資料のデザイン刷新を担当したメンバーたちでした。

2021年8月、メルカリグループでは2021年6月期の通期決算発表を実施。これを機に、今まではネイビーを基調としていたところを、メルカリのサービスカラーである赤・青へ変更。文字数も大幅にカットして「パッと見て伝わる」ように、イラストなどのデザインも工夫したのです。

そこで今回のメルカンでは、決算資料のデザイン刷新の裏側を、IRチームの野崎純一(@Junichi)、伊吹洋佑(@ibuki)、そしてCreativeチームの太田美帆(@ota-mi)に直撃!インタビュー冒頭で飛び出したのはまさかの…。

※撮影時のみマスクを外しています

この記事に登場する人


  • 伊吹洋佑(Yosuke Ibuki、@ibuki)

    新卒でメーカーに入社。管理会計、税務、IR業務に従事。2018年メルカリに入社。


  • 野崎純一(Junichi Nozaki、@Junichi)

    2021年6月にメルカリへ入社。Finance Division/CFO付として、IR、M&A分野等をカバー。前職は、大手総合商社に18年間勤務:財務(資金調達、M&A、IR等)・経営企画(中計策定等)に従事。


  • 太田美帆(Miho Ohta、@ota-mi)

    武蔵野美術大学卒業後、広告制作会社で百貨店などのシーズン広告制作や撮影ディレクションを行うデザイナーとして勤務。2019年7月にメルカリCreativeチームへ入社し、オフライン系をメインに幅広くデザインを担当。


「わかりやすさ=メルカリらしさ」

@ibuki:あの、これって決算資料のデザインについて話すやつですよね?

──そうですね。

@ibuki:であれば最初に、僕たちから@ota-miさんに伝えたいことがあるんです。このたびは、決算資料のデザイン刷新に協力してくださってありがとうございました!!

@Junichi:ありがとうございました!!

@ota-mi:そんなそんな…。

「ありがとうございました!!」

──御礼から始まった(笑)。

@ibuki:いやいや、本当にお世話になったので…大事なことは先にお伝えしました。

──なるほど!さて、本題です。メルカリグループの決算資料は2021年6月期のものからデザインが大きく刷新されました。なぜ変更することにしたんですか?

@ibuki:大前提として、投資家に向けてメルカリの中長期のビジョン・方針をわかりやすく説明できる資料にしたいと思っていました。というのも、IRチームとしてもメルカリグループが伝えたい中長期のメッセージが投資家の方々へ十分に伝わっていないと感じるところがありましたし、経営陣から「もっと変えてほしい」という要望もありました。なので、どちらかというと「デザインを変えたい」より、「従来の決算資料の内容を変えたほうがいい」と考えていたんです。

──「投資家の方々に十分に伝わっていない」とは、具体的にどの部分だったんですか?

@ibuki:はっきり言ってしまうと、これまでの決算資料はすごく漠然とした内容になっていたんですよね。もちろん必要な情報は記載していましたが、「メルカリが今後どんな企業を目指したいのか」が伝わりづらいものだったんです。

@Junichi:ですね。僕らIRチーム内で意見が一致していたのは、「メルカリらしさ=わかりやすさ」。なぜなら、メルカリというサービス自体がお客さまファーストなUI・UXになっていて、わかりやすく使いやすい。ならば、その「わかりやすさ」は、投資家の方々にも提供すべきだと思いました。

そうなると、内容だけでなく、ビジュアルも工夫することになる。初めは、Googleスライドを使って、僕らだけでビジュアルもつくろうとしていたんですが…お世辞にも「わかりやすい」と言えるものができなくて(笑)。

そこで、Creativeチームの@ota-miさんにお願いできないかとお声がけしたんです。

野崎純一(@Junichi)

@ota-mi:私が所属するCreativeチームでは、コーポレートサイトやプレスリリースのほか、メルカリのキャンペーンに掲載するデザインなどを担当しています。ただ、@ibukiさんや@junichiさんに初めてお声がけいただいたタイミングは他の業務が混み合っている関係で一度お断りしていまして…外部のデザイン会社さんへ依頼してもらう案もありました。何度か検討してもらったのち、再びお声がけいただいて、正式にデザインを担当することになったんです。

伝統に則ったネイビーから、サービスカラーに寄せた理由

──これまでの資料と比べて、どこが一番変化させたポイントだったんですか?

@Junichi:メルカリグループの中長期でのビジョン・方針を明確に示すページを増やしたことでしょうか。例えば、6ページ目の「ミッション達成に向けた中期的なマイルストーン」というページにある図。これは、一次流通と二次流通の融合を示しているものです。これを表現するのは…けっこう議論を重ねた記憶があります。

一次流通と二次流通のどっちにプライオリティを置くのか、その概念をどう表現するのか。また、メルカリが二次流通にいる中で、一次流通との関係性をどう規定するか。さまざまなことを考えた結果、一次流通と二次流通が並列してあり、いろんなものが循環していく図に落ち着きました。概念の部分に関しても@ota-miさんと会話しながら、つくり込んでいきました。

@ota-mi:そうですね。話し合いつつ何パターンかアイデアを出しましたが、結果的に八の字のデザインで着地できたんですよね。

前回までの決算資料にある、一次流通と二次流通の関係性を表した図
一次流通と二次流通の関係性を表すイラスト案。結果的に、右上のものが採用された
今回の決算資料ではこのように掲載された

@ibuki:メルカリグループにとっての「3本の柱」を表す図も、議論しましたよね。メルコインやソウゾウなど新しい会社が立ち上がる中で、それらをどう位置付けするかだけでなく、現在展開している事業や、今後はグローバルに展開していくことも示す必要がありました。「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」ことが我々のミッションなので、事業成長にまだまだ大きな可能性や広がりがあることを見せる部分は、個人的にもこだわったところかなと思っています。

@ibuki:また、新会社が立ち上がる中で、各会社間でどのようなシナジーがあるかを見せるのも悩ましかったです。当初作成したときは正確さにこだわるあまり文字が多くて。最終的には文字数をバッサリと減らし、パッと見たときに、各社がどうシナジーを発揮しているのかをわかるようにしました。

@ota-mi:この図に関してはシナジーが多ければ多いほど図がごちゃごちゃしてくるので、議論を重ねてこの表現になりました。

──以前までの決算資料に比べて、配色が増えた印象もありますね。

@ibuki:色使いも、議論したポイントでした。今回、資料にはメルカリのサービスカラーを使用していますが、最初からそうしようと決まったわけではありません。テック企業ならではの近未来的なスタイリッシュさか、メルカリのサービスカラーのどっちにするかの議論を進めていき、最終的にメルカリのサービスカラーを使用することにしたんです。

色のグラデーションなどは@ota-miさんにどれがいいかを指定してもらい、そのトンマナに合う図表やグラフなどはつくりました。メルカリは“ワクワク”がひとつのテーマでもあるので、赤と青を使って元気な感じを表現しています。

伊吹洋佑(@ibuki)

@ota-mi:全体的な色使いは、最後まで議論していましたね。なので、私としてもメルカリらしいポップなパターンと、以前までの決算資料にあるネイビーを活かした背景色を伝統として残したパターンの2つを提案。IRチームで議論を重ねてもらい、今回の資料にある色使いに落ち着きました。

Googleスライドで都度共有し、イメージを擦り合わせる

──決算資料となると、デザインへ織り込む情報などの専門性が高く、イメージのすり合わせが大変そうだと感じました。今回のデザイン刷新は、どうやって進めていたんですか?

@ota-mi:デザインは感覚的につくる部分も多いのですが、今回は@ibukiさんや@Junichiさん、IRチームのメンバーに理解してもらうためにニュアンスの意図などを整理したうえで話し合えるように意識しました。言語化の難しさを感じる場面は、何度かありましたね。

そして、進め方についてです。一般的にはAdobe Illustratorなどでつくり込んでいく方法が主流だと思うのですが、“効率的につくる”のがメルカリ流。私がつくった素材をその都度、Googleスライドで共有して議論し、細かい部分を詰めていきました。オンライン上で「もう少しこうした方がいい」などの具体的なレビューがコメントされるので、とてもクイックにアップデートしていけました。

太田美帆(@ota-mi)

──では、デザインもGoogleスライド上で実物を見ながら話し合っていた?

@ota-mi:そうですね。まずは最優先でビジュアルイメージを固めていき、その後全体にかかる表紙やレイアウトを決めて、最終的に他のページも新しく決めたデザインのトンマナに合わせていました。とにかく「デザインをつくって、それをブラッシュアップする」といった作業の繰り返しでした。私がデザインの叩き台をつくり、それをIRチームのメンバーに見せて、意見を聞きながらお互いのイメージを擦り合わせる。IRは専門用語が多く、言葉の意味を噛み砕かないとデザインにしづらい部分もあるので、ミーティングを重ねて、具体的にどういうイメージなのか、何の優先順位を高くするのかを聞き、デザインを仕上げていきました。

あと、Googleスライド上で作業していると、@ibukiさんや@Junichiさんが同時接続していることもよくあって…。

──めちゃくちゃ見られているじゃないですか(笑)。

@ibuki:見てました(笑)。だって、僕らにとってデザインは「未知の領域」。今までは自分たちで頑張って図やグラフをつくってきましたが、それが@ota-miさんの手にかかるとどう変わっていくのかの変化が不思議でおもしろくて…。正直、僕自身が思ってもみなかったデザインになったときは素直に感動しました(笑)。

@Junichi:「あのとき話し合ったことがこうやってデザインに落とし込まれるのかぁ」と思いながら見ていましたね。デザイナーさん、すごい…。

@ota-mi:私は「あ、見られてる!」と若干焦ってました(笑)。

改めて感じた「社内にデザイナーがいる」ありがたさ

──決算資料のデザイン刷新を振り返ってみてどうですか?

@Junichi:今回の決算資料は、中長期的に使っていく想定でつくったものなので、すぐに変えることはないと思っています。長く使い続けることで、投資家の方々に対しても一貫してメッセージを出していきたいですね。

そして改めて感じたのは…。前職時代、決算資料で使う図表やグラフはパワーポイントでできる範囲でつくっていました。きっとそういう企業は多いと思います。ただ、メルカリに入社して、社内にデザイナーがいるありがたさを強く感じたんです。何より、一緒に決算資料をつくりあげていくのはすごく新鮮でした。

@ibuki:IRチームとしては非常に恵まれている環境ですよね。デザイナーがいることで、投資家に対して、視覚的にもより魅力的に伝えられるので、Creativeチームの存在はありがたいです。また、今回のデザイン刷新では、いったん持てる力をすべて出し切った気がしています。もちろん、次のタイミングでいろんな課題が出てくるとは思いますけど(笑)。

@ota-mi:うれしいです!前回の資料で明確に課題として挙げられていた部分は、今回である程度解消できたと思うので、今後は統一されたフォーマットをもとに内容をブラッシュアップしていければと思っています。あとはスケジュールですね。もう少し製作に余裕があるスケジュールだと、個人的にはとても嬉しいです(笑)。

@ibuki:はい!これからもブラッシュアップできればと思うので、今度はもっとスケジュールに余裕をもたせたうえで相談させてください!

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